教育は貧富の差を縮める?

いい公立校があるエリアでは土地の値段や家の値段も高いです。そこで学校内の競争も高くなり、子供がいい成績をとることが難しくなり、いい大学に入るのが逆に難しくなるために引っ越しをする人もでてきます。そして教育熱心な家庭は私立に子供をいれたがります。。。
いえいえ、これは日本の話でなく、アメリカの話。

教育が、貧富の格差を減らす、ということが言われますが、実際はアメリカでも、子供の教育にお金をかけられる家とかけられない家の差が大きくなっているということ。2007年後半からのリセッション時、大抵の家庭が子供の教育にそこまでかける金銭的が余裕がない時に、10%の高額所得の家庭では(平均所得が$253,146の家庭)教育にかける金額が35%も増え、その差は5倍ほどにもなっているということです。
日本でもそうですが、家庭教師(塾)にいくらかけられるかで、テストのスコアがきまり、それでいい大学にいかせ、いい就職口へ、ということにつながると多くの人が思っています。そこで、費用をかけられる家庭とかけられない家庭の差が益々広がっています。多少無理してでもいい教育を受けさせたいという気持ちは、どこも一緒ということでしょうか。
アメリカ連邦政府のデータによると2007年から2011年の間私立の小学校、中学校(平均の授業料$28340)への入学者数は36%も増えたとのこと。
現実は所得格差が教育格差を広げるということに至っているようです。

日本もアメリカの大学のように、学費が親の所得と比べた場合、益々相対的に高くなってくるのでしょうか。

このままいくと、大学をでなければろくな仕事がないという状況になっているアメリカ社会ですが、とりあえず、いい大学に、という前に、少し、自分は何がしたいのか、何が向いているのか、ということを考える余裕があるといいような気がするのですが。。。
全ての人はそれぞれ違った能力があるはずなのに、同じ価値観で評価されてしまうのが残念に思います。

アメリカに30年近くいるドイツ人の友人いわく、”結局、いい大学にいって得するのは、最初の就職口だけ。そこから先が本当の実力。だから自分が本当に得意なことで勝負した方がいいのよ。” 

21世紀の大学の役割-STS フォーラムより-

毎年10月に京都で開かれる、 STSフォーラム(サイエンス•テクノロジー•イン•ソサエティ)という国際会議があります。
これは前安倍内閣において財務大臣も勤めた尾身幸次氏が創設した『科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム(STS フォーラム)』であり、今年で第11回目になるのですが、経済色が強い、WEF(世界経済フォーラム、ダボス会議)に比べ、科学技術色が強く、世界のその分野のリーダー達が集まる非常に中身の濃い国際会議です。科学技術の分野にいない一般的な日本人の中ではあまり認知度が高くないような気がするのですが、この会議、世界の科学技術の分野で日本が世界の方向性をリードすることに一役かっている非常に重要な会議だと思われます。

会議の中では、色々なテーマについて(エネルギー、環境、人口、資源,IT問題、教育等)討論されるのですが、その一つが『21世紀の大学の役割について』というものでした。
ファシリテータはハーバード大学応用物理学部の学部長、スピーカーはノースイースタン大学の学長、下村文部科学大臣、ドイツ連邦教育研究省事務次官、名古屋大学学長です。
それぞれの国、大学の立場によって状況が違うということがあるものの、教育というものが情報を得ることと、得た情報を使って何かしらの結果をだしていくという2つの柱からなる中で、特にそのアウトプットの部分にこれからいかに重きをおいていくのか、ということはどの国でも共通した認識だったような気がします。

日本の場合外国にでる学生数、外国から日本に入ってくる学生数を2020年までに倍にする計画があるとのこと。
ノースイースタンは大学からの起業を重視していて、失敗するなら早くして、又すぐにスタートしたほうがいい、と産業界を非常に意識した教育を進めている感じです。(余談ですが学長は2011年マサチューセッツ州内では一番高額である300万ドルというサラリーをもらっているほどですから、ビジネス色が強いのかもしれません)
アメリカの問題は、大学の費用が高すぎる、ということが質問者からでたのですが、ハーバードでは実際は8割の人がファイナンシャルエイドをもらっているとのこと、それに対して
ドイツでは国立大学の学費はほぼただ(ドイツ人の場合)ですが、それでも生活が苦しい場合、奨学金が月600ユーロ程度もらえる可能性があるということ。又、大学に行かなくても職業訓練制度が充実しているという特徴もあります。それぞれの国での教育の位置付けの違いというのを明確に感じますね。

