日本で起業率が低い理由を考える - その1-

バブソン大学が2014年にだしたグローバルアントレプレナーシップモニターというリポートがあります。
世界の起業活動に関するデータを集めて分析しているリポートですが、各国の起業活動率をみると日本は起業率がともかく本当に低く5.2%ですが、アメリカも12.3%でこうやってみるとそんなに突出しているわけでもないですね。
アフリカや南米の国など、大きな企業という雇用の受け皿がそれほど充実していないところほど起業が一つのキャリアの選択肢になっているようです。また日本では起業家になるというキャリアの選択肢がプエルトリコに次いで2番目に低いという結果になっています。

40過ぎて、独立する人をいい職がみつからないから”仕方なく”独立するんだと、まるでネガティヴなことのように捉える人たちも多いですが、実際それが”仕方なく”と、とらえられていることがまさに独立、起業することは社会的に良しと捉えられていないというふうに理解できます。
日本の起業率が低い理由としてよく上がるのは失敗することが許されない社会ということが言われますが安定しないこと,保証がないことが日本ではうけいれられにくいのでしょう。

小さな企業に出資するのも大企業だったりしますが、お金だしてあげるけど、自分は絶対起業なんていやだ、とかいうのをきくと、両者が全く違う世界観の中で生きていると感じます。
ボストンにいるとたくさんのベンチャーキャピタルの方達にあいますが、その方達もある分野で成功している人たちが多いです。バイオのベンチャーキャピタルなら医者だったり、サイエンティストだったりとその分野の専門家であります。そういった視点から投資先を選ぶ、もしくは投資した先をサポートしていくというのは明らかにサラリーマンベンチャーキャピタルとは一線を画します。起業をする方もリスクをとっていますが、投資するほうもリスクを背負うわけです。
起業家は自分の思いが形になっていく過程を楽しみます。つらいことも多いですが、かっこたる信念がないととてもつとまりませんよね。。。

起業をする側と支える側との温度差がありすぎるということも起業率低い一つの要因かもしれません。

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ハードウエア作りのためのインキュベーターBolt

ボストン、ケンブリッジ界隈には様々なタイプのインキュベーションがありますがイノベーション地区としての成熟度を感じる点は、分野ごとに細分化してきている点でしょうか。
ハードウエアを作るスタートアップを支援するVCが運営しているメーカースペースがBoltです。ボストンの金融街のそばにこんなものが!まさに隠れたガレージという感じで存在するBolt.
ここには誰でも入れるわけではなく審査があり、入居するスタートアップはVCから資金提供をうけます。ソフトウエアはそれほど場所を問わず作れますが、ハードウエアを作るには、器具やそれなりのスペースが必要です。実際に中には、自分が旅行中にペットに自動的に餌をやる機械や一度あけてしまったワインボトルを酸化しない状態で保管でき、注ぐ時もきまった分量をそそげる容器、レストランや食品を扱う店が食品の温度管理や衛生管理をコントロールできるソフトとその機材を作っている会社やPavlokもはいっています。それにしても、もの作り好きにはたまらない空間ですね。

Bolt

Bolt


1階はただのシェアオフィスにみえるのですが、、地下に行くと
Bolt 地下部分

Bolt 地下部分


大きなガレージのようなところにに機械類がたくさんあり、各種3Dプリンターにレーザーカッター、工場にあるような機材がたくさんあります。ここでプロトタイプの製品を作って、工場にもっていって量産するそう。なかなか小さい企業が使える機会が少ない機械があるだけでなく、資金やビジネスプランのサポートに加え、技術的なサポートもしてくれます。

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起業家と投資家の関係について、色々。。。

成功している起業家の方たちと話していると、意外に戦略的に新事業を立ち上げたり、ビジネルモデルを作っていく人より、計画があるようでない中で、流れにのってビジネスを展開していく人が多いように思います。

起業家自身が例えば、戦略的なコンサル会社出身でばりばりのデータ解析が得意だとしても、自分が実際ビジネスを行っていくにあたり、具体的な戦略なし、という発言をきいていると、やはり、過去のデータというのはあくまでも過去のもの、ビジネスは生き物だということがよくわかります。

日本の会社は銀行から資金を調達するときは、ビジネスプランを作って数字を管理するという側面が大きいように思いますが、実際、その経営者をどうやって評価するかということはなかなか、数値にでにくいものであり、担当者がこの人はいいと思っても、上司がダメだと言った、という話が昔からよくあるように経営者を評価できないもしくは評価する指標がないといえます。

一方、アメリカのベンチャー投資家は経営者と話しをよくし、その人に投資するという側面が大きいです。強い起業家は、プレゼンスキル、トークのスキルが半端なく高いですね、人を魅了する話し方、人にわくわく感を与え話しに引き込む力が半端ないです。アメリカの投資家は自身が成功している起業家であることも多いので、数字以上のものを評価する力があるともいえますし、リスクをとることができるともいえます。ビジネスが上手くまわっているところでは、投資家との関係も長いつきあいになります。日本の一般銀行ではベンチャーの融資をするほうの人も育てられてはいないのではないかという気がします。結局そのリスクをとるのは、サラリーマンの投資家では難しいのでしょうかね。。。

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女性のビジネスオーナーの資金調達に関しての分析

バブソン大学の研究による9月に出された最新のダイアナレポート、女性起業家2014-ベンチャーキャピタルのジェンダーギャップをうめる、 では、女性のビジネスオーナーの資金調達に関しての分析をしています。

