トラウマを消す方法

サイエンスフィクションが現実になりつつあります、少なくともねずみの実験では。

ここ数年のMITの実験成果は、別の記憶をうえつけたり、本当の記憶を再生させたりすることでしたが、薬と行動セラピーで以前に起こったトラウマを消し去る事に成功した、とMITの科学者が発表したことが1月17日のボストングローブにありました。

この研究はまだ人に活用できるものではありませんが、どうやって記憶が形成され、維持されるのかという質問に対する新しい洞察をなげかけるものであります。
MITのピカワー学習・記憶研究所の所長である、ツァイ先生はもともとアルツハイマーの研究をしており、2007年に失った記憶を再生させる試験薬を特定することに成功していましたが、それが心的外傷後ストレス障害を抱える人達にも使えるのではないだろうかと考え始めました。
ツァイ先生のグループは学習と記憶に関係する遺伝子を活性化するHDAC抑制剤と呼ばれている合成物の種類から治験薬をためしました。
心的外傷後ストレス障害を抱える人の治療で安全な状況下でひどい記憶を新しい経験で書き換えるというやり方がありますが、これはいつも機能するとは限りません。そこでツァイ先生は薬がこの有害な記憶を書き換えることができるのか考えました。
記憶喪失の場合にこの薬を使う場合は、長期間の使用になるので副作用が心配されますが、恐れのようなネガティブな記憶を消すのにはその心配はあまりなさそうです。

2013年にスイスローザンヌ工科大学のバイオ、ニューロエンジニアリング関連の大きな研究所(ヒューマン ブレインプロジェクト含む)がジュネーブにできましたが、そのイベントのスピーチで学長がこれからは、脳の時代になる、と発言されていましたね。(ローザンヌ工科大学というのは英語圏でない工科大学の中では世界トップ3に入る大学で、その影響力もかなり高い大学です。)

確かに、脳の研究というのはこれからますます進む分野なのでしょう。友人の、ニューロサイエンティストに ”人って考え方を変えたりすることで病気を治したりできると思う?”ときいたところ、”そういうことはあると思う、それが今、科学的に証明されようとしている過渡期だから、実際、病院には瞑想できる所とか、ヨガができる所があって、私達が自分たちで実験して効果を確かめているの。私は太極拳に興味があるけど” と冗談か本当かよくわからない答えがかえってきました。
今までは、スピリチュアルな部分と、科学がずいぶんかけ離れた場所にあったような気がするのですが、これからはこの差が縮まってくるのかもしれません。

脳トレアプリって本当に効くの?

脳トレのアプリは日本だけだと思っていたら、アメリカでもベビーブーマーに人気の高い商品だそうで、色々な商品があるらしいですが、専門家の間では、それが本当に有効なのかどうかは懐疑的でした。アメリカ国立老化研究所による全米2800人を対象にした実験についての結果、ある種の脳トレによる、効果というのは10年後まで、有効ということを1月13日のボストングローブでみつけました。

この実験では74歳の人たちを3つのグループにわけて、毎日60〜70分の脳トレー二ングプログラムを5、6週間うけてもらいました。

市場に出回っている大抵の脳トレはコンピュータ(機械)で行うものですが、この実験では
1つ目のグループには紙と鉛筆を使用し、文字と数字のパターンを使った推理問題にとりくんでもらいました。
2つ目のグループはコンピュータゲームでどんどん移り変わっていくスクリーン上で素早くイメージを区別するという能力をトレーニングしました。(情報解析のスピードをあげるためのトーレニング)
3つ目は記憶のトレーニング

1のプログラムを受けた人たちのうち、74%の人たちは10年たっても、能力は衰えていませんでした。
2つめのコンピューターゲームをした人たちの71%は10年後も同等レベル、しかし、記憶のトーレニングに関しては、専門家にもどうしてか理由はわからないのですが、トレーニングしても、しなくても結果は一緒、という結論でした。
又、この実験の参加者のうち60%は10年後も、買い物をしたり、お金のことを取り扱ったり、食事の準備をする事といった毎日の事に問題を感じていないそうです。

この実験で行われたテストの一つ、情報処理のスピードをあげるテストをPosit Scienceという会社が買い、プログラミングし直したバージョンを作りました。サイトでは無料のトライアルができるようです。(英語の練習にもなるかもしれません!)

