アメリカでも活きる、和のリーダーシップ精神

マサチューセッツは学生レベルでもスポーツが大変盛んな場所ですが、先日名門ウィリアムズカレッジの女子サッカーチームが初めて全米優勝しました。ウィリアムズカレッジといえば、全米リベラルアーツカレッジの最高峰でアカデミックのレベルの高さでも有名です。アメリカの女子サッカーは、世界的にみても、相当強いのですが、そのカレッジレベルの女子サッカーチームを率いたキャプテンはなんと日本人(日系人?)の満山舞さんです。彼女は、幼い時から運動能力が高く、サッカーだけでなく、ホッケーも上手らしいですね。

その彼女がボストングローブでインタビュー されているのですが、サッカーチームのコーチが、『彼女はものすごく負けず嫌いですが、欲がない(利他的)』といっています。普通、負けず嫌いというと、自分が、私がという気持ちが強くでるように思いますが、これが日本人的特性もあるのでしょうか、チームで勝ちたい、全体として勝つために自分を抑え、利他の気を持つというある意味とても、日本的な感じがしましたね。日本の和の精神、に通じるものを感じました。そしてこの2つの対照的にあるような特性が一緒になることで非凡なリーダーを生んでいるのでしょう。

アメリカ生まれでアメリカ育ちの彼女は、”楽しまなければ上手くはならない”というスタンスのもとでサッカーを習ったと言います。

運動神経というのは、持って生まれたものがありますが、それも練習、訓練しなければ鍛えられません。その中で、苦しいシーンもたくさんあったのではないかと察しますね、それでも、コーチは ”楽しんでいるかい?” といつも、聞いていたようです。

少なくとも、自分の子供の頃は体育会でスポーツをして、全国優勝するようなレベルの人達は楽しいだけで、その競技をしているようには見えなかったのですが、舞さんのお母さんも、こういう環境で子育てができて本当によかったといっていました。

とてもいい形での、日米の文化の融合のように思えます。人を押しのけて自分を強く自己主張するのではなく、チームの中でも、自分の役割をたんたんとこなし、和の精神でまとめあげる、という形のリーダーというのが、世界でも十分通用することを証明してくれたんではないでしょうか。

かわるSAT試験

全米の多くの大学(学部)を受験する時に願書に提出する必要があるSATテストが来年から、テストの内容が変更になることになりました。従来のものはかなり難しい英単語(普段は全く使わないような言葉も多い)に、間違った回答は減点、小論文等、受験対策をしないと高得点をとるのがなかなか難しいテストでしたが(SATではなく、ACTを受験する人たちが確実に増えている)この3点を改良して、来年度からは新しいSATが始まります。

一方そもそもSAT 自体を重要視する大学が減ってきているという話があります。大抵は小さめな私立の大学ですが、今年はいくつかの州立大学も願書にテストのスコアを出す必要がないという方針に転換しています。従来のSATは、ある意味、コツをつかんで勉強さえすれば、点がとれるテストともいえたわけですが、そのためには塾に行ったり、先生についたりする学生も多く、その余裕のない家庭ではスコアをあげることは難しいという現実もあったようです。とはいえSATスコアが高くても、GPAがそれ相応でないと、いいところには合格できなかったりと、普段の成績とのバランスも重要です。しかしGPAは学校のレベル全体が高ければ、高いGPAをとるのは難しくなりますが、SATのような統一試験はアメリカのどこでとっても一緒なので、比べやすいとはいえます。ダイバーシティを重んじる大学ではテストの点数よりも、エッセイや普段の学校での成績や、推薦状、課外活動等で判断するというわけですが、点数できらないということは、どのように学生を選考するのかその判断は大学によって違いがでて、ある意味それが大学のカラーになるのでしょうね。

ただ、大多数の学校にとっては(8割以上の学校が)統一テストの結果を重要とみています。特にランキングの高い大学では、基準のSAT(もしくはACT)の点数をとっていなければ、願書をだすことが望まれていないこともあります。最低限の足切りの意味でも参考に使うということにはしばらくかわりはないようですね。
点数、されど点数。。。

歴史や哲学のようにお金に直接結びつかない分野を勉強することは不要なの?

