世界戦略のために着々と投資を続けるHult Business School

先週ハルトビジネススクールの新しい建物がオープンしました。
昨年オープンした、親会社であるEF(Education First)のビルの隣に出来上がったこの建物、世界45カ国からの学生を受け入れているビジネススクールですが、ここのブラジル出身の学生にこの学校を選んでよかった点をきいてみました。

・世界の数都市(ボストン、サンフランシスコ、ロンドン、上海)で勉強する機会があったこと。
・4年でマスターまでとれること

ここ最近MOOCsやその他大学の提供するオンライン教育に代表されるように、遠隔からの学習というのが普及していますが、それでも実際、世界各国から集まる人と実際に会い共に学んだり、ワークをしたりできることは、特別な経験になります。
また、この学校のカリキュラムは非常にコンパクトにまとまっています。通常の大学が休みになる夏休みも単位をとることができるので、学士を最短3年でとることができ、1年間のMBAコースをとれば、4年間で修士までとれてしまう計算になります。集中して、短期間に学位を取りたいと思う人のためにはあっているといえるでしょう。
学費が高騰する中、できるだけ短期間で高等教育を終了できるというのも魅力です。

この学校に限らず、バックグラウンドの違ういろいろな国からの人達とともに勉強できる機会が多く得られるのは、ボストンやサンフランシスコで生活する大きな利点だと思います。
マサチューセッツには大学が多く、それぞれがレベルの高い学生をより多く取るためにいろいろな取り組みをしていますが、この学校の取り組みはマサチューセッツの大学が競合相手というよりも、はじめから明確な世界戦略を視野にいれています。大学間の競争が明らかに、国内でなく、国際競争になってきている中で、大学側もその学校にいくことで学生にとってどれだけメリットがあるのか、ということを明確にしていかなければならなくなっています。

昨年できあがったEFのビル

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EFの新しいビルはランドマークになるか?

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先週、ここ数年工事をしていたEducation First(EF)の1億2500万ドルかけた新しいビルが出来上がりオープニングセレモニーが行われました。EFはもともとスウェーデンの高校生に夏のイギリスでの語学留学サービスを提供する事から始まったそうですが、今では、世界52カ国以上、500カ所で様々な言語で語学研修を運営しています。EFの創業者であるスウェーデン人のバーティル・ハルト氏も本社のあるスイス、ルツェルンからボストンまでやってきました。彼が1965年にビジネスを始めた時はまだ学生で、ビジネスを始めた為に大学を中退しています。彼自身、ディスレクシアで(学習障害の一種、識字障害、読み書きに困難をきたす)言語を習うのに苦労し、文化を知る事が言語を習う近道になるということを経験したことがこのビジネスを始めた動機だったようです。
その後、EFは着実に大きくなりました。彼はアーサーD.リトルを2003年から、ハルトビジネススクールとして育て始め、現在世界に5つのキャンパスを抱えるまでにもなり、クリントングローバルイニシアティブとともに、社会起業家を育てるハルトプライズも運営しています。

ボストンはアメリカの西海岸よりも、ヨーロッパの影響を強く受けていると思いますが、建物に限れば、イギリススタイルが色濃く、飛行機から見た時、”レンガ色”がとりわけ目をひきます。そのなかで、ヨーロッパモダンなものは目立つのですが、このEFの建物も、このエリアでは新しいランドマークになるでしょう。

賞金100万ドルをかけたHult Prize、 チューインガムがスラムの健康を守る!

賞金100万ドルをかけた第5回のHult Prize(ハルトプライズ)の地域代表を決める選考会が3月8日、にボストンのサイエンスミュージアムで行われました。

Hult Prizeというのはハルトビジネススクール 主催で行われ, 世界の問題を解決する為に優れたアイデアを提案する社会起業家を目指す人達に贈られる賞です。ハルトビジネススクールがある、ボストン、サンフランシスコ、ロンドン、ドバイ、上海で、このコンテストは同時開催されます。それぞれの地域から代表1チームを選び、7月、8月にハルトビジネススクールで行われる6週間の特別コースで、トレー二ングをつみ 9月の クリントングローバルイニシアティブで、最終プレゼンをして、最優秀のグループが世界の貧困問題を解決する為に、賞金100万ドルを手にします。

