あらためて、マスチャレンジCEOにきくその立ち上げ 、ビジョン、そして特徴-その2-

(あらためて、マスチャレンジCEOにきくその立ち上げ 、ビジョン、そして特徴-その1-の続き)

プログラムが安定するまでに3〜4年かかりました。

今ではネットワークがメキシコ、イスラエル、スイス、ロンドンと広がっています。規模が大きくなると、いいことはボストンで解決できなくても、ロンドンやスイスで解決できるかもしれない、他のネットワークの中に答えがある可能性があり互いが助け合うしくみができてきたと同時に卒業生が増えてきて今後そのネットワークをもう少し活用することができるようになります。とりわけ最終選考に選ばれる26社の成功率がかなり高く質のいいスタートアップコミュニティーを作ることに成功しています 。一方、場合によってはチームが分裂したり、解散することもありますが、個々の能力が高いことが多いので、そのコミュニティーにある他の会社に就職したり、マスチャレンジそのものに再就職する場合もあります。

オフィス部分のスペースは当初はやはり、スペースを区切って個々の会社のプライベートスペースを望む会社も多くあったのですが、オープンスペースにすることでより協働がしやすくなることが相互にわかり、今ではミーティングスペース以外の全てをオープンスペースにすることで互いに助けあう環境を作っています。100社以上が一緒にいることで自分たちが弱い分野を補完してくれるようなスタートアップをみつけることができます。

いいコミュニティーをキープするためにはスタートアップの数以上に質がとても大切、その質を見極めるのは非常に難しいです。(特にVCの世界では失敗するスタートアップはわかっても、成功するところを見分けるのは非常に難しいといいます)始めのエントリーではオンラインのみで人を直接みることをしないので、人種のバイヤスはかかりません。書類は5、6人のジャッジが採点をして、ふるいにかけて、最終的にはそのエントリーロケーションでのピッチをすることでプログラムに参加できるファイナリストがきまります。実際は40%ほどが女性の起業家たちで実は、女性のほうが成功率も高かったりするそう。

特徴

・通常、インキュベーションやアクセラレータでは資金提供を受ける代わりに参加会社の株式を譲渡する必要がありますが、これがないこと。これが世界で一番起業家フレンドリーなアクセラレータといわれる所以です。その上、コンペで勝てば賞金をもらえて、その他様々なメンターからの指導やイベントに参加しながらネットワークの構築、学びの機会が多いですが、金銭的な負担がかかりません。

・オープンプラットフォーム

通常のインキュベーションのようなところは閉鎖的なコミュニティーになりますが、マスチャレンジは4ヶ月のうちに内外にひらかれた多くのイベントを開催しており、一般人もイベントに参加できるので様々な人たちと関わることができます。

・スポンサーが、とても満足していて9割以上が続けてスポンサーになっていること

質のいいスタートアップやそのコミュニティーにアクセスできること、またスポンサー会社にも学びの機会を提供できるのでスポンサーも満足しているということが背景にあります。

・スタートアップだけでなく、団体、法人、地域社会がみんな得できるような形であること

参加スタートアップが成功していくことは、それと協働したい大企業にとってもいいことですし、雇用が増えて地域社会も潤います。外国の団体も含む各種団体もパートナーシップを組むことで横の繋がりも広がります。

・参加したスタートアップの満足度も非常に高いこと

参加スタートアップもネットワークが広がる、VCへのアプローチの機会が広がり スケールアップにつながっています。

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あらためて、マスチャレンジCEOにきくその立ち上げ 、ビジョン、そして特徴-その1-

マスチャレンジがどんどん成長しています。

現在マスチャレンジは世界で一番大きいスタートアップフレンドリーなアクセラレータプログラムと言われています。毎年の参加者や、スポンサーは増え続け、海外での展開も積極的にしています。2009年に立ち上げてからまるまる7年がたちました。

断片的にしかきいていたなかったマスチャンレンジの話ですが、今回CEOのJohn Harthorne にがっつりと立ち上げ当時の話、 NPOにした経緯、またそのビジョン、そして特徴 に関して話をききました。

