大企業にいても、スタートアップにいても必要な起業家精神

大学の研究室では日々様々なテクノロジーやアイデアが生まれてきます。基礎研究に代表されるように、その研究そのものが商品につながることはなくても、それを使って、他の商品やサービスを作りだすことはできるかもしれません。

さらに一歩進んで、1つ分野の研究から起業するのではなく、分野の全く違う研究同士が連携して、(例えば工業系と医学系)大学発のテクノロジーをどのように、起業につなげていくのか、大学の役割は何かということをアメリカの成功事例をみながら、勉強するというツアーがヨーロッパの大学で組まれました。

分野の違うところで活躍している研究者達は、互いの価値観、使う言語(たとえ同じ、日本語を話していたとしても)が違う為に、時としてプロジェクトを進めるのが難しいといいます。視察後の会談で、結局カルチャーの違いをどう乗り越えるのかという話になりました。

例えば大企業がスタートアップを買収した時にカルチャーがあわないことで、買収や合併はうまくいかないことが多いという話になりましたが、ハーバードビジネススクールの教授も、企業文化の違いを甘くみてはいけないという話をされていました。スタートアップでメンバーが少なく、全員がアントレプレナー気質をもっている場合、このような会社が大会社に売られると、その会社の持っているイノベーション力、スピード力といった価値感がうまく共有できないことが多いのではないかと思います。

どのように大企業の側の人たちにアントレ力(起業家精神力)をつけてもらうのか、ということについて、従業員5000人の会社を一つ作るより、300人〜500人の会社を10個作ったほうがいい、との発言もでました。これは市場の規模も関係してくる話だとは思いますが、会社が小規模の方が、従業員の間での価値観やカルチャーを共有しやすいということはあるのでしょう。

大企業がスタートアップの集まるワーキングスペースにあえて、オフィスをもつのも、彼らと交わる会話の中から受ける影響力を重視したものです。ワーキングスペースを運営している側も、互いの会話から生まれる、何かを大事にしてもらいたいといいます。

私はアントレ力(起業家精神)のある人とは、明日、企業をやめて独立しても自分の能力を生かすことができ、ゼロから1を作り出せる精神的にも自立している人なのでは、と思っています。他社や他の個人とコラボレーションをする、ともに働くということは互いに依存し合うということではなく、自立した人たち(会社)同士が互いの強みをいかし、新しい価値を作りあげるということです。その前提として、大企業で働いていても、スタートアップでも各人が確立したスキルであったり、ブランド力といったものを有して、自発的に動く必要性をここ最近ますます感じます。組織力を上げる為にも個の力の重要性がこれからもっと大事になってくるのではないでしょうか。

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ースタートアップの定義はなんですか?
私はコーポレートのカルチャーとスタートアップのカルチャーとをわけて考えています。
スタートアップエコシステムが働いている所はどこでもスタートアップだと思っています。どうやって働いているか、どうやって他の人達と連携しているか、従業員の数とかではなく、その環境です。例えば一人の事業主のこともあるでしょうし、スタートアップ”だった” 会社も含まれます。もう、資金調達に奔走していなくて、従業員数が増えていたとしても団結力が強く、エネルギッシュで、インパクトが強く、動くのが早い、といったスタートアップの特性を備えていれば、大抵の場合、彼らはそれを認識していて、規模が大きくなってもその点を維持する為に努力します。

大企業では規模が大きく沢山の人が働いているので形式、政策、スタンダード、手順、規制、といったことが、重要ですが、スタートアップには、例えば休暇に関してのルールとかはほぼなくて、ポリシーなんてないのが普通かもしれません。

ースタートアップカルチャーのほうがコーポレートカルチャーよりも重要だと思いますか?
スタートアップカルチャーに関するデータを集めてそれを理解することは非常に重要です、なぜなら大企業におけるコーポレートカルチャーに関するデータは沢山あって組織がどうやって動くかは研究されています。そのデータはスタートアップにも有用な部分もあるのですが、全てが一致するわけでなく、逆にスタートアップのカルチャーのデータから一定のパターンが大きな組織のカルチャーに影響を与えたり、それが私たちがいる社会全体に影響を及ぼします。
透明性が私達の社会にはとても重要で、透明性があるということは、スタートアップカルチャーの重要な要素でもあります。透明性があれば、人々は沢山のことを学べますから。そしてそれが私たちの職場環境を変えるのに役立つと思っています。

