ボストンから学ぶ、イノベーティブで自立した人材の育て方(5  企業やNPOの取り組み)

企業は各種非営利団体を支援することで人材育成の機会を得ています。NPOのプログラムに参加することで社内起業を促進させたり、企業で働きながら、ボランティアとしてNPOの活動の手伝いをする人たち、もしくは企業自体が人を派遣することでNPOを積極的に支援している場合(例:サイエンスクラブフォーガールズ)やプロボノ活動をしている場合もあります。特に専門性の高い分野の仕事(例:会社登記、税務、弁護士)においてはスタートアップを支援するために積極的にプロボノ活動をしているところは多くあります。これには彼らがスタートアップの成長を見守りながら優良な顧客として育てているという側面もあります。それからTEDxのようなイベントの支援もボランティア活動としてチームビルディングや従業員の教育の為、また新しい商品やサービスの開発の機会に利用して、積極的に企業の外につながりが持てるようにしています。

またイヤーアップのように大学に行けない若者に企業がサポートし1年で職業訓練をして、就職できるレベルまで教育するプログラムを支援することは企業と学生双方にとってメリットがあるものです。イヤーアップは大変成功している例で去年MIT inclusive Innovation Competition Awardsを受賞しました。

またCICの姉妹団体でノンプロフィット団体であるベンチャーカフェは、毎週木曜日にカフェスペースを解放してイノベーターが集まるネットワーキングの場を提供しています。色々なプログラミングを組む事で企業や大学、中高生を含む、様々な層のイノベーション度 を上げるために貢献しています。

参考記事:

理系女子を育てる取り組み

子供への金融教育の必要性

1年で終わる職業訓練プログラム-year up-

グローバル化に乗り遅れている大企業ができること

大企業にいても、スタートアップにいても必要な起業家精神

全てのイノベーションが社会にいい影響を与えるためには・・・

3月の春休みの間には研修という名でたくさんの高校生がボストンを訪れます。

ここ最近MITやハーバードにいる研究者を訪ねたりする学生が増えてきて、春休みや夏休みには起業やイノベーションに関する話をすることも多くなります。日本の学生は積極的に発言しない、とのイメージがあったのですが、やはり学校の差もありますが、大学受験や進路に関して真剣に考え始める高校2年生くらいは前向きな発言や、かなり具体的な質問をする学生も多いです。特に理系コースにいくような学生は自分の実験結果が世の中にどういうインパクトを与えうるのか、また将来を考えてどのような大学、学部にいくかを真剣に考え始めるようです。

その中で一つ、ある学生が”イノベーションを起こすことは悪いこともあるのではないか” という話をしていました。確かに物事にはいい面と悪い面があります。良かれと思って発明したことも、悪いように使われる例というのは数多くあります。また悪いことに限って広まりやすい、という点もありますよね。

学校側も学生もレベルの高い大学にいかせたいし、いきたい。すると、テストされる科目の勉強には力が入ります。しかし、受験勉強だけをしてきた子たちが起業をしようとすると上手くいくのでしょうか?結局のところ何を作っていくにしても、人間の創造性やアイデアがその根源にあります。ビジネスとして成り立つのか、経済的に採算がとれるのかは金融機関が検証するポイントになるものの、それは倫理的、道徳的に問題ないのか、それが将来的に社会にどういうインパクトを与えうるのかということは、誰もといません。

だから、起業する人、したい人は哲学や歴史、道徳を実は、理科や数学以上にしっかり身につけて欲しいと思います。スタートアップの90%ほどは上手くいかないといいます、結局数字はあてにならない、でも確かなことは”誰”がそれをしているのか、ということ。だからベンチャーキャピタルも投資をするとき結局は”人”をみる、ということなのでしょう。

受験勉強ばかりして人としての教育を怠ってしまうと、のちのちもっと大きな反動があるように思います。

 

 

 

日本で起業率が低い理由を考える - その2-

起業家は自分の信じる道を邁進することで、投資家を得るために苦労したり、周りの反対を押し切ったりと戦っている感が強いですが、ワシントンポスト6月22日に日本の起業率が低いのはそれだけではなくそれは妻が止める(日本の場合起業家はほとんど男性だから)、もしくは親が反対するというのが追加のバリアになっているという話がありました。

記事では起業率が低いのはその他にもロールモデルが少ないことやリスクを極度にさけることも原因に挙げています。
確かにアメリカ人にとってファンドレージングは小さい頃から日常的に行われています。自分の家の前でジュースを売ったり、路上で洗車をしたりすることでおこずかいをかせいだり、近所をまわってボランティア活動のための集金する子や自分の旅費を稼ぐ子達もいます。自分で稼ぐということが大事にされています。
以前、東京の住宅地の路上で外国人の子供がお店をひろげ自分のおもちゃを売っており、それをみた友人は子供にそんなことをさせるなんて、とびっくりしてみていましたが、ある意味、その子はここでやっていることをそのまま東京でやったというだけなんだと今にしてみると思います。環境が変わると評価も180度かわるということ。