CEOのJohn はマスチャレンジを始める前、MITのスローンを卒業し、Bain&companyというコンサルティング会社のコンサルタントをしていました。時はちょうど、リーマンショク、毎日すごい勢いでダウジョーンズが下がっていくのを目のあたりにしながら、このシステムはもう機能しないということに気ずきます。人の“欲”が根本的な問題であり、新しい価値を創造し、限られた人だけが成功するのではなく、みんなが成功するしくみが必要でした。

社会の雇用の将来的な受け皿をつくるのは、新規事業やスタートアップです。だから社会はスタートアップをそしてそれがうまれるようなしくみを大事にしなければならないのに、VCは短期的な収益をもとめて、長期的な利益をみようとはしない、社会全体の利益と言う考え方はしません。スタートアップフレンドリーなアクセラレーターやインキュベーションがないということからNPOでみんながwin-winになるような仕組みを作ろうと、マスチャレンジを作りました。

そして、コンサルティングをやめて独立しようと決意。彼の場合、子供二人に家のローンがあり正直不安もありましたが、幸運にも家族の反対はなく、独立することができました。(アメリカでも独立するときに反対するのは家族、特に母親だといいます。日本では奥さんともいいますよね。)アメリカでさえ、MITをでてコンサルで高給を稼いでいたら起業するということは場合によってはとてもリスキーにみえます。

時は経済が一番底をつけた時、誰もが起こったことの責任をみな誰かのせいにしていましたが解決策を出す人はほとんどいませんでした。そこでじゃあ、自分でやろうと覚悟をきめ、始めの資金提供を、ボストン市の市長からとりつけます。$100,000市がだすことがきまってから、Deshpande財団,やマイクロソフトも資金提供をしてくれることになりました。ノンプロフィットの資金調達はいつも最初のファンディングをとりつけるのが一番大変です。そこを乗り越えるにあたって公共部門からの資金提供をうけられることはのちのちのファンドレージングに弾みをつけました。

現在マスチャレンジでは多くの人たちがメンターとして働いてくれています。実 はお金をだしたり、メンターとして指導してくれる人たちにも非常にメリットがあります。例えば、優秀であるMITのエンジニアやプロダクトデザインをする若い人たちは知識があっても、実際それがどう機能するのかは、よくわかっていません。しかしそれほど知名度のない学校をでても、現場で長くプロダクトデザインにかかわってきたエンジニアにはデザインが格好よくても機能しないこと、それからコスト的に高くつくこと、効率が悪いなど、現実がよくわかっているのです。よってそういった人たちがメンターになって若いスタートアップの抱えている問題を解決したり、メンターにとっては他のスポサー会社やメンターたちと仲間になることで新たな人のつながりができ他のビジネスに発展することもあるそう。現在ではマスチャレンジのメンターは1000人にものぼります。

企業内ベンチャーをどう育てるか?

大企業にいるタイプと、ベンチャー企業で働くタイプの人は結構違いますよね。
とくに日本の大企業だと同じ会社に10年以上いる人達も結構いると思いますが、だんだん視野も世界も狭くなってきます。新しい空気をいれて感度をよくし、イノベーティブでいるためにはどうしたらいいでしょうか。

一つは、スタートアップの集まるインキュベーターのようなところにサテライトオフィスをもつ。
実際、そうやって人材を獲得したり、新しいテクノロジーをとりいれる、もしくは、小さな企業を買収、資金をだして、共同研究をするということはよく行われています。

もう一つは、マスチャレンジのようなアクセラレータプログラムに社内ベンチャーを送り込んで、教育するというやり方もあります。
マスチャレンジのダイヤモンドパートナーであるビューラー社はスポンサー金を支払いその代わりと言ってはなんですが、社内教育プログラムとして、社員をプログラムにおくりこんでいます。通常は、外からアプリケーションをし、選ばれないと参加できないプログラムに、社内のコンペで勝ったチームがマスチャレンジにいけるということになれば、社員も意欲がわきます。上手くいけば、スピンオフができるかもしれないですし、社内に新しい部署ができるかもしれません。
社員にとってもリスクは少ない(っていうかほとんどない?)ですし、会社にとっては社員を活性化させ、新しい事業を生み出すことができます。

大企業にいる人をいかにイノベーティブにしていくか。イノベーティブなのは技術だけではなく人であり、マスチャレンジのプログラムは”人”という資源を活性化させていくことにつながるところがすごいところです。