日本の場合、日本に学びにくる学生を増やすというのはとてもいい政策だと思います。
というのも、アメリカでも現在40代くらいまでの人だと、学校で日本語が学べたとか、学校以外でも日本語を選択したとか、日本との取引が多かったり、日本のテクノロジーを勉強する為に日本に行ったという話をよくきき、日本びいきの人達というのがいるのですが、その下の層になると、漫画やアニメ、ゲーム世代が日本カルチャーが好きで、日本に興味をもっていても、実際ビジネスという話になると中国の方を向いている感じがします。ボストン周辺の学校でも現在、中高生が中国語を学べる機会はものすごく多いのに、日本語が学べる機会は減ってしまっています。将来的に日本を理解してくれるファンを増やす為には日本に来てもらうということはとても重要な事だと思いますね。

stsforum edu

手書きと記憶の関係

Tufts Nowによると、小さい頃に手を使って文字を書く事で読解力が改善されるということがわかったという研究があります。手で書く事によって書いた情報を脳が覚えていることを助けます。大きくなった子供にとってもキーボードを使って書いたり、他の電子機器でかいたりするよりも手でかいたほうが、ものを覚えたり、学びの効果が高いそうです。
未修学児がタブレットのスクリーン上で指を動かす事が簡単にできたとしても、効果的にキーボードを使い、入力するにはまだ指の動きが発達していないということもあります。キーボードで入力するということが発達的見地からみても8、9歳からが妥当であり 、10歳くらいで問題なく指を動かせるようになるということ。
しかし、手書きの効果は大人になってもあり、例えば、買い物に行く前にリストを書いてもっていくのを忘れた場合と、携帯に入力して、その携帯を忘れた場合では、記憶に残っている可能性は明らかに手書きをした場合の方が高いという結果もあります。

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私個人的には覚えないといけないことは自分の手でかきますね。たぶん、紙の本を読むというのもそれに近い行為のような気がしますが、重要なところに線をひいたり、それを書き出したりする行為で、中身をもう一度理解し直すという気がします。
多分、書くということには、いろんな要素がはいっているのでしょう、自分でかくと毎回字も微妙にかわりますし、その時の感情とかも、はいってくるように思います。 字を書く事は絵をかくことに通じているのかも。。。

参考記事:
記憶に残るのは手書き?それとも、コンピュータ入力?

日本の学校が求めているグローバル人材って何?

久しぶりに会った中高生の子供の母親である友人が夏休みに日本の学校の帰国子女説明会(子供を日本の学校に編入させたい)にいってがっくりしたという話。

”学校側はね、表向きは外国に住んでいた子供たち大歓迎っていうのよ。グローバル人材を育てるとかいって。でもよく話をきくと、元々いた学校に戻るにしてもテストはされるし、(テストの結果が悪ければ戻れない)英語力以上に、日本の学校レベルの数学や日本語力がとわれます、っていうのよ、でもね、子供達は英語の環境になれて、英語で授業が問題なくこなせるようになるのに、最低でも2年はかかるのよ。子供によっては3年以上かかるかもしれない。しかも、中学、高校レベルって日本の学校だってそれなりに難しいのに、それを英語でいきなり始めるんだから。それで、一生懸命、現地の学校になじめるように、人間関係も気を使って親も子もこんなに大変な思いをしてやっているのに、これにまたプラスアルファで日本の学校レベルの勉強もキープしろっていうのよ。しかも、受け入れ時期はきまっているし、学校によっては、試験日まで決まっているんだから!どこに住んでいると思っているのかしら?”