この賞は、世界の貧困問題、環境問題、教育・自然災害への救済などに関して、問題解決を探る、ビル•クリントン氏の呼びかけで始まったクリントングローバルイニシアティブと連携しており、クリントングローバルイニシアティブから提案された今年のテーマは、2019年までにスラムに住む2500万人の人達を慢性疾患(循環器系の病、癌、糖尿病等)から守る為に何ができるのか、ということでした。この背景には世界中で2億5千万人のスラムに住む住民が慢性疾患に苦しんでおり、現在行われている方法では問題が解決できていないそうで、世界中での社会的、経済的費用は2030年までに47兆ドルにもなってしまうとの試算があるということがあります。

今年で5年目になるこのハルトプライズですが、150カ国から10800人が参加して、この問題を解決するアイデアを提案しました。

ボストンでは事前に44チームほどがビジネスプランを提出し、その中から4チームが選ばれて最終のプレゼントをしました。

去年はスラムにどうやって食料を供給するのか、ということがテーマでした。ちょうど1年前このイベントでプレゼンをし、最終的に100万ドルを手にしたカナダ、マギル大学のチームでスラムに食を供給する為に、コオロギを粉末にして、食料にするということを提案したグループの代表がスピーチをしました。
”1年前ここに立った時は、これで1億円がもらえるかもしれないんだ、すごい、と思っていたけど、1年たってみて、ソーシャルアントレプレナーシップっていうのは本当に、自分たちの為にお金を稼ぐのではなく、人の為に働くことなんだってことがわかりました。”と言っていたことが印象に残りましたね。

今年は、ジャッジによると、モバイルを使って解決策を提案するものが多かったそうです。スラムといっても、食料がなくてもモバイル普及率というのはかなり高くて、地域によっては90%以上もあるそうです(一日の給与が2ドル以下なのに、モバイルはあるというのはなんだか不思議な現実だと思いましたが。)

4つのチームが選ばれてプレゼンをしました。
衛生面をよくする為に、まずトイレとシャワーを供給し、それを起点に医療とつなげるという提案をした医者のグループや、モバイルを使って、ただで診療がうけられるようにすることを提案するグループ等がありましたが、最終的に選ばれたのは、一番シンプルなアイデアを披露したグループでした。

彼らは”健康”といってもそのなかで虫歯に焦点をあて、虫歯を防ぐことで、健康を維持するというアイデアを披露しました。
病気になった人を助けるというアプローチではなく、病気になることを防ぐというアプローチです。
スラムではそもそも、歯磨きをするという習慣がないという現実があります。生活習慣を変えるのは難しいとしても、ガムをかむなら、みんないやがらずにしてくれるということで、それなら、歯磨きガムを配って歯を磨くかわりにしてもらおうと考えたそうです。
そして、ガム自体は簡単に作れるので、現地の工場と協力し、その地域にガムを作るという産業を作り、また地域の女性達にセールスウーマンとして仕事を提供しながら、広めていくという考えでした。

貧困層の問題を解決するときに、近代的なビルの中でアイデアをねっても実現可能性のあるアイデアはでにくいものです。そもそも、都会にあるような基本的なインフラさえないところなのですから。そこで、1年間貧困地でボランティア活動をしたとか、NGOで働いた経験がある学生達、又その地域の生活をよく知っている若者達が、本当の問題点や実現可能な解決策をねっていきます。

プレゼンをする人たちも、様々な分野の学生やMBAの学生達、医者、実際にスタートアップをやっている会社経営者から、社会起業家まで、様々な人が参加するこのコンペティション。
多数の人がみて、ジャッジをするプレゼンテーションの場合、ビジネスの中身はともかく、話し方、ユーモア、そしてプレゼンする人が人にすかれるタイプの人なのか、というのは意外に比重が大きいと思いました。

まだニューヨークで行われる本戦までに時間があるので、細かい部分は調整されていくと思いますが、難しいことではなく、誰にでもわかる、簡単なプロセスなものが一番受け入れ易いというのは、去年のプレゼンの時も感じたことです。そして、それは営利事業でも非営利事業でも同じではないでしょうか。

社会起業家を目指す方々、是非こちらにどうぞ。
http://www.hultprize.org/en/

惜しくも賞を逃しましたが、医者の提案する解決策もありました。

惜しくも賞を逃しましたが、医療関係者の提案する解決策もありました。

地域代表として選ばれたチーム

地域代表として選ばれたチーム