対日投資はなぜ増えないの? 

 独立行政法人の経済産業研究所が対日直接投資がなぜ増えないのか、ということに関して、言語のハードルの高さや、法人税率の高さをあげているのですが、それでも決定的になぜ対日投資が増えないのかわからないということをいっています。1980年代は随分海外企業が多かったように思うのですよね。ところが日本に進出する外国企業というのは最近めっきり減っているという感じがします。海外に住んで思うのは、少なくとも”物”に関しては、これ日本になくて外国からもっていきたい、というものがそれほどないという点。逆に日本にあるけど外国にないからもっていきたいというもののほうが多いですよね。サービスに関しても、どちらかというと行き届いたサービスができるのは日本のほうなので、もちろん、目新しさという意味で、外国からのものが受け入れられるというのもわかります。が、これがないと絶対困るというものがないような気が。。。

外国の会社からみると日本市場に参入するにあたり、もちろん日本の市場が成長市場ではないという点は大きいのですが、それ以上に感じるのが日本の企業とのやりとりがかなり複雑だと感じている点です。言語に関しては通訳や翻訳を使えば、コミュ二ケーションはとれる、でも、そのやり方、というものに戸惑いを感じている部分が多いように感じます。

例えば、資料やデータをたくさん集めるだけ集めても結論がなかなかでないこと。
日本企業とのやりとりには、コミュニケーション量が非常にたくさん必要ですし、細かいデータや、ケアをしなければいけない部分も外国企業よりずっと多いです。とりあえず大枠をきめて進めてみようということはないですし、かゆいところに手が届くようなケアの仕方を求められることも多いので仕事量が倍になります。

また、意思決定のプロセスが複雑で誰にどのようなアプローチをするのかの過程がよくわからず、(いわゆる根回し)結局だれに決定権があるのが不明瞭なこと。決定権が一人でも、その人に多大な影響力を与える人たちが複数いる場合も多いです。大手企業のように、サラリーマン社長の場合や、長期にわたるプロジェクトになると、ますます社長一人が大きな決定をするというのは難しいですよね。

そして一番の問題は、それだけ手間暇かけても、収益が他の市場を上まわるどころか、それより低い可能性が高いこと。
そこが企業からしてみれば一番避けたい部分でしょう。日本が成長市場であれば多少面倒くさくても、頑張って付き合ってくれたものが、時間と労力がかかるわりには割りがあわないわけです。
あえて成長しているといえば製薬とか老人市場向けのものとか、そういうところになるのでしょうか。

だからこのような市場でも入ってくる外国企業は親和性が非常に高いのではないでしょうかね。利益以上に日本に対する思いがある、といったような特別なものがあるように思います。

金融業界にも広がるAI(人工知能)について

フューチャーオブザマネーイベント第3弾は金融におけるAIについてでした。
ボストンに先立ちこのイベントは先日すでにニューヨークのウォールストリートで行れましたが、もちろん、金融街の人たちもAIには興味深々。なんといっても将来の自分達の仕事がどうなるか、ということを心配しなくてはならないですからね。
金融の街もたくさんのプログラマーを必要としていますが、実際腕のいいプログラマーはフェイスブックやグーグルにいってしまい、人手不足とのこと。

ファイナンスの世界では自動売買にアルゴリズムが使われ、金融テクノロジーの世界は、どんどん進歩していますよね。去年のフューチャーオブザマネーのイベントの時に、スポンサーをしていたクレディスイスは、自分の仕事がなくなる心配をしていましたが、どうやら冗談ではなくなってきているようです。先日も、あるプライベートバンカーが自分の部署が閉じることになったといって、新しい職探しをしていました。
ちなみに今回のスポンサーはチューリッヒ保険。

パネリストにはIBMのWatson リサーチセンターからエンジニア、フィンテックの会社2社、AIの専門家でした。
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AIの専門家にいわせれば、イメージ解析というのはもうコンピュータのほうが優れているし、コンピュータが理解できる言語認識力というのも、どんどん向上しているので通訳や翻訳家が必要なくなるというのは(近い?)将来十分ありえる世界だといいます。現状すでに英語と他のヨーロッパの言語の場合、グーグル翻訳でもまあそんなにひどくないですが、日本語ー英語の機械翻訳というのはもう少し時間がかかりそうですね。
IBMはこれからはますます、機械と人がどのように協働していくのかがテーマになるということ、をいっていましtが、これは先日のTEDx でも話にありました。問題解決をコンピューターと人間が協働して行っていく時代にこれからなっていくようです。