日本の学校が求めるグローバル人材像は日本社会と外国社会を上手くつなげてくれる人、ということなのでしょう。だから、日本を、日本語を理解してくれていることは前提条件になるのだと思われます。しかし本来グローバル人材というのは、国籍をこえたところで、活躍できる人だと思うのですが。。。実際、日本人だろうが誰だろうが関係なく、OOさんだからこの仕事を頼むと、しかも、外国の現地校で若い時に精神的にももまれて帰ってきた子供達は将来それができる可能性が高いのです。ある意味、外国で日本以上に厳しい戦いをしてきている場合があるわけですから。本来、帰国子女で語学ができる日本人は沢山いるというのに、国際社会で日本人のマネージャーが少ないというのはせっかく養った、外国で生き抜く力、競争力のようなものをのばしきれていないということになっているのではないかと思いました。日本人の枠をこえて活躍できることが、結果的に日本にもたらすインパクトが大きいということは近年のスポーツ選手の活躍をみていてもわかると思います。

せっかく限られた時間に外国にいるのだから、中途半端に両方をおいかけるのではなくそこでないと学べないもの、そこで学んだものをみてほしいと外国に住む日本人の親子さんは思っているのではないでしょうかね。逆にいえば日本にいる間は、日本にいるからこそ学べることをするべきだとも思いますが。

そして学業だけではなく、人間関係も難しい年齢。帰ってきた時の学校側の柔軟性がない為に、企業が人を海外に派遣をする場合も、多くの家族は家族で赴任するかどうか、迷うといいます。しかも日本の企業には、転勤が決まった時に行かないという選択肢はほぼない、という現実を考えると、なかなか家族に優しい環境とはいえません。そして、最終的には、父親が一人、単身赴任をするということになり、これがいいのか、悪いのか。。。

企業の利益と労働者の利益の両立

”リッチになっていい生活をしたければ、起業しなければ不可能だ”、という事をアメリカ人が言うのをききます。

起業した人や、高給取りの経営者に大半の平均的労働者が搾取されてしまう、という危機感。これは企業にとってはまるでいいことではない、企業が成功する為には労働者に追加の教育やトレーニングをして平均的な従業員の満足度を、生活のレベルをあげる事が必要であり、企業の成功と労働者の成功を両立することが、グローバルな社会でさらに企業が競争力つけることに貢献するというハーバードビジネススクールの研究が発表されました。
教育、職場での訓練、輸送インフラを改善することで米国の将来的な競争力は増すと考えています。(ボストングローブ9月9日)

この研究結果はポーター教授、リブキン教授が2013-14年にハーバードビジネススクールの卒業生2000人にグローバル社会でのアメリカ企業の競争力、そして今後の見通しについてアンケート調査したものに基づいています。

回答した40%の人達が、CEO、マネジーングダイレクター、創業者であり、この3年間でアメリカ人の給料があがると思っているのは27%の人たちであり、41%は下がると思っていました。31%の人達はアメリカ企業がこの先もっと競争力がつくと思い、難しくなると思っているのは26%です。

“経営者は企業の見通しには楽観的ですが、従業員の賃金や、利益には悲観的です。しかしこれでは持続性がありません。従業員の生活が上手くいかないと、企業も繁栄しないのです“と、この論文を発表したリブキン教授はいいます。

先週発表になったFRBの消費者の財政に関する調査によると、この3年間で平均的なアメリカ人の家庭の給料は4%あがったといいますが、その増加分はほとんど、高所得者にまわっているそうです。一方、典型的な家族の所得は5%減っているのです。($49,000 から$46,700へ)

しかしこの論文の共同著者であるポーター教授によると、賃金をあげることはそんなに簡単ではないといいます、なぜなら外国で製品を作る事はアメリカで生産するよりは安く、アメリカの労働者の生産性はこの数十年であがっていても他の国ではもっとあがっているからだといいます。

そこで教育(小学校から高校まで)を強化することや、ジョブトレーニングは生産性をあげて賃金をあげることにつながると教授はいうのです。

また、政府の政策、税法と、政治が悪いことが、他の国よりも競争力がおとる理由になっているとも考えています。

日本では逆に、起業した方が大変、というイメージがあり、サラリーマンでいるほうが生活が安定すると、思っている人がまだまだ多いとは思いますが、日本的経営が崩れ、近年のブラック企業の出現により、日本もそんなのんきなことはいってられなくなってきたような気がしますね。会社の競争力は個人の競争力の上に成り立っていると考えると、教育の継続性を痛感します。昔、スイスで失業していた時に、失業者向けにうけたコースで “教育はずっと続けないといけませんよ ”といわれたのを思いだしました。