ーカルチャーをどうやって数値化するのでしょうか?
先ほど、調査をする際は心理的なアプローチより、経済的なアプローチをとるといっていましたが、要素、数字や統計は重要なのですが、もちろん質に関しての質問もします。データベースから、パターンをみつけ、質に関するデータも考慮すると、どういった傾向にあるかがわかります。違った会社でも似たような状況におちいっているのです。

ー実際、スタートアップには問題点があるのでしょうか?
問題を抱えているところは沢山あります。例えば、規模が大きくなってきて、人を雇いたい時、早く見つけないといけない、でももし間違った人を雇ってしまうと、遅かれ早かれ、又別の人を見つけなければなりません、でもカルチャー的にみれば、人をかえなくて済むほうが簡単なのです。
小さい会社から大きい会社に変化していく中で、小さい規模のときに自分がいた会社とは違ってしまうこともあります。でも、会社が大きくなれば従業員もかわっていかないといけないわけです。

ー私は会社のカルチャーってそこにいる人たちが勝手に作るというイメージがあったのですが、カルチャーって誰かが指示して作っていくものなのですか?
大抵の場合、スタートアップ創業者の個性や、価値観、信条がカルチャーに反映しています。創業者が会社に居れば、常にメンバーを鼓舞していきます。創業者がカルチャーを作っていくのです。
しかしそれがない場合、カルチャーを作れるような影響力のある人を雇う場合もあります。その人がチームをつなげて、コミュニケーションをとり関係を作っていきます。それでもやはり、一番効果的なのは創業者が常にカルチャーを牽引していく事でしょうね。

ー状況分析したあと、改善提案をしますか?
現状の状況分析をしたら、それをリポートにしてアドバスとアクションプランをだし、どのように方向つけたらいいのかを創業者に伝えます。チームみんなで働く、ということをしてもらえるようにするのです。みんな、個人の貢献というレベルでは考えていますが、自分もチームのメンバーの一員、会社の一員ということを忘れ、チームに対する貢献とか会社を作っていくということに対して貢献するということを忘れています。

ー自分がしていることは新しい市場を作る事だと思いますか?それとも今すでにある需要を満たしていると思いますか?
スタートアップのカルチャーに注目している会社はほとんどいないので、これをビジネスにすることは実際とても難しいし、リスキーだとは思います。でも私が今扱ってっている情報は誰にとってもすごく価値があると思っています。私のまわりには、スタートアップカルチャーを分析して理解が進むようなプラットフォームが作られる事を楽しみに待っている人たちが沢山います。

スタートアップのカルチャーを整えることで、会社の労働環境を整え、業績を効果的にあげてもらうという取り組みをしているコーリーさん。私自身、カルチャーと経済性の関わりが始めはよくわからなかったのですが、今回お話を聞いた中で、彼女は結局、一企業のみの話ではなく、社会全体がより人にやさしい職場環境になり、それが生産性をあげる事につながることを願っていました。
確かに、大企業の中でも、デスクをスタートアップが集まるインキュベーターにおくところがあります。最新情報を取り入れるだけでなく、そのスピードや空気感もとりいれることにも意味があるのかもしれません。

コーリーさんは定期的に、様々な分野のスタートアップのCEOを3人集め、互いの、カルチャーに対して、どう対処をしているかを討論しあう、ミートアップを開催して、情報をシェアしたり、またボストンスタートアップスクールの講師も勤めています。
4月に出産予定ですが、すぐにでもまた復帰したいと、今から、来年の予定を考えるとわくわくしているようです。

彼女の周りをみても、高学歴で、キャリアがある人たちが、子供が生まれるとしばらく仕事を休む人が多いそうです。理由は、子供の面倒をだれが見るのか、という問題で、たとえ、保育所を見つけたとしても、病気や、けが、長時間労働、時間外労働をしなければならないときに、対処できる人がいない、又高学歴の人ほど子供のケアや教育に対してもレベルの高いものを望む、という傾向があり、結局、自分が面倒をみたほうがいい、という結論になるようです。しかし、コーリーさんのように、今していることが心から好きで、自分以外にその仕事をする人がいない、と思えるようなことをやっている人はその辺のバランスをなんとかとろうとして、長続きするような働き方を模索していきます。

最後に、1分間ほどで自分のしていることを説明してもらいました。これはピッチといわれるもので、手短かに自分がしていることを他人にわかってもらう為には有効な手段です。

