金融業界にも広がるAI(人工知能)について

フューチャーオブザマネーイベント第3弾は金融におけるAIについてでした。
ボストンに先立ちこのイベントは先日すでにニューヨークのウォールストリートで行れましたが、もちろん、金融街の人たちもAIには興味深々。なんといっても将来の自分達の仕事がどうなるか、ということを心配しなくてはならないですからね。
金融の街もたくさんのプログラマーを必要としていますが、実際腕のいいプログラマーはフェイスブックやグーグルにいってしまい、人手不足とのこと。

ファイナンスの世界では自動売買にアルゴリズムが使われ、金融テクノロジーの世界は、どんどん進歩していますよね。去年のフューチャーオブザマネーのイベントの時に、スポンサーをしていたクレディスイスは、自分の仕事がなくなる心配をしていましたが、どうやら冗談ではなくなってきているようです。先日も、あるプライベートバンカーが自分の部署が閉じることになったといって、新しい職探しをしていました。
ちなみに今回のスポンサーはチューリッヒ保険。

パネリストにはIBMのWatson リサーチセンターからエンジニア、フィンテックの会社2社、AIの専門家でした。
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AIの専門家にいわせれば、イメージ解析というのはもうコンピュータのほうが優れているし、コンピュータが理解できる言語認識力というのも、どんどん向上しているので通訳や翻訳家が必要なくなるというのは(近い?)将来十分ありえる世界だといいます。現状すでに英語と他のヨーロッパの言語の場合、グーグル翻訳でもまあそんなにひどくないですが、日本語ー英語の機械翻訳というのはもう少し時間がかかりそうですね。
IBMはこれからはますます、機械と人がどのように協働していくのかがテーマになるということ、をいっていましtが、これは先日のTEDx でも話にありました。問題解決をコンピューターと人間が協働して行っていく時代にこれからなっていくようです。

莫大な情報を集めても大事な情報は5%であり残りの95%はノイズといわれますが、実施シンガポールの銀行ではこの95%の情報を精査して、そこから何に投資するかというのを調べ上げるようなプログラムをIBMが作っているといいます。この先、この95%をどうやって意味のあるデータとして使えるかというのがこの10年くらいの間に進歩しそうです。
また、金融だけではなく、もっと身近な例では、がん検診で集めたデータを医者が見る場合、診断の30%は誤診であるという現実があり、この精度というのはAIの技術が進歩すればあがるといいます。

結局、膨大な情報から一定の法則や傾向を分析するというのはコンピュータのほうが人よりも圧倒的に早いしうまくできるということで、人の可能性というのは実は直感であったり、規則性のない部分(カオス?)から生まれるのかなという感じがしましたね。そして例えば、見つけた法則どうしを組み合わせ更に新しいものをうみだすとかいったことがこれから人が活躍できる分野なのでしょうか。

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まだまだこれから?ビットコインの話。

クレディスイスがスポンサーするフューチャーオブザマネーイベント第2段のテーマは、ビットコインです。
パネルにはビットコインで900万ドル損をだしたと報じられたコンピューターサイエンティストのクリスチャン・デッカー氏, Monetasの共同創設者クリストファー・オドム氏、アメリカで一番はじめにビットコイン用のATMの機械を設置したLiberty Teller の共同創設者カイル・パワー氏等というとても豪華なものでした。

80人ほどの人が話しをきいていたのですが、参加者の約半分がビットコインを持っていました。
マウントゴックス社の倒産劇のあと日本ではビットコインの話はさっぱり聞かなくなってしまいましたが、今では数千種類はあるだろうと言われているクリプトカレンンシーのうちでやはりビットコインが一番現実的に将来性があるという話でした。

4人のモデレータのうちの2人はスイスからこのイベントのためにボストンにやってきました。一人はクリスチャン・デッカー氏ですが彼はスイス連邦工科大学のコンピューターエンジニアリングの博士課程にいる学生です。
彼は今からほぼ8年前、22歳のときにビットコインを見つけてから自分で全てマイニングしたそうなので現実的には被害はずっと小さいということをいっていましたが、盗まれた時がビットコインの最高値だったので、それで900万ドルの損失とメディアに書かれてしまったそうです。ちなみに22歳の時に初めて見つけた150ビットコインはそれを見つけたことをしばらく忘れていたら、偶然換金できるというブログ記事を見つけ5セントで売ってしまったそう。(ちなみに11月21日現在で1ビットコインが約350ドル)今から考えると最悪の取引だったと(笑)結局、これだけ騒がれていてもまだまだビットコインは所有しているとのこと。彼いわく、失敗から学んだことは、インターネットにつなっがっていないコンピューターからビットコインをプリントアウトし金庫にしまうべきだったということです。