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国も応援する、2015マスチャレンジ賞

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さて、今年のマスチャレンジアワードは、政治色が若干強いものになりました。
マサチューセッツ州のベイカー知事に、ボストンのウォルシュ市長、来年はイスラエル、メキシコでマスチャレンジがオープンするので、各国の代表者、特にメキシコは国をあげてイノベーションエコノミーを後押ししています。どこの国でもイノベーションを牽引する産業はウェルカムという感じでしょうか。

2010年に始まったマスチャンレジのアクセラレータプログラムで現在までに835のスタートアップが6500以上雇用を生み出し、11億ドル(8億円ほど)資金調達をしました。今年は2250社の申し込みが世界60カ国からありました。他のアクセラレータープログラムやインキュベーターとちがってマスチャレンジはノンプロフィットです。スタートアップの株式を要求したり、他の金銭的な支払いというのが生じないところもスタートアップにとってはとてもいい環境でありますし、他の利害関係者にとって、ニュートラルな立場でいられます。

今年で6年目になりますが、増え続けるのは参加社だけではなくこのアクセラレータープログラムの授賞式をみる人たちで、今年は1700人、しかも席もキャンセル待ちでした。ファイナリストとしては26社が選ばれ、壇上でピッチをするわけですが、ここに残った26社はどれもこれから成功する確率が大変高いと言われています。そういった意味でも、投資家にとっても非常におもしろいこの賞(ショー?)であります。その中で16社がこの日総額1.3億円程度の資金を手にしたわけですが、まあ少ないという人もいますがあくまでも、返す必要のないお金をこれだけもらえるというのはいいですよね。。

賞が発表される前に円板型のピアノで演奏するブロキット・パーソンズ氏

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ショー的要素が強い受賞式ですが、毎年世界をかえる豊富なアイデアの数々には圧倒されます。
ファンタジーフットボール(ソーシャルゲーム)のDraft King は2015年にすでに10億ドルを集めていますし、おなじみの電気ショックで悪習慣を直す、Pavlok 虫をチップスにした SIX FOODS  と様々な分野から選ばれていましたが、その中でも若干バイオ関連がやはり多かったかな?との感じもうけました。

電気ショックで悪習慣を治すパブロック、腕時計タイプ。

電気ショックで悪習慣を治すパブロック、腕時計タイプ。


個人的に面白いと思ったのは骨をくっつけるノリを開発したLaunchPad Medical骨を接着するのは非常に難しいということで、長く続く痛みを抱える患者をみていた医師が患者の負担を減らすために始めた会社です。これを使用することで、数分で骨がつき、痛みからも早く解放されるというものですが、バイオ関連の専門家の目からみても非常に有望な会社のようです。

2014年のマスチャレンジスタート!

マサチューセッツのイノベーションポリシーの中で重要な役割を担っているマスチャレンジですが、2014年のプログラム参加社128社がでそろいました。(応募したのは1700社以上)これから4ヶ月間かけて、メンターについたり、ネットワーキングを広げ、起業のエコシステムを学んでいきます。

128社のうち41社はハイテク、37社はライフサイエンス、ヘルスケア関連、クリンテックは10社ということで、なかなかボストンらしいという感じでしょうか。
今年はマスチャレンジも新しいスペースに引っ越して、賞金も当初の150万ドルから、175万ドルにあがり、参加応募社も世界中から増加しています。参加が決まった会社のうち71社は州内から、外国からの参加は30社、うち10社がイスラエル、その次に多いのがメキシコです。イスラエル、メキシコにはマスチャレンジ自体が進出しているので、参加が多いというのは納得です。又、参加国は10カ国、米国内からは17の州からの参加になります。ほぼ四分の一が外国からの参加ということで、国際認知度もかなりあがってきているといえそうです。

4ヶ月後にファイナリストに残り、(ここでファイナリストに残ることができた会社は、会社として存続する率が非常に高いといわれています)賞金を手にすることができるのは、どの会社になるでしょうか。

参加社リスト
http://betaboston.com/news/2014/05/21/masschallenge-names-128-startups-for-2014-program-full-list/

参考記事:
大人の社会科見学  マスチャレンジ