今年のブログを振り返って その2

...先日の『今年のブログを振り返って その1』からの続きです。

ー理系女子を育てる取り組みー
サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング分野(STEM分野)において、民間で成功している取り組み例をとりあげました。このNPOサイエンスクラブ フォー ガールズを立ち上げたのも、理系の母親達です。そして理系女子(お母さん?)代表のような原山先生による、ーあなたは理系女子?イノベーションを起こすための超『理系女子』論ーも紹介しました。母は強し!

ー増加するアメリカの大学中退者ー
一流の大学に行けないならいかないほうがいい、という意見もききますが、大学のレベルが高いほど、卒業する率が高いという現実を考えると、やはり、何が自分にあっているのかということを真剣に考えて大学選びをしたほうがいいということになります。

ー様々な差別をどうのりこえる?ー
日本で生活していると、それほど差別ということを感じませんが、外国にいると色々な ”差”というか” 違い” を感じます。これは自分がこれからも外国で住み続ける上で、重要だと、思っているポイントです。

それから『40歳以上の英語でビジネス勉強法 のシリーズ』である、
ーもし、あなたが40歳を超えていて、これから英語を使ってビジネスや起業に関わることを学ぼうと思っているのなら...ー
このシリーズはブログを始めてすぐにかいたエントリーでしたが、いまだにアクセスが多いです。勉強はいくつになっても始められるものですよね。

さて1年を振り返りましたが、全体としてはやはり教育、大学関連の話にアクセスが多かったのかなあ、という感じでした。教育はとても大きいテーマです。
来年もまた、色々な話がお伝えできるといいな、と思っています、よろしくお願いします。

あなたは理系女子?イノベーションを起こすための超『理系女子』論

リケジョを超える、ハイブリッドなリケジョ?
総合科学技術•イノベーション会議有識者議員で東北大学名誉教授、レジオン•ドヌール勲章シェバリエ(フランス政府から授与される最高勲章)を受賞された原山優子教授による“あなたは理系女子?”という本があります。


あなたは理系女子? (イノベーションのための理科少年・少女シリーズ)

原山先生は14歳でフランスに渡ってから、その後大学では数学、スイスの大学で教育学、経済学を学び、イノベーションにおける大学の役割を研究することを専門とされている方です。
文系と理系の双方に精通している方で、そういう意味ではハイブリッドなリケジョともいえるのではないでしょうか?

この本では 前半は理系女子へ、又、理系女子を職場に持つ方々、理系女子をどのように育てるのか、ということについて書かれていますが、後半では、自叙伝風にその知識や知恵をどのように実際の人生の中で活用してきたのかということが書かれています。

その中で私が特に共感したのは以下の点です。

•“リケジョ”といっても、先生が経験上感じてきたことは、性差ではなく、むしろ“異なる価値観をもつ人”に対する組織の寛容性が低いこと。

•ロールモデルは必ずいたほうがいいというよりも、あくまでも可能性の判断材料や挑戦の対象であること。

•人とのつながりを大事にする事。

•感じる力を大事にする事。

•イノベイティブな人は文系と理系の精神が同居する人

•高校教育のありかた(大学入試のありかたを含め)を考える。

先生はフランスでバカロレア(高校終了試験)をとってから、フランスの大学で数学、その後、スイスで教育学、経済学と学ぶ国も、研究分野もクロスオーバーしているという“異分子”。日本人は一般的に、”普通でない”ものは苦手ですが、多様な価値観を受け入れるということはそこからイノベーションが始まりうる大事なポイントです。

大学入試のスタイルや高校卒業試験のあり方というのを考えるべき、(高校時代の勉強の仕方を考える)との提言をされていますが、それは今までのような、文系、理系にわけた分類(大学入試も、就職も)から高校時代に、もっと幅広い教育に切り変えてはとの話です。これは先生がヨーロッパ生活が長いということの反映だと思いますが、現状の日本はどちらかというとアメリカに近い形で本来、ヨーロッパの高校時代に学ぶことを大学の1、2年でしているため、アメリカや日本の高校を卒業しても、そのままヨーロッパの大学に入学することは難しいという現実があります。

