所得格差に取り組むボストン市

アメリカでは、所得の格差というものが広がる傾向にあるという話をよくききますが、 それに対してボストン市長が重点的に取り組んでいます。(ボストングローブ8月11日)

アメリカの357の都市を調査したうち248の都市では2005年から2012年の間に富の分配が高額所得家庭へシフトしたということがわかっています。合衆国市長会議でだされたリポートによると、それでもボストンでは所得分配が比較的均等になされているほうだとのこと。

格差問題はボストン市長のウォルシュ氏が重点的に取り組んでいる課題であり、問題解決の為に特別な組織を設置しました。それには、子供の頃からの教育、テクノロジーへのアクセス、住宅問題、といった様々なポイントが含まれています。

ボストンでは最終的には幼児教育から見直し、将来的に学校でも、職業的にも成功してもらう為に、金融リテラシーや財産を作ることを教え、教師や産業界に職業訓練をしている学生達がよりよいキャリアパスを作れるように、要請します。
この特別組織の目的は、生きることに余裕が持てるようになること。どの人も普通に働いて、普通に貯金し、それなりの住宅にすめて、いい保険にはいれて、いい教育をうけられるということを目指します。

ボストンの平均収入の中間値は昨年72,700ドルで、これはこの国で6番目に高い金額になります。これを2017年には84,400ドルにあげようとしています。一方、26%は35,000ドル以下の年収です。

ところがブルックリン研究所のレポートをみると、ボストンは全米50都市のうち所得格差が4番目に大きな町だととらえられています。(ブルックリン研究所のレポートは所得の多い方の5%と少ない方の20%を比べているのに対し、合衆国市長会議のレポートでは所得を広くとらえている為、格差がそれほどひどくはなっていません。)
レポートによると所得格差が広がっている理由は景気が悪い時に高給の仕事(製造業、建設業の分野)がなくなり、賃金の低い仕事(ホスピタリティやヘルスケアの分野)がそれに変わったことだそうです。景気後退後の平均給与は全米では47,171ドルになりました。

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ここのところ、アメリカでも所得格差の問題が、色々とりあげられるようになっています。(いい例が、マクドナルドの賃金格差問題)低い所得のせいで教育を受けたくても、(子供に受けさせたくても)教育費が高く、 その日の生活をするのが手一杯では自分や家族の将来設計も描けません。そして何よりも、その環境ではアメリカンドリームも達成できなくなってしまうということでしょうか。ボストン市が学校教育を軸に、職業訓練を含めたキャリアパスを推奨し始めたことで、成功の選択肢を増やすことになり得ることを願います。一部の人達だけが、絶対的な成功を手に入れる事ができる社会でなく、多くの人がそれぞれの価値観の中での成功をおさめる事ができるような社会になるといいですね。

MOOCsの終了率をあげる為にはどうすればいいのか?

世界で300万人以上に使われているというWizIQというオンラインプラットフォームを作っている会社のCEOがMOOCsの展望について語っています。WizIQでは誰もが自分の教室をもって、授業が行えます。(BetaBoston, 7月27日)

MOOCsには現状の教育の仕方を変える大きな可能性があるのに、沢山の人が最後までコースを終了できないのはなぜでしょうか?
2012−13年のMITとハーバードの調査によるとコースを終了しない割合は9割という高い数字です。
これは実際に講師によるサポートがないからだと考えられます。

事前に録画されたビデオを自分のペースで受講できますが、実際にライブで講師がいる訳ではなく、学生たちが互いに意見交換することもありません。実際に講師がいないということはフォローアップがなかったり、学生がしっかり理解できているのかという確認もできないのです。終了率をあげる為に、MOOCsにはライブで講師の参加が必要です。実際講師に参加してもらっているのがWizIQで、このプラットフォームでは誰もがMOOCsを提供することができるオープンなマーケットになります。

