増え始めるシニア向けの大学講座

平均寿命が延びたことで、いかに健康に長生きするのかということが重要になってきていますが、それと同時に、元気な高齢者が増えて、60歳過ぎの人の為の様々な市場というのも、活性化しています。
35歳をすぎると転職が難しくなるという話がある一方、50代になって新しいキャリアを始める人、60代をすぎてからコンピュータにチャレンジしたり、定年してから起業したりと、人生設計の個人差というのがますます大きくなっているように思います。

定年前に準備を始めて、早期退職して新しいキャリアを歩むという人たちも増えています。アメリカの大学でも、50歳代、60歳代の教育市場というポテンシャルに注目し始めた話がボストングローブの4月3日にありました。アメリカのコミュニティカレッジというのは地域に根ざした、2年制の短期大学で比較的学費もかからないことから、ここで2年学習してから4年生の大学に編入する若者達も結構いるのですが、そんなアメリカコミュニティカレッジ連盟が50歳以上を対象とした、コースを提供し始めました。もし、オバマ大統領が提唱しているように、コミュニテイカレッジの学費が無料化されると、一気に人が集まる可能性もあります。
現状では生涯学習ということでMOOCSや一部の大学では、単位や学位を必要としない人たちには無料でコースの受講ができるようなものもありますが、なんらかの資格や学位をとって、新たなキャリアやビジネスチャンスを目指す人も増えています。

ヨーロッパでも、40歳過ぎて新しいキャリアをしていたり、60歳過ぎた女性が高齢者対象のジムクラスの先生になった例をみてきましたが、そういった例をみていると、受け入れ側もあまり年齢を気にしていないということと、必要なのはスキルだけではなく、その後それをどう市場に売り込むかという能力もかなり必要になるような感じがします。

ハーバード大学は2009年より、アドバンストリーダーシップイニシアチブという、定年後を見据えた50代、60代の人たちがNPOの分野でリーダーシップを発揮できるようにするための育成プログラムを提供しています。スタンフォード大学も似た様なプログラムを提供していますが、62000ドル(ほぼ700万円)かかるということで、なかなか誰もが取れるコースではなさそうですね。。。

TEDx Palais des Nations-人の為に尽くす人達の話-

ジュネーブにあるパレ・デ・ナシオン(国連欧州本部や様々な国際機関が入っている)とボストンを含めた世界22都市を結ぶライブストリームのTEDxが行われました。パレ・デ・ナシオンには、国連難民高等弁務官事務所、国際労働機関、世界保健機構、赤十字国際委員会といった主に人権に関わる機関が多くはいっていますが、今回の背景にあるテーマはインパクト。人道的見地から人の為に働く、科学者、起業家、人権活動家達にフォーカスをあてました。
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そのうちの2人の話を紹介します。

国際障害同盟(IDA)の会長であり、世界盲人連合(WBU)の前プレジデントであったマリアンヌ・ダイアモンドさん。
子供の頃から、本が好き、数学が得意だった彼女ですが、目の見えない彼女は目がみえなくても読める点字本や、オーディオブックのような教材を探すのに苦労したと言います。
大学で数学を勉強してITスペシャリストになった彼女ですが、その後、自分のように目が見えない人のために、尽くす道を選びました。
それは御自身のお子さんが同じ障害を抱えていたということも動機になったようです。視覚障害者の問題というのはちゃんとした教育が受けられなくて、雇用される率が低いということだそう。そしてそれは発展途上国では特にひどく、先進国でも就職率は低いという現実があります。教育をしたくても、視覚障害者にも対応している本や学習教材が圧倒的に不足しているということが背景にあるそうです。出版される本の93%は目の見えない人に対応していないという事実があり、その状況を改善する為に、視覚障害者の為の本を作り、プロモーションして、国際的なデータベースに誰でもアクセスできるように活動をしています。
出版される全ての本が視覚障害者でも読める(聴ける)ようにすることが彼女の目標です。

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国連難民高等弁務官事務所のヨーロッパ支局のディレクターであるヴィンセント・コーチェテル氏は1998年、37歳のときチェチェンにおいて任務中に突然銃をつきつけられ拉致され、317日間監禁された方なのですが、彼はある意味幸運にも生きて戻ってこれた、でも同じような任務についていた同僚の中にはなくなられた方達も多くいるわけです。そして、この人権に関わる活動をされている中で、任務中に怪我をしたり、亡くなる方というのがここ十数年でどんどん増える傾向にあるそうです。
拉致された始めの3日間は車のトランクの中で車から車へと移動させられ、その後地下牢のような真っ暗な場所で、1日2回のスープとパンをもらい、15分のろうそくの明かり、トイレットぺーパーもないところですごし、また数日後に移動したところでは45分の明かりと音楽がもらえ監禁されている時に、彼らの活動に対して感謝の言葉をかけてきた人もいるそう。
”全ての命は重要なのです、それは津波の被害者も、難民も同じなのです”
大変なめにあってもなお正義の為に、人権の為につくす決心をさらに強くしたようです。