この結果は痴呆にならないということではなく、脳トレには痴呆になりにくくする効果がある、ことが実証されたということになります。
寿命がのびて、早くリタイヤされた人が、健康なのに、頭がぼけてしまうと、周りも大変、という事もあるのでしょう。
実際に困るのは、認知能力や、情報処理能力が衰える事で、自立した生活が行えなくなり、介護費もかかるという点らしいです。

結果をみると、クロスワードパズルとか、数独というのは脳トレには最適なのでしょうね。鉛筆と紙を使うという部分がポイントです。ということは、数学の先生は頭がぼけないでしょうね。そのうち、デイケアセンターが塾のように、なってきたりして。。。

2014年はソフトウエア、ウェブ関連のIPOが目白押し

2013年はバイオテックの一年でボストンのバイオテック関連の企業10社がIPOをしました。
今年はソフトウエア、ウェブ関連のIPOが続きそうです。少なくとも、ボストンエリアの12のソフトウエア、ウェブ関連の会社がIPO予定です。
その中には、ホームグッズ販売の Wayfair LLC、ペットケアと在宅介護のCare.com Inc、アーバンストリートウエアをうるeコマースのKarmaloop Inc.等があります。

また、ボストンの会社以外でもクラウドサービスのDropbox、オンラインの不動産会社 Redfin、モバイルのソフトウエア会社 Good Technology,、モバイル決済のSquare、中国のeコマースアリババグループと、大きなIPOが控えています。

スタートアップへの評価と投資家の関心が急上昇していますがこれはまるで1999年のアメリカのITバブルを思い起こさせる状況のようです。

遺伝子検査の現実

去年、アンジェリーナ • ジョリーが乳がんのリスクをおさえる為に、乳房切除手術をしましたが、その決断をさせた、遺伝子検査。世界中の女性がこの報道にはぎょっ、としたと思いますが、こういった遺伝子検査、12月30日のボストングローブにはライフサイエンスの科学者の中でも、適正な使用方法に関して一致した見解を示せていない、という話がありました。ヒトゲノムが解析されて10年たっても、まだ、遺伝子検査は主流になっていません。テスト費用は依然として高価で、保険の対象外だということ、テストのことをよく知らない人もいれば、テストをして、もし不治の病をみつけてしまったらいやだから、知りたくないという人達もいます。

その中で限定的な使い方、例えば、ダウン症診断や、ガン治療の為の遺伝子診断といったものは広まりつつありますが、ヒトゲノムの全解析には$5,000 から$10,000かかります。遺伝子の変異の意味がまだよくわからないことや、診断はできても、治療ができないということもあること、一部の専門家にいわせると、検査はまだ高額な金額をだすのに値する物ではないといいます。現状では検査を絶対した方がいいという根拠がない。

このように、大多数の人にとって、現時点であまり意味のないゲノム検査ですが、今年からボストン子供病院でうまれる乳児480人のうち半分に対して遺伝子解析を、残りの半分は通常通りの乳児検診を行う予定だそうです。これは5年計画の研究になり、遺伝子がどのように乳幼児期の段階における治療とその結果に影響するのかを調べるそうです。これは子供によっては、一部の抗生物質を使用することで難聴をひきおこしたりする可能性があるので、薬を安全に処方するためにも、調査は役に立つ可能性があるといいます。しかし、このようにはっきりとわかるケースはまだ少なく、まだ、不明瞭なことが多いのが現実だそうです。

一方、Editas Medicine というケンブリッジのスタートアップは不完全なDNAを修繕する技術を開発しています。遺伝性の難病であるハンチントン病や鎌状赤血球症等、今まで治療法がほとんどないものにも新たな可能性が開けているようです。

約250の病気を検査すると言われているサンディエゴの23andMeという会社が行う99ドルの唾液検査は11月FDAによって販売禁止にされてしまいました。米国臨床遺伝学会は個人に完全なゲノム配列検査を推奨はしていません。ただし、家族に病歴があり、遺伝リスクの高い患者は考慮すべきで、以下のものは、遺伝子解析で明らかになる病気で、なんらかの処置ができるものだということです。
乳がん、卵巣がん、細膜芽細胞腫、内分泌腫瘍、心臓病

