無料で、大学講演を行う事はヒラリー•クリントン女史にとってはハードチョイス??

ヒラリー•クリントン前国務長官が次の大統領選にむけて着々と準備を始めています。

先月、出版された本 “Hard Choices(ハードチョイス)” のサイン会がボストンの書店でも行われ、1000人ほどの人が購入した本に直筆のサインをしてもらう為に、数時間並びました。私はあまり政治的なことには興味がないのですが、どうしてもサインいりの本が欲しいという人に誘われて、3時間近く一緒に並ぶはめになりました。ディズニーランドでもこんな並んだことないので生まれて初めてですね、これだけ並んだの。雨降らなくてよかった。

待っている間に周りを見回すと8割は女性でしょうか。若者から、年配者まで幅広くいました。熱烈な支持者がいるんだということはよくわかりました。もちろん、クリントン女史はマサチューセッツ州にある名門女子大、ウェルズリー大学の出身ですし、民主党が強く、インテリ層の多い、ボストンですから人気があるというのはわかります。ここまで並ぶ人はどんな人達だろうと前に並んでいた人と話をし始めると、彼女はもと、マサチューセッツ州議員で今は政治家をやめ起業家として、通信関連事業をヨーロッパを中心に展開しているとのこと。私と一緒にいた友人が、”あー、その会社の宣伝みたことある”といっていたので、市場にも広く、浸透している会社なのでしょう。“娘が作家なんです”といっていた、初老の夫婦や、若い女子学生達もいました。

待った甲斐もあってか、クリントン女史も超VIPの割には、ちゃんと一人一人に普通に話してくださって、さすがに力強さは感じましたが、イメージ通りの方でした。それにしても有名人って本当に大変ですね。。。

ヒラリー•クリントンさんのサイン

ヒラリー•クリントンさんのサイン

さて、今朝のボストングローブ(7月3日)にはクリントン女史が大学でスピーチすることで数千万円規模の収入を得ているという記事がありました。
高等教育の学費が高騰している中、いくら、彼女のスピーチ代金は学生の学費からでなく、寄付金でまかなわれているといわれても、その寄付金があるなら、授業料をあげないで欲しいという声がでてくるのは仕方のないことだと思われます。アメリカの大学は同窓生から多額の寄付金を集めていますが、その大きな部分が、一部の人の手に渡る事を面白くないと思っている人達もいます。

少なくとも8つの大学が(公立含む)昨年には数十万ドルを払っています。いくら払ったか明らかにしていない大学も多いものの、例えば、コネチカット大学は4月に25万ドルほど(2500万円くらい!)、UCLAは30万ドルほど支払っているそうです。1スピーチが20万ドルと計算しても、過去9ヶ月の間に180万ドルの収入はあった計算になります。去年国務長官を辞任してから、彼女は様々なところでスピーチを行っていますが、教育費用の高騰が問題になっている中、大学での高額スピーチに非難の声があがっているようで、費用の返還を求める学生の声もあがっています。複数の大学は、支払いはノンプロフィット団体のクリントン財団にいっているといっています。ブルーンバーグによると2016年の大統領選をにらみ、クリントン夫妻が私人から再び公人となれば利益相反が発生する場合があることからも、クリントン財団の寄付金集めが急がれており、10カ月で2億ドル(約205億円)の寄付を集めたとのことです。

クリントン財団はソーシャルアントレプレナーシップにも力を入れている団体ですが、大学側もクリントン女史もこのへんのお金の流れをはっきり説明しないと、新たな敵を作ってしまいそうです。


Hard Choices

”忘れられる権利”を守る背景を考える

ネット社会ではちょっとグーグルすれば、色んな事がすぐわかりとても便利です。
ニュース、知りたい会社のこと、レストランのこと、人や商品、サービスのこと、オフィシャルに発表されたものだけでなく、他の人がどう思っているか、いい事も悪い事もすぐわかります。(もっともそれが正しいことかどうかは別の話ですが)ゴシップやネガティブな話は長く記憶に残るけど、学術研究論文の内容はすぐ消えるかもしれません。

そんな中、16年前に所有していた自宅が競売にかけられたスペイン人男性の記事が、その後債務を完済した後も残り、自分の名前でグーグル検索するとでてくるということで、リンクから検索結果を削除することを要求していた件で、今年の5月に欧州司法裁判所が”忘れられる権利”を認め、(アメリカでは認められていない)インターネット上に掲載された個人情報の削除を認めました。

