フィデリティラボはどうやって顧客の経験価値をあげるのか?

フィデリティ・インベストメンツはボストンに本社がある会社で、日本ではフィデリティ投資信託会社として、名が知れていると思います。実はこの会社、日本ではあまり知られていませんが、金融機関では珍しくテクノロジーの分野にも進出しているようで、パテントも沢山保有しています。

てっきり、ファンドを組む時に自分たちがトレンドの技術を扱っていれば当然、どの技術を使っている会社がこれからのびるとか、のびないとか、どれとどれを組み合わせるべきだという、ことを考えやすくなると思ったのですが、どうやらそういうことが、テクノロジーに投資している第一の理由ではなさそうです。

ボストングローブ紙 11月6日

フィデリティのこの部署では、投資信託の販売数を祝うのではなく、新しいパテントを取得したことを祝う。巨大なウオールスクリーンは投資家の為に毎日の株式の動きを伝えるのではなく、新しいテクノロジーを伝える。

ここは世界中で75人の従業員がハイテクプロジェクトの為に働くフィデリティの応用技術センターだ。
ボストンの会社では大抵、お金の管理をしたり、定年後の年金プランを販売しているがこのグループは、フィデリティとビジネスをする顧客にとって役に立つテクノロジーやイノベーション、投資についての情報を集める。

”今から10年後の世界を想像できますか、カメラがあなたをみて、幸福かどうかわかるのですよ。まあ、これはBig Brother的な要素が大きくて、将来のあるべき姿ではないかもしれませんが。” とセンター長のSean Belka氏はいう。

フィデリティはどのテクノロジーが はやるかは予測はしないし、少なくともグーグルグラスや最新のiPadをイチオシしない。いいかどうかは顧客がきめることだ。
しかし、フィデリティは80の特許をもちその中には、今ではスタンダードになっているウェブサイトの安全性を保持する為の暗号化されたcookie(クッキー)も含まれる。
研究所が始まった1998年当初は、最新テクノロジーはオンライン・トレーダーのための双方向ポケベル・システムだった。2005年ごろには、スマートフォンとタブレット用のアプリを作り出した。

大抵の場合、フィデリティはハイテク製品をゼロから開発はしない。すでに市場にある技術を顧客のために使えるように研究するのだ。

”これは進化です、どうやって顧客経験価値をあげるための技術に投資しましょうか?”
フィデリティは毎年、会社全体で25億ドルほどテクノロジーに使う。そのうち、研究部門が使えるのは一部だが、どこに金がいき、どうのように顧客と企業が相互に関わり合うのかに関しては影響がある。

例えば2010年に制作されたiPhoneアプリは190万回ダウンロードされ、モバイル上の取引ボリュームは3倍増えた。
2005年には研究所の中に、技術を顧客とテストするグループができた。例えば、どうやって顧客がwebサイト上を見ていくのかという、目の動きを確認するテストや顧客にとって、ウェブ上での体験は楽しい物だったのか、否かという確認も行われた。

アウトドアウエアの販売会社パダゴニアの創設者であるPerry Klebahn氏はスタンフォード大学のデザインスクールで教えているが、いくつかのクラスはフィデリティがスポンサーになっている。例えば、どうやったら “伝染行動”を起こせるのか、ということを研究するクラスでは、実際にイベントを企画してどうやってヒップホップのコンサートに人を集めるかを学んだ。

”私たちはファイナンシャルサービスの専門家ではありません。でもこのコラボレーションでは学術を超えたところでアイデアを作るということを意図しました。学生はフィデリティに雇われることもあります。”

フィデリティは現在、若者が年金の積み立てで困らないで済むように、オンラインゲームを製作中である。

応用技術センターで顧客経験価値をあげる部門の責任者である、Fred Leichter 氏はフェローとして、一年間スタンフォード大学のデザインスクールにいる。彼が勉強しているのは、”世代間の財政” 。つまり、 年をとった両親や、伴侶をなくした親戚を抱えた家族が何を必要としているかを、知る事を目的にしている。これらの話はなぜ なかなか話題にされないのか、どうしたら、もう少し簡単に話せるようになるのかを探っている。これらの問題はとてもデリケートで、感情的なものであり、人々の取る行動が理論的になされるとはかぎらない。このプロジェクトの結果がフィデリティの商品にどう反映するするのかは、まだわからない。

”私たちは、イノベーションを起こすだけでなく、イノベーターを作ろうとしているのです”

以上が意訳になります。

日本発の「産学での協働事業」を前提に日本の大学と企業の連合による事業運営を目指すとしている日本版MOOCS(オンライン無料配信教育サービス)の記事を読みましたが、日本でも色々な形での大学と企業とのコラボレーション、が増えると学生も具体的に社会で、何が問われているかがもっとはっきりとみえてくるので、ますます活性化してほしいですね。

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