まだまだ主流とはいえないMOOCsですが、2003年にはアメリカの学生負債が2000億ドルだったのに、9年後その額は1兆ドルになりました。2000年から大学の学費が72%も増えたのに、25歳〜30歳までの収入が15%減ったという事を考えるとMOOCsには経済的に非常に明るい未来があるといえます。ある大学では企業と共同で学生の現在と将来のニーズにあったプログラムを開発しています。このような共同プログラムは学生が卒業後にスムースに働き始めることができるように促します。もしMOOCsが企業とパートナーシップを作りあげることができ、学生が仕事を見つけやすくなるならば、大学にいかないでMOOCsを受講する人達にとってMOOCsを始める動機になるでしょう。
しかしこういったシフトはすぐにはおきないでしょう、なぜなら大学にいって学位をとるという社会的な圧力が存在するからです。そしてそれが学生の負債を増やしている訳ですが。しかし、こういった圧力がなくなり、経済的な要素が学生がどのように教育をうけるのかを決める事になると、MOOCsが高等教育に変わりえるでしょう。

これから2年後にはMOOCsはどうなっているでしょうか。
現在はコンピューターが学生を教えている状況ですが、2年以内にMOOCsの講師不足の状態が解消されるようになるでしょう。講師が学生の抱える問題点を解消してくれる鍵になるはずです。

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もしMOOCsにライブで講師が参加するようになれば、更に大きく変わっていくのでしょうか。そうなると、多分今まで無料だったコースが有料になるということもあるでしょう。要するに、ビデオで全てを勉強できてしまうのなら、youtubeで何かを学ぶのと同じだというわけです。しかしそれでは、第三者からのフィードバックもなければ、本当に何かを学んだかという確証もありません。ライブで講師がつくことで学習成果があがったとしても、それをどのように評価していくのか。高等教育に変わるという事を考えるのはまだ時期尚早のようです。

インドのシリコンバレー、バンガロール

バンガロールは、インドのシリコンバレーと呼ばれITビジネスの中心地です。
バンガロール空港はガラス張りのとてもモダンな空港なので、 町も近代的な建物が結構建っているかと思うと、いやいや、それはまだほんの一部の話で、そういうエリアとそうではないエリアが混在しているというのが今の状態です。

近代的な建物

今回バンガロールに訪ねたある事務所の所長は大学の博士課程をとるのにインドに数年滞在していたことがあり、その後食料のフェアトレード関連のビジネスをたちあげました。現在は、大学、研究機関も含め、スタートアップ等の対インド投資の手伝いをしています。 事務所は、バンガロールのそれほど近代化されていないエリアにあったせいか、事務所の近所を歩いていたら、赤ちゃんと、子供をつれた女性に腕をつかまれ、“1ルピーをください!”といわれ、追いかけられ、さすがにびびりました。内心、“1ルピーでいいの?”だって、2円にもなりませんよ。。。所長いわく、そういった女性達は組織化されているので、お金を渡してはいけないと。まさしく、映画『スラムドック&ミリオネア』の世界そのままの話をされていました。(ボストンでも路上でお金を集めている人達はよくいますが、彼らには通りすがりの人達がよくお金を渡しているのとは対照的です)

バンガロール滞在はほんの数日でしたが、町の中を歩いたり、車で移動していると普段の生活が少し覗けました。 ゴミの集積所らしきところが町のいたる所にあるのですが、ゴミ袋に全てのゴミが入っているわけではないので、そのままそこに犬や牛がたむろして、動物が渋滞の原因になっていたりします。それでも、人々は動物にやさしいのか、(宗教上の理由か)せかすこともなく、妙な共存がうまれていましたね。都会でもそういう衛生状態なので、世界のエネルギー問題や公害なんて話をしたところで、全くピンとこないだろうなあ、というのは感じました。

車の前を牛が通過中

車の前を牛が通過中

確かに、昔はプラスチック製品やスプレーのようなものはなく、ゴミをそのまますててもある意味、自然のコンポストになっていたのかもしれませんが、都会でもその状態なので、サステナビリティとか、省エネとか言う話以前の問題だということを所長もいっておられました。
これだけ、人がいて、市場が大きいと、ビジネスチャンスも多いし、新規事業も大変だけど、やりがいがありそうに思ったのですが、所長いわく、“中国人とインド人との大きな違いは、中国人は上昇志向が強いが、インド人は今いる自分の地位からどうやってもっと向上しようとか、よりいい職業につきたいとか、どうやったら自分の生活の質がよくなるか、なんてことは考えてない人が多いことなんじゃないかなあ。でも、みんな自分のいる今の地位や肩書きにこだわったり、タイトルはすごく大事。なんだかんだいってすごい階級社会だから。”