またお金の流れのないところに口座が開けられない(法人口座)銀行もあります。お金の流れがあればすでにどこかに口座があるはずなのでものすごい矛盾を感じますが。ましてや借りようとすると、すでに成功していないといけないということでこれまた大きな矛盾です。日本ではお金がないと会社が作れないという言われる所以でしょう。アメリカでは豊かになるために起業するのに、日本では豊かな人が起業できるという。。。

成長市場であるBRICKには進出しないアメリカ人の起業家の方いわく、アメリカでも1960年代は、娘が起業家と結婚するなんていったら両親は大反対する時代だったといいます。彼の会社は、汚職率が高かったりや賄賂のようなものがはびこる国には進出したくないということをいっている中で、起業家的なメンタリティーを育てることは、正直であることや誠実さという要素を育てることほど難しくはないといいます。誠実さや、正直さのようなものがないと起業ができても社会が上手く回っていかない、そう考えると、日本では倫理観を大事にすることから起業率を上げるような環境が整えば、社会のためになる企業が増える、世の中がよくなる確率があがるということになります。

参考記事:
日本で起業率が低い理由を考える - その1-

日本で起業率が低い理由を考える - その1-

バブソン大学が2014年にだしたグローバルアントレプレナーシップモニターというリポートがあります。
世界の起業活動に関するデータを集めて分析しているリポートですが、各国の起業活動率をみると日本は起業率がともかく本当に低く5.2%ですが、アメリカも12.3%でこうやってみるとそんなに突出しているわけでもないですね。
アフリカや南米の国など、大きな企業という雇用の受け皿がそれほど充実していないところほど起業が一つのキャリアの選択肢になっているようです。また日本では起業家になるというキャリアの選択肢がプエルトリコに次いで2番目に低いという結果になっています。

40過ぎて、独立する人をいい職がみつからないから”仕方なく”独立するんだと、まるでネガティヴなことのように捉える人たちも多いですが、実際それが”仕方なく”と、とらえられていることがまさに独立、起業することは社会的に良しと捉えられていないというふうに理解できます。
日本の起業率が低い理由としてよく上がるのは失敗することが許されない社会ということが言われますが安定しないこと,保証がないことが日本ではうけいれられにくいのでしょう。

小さな企業に出資するのも大企業だったりしますが、お金だしてあげるけど、自分は絶対起業なんていやだ、とかいうのをきくと、両者が全く違う世界観の中で生きていると感じます。
ボストンにいるとたくさんのベンチャーキャピタルの方達にあいますが、その方達もある分野で成功している人たちが多いです。バイオのベンチャーキャピタルなら医者だったり、サイエンティストだったりとその分野の専門家であります。そういった視点から投資先を選ぶ、もしくは投資した先をサポートしていくというのは明らかにサラリーマンベンチャーキャピタルとは一線を画します。起業をする方もリスクをとっていますが、投資するほうもリスクを背負うわけです。
起業家は自分の思いが形になっていく過程を楽しみます。つらいことも多いですが、かっこたる信念がないととてもつとまりませんよね。。。

起業をする側と支える側との温度差がありすぎるということも起業率低い一つの要因かもしれません。

2020年にはアメリカのフリーランス比率は40%!?

4月20日のボストングローブには、正社員率がますます下がるという見通しについての記事がのってました。

2014年のアメリカのフリーランサーズユニオンの研究によると現状34%のアメリカの労働者はフリーランスだということですが、この数が2020年までに40%になると予測しています。数字が現実的か否かは別としても、明らかにたくさんの仕事が正社員ではなく、いわゆる、契約社員によって行われるというのは事実のようです。2009から2013年には失業率は7%にもなり、この間たくさんの人が望まなくても非正規社員の仕事を選ばざるおえなくなったといいますが、実際9割の人がその結果に満足して逆にこの先ももう典型的な仕事には戻らないだろうと答えています。
フリーランスの一番の問題は収入が一定でないこと。収入が安定しないことは将来設計をたてること、また社会保証や健康保険を払うのを困難にするという面もあります。

大企業に入るのも、会社にいいように使われるのではなく目的をもって自分を成長させてくれる仕事、少なくともそのような視点で仕事をしていければ、先々フリーランスとして独立していくこともみえてきます。会社にとっても、依存型の正社員をコストをかけて雇うより、目的別に人を随時雇うことで会社側のコストがへりますし、自分の能力で自立できるフリーエージェントのような人が増えることは会社というそのものの、形も変える可能性があります。
例えばUber。Uberの運転士は、従業員ではないですよね。自分がオーナーであり、自分で働く時間を決め、会社はそのプラットフォームをつくっているだけです。

フリーランサーは自分の技術がしっかりあり、精神的にも自立して自由が好きなひとには向いている面もありますが自己管理力も問われますよね。
自分が何者であるか、ということを認識できていないと、ただのフリーターのように次から次へと仕事を転々とすることにもなりかねません。
このブログでも追求している”起業”というのも実はそもそも自分の役割はなにか、自分に何ができるのか、ということを明確に認識でき、スキルがあればフリーランスという名の起業ができる、といえるわけで、その力をどのようにつけていくのか、ということを考える為にブログを始めました。会社という組織にはいっても、プロ集団の一人として確立したものがあれば、どこにいっても、独立しても大丈夫。そういうポジションを目指していったほうが先々、いろんなことが起こっても困らない気がします。