Monetasの共同創設者クリストファー・オドム氏はアメリカ政府の規制があまりに厳しいためにスイスに引っ越したといいます。
現在ビットコインのリサーチに関しては世界の先頭を走っているのはイスラエルとスイスだそう。
ビットコインのシステム自体はとても安全だがユーザー側の問題でユーザーはツールが必要だし、その教育も必要、ビットコインの値段は非常に変動率が大きいですがこれはもっと参加者が増えてくれば安定してくるはずだとの意見がでました。

インターネットの世界で起きたようなイノベーションが金融の世界にも起きるだろうと予測している人達がいますが、確かにビットコインのようなものがあれば、送金手数料というものを考えなくてすむわけですから、今までのようにお金を海外送金する時の高額な手数料でもうけるというビジネスはこの先難しくなるでしょうね。
このようなイベントをクレディスイスがスポンサーするということは意義深いなあと思いました。

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確実に浸透しつつあるビットコイン

確実に浸透しつつあるビットコイン

最近なんだかさっぱりビットコインのことは聞かないなあ、なんて思っていたら、それは日本のこと。どうやらビットコインは着々と市場に進出しているようです。

今月初めには、チューリッヒ大学の食堂で試験的に使われ始めたとのアナウンスがあったと思ったら、今度はMITのCOOP(生協)でもビットコインの使用が認められたとの報道が9月4日のボストングローブにありました。学校内の店舗としてビットコインが使えるのは全米でも最初のケースだそうです。この秋MITの学部生は50万ドルほど資金調達した学生が運営するMITビットコインクラブから一人100ドルほどの価値があるビットコインを受け取る予定だそうです。去年の12月には1000ドルを超えていたビットコインの値段も現在(9月8日付け)は470ドルほどになっています。
リテールのアマゾンや、ターゲット、ビクトリアズシークレット等でもビットコインでの支払いはできますが(ギフトカードを買う事で)、あまりにも価値変動が激しいこのような通貨のリスクは消費者側がとることになり、COOPの場合、全てがドル表示ですが、BitPayと呼ばれるソフトで消費者が支払うビットコインを自動的に交換し、店はドルで対価を得ます。

小売業者にとってはクレジットカードを使われるのと違って、手数料がほとんどかからないで済むということ、一方、消費者にしてみれば個人情報がもれるのを防げる、スマホがあればいい、と双方にとって、メリットがあるようです。しかし問題は、すりにあったのと一緒でハッカーに盗まれても、誰も何も保証してくれないという点でしょうか。

あれほど大騒ぎになったビットコインですが、価値の交換手段としては受け入れられつつあるようです。この先、ビットコインを通貨かどうかを決めるのは国家ではなく、消費者になるのかもしれません。

デジタル通貨の決済方法

この数ヶ月ビットコインの話が市場を騒がせています。先週アメリカの国税庁はビットコインを”通貨”とみなさず、”資産”とみなして課税対象にするという発表をしました。一方、ビットコインをメインストリームにのせようという動きも前進しています。
サークルインターネットファイナンシャルというボストンを拠点にする1年ほど前にできたデジタル通貨の決済を行うプラットフォームを作る会社がマウントゴックス社が倒産する少し前に1700万ドルの資金を調達していたニュースがありました。今回の資金調達によりこの一年で2600万ドルの資金を集めたことになります。(ボストングローブ3月27日)

デジタル通貨は国家政府による信用を得ている通貨と違ってコンピューターのネットワークの中にのみ存在しているものですが実際ボストンでもレストランや店舗でビットコインを使って支払い可能な場所は増えてきているそうです。

サークルインターネットファイナンシャルは、ビットコインのようなデジタル通貨を消費者にとってもっと便利に店等で使ってもらえたり、送金できるような決済のしくみを作っています。先週限られた顧客の為に口座を開設し、今年の終わりまでには、一般的な消費者が使えるようにする予定だそうで、gmailやスカイプのようなサービスのように簡単なしくみになる、と創始者のアレアー氏は話します。

アレアー氏は、ビットコインは詐欺や不正がおこりにくく、他の支払い方法よりずっと早く、安い(クレジットカードに発生するような手数料がない)と考えています。
マウントゴックス社のような事件はクリプト通貨ビジネスが政府の要求にもとずく、消費者保護という観点の外にあることが問題であるとし、政府との架け橋として前金融消費者保護庁庁官代理をボードメンバーにひきいれました。
しかし、現状ビットコインの価値は非常に不安定でこの価値を安定させる為にはもっと沢山の金融機関でも受け入れられ、政府の監視が必要であると考えており、それにはあと数年はかかるだろうと見ています。

***

通貨というものが、政府の管理下にないということは政府にとっても脅威になるということでしょうし、また厳しい法規制の下にある既存金融機関にとっても面白くはないでしょうがデジタル通貨とそれを巡る環境はこの数年でまだまだ変化しそうです。将来の ”お金” はどうなるのか、しばらく目が離せない状況が続きそうです。

フィデリティラボはどうやって顧客の経験価値をあげるのか?