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ボストンでは起業家達のピッチをよくきき、問題を解決しようという情熱やパワーを感じるものですが、今回は人の為に命をかけて尽くす人達の話をきいていて実際プロフィット事業でも、ノンプロフィット事業でも、自分の職務、役割、夢に対する情熱、パワー、信念というのは、起業家の持つものと同じような強さを感じましたね。
そしてたぶんとてもシンプルなことですが、どの分野でも成功する人というのは、自分の役割を100%全うする人達なんでしょう。

クリントングローバルイニシアチブと提携したハルトプライズ、100万ドルは誰の手に?

この3月に世界中にあるハルトビジネススクール主催で ハルトプライズ予選が行われましたが、先日その最終コンペがニューヨーク市内で行われました。
今週 は国連総会も行われ、ニューヨーク市内はオバマ大統領に、クリントン元大統領、各国首脳、要人を迎え、至る所に警官と、物々しい雰囲気でした。

今年のテーマは、2019年までにスラムに住む2500万人の人達を慢性疾患(循環器系の病、癌、糖尿病等)から守る為に何ができるのか、都市のスラムの健康をどう守るのか、ということでした。
ボストンの代表はチューインガムでスラムの健康を守るというチームで早速ガムが出来上がっており、会場に配られていました。
そして去年のボストン代表チームであり、また本戦も見事に勝ち抜き100万ドルを手にした虫を使ったバーを提案した、チ ームの商品も 配られました。

私も色々なチーム、人達のピッチを目にしますが、中には本当に、人を惹き付ける話し方をする才能のある人というのがいて、このチーム代表であるMohammed Ashour氏もその一人です。去年の予選のピッチを目にした時はとても医学部出身とは思えないカリスマ性を感じさせました。 代表に選ばれたあとに、実際もう一回スラムにいかないとね、なんて軽く話していた彼でしたが、当初6人で始めたこのプロジェクト、現在は2000人ほどが従事する大プロジェクトになっています。賞として100万ドルを手にした事以上に、このクリントングローバルイニシアチブのもつネットワークにつながることが、一ビジネスを産業に育てることになったと言います。

ハルトビジネススクールの各校が選んだ世界の代表6組が彼らのアイデアを披露しました。訓練されたはちを使って、糖尿病を検知するキットや、視力をあげることで生活のクオリティをあげるという理由から5ドルで眼鏡を作るキット、スラムでは病院の患者の50%は傷の治療であり、沢山の人が傷が原因でなくなることから、傷の治療を簡単にできるようにするポンプ、ビジネススクールだけでなく、学部生のグループを含めた6つのグループが600人ほどの前でファイナルピッチをしました。

ジャッジにはノーベル平和賞を受賞したムハマド•ユヌス氏を始め起業家等5人が参加し、6つのピッチについて壇上で公開検証しました。

こういうプロセスが見えるのが観衆には面白いですね。
訓練したはちを使うアイデアはみんな面白いと思っていましたが。。。

インディアンスクールオブビジネスのNano healthが100万ドルを手にする事になりました。
スラムには健康保険に入っている人はほとんどいないので、自分から病気の予防のために病院にいく人はいません。そこで “Saathi”(友達という意味)というバッグの中に、バイタルや、病気のリスクを検査できるセットをいれ公衆衛生管理者がそれをもって巡回します。病気だと診断された場合はその後もモニタリングを続けます。そこに薬局や、医者のネットワークも加えることで、ワンストップショップになるという概念です。
このチーム実は、最終ピッチの最中、一人が(貧血?)気絶してしまい、途中で中断になるというハプニングがあったのですが、それを乗り越えての受賞、きっと喜びも倍だったと思います。

公開討論ではムハマド•ユヌス氏言わく、“色々なすばらしいアイデアがこんなにあるのに、我々は今まで一体何をしていたんだ??”

確かに、世の中にはきっとそういう事例が沢山あるのでしょう。そして誰かに解決されるのを待っているのかもしれません。世界を変えたい、変えられると信じている若者達のピッチをきいて、隣に座っていた人が “世の中、ひどいことばかりではないわね。希望を感じたわ” といっているのが印象的でした。

参考記事:

賞金100万ドルをかけたHult Prize、 チューインガムがスラムの健康を守る!

