学校の成績があがっても論理的思考能力、問題解決能力が向上するとは限らない

2013年の12月11日に発表されたMIT Newsによると、MITの神経科学者がハーバード大学と、ブラウン大学の協力によって、ボストンにいる8年生(中学2年生)1400人を対象に調べたところ、一般的な学力をはかる、(一般知識の深さ・広さ、語彙力、言語・数字利用の理由付け能力)テストの点数が上がっても、流動的知性(それまでの知識に関係ない、新しい課題に対する論理的思考能力と問題解決能力)はあがらないということを発表しました。

最初の疑問は、社会、経済的に恵まれていない地域の子供達が大学に行くのを効果的に支援している学校は、子供達の成績を上げることで、流動的知性も向上させているのか、ということでした。
調査によってわかったのは、学校教育は一般的な学力をあげるためにデザインされており、成績をあげることは流動的知性をあげることにはならないということでした。そして、一生懸命勉強して、いい学生でいたとしても、流動的知性はただでは手に入らないという事実です。

流動的知性が学生のアカデミックなパフォーマンスを予測することを多くの調査結果が示していますが、そのような技術はあまりはっきりと教えられません。もちろん、知識を増やしていくことはとても重要ですが、研究者は、この調査結果によって教育政策担当者が流動的知性も強化することを考慮してくれるといいと、望んでいます。

いくつかの研究では、記憶力や集中力を高めたり、実行機能、帰納的推論(観察や実験から推論すること)に焦点をあてた教育的プログラムが流動的知性をあげるということを発見していますが、これに関してはまだどのプログラムが常に効果的なのかがははっきりしません。

この研究対象の学生は現在10年生(高校1年生)になっており、これからの学校での成績それから、どんな結果に発展するのか追跡調査をする予定だそうですが、又新たに、高校3年生を対象に、全米標準テストと流動的知性が大学入学と卒業 にどんな影響を及ぼすのかを調べていく予定だそうです。

アメリカの学校は日本よりは、考える教育、答えのない問題を議論する、ということがなされているように思うのですが、それでもこれまで以上に流動的知性を強化するということを研究者が薦めているというのは、それが将来的に職業、収入に与える影響が大きいと推測されるからでしょう。

普通の学力テストの結果でも学生の将来的な学術的な達成度、大人になった時の仕事、とその収入について予測できるようですが、私達は経験上、学生の時の成績が良かった人が必ずしも将来大成功をおさめるわけでもないということを知っています。では、逆に学生の時、全く勉強しなかった人がみんな、大成功をおさめているかといえば、これまたそういうわけではなく、知識をつけるということは、大きな失敗をしない為に、結局自分を守る事につながるのかな、と思います。

読者が選ぶ2013年のボストン健康関連の話題トップ10

2013年は ”健康” の年といえるほど、健康関連の話題が新聞をにぎわせた1年でした。
ボストングローブの読者が選んだ健康関連の話題トップ10について発表です。

第10位  アンジェリーナ・ジョリーの乳房切除手術
遺伝子診断で、母親と同じ乳がんのリスクを持ったアンジェリーナ・ジョリーが、発症する前に、乳房切除手術を受けました。

第9位  ベスイスラエル病院がボストンマラソン爆弾犯人容疑者を治療

第8位  マサチューセッツ州の100機関で医療用のマリファナ使用の申請
2014年からの医療用のマリファナ使用の合法化に伴い、11月の申請期限までに100の薬局が申請してます。
初年度は35機関が認められる予定で、各州最高5機関までの予定。

第7位  米国医師会は、肥満を病気と分類
肥満が病気と認定されることで、肥満を予防する為に、胃を小さくする手術やカウンセリングにも保険が適用されることが期待されます。

第6位  新しい高血圧への薬物投与のガイドラインは、論争を引き起こす
60歳以上で高血圧の人への薬物治療について、10年前に出された指針では140/90mmHgでしたが、12月にだされたガイドラインはレベルが150/90mmHgに達するまで、医者が薬物を処方しないよう勧めています。

第5位  オバマケアに関する 州と連邦政府の保険交換が発表

第4位  アメリカ食品医薬品局が硬化油(トランス脂肪酸)を禁止しようとしている
11月、食品医薬品局が人工的に製造された脂肪を禁止しようと提案、電子レジで作れるポップコーンや、パイ皮、ビスケット生地のようなものでトランス脂肪酸を含むものはスーパーマーケットから消えるかもしれません。

第3位  ボストンマラソンのゴールラインで傷を負った人を救った病院
ボストンマラソンの爆破事件で、多数の人が傷を負った時、多数の病院も混乱に見舞われましたが、ボストンの主要な6つの外傷センターでは(特に重傷患者を扱う)危機に対応する体制が確立され、全米規模で彼らが学んだことを共有するようになっています。

第2位  ボストンマラソン爆破事件の被害者の治療と回復

第1位 不具合発生のHealthcare.gov(オバマケア)サイト
36の州で何千ものアメリカ人がサイトにアクセスしようとしたので、サイトに不具合が生じた話です。

やはり、今年の関心はオバマケアとボストンマラソン爆破事件でした。
ボストンに健康オタクが多いのは、健康がどれだけ、価値のあることなのかを知っている人たちが多くいるからなのでしょう。
ボストンマラソン爆破事件では沢山の悲劇がありましたが、ボストンは更に強くなったと感じます。暴力で人を傷つけることはできても、人としての尊厳は傷つけられないということを、ボストン人は再確認したように思います。