フィデリティ・インベストメンツはボストンに本社がある会社で、日本ではフィデリティ投資信託会社として、名が知れていると思います。実はこの会社、日本ではあまり知られていませんが、金融機関では珍しくテクノロジーの分野にも進出しているようで、パテントも沢山保有しています。

てっきり、ファンドを組む時に自分たちがトレンドの技術を扱っていれば当然、どの技術を使っている会社がこれからのびるとか、のびないとか、どれとどれを組み合わせるべきだという、ことを考えやすくなると思ったのですが、どうやらそういうことが、テクノロジーに投資している第一の理由ではなさそうです。

ボストングローブ紙 11月6日

フィデリティのこの部署では、投資信託の販売数を祝うのではなく、新しいパテントを取得したことを祝う。巨大なウオールスクリーンは投資家の為に毎日の株式の動きを伝えるのではなく、新しいテクノロジーを伝える。

ここは世界中で75人の従業員がハイテクプロジェクトの為に働くフィデリティの応用技術センターだ。
ボストンの会社では大抵、お金の管理をしたり、定年後の年金プランを販売しているがこのグループは、フィデリティとビジネスをする顧客にとって役に立つテクノロジーやイノベーション、投資についての情報を集める。

”今から10年後の世界を想像できますか、カメラがあなたをみて、幸福かどうかわかるのですよ。まあ、これはBig Brother的な要素が大きくて、将来のあるべき姿ではないかもしれませんが。” とセンター長のSean Belka氏はいう。

フィデリティはどのテクノロジーが はやるかは予測はしないし、少なくともグーグルグラスや最新のiPadをイチオシしない。いいかどうかは顧客がきめることだ。
しかし、フィデリティは80の特許をもちその中には、今ではスタンダードになっているウェブサイトの安全性を保持する為の暗号化されたcookie(クッキー)も含まれる。
研究所が始まった1998年当初は、最新テクノロジーはオンライン・トレーダーのための双方向ポケベル・システムだった。2005年ごろには、スマートフォンとタブレット用のアプリを作り出した。

大抵の場合、フィデリティはハイテク製品をゼロから開発はしない。すでに市場にある技術を顧客のために使えるように研究するのだ。

”これは進化です、どうやって顧客経験価値をあげるための技術に投資しましょうか?”
フィデリティは毎年、会社全体で25億ドルほどテクノロジーに使う。そのうち、研究部門が使えるのは一部だが、どこに金がいき、どうのように顧客と企業が相互に関わり合うのかに関しては影響がある。

例えば2010年に制作されたiPhoneアプリは190万回ダウンロードされ、モバイル上の取引ボリュームは3倍増えた。
2005年には研究所の中に、技術を顧客とテストするグループができた。例えば、どうやって顧客がwebサイト上を見ていくのかという、目の動きを確認するテストや顧客にとって、ウェブ上での体験は楽しい物だったのか、否かという確認も行われた。

アウトドアウエアの販売会社パダゴニアの創設者であるPerry Klebahn氏はスタンフォード大学のデザインスクールで教えているが、いくつかのクラスはフィデリティがスポンサーになっている。例えば、どうやったら “伝染行動”を起こせるのか、ということを研究するクラスでは、実際にイベントを企画してどうやってヒップホップのコンサートに人を集めるかを学んだ。

”私たちはファイナンシャルサービスの専門家ではありません。でもこのコラボレーションでは学術を超えたところでアイデアを作るということを意図しました。学生はフィデリティに雇われることもあります。”

フィデリティは現在、若者が年金の積み立てで困らないで済むように、オンラインゲームを製作中である。

応用技術センターで顧客経験価値をあげる部門の責任者である、Fred Leichter 氏はフェローとして、一年間スタンフォード大学のデザインスクールにいる。彼が勉強しているのは、”世代間の財政” 。つまり、 年をとった両親や、伴侶をなくした親戚を抱えた家族が何を必要としているかを、知る事を目的にしている。これらの話はなぜ なかなか話題にされないのか、どうしたら、もう少し簡単に話せるようになるのかを探っている。これらの問題はとてもデリケートで、感情的なものであり、人々の取る行動が理論的になされるとはかぎらない。このプロジェクトの結果がフィデリティの商品にどう反映するするのかは、まだわからない。

”私たちは、イノベーションを起こすだけでなく、イノベーターを作ろうとしているのです”

以上が意訳になります。

日本発の「産学での協働事業」を前提に日本の大学と企業の連合による事業運営を目指すとしている日本版MOOCS(オンライン無料配信教育サービス)の記事を読みましたが、日本でも色々な形での大学と企業とのコラボレーション、が増えると学生も具体的に社会で、何が問われているかがもっとはっきりとみえてくるので、ますます活性化してほしいですね。

MOOCsに関しての参考記事
MOOCsは役に立つのか?

もし、あなたが40歳を超えていて、これから英語を使ってビジネスや起業に関わることを学ぼうと思っているのなら(その3)オンラインコース