ボストンマラソンを走って社会起業家になろう その3

今度の月曜、愛国者の日に、ボストンマラソンが開催されます。去年、ボストンマラソン爆破事件があり、この1年、”Boston Strong” というスローガンの下に、ボストン人が一丸となって、悲劇を乗り越えてきました。この事件、直接事件に巻き込まれてしまった方々だけでなく、色々な人達にインパクトを与えてきました。

去年の9月に今年のボストンマラソンにファンドレーザーとして参加することをきめたAnne Ghayourさんのストーリーをブログにのせましたが、この半年間で彼女はファンドレージングの当初の目標額11000ドルを上回る、15000ドルを集めました。(実はまだ、募金が増えています!)彼女は、募金をした人たちにこんなメールを書いてきました。

***

マラソンが5日後に迫ってきましたが、皆さんに心からの感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。

現在は精神的にも肉体的にも感情的にもおちついていて、筋肉もトレーナーのおかげでとてもいいコンデション、体も軽いです。

私の心はこのレースを走る事で喜びに満たされています。私は、みなさんとみなさん方が愛する人達の為に、そして去年のゴールラインでの悲劇に見舞われた方々に敬意を表して走るつもりです。
この長いマラソンを走るにあたり、惜しみないサポートをしてくださった方々、厳しい日々の中勇気ずける言葉をかけてくださった方々、その気持ちが私を支えてくれて、月曜には私の背中をおしてくれることでしょう。

みなさんの寛大な気持ちが個人のPRとなりデイナファーバーのがん研究所へのファンド-レージングにつながりました。

http://www.rundfmc.org/2014/anneg

今回、マラソンを走る事にした理由はたくさんあります。3ヶ月ほど前に、ホスピスに入った友人は私がゴールラインにいるころには息子に会いにヨーロッパに行っているでしょう。ニューヨークに住んでいた頃、心を開いた15年間会ってもいなかった友人が、最愛の人を癌でなくしていました。2007年初めてのマラソンの準備をしていた時に息子をなくした友人、彼女は、この世に残った2人の子供達と一緒にグループでの走行会のボランティアに、なくなった息子さんの魂をいつもつれてきました。なくなられた息子さんはスポンジボブと青いものが好きだったので、彼に喜んでもらえるように足の爪を青いマニュキュアでぬることにします。。。

沢山の人たちががんにかかわる、個人的な話を分かち合ってくれました、そしてそのどれもが私達が生きている間に治療法がみつかるように望んで走ろう、と勇気ずけてくれたのです。

今年4月21日、私がスタート地点を出発する時、あなたのスピリットは私と共にいます。ゴールに一番最初に到着するのは私ではないと思いますし, テレビ中継は私がゴールする前には終わってしまうかもしれません、でも私はすでにレースに勝ったのです。癌を撲滅する為のマラソンに本当にすばらしい友人達とこの ”人生のマラソン” をサポートしてくれる家族に恵まれ幸せです。私は、肉体的にも精神的にも走る事ができるから、そうするのです。皆さんのサポートがあるから走るのです。。。

***

この半年の間に、私自身の友人も癌であることがわかり、治療を始めました。本当に心を通わせることができる友人なだけに、とてもショックでしたが、遠方に住んでいる彼女の為に、自分ができることはなんだろうと考えた時、こうやってみんなの思いを背負って走ってくれるAnneさんに本当に感謝の気持ちでいっぱいになりました。もちろん募金をして癌の研究に役立ててほしいですが、彼女が走ってくれなければ、恥ずかしながら募金なんてことも考えなかったように思います。

一人一人のもっているストーリーを丁寧にきいて、私の友人の名前もちゃんときいて、その彼女のことを思って走るから、といってくれた彼女。心から応援したいと思います。人は本当に色々な形で社会に貢献できるものなのですね。

関連記事:
ボストンマラソンを走って社会起業家になろう その1
ボストンマラソンを走って社会起業家になろう その2

賞金100万ドルをかけたHult Prize、 チューインガムがスラムの健康を守る!