昔、”ガタカ”という映画があって、遺伝子によって職業が決まってしまう話なのですが、その遺伝子に対抗して、どうしても宇宙にいきたい主人公が、なんとかして、他の人と入れ替わり、思いを成し遂げる話です。結局、人は意思があれば、いろんな困難を乗り越えられるという運命以上の予感を感じさせてくれる話でした。

遺伝子解析は、病気の治療という観点もありますが、その他に、性格や、資質、体格等様々な情報がわかります。生まれた時に検査をすれば、この子は能力的にスポーツ選手になれるとか、なれないとかいうことが、わかってしまう。。。今の時代、昔と違って、絶対に家業をつがなければいけない人や、決まった職業に就かなければならない人は、少数派であり、大多数の人には職業選択の自由があります。それによって余計に何をしたらいいのかわからない人は将来的に、職業適正調査として遺伝子テストをうけたり、会社によってそういうものを採用する所が現れたりということがありえるかもしれません。もしくはそういったものを規制する法律が整備されたり。。
それでも、人には可能性があるということ、それが夢でもある、という部分は壊したくないですね。

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読者が選ぶ2013年のボストン健康関連の話題トップ10

2013年は ”健康” の年といえるほど、健康関連の話題が新聞をにぎわせた1年でした。
ボストングローブの読者が選んだ健康関連の話題トップ10について発表です。

第10位  アンジェリーナ・ジョリーの乳房切除手術
遺伝子診断で、母親と同じ乳がんのリスクを持ったアンジェリーナ・ジョリーが、発症する前に、乳房切除手術を受けました。

第9位  ベスイスラエル病院がボストンマラソン爆弾犯人容疑者を治療

第8位  マサチューセッツ州の100機関で医療用のマリファナ使用の申請
2014年からの医療用のマリファナ使用の合法化に伴い、11月の申請期限までに100の薬局が申請してます。
初年度は35機関が認められる予定で、各州最高5機関までの予定。

第7位  米国医師会は、肥満を病気と分類
肥満が病気と認定されることで、肥満を予防する為に、胃を小さくする手術やカウンセリングにも保険が適用されることが期待されます。

第6位  新しい高血圧への薬物投与のガイドラインは、論争を引き起こす
60歳以上で高血圧の人への薬物治療について、10年前に出された指針では140/90mmHgでしたが、12月にだされたガイドラインはレベルが150/90mmHgに達するまで、医者が薬物を処方しないよう勧めています。

第5位  オバマケアに関する 州と連邦政府の保険交換が発表

第4位  アメリカ食品医薬品局が硬化油(トランス脂肪酸)を禁止しようとしている
11月、食品医薬品局が人工的に製造された脂肪を禁止しようと提案、電子レジで作れるポップコーンや、パイ皮、ビスケット生地のようなものでトランス脂肪酸を含むものはスーパーマーケットから消えるかもしれません。

第3位  ボストンマラソンのゴールラインで傷を負った人を救った病院
ボストンマラソンの爆破事件で、多数の人が傷を負った時、多数の病院も混乱に見舞われましたが、ボストンの主要な6つの外傷センターでは(特に重傷患者を扱う)危機に対応する体制が確立され、全米規模で彼らが学んだことを共有するようになっています。

第2位  ボストンマラソン爆破事件の被害者の治療と回復

第1位 不具合発生のHealthcare.gov(オバマケア)サイト
36の州で何千ものアメリカ人がサイトにアクセスしようとしたので、サイトに不具合が生じた話です。

やはり、今年の関心はオバマケアとボストンマラソン爆破事件でした。
ボストンに健康オタクが多いのは、健康がどれだけ、価値のあることなのかを知っている人たちが多くいるからなのでしょう。
ボストンマラソン爆破事件では沢山の悲劇がありましたが、ボストンは更に強くなったと感じます。暴力で人を傷つけることはできても、人としての尊厳は傷つけられないということを、ボストン人は再確認したように思います。