莫大な情報を集めても大事な情報は5%であり残りの95%はノイズといわれますが、実施シンガポールの銀行ではこの95%の情報を精査して、そこから何に投資するかというのを調べ上げるようなプログラムをIBMが作っているといいます。この先、この95%をどうやって意味のあるデータとして使えるかというのがこの10年くらいの間に進歩しそうです。
また、金融だけではなく、もっと身近な例では、がん検診で集めたデータを医者が見る場合、診断の30%は誤診であるという現実があり、この精度というのはAIの技術が進歩すればあがるといいます。

結局、膨大な情報から一定の法則や傾向を分析するというのはコンピュータのほうが人よりも圧倒的に早いしうまくできるということで、人の可能性というのは実は直感であったり、規則性のない部分(カオス?)から生まれるのかなという感じがしましたね。そして例えば、見つけた法則どうしを組み合わせ更に新しいものをうみだすとかいったことがこれから人が活躍できる分野なのでしょうか。

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サステナブルインベストメント

起業家と投資家の関係について、色々。。。

成功している起業家の方たちと話していると、意外に戦略的に新事業を立ち上げたり、ビジネルモデルを作っていく人より、計画があるようでない中で、流れにのってビジネスを展開していく人が多いように思います。

起業家自身が例えば、戦略的なコンサル会社出身でばりばりのデータ解析が得意だとしても、自分が実際ビジネスを行っていくにあたり、具体的な戦略なし、という発言をきいていると、やはり、過去のデータというのはあくまでも過去のもの、ビジネスは生き物だということがよくわかります。

日本の会社は銀行から資金を調達するときは、ビジネスプランを作って数字を管理するという側面が大きいように思いますが、実際、その経営者をどうやって評価するかということはなかなか、数値にでにくいものであり、担当者がこの人はいいと思っても、上司がダメだと言った、という話が昔からよくあるように経営者を評価できないもしくは評価する指標がないといえます。

一方、アメリカのベンチャー投資家は経営者と話しをよくし、その人に投資するという側面が大きいです。強い起業家は、プレゼンスキル、トークのスキルが半端なく高いですね、人を魅了する話し方、人にわくわく感を与え話しに引き込む力が半端ないです。アメリカの投資家は自身が成功している起業家であることも多いので、数字以上のものを評価する力があるともいえますし、リスクをとることができるともいえます。ビジネスが上手くまわっているところでは、投資家との関係も長いつきあいになります。日本の一般銀行ではベンチャーの融資をするほうの人も育てられてはいないのではないかという気がします。結局そのリスクをとるのは、サラリーマンの投資家では難しいのでしょうかね。。。

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ハーバードビジネスレビューが選ぶ,ベストCEOは?

11月号のハーバードビジネスレビューでは、客観的なデータ、(国及び産業調整後の株主投資利回り、時価総額)をもとに誰が率いる会社が長期的に価値をうみ続けているか、ベストCEOのランキング100を発表しました。一番はアマゾンのCEOジェフ•ベゾス氏、続いてギリードサイエンス社のジョン•マーティン氏、シスコシステムのジョン・チェンバース氏となっています。ジェフ•ベゾス氏がCEO就任中に、株主投資利回りの合計が15,189 %にもなり時価総額価値が1400億ドル増えました。

日本人だと100人中2人、11位にファーストリテーリングの柳井氏、45位にキャノンの御手洗氏がはいっています。
女性が2人、やっぱり少ないです。創業者が11人。
エンジニアリングを勉強した人の数(24人)とMBAをとった人(29人)の数が同じくらいというのも注目点かもしれません。
車産業、機械やIT業界ならわかるのですが、ファイナンシャルサービス、保険や輸送等の分野でもエンジニアリングを勉強した人達がトップについています。これは理系の人は実用的に物事をとらえ、ロジカルシンキングができるということが大きな理由のようです。ちなみに年齢の中間値は59歳。