スタートアップカルチャーの専門家 ”Kulturenvy” 女性創業者へのインタビュー その1

女性の人生は、結婚して、家族が増えると、一時期は子供に手がかかり、その後は介護があったり、もしくは同時にそれが来る人もいるかもしれせん。それだけ、社会に深く関わった人生を歩んでいるのだと思います。

結婚して、夫が転勤したり、出産したりすると、なかなかキャリアを続けることが難しく、何年か仕事を休んでしまうと、なかなか同じ様な立場に戻れなかったり、似たような仕事なのに、長時間勤務を離れることでいきなり時給が極端に下がったバイトになってしまったりします。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング 「両立支援に係る諸問題に関する総合的調査研究2008」による、妊娠、出産前後にやめた人のアンケートをみると、39%の人が自発的に会社をやめ、26%の人は、仕事と育児の両立が難しかったからやめた、といっています。 いざ子供ができて、やめるか仕事を頑張って続けるかの時考えるのは、結局、今している仕事が子供と比べて意味がある事なのかどうか、という事だと思います。

会社から離れたとしても、女性の世界は、地域社会への貢献、自分の趣味、友達との付き合いと、幅広くあり、そこから学んだり、経験することも沢山あります。ところが、子供がある程度大きくなったり、自分の時間が作れるようになって、いざいままでの経験や、好きで続けてきたことをビジネスにしようと思うと、なかなか上手く行かないのが現実です。その経験を一つのサービスとして、対価をつけて、供給するためには、見えないものを、みえるものにする工夫が必要になってきます。ずっと自分の人生、生活を自分でコントロールする為に、独立、起業、創業した女性達を紹介したいと思います。

Kulturenvyの創業者である、Corey McAveeneyさんのインタビューです。
Kulturenvyという会社は、スタートアップがよりよい意思決定をする為に、又、従業員にとってより働きやすい環境を作り、仕事の生産性もあげる為にスタートアップのカルチャーを整えることを手伝う会社です。

ーどんな教育を受けてきましたか?
大学4年間は、文学とフランス語を、それから大学院では国際通商政策について学び、修士号をとりました。

ーその後、この会社を立ち上げるまではどんな仕事をしてきましたか?
アナリストとして輸出、輸入業の規制や税に関することに従事していました。

ー今している、仕事と前の仕事は関係がありますか?
そうですね、保険や半導体の業界にいたのですが、実はいつも、会社内でカルチャーの問題がありました。チーム内のコミュニケーションの仕方や、チームワークが上手くいっていないせいで、仕事の成果が最大にはならないのです。大企業では、なんでもゆっくり進み、みんなのフラストレーションがたまっていました。一方、スタートアップでは、なんでもものすごいスピードで進みます。若者の働き方にみんなが影響されます。柔軟性とか、お金の為だけに、仕事をしているのか、どうなのか。その経験が今の会社を作るきっかけになりました。

ービジョンはなんですか?
テクノロジーをバックに、ワーキングカルチャーはどんどん変わっていくだろう、というのが私のビジョンです。
何十年もかかるかもしれませんが、私達の職場は柔軟性をもって、したい事ができるようになっていく、という事を望みますね。社会がもっと人間に対してフレンドリーになる、例えば、特に柔軟性が必要な”親”という立場の人に対して、その要求を満たしてくれるものに。既にテック関連の企業では、仕事に柔軟性というものがかなりあります。もちろん、そういうことが状況的に許されない場合もあるでしょうが、昼に、マラソンにいったり、スポーツにいったり、そのかわり、遅くまで働くとか。自分のライフスタイルにあった働き方させてくれる職場ができていくことを望みます。

ーどうやって顧客を獲得しましたか?
始めは知り合いとか、友達にスタートアップカルチャーに関して聞いてまわりました。定期的にアンケート調査をして、データを集め、会社全体としてどのように変化していくのかということを調べました。私はサイコロジストではないので心理的なアプローチではなく、経済的なアプローチをとっています。

実際、リサーチでスタートアップのCEOとチームメンバーに集まってもらい、ヒアリングしてみると、今までちゃんと話す機会をもてなかったので、よかったという話をききます。職場のカルチャーがよくないけど、とりあえず仕事だけやって帰る、という人も実際多いのです。もし、本当に満足していないなら、会社をやめることもできますが、それを変えるように働きかけることもできるのです。実際、大きな会社でも、始めは小さな自分のチームカルチャーを変えることを取り組み、ある人物が入ってから会社をやめる人がいなくなり、ドミノ効果のように、いい流れを会社に波及させていった例があります。

(次に続く)

スタートアップカルチャーは業績に影響する?