原山先生はお子さんが3人おられてキャリア的にもずっと、第一線を走っていたわけでもなく、幼子を抱えていた時は家庭を大事にされていました。
人生の中で優先順位をつけつつも、その時にできることを精一杯するような、生き方はこれから研究職を目指したり、小さな子供を抱える方達にとっては参考になることが多いと思います。

とても60歳をこえているとは思えないほどチャーミングな原山先生。
研究職に性差はないといっても、その人柄のかわいさ(! )がやはり人を惹き付けるような気がします。

日本ではイノベーションがおきにくい、といわれますが、イノベーションを起こせる人材をどうやって育成していくのか、という知恵がはいった1冊と言えるのでないでしょうか。

参考記事:
OECDの学習到達度調査 PISA 2012からわかること
理系女子を育てる取り組み

理系の女性の管理職が少ない理由

ボストンにおいても、STEM(サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、数学の頭文字をとったもの)分野での企業における、マネージメントについている女性が少ないとの報告が11月3日のボストングローブ紙でとりあげられていました。

記事ではこれが大学レベルでは沢山の女性がいてもマネージメントになると、女性が減ってしまう、ということはどこに原因があるのか、を探っていました。

まず、高校のレベルでは男女ほぼ、同じ比率で数学やサイエンスをとっているのですが、これが大学になるとSTEM分野を専攻している女性は全体の三分の1に減ってしまいます。職場レベルになると、ハードウエア開発や電気工学のエンジニア、システム開発の分野では25%以下が女性になります。
とにかく、女性のロールモデルが少ないのです。また、多くのエンジニアリング会社には女性がいません。

女性がマネージメントにつかない理由として、まず、自信がない、ということと、男性は自分から積極的に売り込みにいきますが、女性はだれかがはい、どうぞ、やってみてね、といわれるまで待っているタイプが多いそうです。意識改革が必要だという分析です。

一方日本、平成23年度にだされた山形大学による、”理工系大学・学部における女性学生比率と大学の構造”という報告によると、大学では理系の女性は10〜20%、ただし、女子大では30%を超えているところもあるとのこと。理系の中でも、女性の比率が多いのは”生”がつく学部だそうです。
例えば、生物、生命科学、生活〜。10%切る学部は”工”がつくもの。そうそう、電気工学を先攻した友達は、クラスに女子は一人だったといっていました。ある意味、パラダイスな感じもしますが(笑)
”生“ がつくものに女性がひかれるというのは、すごく自然な事だと思います。女性は生んで、育てる生き物ですから。

面白いのは、今時、専攻を特に選ばず、そこそこの大学でいいのなら、現役で大学にいくことはそんなに大変ではないであろうと、想定されるのですが、理工にいく女子は浪人をしてもいく、という傾向にあるそうです。男子の場合、就職がいいからとか、何となくという理由で理工にいく学生が多いのに対し、女子は明確な目的があって、勉強する。ということは想像するに、理系女子というのは相当、やる気があって、モティベーションが高いのではないかと考えられます。

2013年の9月に発表されている経団連の女性の活躍支援・推進に関する 企業の取り組み事例集という報告の中で、大手企業が女性の管理職を増やす為に実際にどんな取り組みをしているかをまとめているのですが、そこでわかるのはそもそも、理系ということ以前に、全体の中での女性の管理職が圧倒的に少ない中で、(会社自体に女性が多い職場の場合は別として)まず、出産後の復帰してもらうための環境を整えたりして、離職率を減らす、ということを努力したり、分野を問わず女性の管理職そのものをあげる為に努力している段階だということです。

ここで思うのが、個人の能力以上に、女性と男性というのはそもそも、身体的機能や社会的に期待されている役割も違うのに、今の ”会社” という男性が作った仕組みの中で、女性がそれなりの地位を築いていくのには、男性以上の実力と、周りのサポートがかかせないのは当然と言えば、当然という気がします。ただ、必ずしも、全ての企業で女性の比率をあげればいいということではなくて、男性が力を発揮しやすい分野、女性のほうが向いている分野があって当然だと思うのですが。。。実際、女性が経営者の会社の場合のほうが、女性が働きやすい環境は整いやすいと思います。簡単にいってしまえば、女性の起業率が増えれば、女性の管理職の数も、自然に増えていくのかな、と想像します。