リストにのっているうち、アメリカの会社のCEOの報酬の中間値は1210万ドル、アメリカ以外のCEOの場合はその半分の640万ドルで、最高額をもらっているのはウォルトディズニー社のロバート•アイガー氏の3430万ドルだそうです。(約35億円ですが、これは決して全米一番というわけではありません。。。)
80%以上のCEOは100万ドルから2000万ドルの報酬をえています。
報酬が高いほうからみたトップ10はアメリカの会社になりますが皮肉にも、ベソス氏の報酬は66番目と、傾向的には創業者や家族経営者の場合は報酬が雇われCEOより低くなりがちなようです。

この評価、客観的に判断する為に”利回り”のように、明確に数字に落とせるものだけを指標にしたということで、CEOの社会的役割ということを現実的に考えた時に重要になってくる、従業員や顧客の満足度や環境へのインパクトといったような、数字に明確に落とし込みにくいものは排除しているために投資家にとっての、いいCEOといえそうです。一方、中長期(最低でも2年間CEOとしての地位にあり、在職期間中間値は7年)でみているので、会社が色々な意味で安定しないと、成果が出ないという意味では数字に簡単に出せない部分の評価も当然、影響してくるだろうと思ったのですが、、、Reputation Instituteというコンサルティング会社にリーダーシップや労働環境、ガバナンス等、数字にしにくい部分について100人をランクずけしてもらったところ、ベソス氏を含むスーパースター級のCEOは全てにおいて、ハイパフォーマンスをみせましたが、一般的にはそれほど相関性があるとはいえないという結果がでたそうです。

アマゾンも短期的にみれば業績は必ずしもよくない時期があっても長期で見た時に大きく成長しています。長期的に考えられるということが創業者CEOの強みかもしれません。

サステナブルインベストメント

フューチャーオブダマネーというシリーズのサステナブルインベストメントというテーマの討論会がクレディスイスのスポンサーで行われました。

パネルとして、WEFのヤンググローバルリーダーとしても選ばれ、ハーバードで責任ある投資のためのイニシアチブについて研究しているDr. James Gifford、ファミリーオフィスのファンドマネジャーである、Ms. Dune Thorne、起業家でもあり、スローンスクールのフェローでもあるTemple Fennell 氏らが参加したサステナブルインベストメントについてのパネルディスカッションです。

投資の世界でも10年前は10%くらいの人しかサステナビリティということに感心がなかったのに、5年前は25%ほどの人が、そして現在はこの問題に関心を寄せる人が非常に多いと言います。
サステナビブルとは何か、日本語で調べると、”持続可能な”という意味になりますが、その定義を聞いた時、その定義は実は曖昧なようです。
ファミリーオフィスのファンドマネージャーのMs. Dune さんがいうには、例えば、サステナビブル関連の株というと8割方エネルギー関連になるといいます。残りは教育や女性をサポートするような枠組みのものだったりするのですが、将来をリードできる会社、社会にプラスのインパクトを与える会社や行動、金銭に投資するより、人に投資といったようにファミリーによって、何を望んでいるのかは違ったりするので、ファンドを組む時はその家族が何に価値をおいているのかということをヒヤリングする必要があるといいます。

ボストンには沢山のスタートアップがあり、たぶん、毎日毎日、数百社は生み出されると思うのですがこのアメリカのイノベーションを生み出す力、スピードは本当にすごいなと思う反面、これが間違った方向にいったときのインパクトも大きいなという事を日々感じています。自分が関わっている事業は社会にどんなインパクトをあたえるものなのか、会社側にはCSR(企業の社会的責任)が問われますが、一個人としても自分の時間を投資するという意味から社会にいいインパクトを与える会社と関わりたい、働きたいという選ぶ側の責任というものも、問われる時代になっていくのでしょうか。明らかに、これからの若者の世代は価値がかわってくるといっていましたね。

サステナブルの定義は色々あり得るという事でしたが、ちなみに私はサステナブルとは循環させることができる、エコシステムとして成り立つかどうかというのが、基本的な考え方にあるような気がします。質問者の中に、大きな資産をほんのわずかな人が握っていること自体が、サステナブルだといえるのか?という意見がありました。だから、資産を持っている人たちはサステナブルに投資をする責任があり、特にアメリカでは利益を目的としない慈善事業や多額の寄付につながるのでしょう。
この ”サステナブル” という考え方、これから益々広がる感じがしました。