サイバーセキュリティー最前線

”紙幣”に将来はあるのでしょうか?

今回のフューチャーオブザマネーのイベントはフィンテックにおけるサイバーセキュリテイに関する話でした。モデレーターはMITのスローンスクールで情報工学の教授を務めるStuart Madnick氏、パネルにはイスラエル人でスイスにあるサイバーセキュリテイ会社の創設者兼CEOであるShira Kaplanさん、フィンテックの分野で世界一影響力があるといわれるSpiros Margaris氏、もとFBIのサイバーセキュリテイの専門官であったLeo Taddeo氏、サイバーセキュリテイ会社KudelskiよりJohn Van Blaricum氏とかなりハイレベルな顔ぶれ。フィンテックでもこのレベルになると知り合いかと思いきや、お互いあまり知らなかったということで、パネル同士にとっても有意義なトークだった様子。前日に行われたウォールストリートでのイベントもかなり盛況だったようです。

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モデレータのMadnick 教授は少なくとも1979年からすでにサイバーセキュリテイの研究に従事していたということで、この分野はそれほど新しいともいえないんですね。

実際サイバーハッカーを捕まえるのは本当に難しいといいます。実は企業でのサイバーアタックの58%は企業内からくるもので、わざわざこれは危険なメールである可能性があります、あけないでくださいというアラームがでていても、必ず開けてしまう人がいるとのこと。ダメだと言われたらますます開けたくなるという心理が働くそうで、やはり教育の重要性が問われます。

イスラエルはこの分野が非常に発達しているといいますが、それはそれだけ攻撃をうけているからでなんとこの分野に400以上スタートアップがあるそうです。

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最悪のシナリオ、朝おきて銀行の口座にログインしたら残高が0だった、これ個人レベルでも相当いやなシナリオですが、銀行レベルとかだと本当に怖いです。こういうことがあり得るかどうかということをFBIが検証したところ、これは本当にあり得る話だということでした。なのでこれを回避することを考えるより以上に、こうなっても困らないようにするにはどうしたらいいか、というアプローチが必要だそうです。それは第三者機関のようなところにバックアップをしてもらうとか、ニュートラルなプラットフォームを作るとか。それより、怖いのは、クリティカルインフラがやられてしまうことだという意見もでました。他人の携帯をのっとることで、簡単に生活を破壊できてしまうということが怖いことだと。

現在の生活において銀行の数字だけをみてその現物(紙幣)をみることは(特に会社の口座のように数字が大きい場合)まずないです。こういう数字上での”お金”はある、という信用の元に現在の金融システムは成り立っています。紙幣というものを政府としては、将来的になくしたいという方向で考えているでしょうが、そうなるとますます人は数字に支配されてしまうのでしょうか。ローテクの世界が平和にみえてきました。

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https://multicultiblog.com/2015/11/21/%E9%87%91%E8%9E%8D%E6%A5%AD%E7%95%8C%E3%81%AB%E3%82%82%E5%BA%83%E3%81%8C%E3%82%8Bai%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/

 

 

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学生ローン問題ー自分に借金があることを自覚していない大学生達ー

アメリカの高校の最終学年にいる生徒は年があけると大学進学の為にそろそろ願書を出す季節なのですが、年内にアーリーアクションやアーリーディシジョンといって、通常の願書提出よりも早く出せる仕組みがあります。どうしてもここがいいという志望校がはっきりしている場合、それで願書を出す子供達も多いのですが、早くに願書を出した子達がそろそろ合格通知を受け取り始めました。来年の秋に入学する学校が今の時期にもうわかることになります。学生達からしてみれば、クリスマスプレゼントをもらうようなものですが、早いですね本当に。卒業する6月まであと半年、気持ち的に余裕をもって高校生活をすごせるということになります。

ところが、いざ大学生活が始まっても、ワシントンポスト12月14日によると大学一年生のほとんどが自分がどのくらいの借金を背負っているのか正確に把握していないといいます。連邦学生ローンを借りている大学1年生の28%が連邦ローンを借りているという自覚がなく、さらに14%は自分たちが何らかの借金を背負っているということさえわかっていないとのこと。2011年〜12年に行われた高等教育学生助成金調査によると、51%の学生は負債を過少評価し、25%は過大評価しているといいます。