これによると、アメリカにある事業のうち36%のビジネスは女性が所有するものだそうですが、2011~2013年にベンチャーキャピタルが女性が経営チームにいる会社に投資したのは、1999年のレベルより3倍増えて15%になっており、女性が経営陣にいる会社のほうが業績も評価もいいです。

ところが、ベンチャーファンドが投資した会社のうち85%は経営陣に女性がいませんし、女性がCEOの場合は2.7%しかないということです。
女性のパートナーがいるベンチャーキャピタルは女性のCEOがいる会社に投資する確率は2.5倍も高いのに、問題はベンチャーキャピタルの女性パートナーが減っているということがあり、1999年から2014年までに10%から6%になってしまっています。

今後、なぜベンチャーキャピタルで働く女性が少ないのかということと、意思決定のプロセスにおいて、地勢的要因や性的な要因が影響を与えるのかといったことを調査していくことになるらしいですが、これ日本の場合はどうでしょうか。
すでに5年ほど前に、日本で投資をする時は女性が経営陣にはいっているところに重点的に投資をしたいといっておられたアメリカ人の投資家の方がいたのを思い出しました。彼は女性のほうが伸びしろが大きいというようなことを確かいってましたね。

ところで、以前5人の女性研究者によってだされたダイアナプロジェクトのレポートによると、女性がベンチャーファンドにお世話になることが少ないのは、男性よりも小さな規模でビジネスをはじめるからだそうですが、実際64%の急成長している女性のビジネスオーナーは、家族や友人も含めて何らかの形の資金提供をうけているとのことです。

歴史的に女性が所有するビジネスはサービス業や小売業で競争が激しく失敗する率も高い分野でした。
ところが近年は半分以上のビジネスが BtoBでベンチャーファンドから資金をもらう50%はコンピューターのハードウエア、ソフトウエア、サービスの分野ということです。
ようするに、リーンスタートをしてリスクを小さくとり着実に育てていくというイメージですね、やっぱり女性はどこの国でも現実的?

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女性起業家が投資家から資金調達をしやすくする為には何が必要か?

バイオ産業のカタリスト、投資家でもある女性起業家の話(1)

今回はバイオ関連のシリアルアントレプレナーでもあり、投資家でもあるクリスティーネ•ブント(Christine Bunt)さんに話をきくことができました。最近彼女の属する会社の一つである、バイオのベンチャーキャピタル( 20/20 HealthCare Partners LLC)が彼女のリードでスイスの製薬会社ロッシュと提携しました。この提携では、中小企業やスタートアップに投資をする上で戦略的な位置に立つ事になるロッシュは、投資した先の企業の所有権は主張をしないという点(ボードに口をださない)が特徴的だということです。投資家目線で見た時に、投資先からリターンがあるのかという点が最大のポイントになるのですが、彼女は、イノベーションをいかに患者にもたらすことができるか、という事を一番に考えています。彼女の役割は、投資家目線で、投資するスタートアップを探し、また起業家目線で、よりいい、薬や治療を患者が受けられる為にどうやってイノベーションを患者にもたらすかということを考える起業家をサポートし、双方をつなぐ役割をしています。

常に患者の人生の質を高める為に、いかに製薬業界でイノベーションを起こせるか、ということを、目標に定めて活動してきたブントさん。私生活では、2人の子供を抱えてどのようにキャリアを歩んできたのでしょうか?

ードイツの大学を卒業していますよね?もともとは研究員ですか?

ええ、私はドイツで生物化学、免疫化学を勉強しました。その後スイスの製薬会社のロッシュに8年ほど勤務しました。もともとは研究者として診断事業部にいたのですが、その後、MBAをとるために、退職しようとしたら、会社側から、これからはビジネスがわかる研究者が必要だからといわれ、会社に席を残したまま、フランスのINSEADでMBAをとりその後はロッシュで製薬の開発や販売に携わるようになりました。
いい時期にいい場所にいたんですよ。

ーいい時期にいい場所にいた、とおっしゃいましたが、どうしてそういう流れになったのでしょう?その決め手は?

人生の選択をする時に最終的に判断するのは直感です。大学をでて一番始めの就職先を決める時に、一般企業にいくか、マックスプランク研究所(ドイツを代表する学術研究機関)にはいるか選択肢があったのですが、周りの人はみな研究所にいけといいました。若かったし、その時は給料というのは、判断基準にはなりませんでしたね。その選択をするときの基準は自分が何を目指しているのかという点で、私の場合は日々新しい研究成果や、治療法、薬が生まれますがそういったイノベーションを患者にもたらしたい、ということでした。そこで、皆の反対を押し切ってロッシュにいったのです。

ーアメリカにきたのは?
アメリカにきたのは自分の為ではなく、夫の仕事の関係でした。夫がニュージャージーで仕事をみつけ、それについてきました。小さい子供を抱えていましたが、すぐにMerck研究所で仕事がみつかり、7年ほどはMerckにいました。それから、自分でスタートアップを始めたのです。

ーMBAではビジネスを立ち上げることを学びましたか?
いえいえ!
私はINSEADというフランスのビジネススクールでファイナンスのMBAをとりましたが、実際小さなスタートアップでどうやって収入がないのにビジネスを始めるか,資金調達や、チームを作るのかということは、スタートアップで経験して学びました。

スタートアップは失敗するものです、失敗して学ぶことが大切なのです。とくに私の関わるバイオビジネスは非常にたくさんの資金が必要です。アメリカは得に、ベンチャーキャピタルが多いし、ビジネスはしやすい環境にあります。
(続く…)