町から1時間も走ると、扉のないような建物に住んでいたり、屋台のような商店を多くみかけましたが、それでも電線は通っています、あと20年くらいたつと景色もずいぶん変わるのでしょうか。

スマホを使ってますます便利になる配車、送迎サービス その2

東京でもウーバーが5日からタクシーの配車サービスを始めたとのニュースがありました。
ウーバーに関しては、以前も書いたのですが、(スマホを使ってますます便利になる配車、送迎サービス)ここのところ、急成長している反面、既存のタクシー業界との衝突が各地で起こっています。ボストンでも業界との摩擦に関しては何度も紙面を騒がせていますし、ヨーロッパでも穏やかではないようですが消費者側は肯定的な見方が多いようですね。

今回の日本進出に関しては日本のタクシー会社と組んで、流しの空車をウーバーの顧客にまわすことで、ウィンウィンの状態を作りだすとのこと。これならタクシー業界的には歓迎でしょうが、価格はどうなるのでしょうか。。。

ウーバーは現在世界42カ国、150ほどの都市で即時配車サービスを行っています。未上場ながらも株式時価総額はおよそ2兆円にものぼるといわれているウーバーのブログによると、ビジネスで利用する顧客が増加していることから、世界中を移動するビジネスパーソンの為にビジネスアカウントを作る事ができることになりました。
ビジネス用のウーバーアカウントを作る事により、出張の際に、個々に請求をする必要がなく、 そのまま会社に請求がいくことになり、会社も管理が楽になります。これにより、ウーバーのサービスになれた人達が世界の他の都市に移動しても同じサービスが受けられるということを目指します。
この秋には、米国ではアメックス会員特典としてカード保有者が 、倍のポイントがもらえるもしくは、ウーバーを使う時に支払いにポイントを使えることになるようです。
既にテスラやドイツ銀行とも提携しているウーバー、世界への進出を着々と進めています。

参考記事:
スマホを使ってますます便利になる配車、送迎サービス

アートをエンターテイメントにすることで誰でもアーティストになれる -ピノッツパレット-

アメリカ人ってほんとすごいなあ、と思うのはなんでもエンターテイメントにしてしまうところです。アートが芸術作品でなく、エンターテイメントだったら。。。誰もが自分の中の芸術家の部分を発見して、楽しんでほしい、という考えで、アートコースを提供しているのがピノッツパレット というアトリエ(フランチャイズ)です。2009年にテキサスで始まったこのアトリエ、出張サービスもしており、誕生会や、記念日その他イベントに出張サービスもしてくれます。

アメリカ人はホームパーティーやこの時期BBQをよくしますが、ちょっといつもと違う演出をしたかった友人はこの出張サービスを、ビジネスのネットワーキングのイベントに使いました。ピノッツパレットがイーゼルから絵の具、筆、パレット、キャンバス、エプロンと必要な道具を全て持参してくれます。会の主催者が事前に会のテーマに合わせて選んだ絵のモチーフをどうやって描いていくのか、インストラクターがみんなに、ステップごとに教えてくれます。基本的に全員が同じモチーフを、同じような色で同じように描いていくのですが、それぞれ出来上がりが結構違います。この経験は例えば、材料が全部入っている、カップケーキのキットを自分が混ぜて焼いて、残りのデコレーションを各自でやるみたいな感覚といったらいいでしょうか。。。

正直、見本の絵もこれって上手いって言えるの??というものもあったりして、上手、下手とか、絵の描き方を習う、という感覚で参加すると、ちょっと戸惑うかもしれません。上手、下手より、面白い作品か、面白くない作品か、というふうに見たほうがいいかも。。。ボストンは特に、アカデミックで、手仕事より、頭を使う仕事に携わる人達のほうが多いので、普段、アカデミックな仕事をしている人や、数字を追いかけている人達の、全く違う一面をみることができるという意味では、面白いです。筆で線をまっすぐ描く事はなかなかできなかったり、そうかと思うと真剣に口も聞かず、作品を仕上げる人、結局、ぐちゃぐちゃになって、最後はインストラクターに描いてもらう人と、様々で、人間性もみえて面白いですが、でもこの会にたまたま上司と一緒に参加して上司が延々と絵と格闘しているのをみた部下の人は、“うん、楽しかったけど、上司と一緒に参加するもんじゃないね。” と、気を使ってかえって疲れた様子でした。

ピノッツパレット
ピノッツパレット