結局、グーグルの敗訴、という形になったのですが、この話を読んで、アメリカ人と西ヨーロッパ人のメンタルの違いや価値観の違いというのもかなりあるのかな、という気がしました。
大きな点は、”個人”の権利やプライバシーというものに対しての考え方や価値観の違い。
アメリカでは様々なソーシャルメディアが生まれ又、かなり普及していますが、ここまで発達したのもアメリカ人の広く浅く、沢山の人と、オープンな付き合いをし情報を共有したり、ネットワーキング活動が盛んであるということが背景にあるように思います。一方、保守的な西ヨーロッパ人は本来、誰とでも広く浅く付き合うことを、あまり重要視していません。(逆に、ソーシャルメディアの影響で、そういう付き合い方も増えてきているのかもしれませんが)有名人でも比較的プライバシーや個人の生活が守られる、又暴露されたところで、まわりも ”だから?そもそも自分には関係ないし。”という空気があるように思います。

又保守的な西ヨーロッパでは一度経済的に失敗してしまうと、やり直しがききにくい、という点もあります。
例えば起業という側面をみてもアメリカは失敗できる国。アメリカでは起業家は失敗しても、また再チャレンジができますし、失敗から何かを学ぶということが尊ばれます。しかし、ヨーロッパでは失敗は信用を大きく損なう危険があり、(日本も似たような感じだと思いますが)失敗はしにくい。だから、その後事態が改善しているのにもかかわらず経済的にネガティブな記事が残ってしまうと、色んな意味で影響も大きいのではないでしょうか。

今回は法律的な側面から “忘れられる権利” を守るという結論になりましたが、これをテクノロジーの側面からアプローチするという動きも進んでいるようです。
大量の情報を覚えておくというのは有用なことですが、データを忘れないでどんどん溜め込むことは、かたずけられない人のようなもので、結局大事なものを見つける事ができなくなる可能性があります。その点を解決するための取り組みがドイツで始まったForgetIT というソフトウエアのプロジェクトです。その基本的な考えは時間とともに、ユーザーが何が重要で何が不要なのか、 “忘れることを管理” するということだそうです。

それにしても個々の事例で、忘れてはいけないことはありますが、人は忘れるから前に進めるという側面もあるように思うのですが。。。

大学入学は子離れ、親離れを促進させる?

この時期、アメリカの学校は卒業式も一通りおわり、夏休みに入り新学期にむけての準備が始まります。

大学新入生の親の為のオリエンテーションがボストンカレッジで行われたとの記事が新聞の1面にありました。ボストンは大学が集中しているせいか、教育に関して親も意識が高いことの表れなのですが、親掛かりでなんとか子供が大学進学が決まった時に、親も一緒に進学する気になっている場合も多々認められるのでしょう。
大学内(寮含む)で問題になっているあらゆる種類の暴行事件やドラック問題が親を更に子離れさせにくくさせているようです。

今ではほぼどこの大学も子供が入学する前に親に対するオリエンテーションを行うようになって、その出席率は8〜9割にものぼるそうです。”沢山の親が自分の子供を通じて自分の人生を歩んでいる”とボストンカレッジのオリエンテーションプログラムのダイレクターはいいます。
大学側も以前はなんとか親を子離れさせる為に距離をとりなさいとか、連絡を頻繁にしないほうがいいといっていたようですが、最近はソーシャルメディアや携帯電話の発達によって、子供と親の関係がより近いものになって、単に距離をとりなさいというアドバイスは、必ずしも適切ではなくなっていると主張する大学もあります。
ソーシャルメディアにつながり、子供がキャンパスで経験していることを自分もその場で経験しているような気になり親が逆に安心するのです。

入学してしばらくはほっておきなさい、という大学、あえて無理して離れる必要がないという大学、結局、その子とその親ががそれまでどういう生活をしてきたかということにも関係がありそうですが、大学が親のメンタルの部分にまで気を使うというのは昔では考えられない事だと思います。

日本でも就職して初めて親元を離れ、一人暮らしを始めたものの、自分の洗濯物を宅急便で家に送り、家で洗濯してもらい、母親が送り返している、という人の話をきいて仰天したのですが、アメリカの大学は入学して1〜2年は寮に入ることが義務付けられている所が多くあります。これがある意味、子離れ、親離れを上手く促進させてくれる側面があるのでしょうか。

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