賞金100万ドルをかけた第5回のHult Prize(ハルトプライズ)の地域代表を決める選考会が3月8日、にボストンのサイエンスミュージアムで行われました。

Hult Prizeというのはハルトビジネススクール 主催で行われ, 世界の問題を解決する為に優れたアイデアを提案する社会起業家を目指す人達に贈られる賞です。ハルトビジネススクールがある、ボストン、サンフランシスコ、ロンドン、ドバイ、上海で、このコンテストは同時開催されます。それぞれの地域から代表1チームを選び、7月、8月にハルトビジネススクールで行われる6週間の特別コースで、トレー二ングをつみ 9月の クリントングローバルイニシアティブで、最終プレゼンをして、最優秀のグループが世界の貧困問題を解決する為に、賞金100万ドルを手にします。

この賞は、世界の貧困問題、環境問題、教育・自然災害への救済などに関して、問題解決を探る、ビル•クリントン氏の呼びかけで始まったクリントングローバルイニシアティブと連携しており、クリントングローバルイニシアティブから提案された今年のテーマは、2019年までにスラムに住む2500万人の人達を慢性疾患(循環器系の病、癌、糖尿病等)から守る為に何ができるのか、ということでした。この背景には世界中で2億5千万人のスラムに住む住民が慢性疾患に苦しんでおり、現在行われている方法では問題が解決できていないそうで、世界中での社会的、経済的費用は2030年までに47兆ドルにもなってしまうとの試算があるということがあります。

今年で5年目になるこのハルトプライズですが、150カ国から10800人が参加して、この問題を解決するアイデアを提案しました。

ボストンでは事前に44チームほどがビジネスプランを提出し、その中から4チームが選ばれて最終のプレゼントをしました。

去年はスラムにどうやって食料を供給するのか、ということがテーマでした。ちょうど1年前このイベントでプレゼンをし、最終的に100万ドルを手にしたカナダ、マギル大学のチームでスラムに食を供給する為に、コオロギを粉末にして、食料にするということを提案したグループの代表がスピーチをしました。
”1年前ここに立った時は、これで1億円がもらえるかもしれないんだ、すごい、と思っていたけど、1年たってみて、ソーシャルアントレプレナーシップっていうのは本当に、自分たちの為にお金を稼ぐのではなく、人の為に働くことなんだってことがわかりました。”と言っていたことが印象に残りましたね。

今年は、ジャッジによると、モバイルを使って解決策を提案するものが多かったそうです。スラムといっても、食料がなくてもモバイル普及率というのはかなり高くて、地域によっては90%以上もあるそうです(一日の給与が2ドル以下なのに、モバイルはあるというのはなんだか不思議な現実だと思いましたが。)

4つのチームが選ばれてプレゼンをしました。
衛生面をよくする為に、まずトイレとシャワーを供給し、それを起点に医療とつなげるという提案をした医者のグループや、モバイルを使って、ただで診療がうけられるようにすることを提案するグループ等がありましたが、最終的に選ばれたのは、一番シンプルなアイデアを披露したグループでした。

彼らは”健康”といってもそのなかで虫歯に焦点をあて、虫歯を防ぐことで、健康を維持するというアイデアを披露しました。
病気になった人を助けるというアプローチではなく、病気になることを防ぐというアプローチです。
スラムではそもそも、歯磨きをするという習慣がないという現実があります。生活習慣を変えるのは難しいとしても、ガムをかむなら、みんないやがらずにしてくれるということで、それなら、歯磨きガムを配って歯を磨くかわりにしてもらおうと考えたそうです。
そして、ガム自体は簡単に作れるので、現地の工場と協力し、その地域にガムを作るという産業を作り、また地域の女性達にセールスウーマンとして仕事を提供しながら、広めていくという考えでした。

貧困層の問題を解決するときに、近代的なビルの中でアイデアをねっても実現可能性のあるアイデアはでにくいものです。そもそも、都会にあるような基本的なインフラさえないところなのですから。そこで、1年間貧困地でボランティア活動をしたとか、NGOで働いた経験がある学生達、又その地域の生活をよく知っている若者達が、本当の問題点や実現可能な解決策をねっていきます。

プレゼンをする人たちも、様々な分野の学生やMBAの学生達、医者、実際にスタートアップをやっている会社経営者から、社会起業家まで、様々な人が参加するこのコンペティション。
多数の人がみて、ジャッジをするプレゼンテーションの場合、ビジネスの中身はともかく、話し方、ユーモア、そしてプレゼンする人が人にすかれるタイプの人なのか、というのは意外に比重が大きいと思いました。

まだニューヨークで行われる本戦までに時間があるので、細かい部分は調整されていくと思いますが、難しいことではなく、誰にでもわかる、簡単なプロセスなものが一番受け入れ易いというのは、去年のプレゼンの時も感じたことです。そして、それは営利事業でも非営利事業でも同じではないでしょうか。

社会起業家を目指す方々、是非こちらにどうぞ。
http://www.hultprize.org/en/

惜しくも賞を逃しましたが、医者の提案する解決策もありました。

惜しくも賞を逃しましたが、医療関係者の提案する解決策もありました。

地域代表として選ばれたチーム

地域代表として選ばれたチーム