18歳ですでに借金の心配をしなければいけないというのはなかなか大変なことですよね。。。
実際、親が学費を支払う場合、借金がどれくらいなのかということをシリアスに考えない学生達もいるでしょうし、それに大学を卒業した後にどれくらいの年収が得られるのかといったことまで考えていない場合も多いでしょう。もっとも、高給だと思っていた職業がそうでもなかったということもあるでしょうが。。。
日本では大学から、一人暮らしをする学生も増えます。逆に、アメリカのように寮生活をしないことで、経済観念もつくのかもしれませんね。

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子供への金融教育の必要性

習慣を変える事で学生ローンの負債を減らすサイト

アメリカでの大学の学費がますますあがり、せっかくがんばって大学をでても今度は借金を返す心配をしなければならないという問題が残ります。学費の高さと、学生ローンの問題は新聞紙面を度々騒がせますが、その学生ローンを早く返すためのプログラムの紹介がありました。(ボストングローブ2月26日)

ひとつは、ボストンにあるSimpleTuition(シンプルトゥイション)という学生ローンの比較、ファイナンシャルエイドの情報サイトを運営する会社の子会社である、SmarterBucks (スマーターバックス)が提供するプログラム。

このプログラムに参加して、ステープルズやウォルマート、ジェイクルー等の提携企業で買い物をするとキャッシュバックがもらえ、そのままローンの返済に支払われます。また、アンケートをしたり、体験記事をかいたりすることでもキャッシュバックをもらったり、使わなくなった電化製品、本等を売る事もできます。

このプログラムに参加している、企業は学生が買い物をすると〜10%を紹介料としてプログラムに支払うのですが、そのうち半分をプログラム側が学生にキャッシュバックするというしくみだそうです。
このプログラムには現在13万5千人がメンバーになっていますが、そのうち15%ほどしか定期的に利用していず、毎月のローンに追加で支払われる額は25ドル〜30ドルということです。それでも、1万5千ドルを10年ローンで借りている場合、(金利6.8%!)毎月30ドル多く返してしていれば23ヶ月早く完済し、4120ドルの節約になるそうです。

もう一つはサンフランシスコのSaveUp(セイブ・アップ)というサイトです。ユーザーの習慣をよりいいものに変えることを目的にしています。
ユーザーは、銀行口座、ローン口座等とリンクさせて、貯蓄をしたり、借金をへらしたりして、個人の財政状態がよくなれば、ポイントをもらえるしくみです。そのポイントで宝くじのようなゲームに参加でき、賞金として100ドルのビザカード、航空券、学生ローンが返済できる5万ドル、住宅ローンを完済できる200万ドルの賞金があたる可能性さえあるそうです。

どちらのプログラムも自分たちの財政状況に定期的に向き合うということを目的にしていますが、SaveUpの場合、そこに楽しみの要素をとりいれることで20%のメンバーが毎日、ログインするそうです。メンバーは年収5万ドルから10万ドルの若者達で2011年に会社がはじまってから今までにまだ誰も200万ドルを手に入れていません。みんな、その金額があたるとは思っていないようですが、自分の財政状況と定期的に向き合う事自体に意味があると思っています。

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これもある種の金融教育ですね。
サインアップをしても、習慣として、使ってもらうようになるのが、難しいということをSmarterBucks の人が言っています。毎月貯蓄するというのも同じことで、生活習慣をかえないと、難しいといえそうです。自分なら毎月、借金がへっているのをみて、今月はxxドル得しました、なんて書いてあると、ゲームのように、来月はもっと頑張ろう!とか、思ってしまいそうですが。。。
一ヶ月数十ドルの差なんて、一見少ないと思いますが、毎月ちょっとでも借金がへっていくと、将来的には利子がずいぶん変わるので意味がある事だと思いますね。
SaveUpのように、銀行口座とリンクさせるとなると、セキュリティはどうなのか、心配ですが。。。