スタートアップカルチャーと言ったら何を思い浮かべるでしょうか?

スタートアップのカルチャーを整えることで、ビジネス環境をよくし、よりよい意思決定をできるようにして、業績もあげよう、という取り組みをしている、Kulturenvy(www.kulturenvy.com)という会社が主催する イベントにいってきました。
(**Kulturenvy という会社については改めて、もう少し詳しくリポートをするつもりです)

このイベントではスタートアップ3社のオーナーが 自分たちの会社ではどんなカルチャーなのか、又それを整える為に、どんなことに気をつかっているかに関して討論をしました。

Kulturenvyの創業者 Corey McAveeneyさんは、このようなミートアップを定期的に開催して、従業員10人以上のスタートアップの創業者が抱える問題点を共有しながら、それぞれがどういうふうに問題を解決していくかを、きいていきます。

なぜ スタートアップのカルチャーが特に問題になるのでしょうか。それは始めは少ない人数で起こした会社が大きくなってくることで、創業者の意図が伝わらなくなってきたり、たった一人違う考えやカラーを持った人が入ってくるだけで、その影響が大きくなり、業績にも響いてくるということが考えられるからだと思います。

今回話をしてくれたスタートアップ3社のオーナー

1社目 ITテクノロジー系のスタートアップで
世界中の製造業の工場を探してくれる会社のオーナーです。MITのエンジニアらしく、物事を順序だてて理論的に語る感じの人です。

2社目 今までに37社のスタートアップの立ち上げにかかわっている人で投資家で又、スタートアップスクールの講師、デジタルマーケティング会社のオーナーでもあります。
ミリタリーの学校、又ハーバード大学も出ているので、非常にシャープで合理的な感じのする人です。

3社目 Eコマースの会社オーナー で彼の情熱は、個々の人間性を重視した彼の会社らしいカルチャーを作る事です。

一方、話を聞きにきている50名ほどの人達のうち、70%位の人はスタートアップ企業の創業者、80%くらいの人が、スタートアップで実際に働いている人たちでした。残りの人達は投資銀行の人たち、ベンチャーキャピタリスト、いった金融関係。

進行役のCoreyさんはいくつかの質問をなげかけました。
• 会社のミッションをどう従業員と共有しているか。

• 効果的に仕事が回っていないと感じた時はどうするか

• メンバーからのフィードバッグでカルチャーをかえなければいけなくなるということがあるか

会社によって、エンジニアが多い会社もあれば、営業が多い会社もあるということで、すでにそれだけでもカラーがずいぶん違うのですが、3人の話に共通していたのは、そこで働く人がカルチャーに合わなければ長続きはしない、ということでした。

1社目
人を雇う時は慎重に人を選ぶ、そして選んだらミッションに関してはしっかり話し合う。
90%がエンジニアで、常に最新の情報や、技術をとり入れる必要があることから、常に学びを続けることが求められる。
特に重要な案件、事項、それほど、重要でないものと優先順位をつけてそれを共有する。
会社が成長していくと、カルチャーもどんどんかわっいく。カルチャーに気をつけていないと、人がいなくなってしまう。

2社目
スタートアップのカルチャーを作ることはスープを作るようなもの。
意思決定はトップダウンでというより、新しいアイディがでたら、とりあえずやってみてもらう。
こちらがこの人が効率的に働けていない、もしくは居心地が悪そうだ、と思うときは大抵相手もよくないと思っているので、そういう時に人を解雇することは互いの為になる。
従業員個人を信頼すること、そして責任をもたせること。

3社目
2社目に似た感じで、従業員個人の力を最大に活かせるように配慮する。
みんながそれぞれの仕事をすきになるような環境を整える。会社のミッションも含め、色々な情報を互いにシェアーし、人を人として扱うことを心がけてる。
あくまでも人がカルチャーを作っていくということを認識する

テクノロジーを扱う会社ほど、それを操っているのはあくまでも人、ということを忘れないスタンスを心がけているようです。
プロダクトの制作と売り上げが最優先である、始めの段階では気にしてはいられないかもしれないカルチャーも会社が少し成長し始めると業績にも影響してくる重要な要素である、ということをどのオーナーも気にしていました。
スタートアップの場合、会社規模が小さければ小さいほど、創業者の影響が非常に強くなります。3人とも個性が光っていたのできっと3社では全く違うカルチャーがあるんでしょうね。

カルチャーは人が作る、という話でした。