文科省の国立大学での人文系学部を減らす動きについては夏頃から新聞を騒がせていますね。文科省の言い分と、その解釈をめぐってはいろいろな話がありますが、結局、人口と大学数(学部数)のバランスと実際、国が描く将来の産業を担う人材の育成の観点から考えると一部の大学(特に私立)が専門学校化したり、学部を減らすというのは需給バランスを考えれば実際には起こるりえる現実的な話だと思います。

一方で歴史、哲学のようにビジネスには直接結びつかないような分野は本当に不要なんでしょうか。

アメリカではリベラルアーツ大学の価値は広く認められていると思いますが今回はドイツ語圏の例で、人文系の教養科目を全く学ばなかった場合を考えてみます。

例えば、15歳から職業訓練にはいる道を取った場合、中学までに学ぶ、基礎教育そして高校はそれぞれの職業に関する勉強、ビジネス、ファイナンス、技術的、工学的な基礎であったり、言語であったりで、いわゆる一般教養は学ばず、その道のプロになっていきます。そのままその後一生学校にいかない人も多くいます。

ここからはあくまでも私の経験にもとずく偏見ですが、多くの場合(全てとはいいません)職業訓練を選択し、その後全く”学校”にいかない、もしくはなんだかの勉強をしたり外の世界を見ない人と、自分はなかなか話しが続かない、というか共通の価値感を持つことが厳しいという感じがします。彼らは、仕事はちゃんとするし、経済力だってちゃんとあります。へたしたら、大卒のしかも博士号をもっている人よりも裕福の場合も結構あります。しかし、アジア人である自分とは話しがかみ合わないのです。中学校レベルまでの知識しかないとすると、歴史だってヨーロッパ史くらいしかしないでしょうし、極東も東南アジアも地理的にはなんとなくわかっても、文化的区別はつかなかったり、当然その歴史や宗教観なんてわかりません。この人はこういう国からきて、こういう背景があるからこういうことを言い出す、という裏の部分の理解が少ないので、深い話しもできませんし、視野が狭いので話しがかみ合わないのです。またそしてそういう人に限って”知りたい”、という好奇心もあまりなかったり”なぜ?”という問いに対して、多方面からのアプローチというのが苦手のように思います。

しかし、その道を選択した場合でも、その後、専門大学(学校)に入り、もう一度その分野の勉強(もしくは別の分野)を続けるという道もあります。そして、実際そこからMBAをしたり、マスターをとったりする道もあるのでそのレベルにまでいく人たちは結局、教養部分をどこかの時点でつけるということになります。そして、大抵の場合、彼らは外国にでていくのでその視野は自然に広がってきます。視野が広がるということは許容範囲も広くなり、相手の立場を理解しやすくなります。

一方大学進学への道を選ぶとすると、少なくとも18までに大学レベルの一般教養課程を学び、(理系でも文系でも)大学からは専門課程に入ります。よって、大学で人文系の教養科目は基本必須ではありません。(大学によっては多少違うかもしれませんが)
ヨーロッパの学生はよく旅行しますね。それも結構長く数ヶ月から一年も。
一見無駄なようにみえる余裕が思考力とか物事を多面的にみたり深く考えることに繋がっているいるようにも思えます。

グローバル化が進んでいる世の中で、世の中はどんどん複雑になっています。一生ローカルで生きていければいいですが、解決すべき問題も難しくなっているなか広い視点をもっていくことはますます重要になるのではないでしょうか。

3歳までの環境が一生の語彙数を決める

10月9日のボストングローブにシカゴ大学の小児神経外科医のサスキンド博士のインタビューがのっていました。

耳の悪い子供達に、人工的内耳をつける治療をしていたサスキンド博士は、同じ治療を施しても話せるようになる子供、全く話ができない子供がいるのに気ずき、原因は何かを調べると、それは社会経済的な理由であることがわかりました。
1960年代の小児心理学者達による研究ですでに、貧困層の子供達は3歳までにそうではない子供達に比べ3000万語も語彙が少ないということがわかっています。人の脳は3歳までに80−85%できあがるということで、3歳までにどういう環境で育ったかは一生の語彙数に影響を与えるそうです。

親が子供に話しかけることが、記憶、感情、自己統制、空間能力、数学の能力にまで影響を与えます。
量が質をコントロールします。とにかく、子供が何に興味があるのかをみて、様々な語彙を使って話しかけ、子供をちゃんとした話相手とみなし、会話を進めていくということをしていくと、両親も子供の言語能力が発達するのが確認でき、もっと話をするようになり、言語能力だけでなく、他の能力も上がるというわけです。

日本には3歳児神話(子供が3歳になるまでは母親が子育てに専念すべき)なるものがありますが、子供に向きあう時間が多く、意識的に子供と対話をしていればどうやら、3歳児神話というのもあながち、根拠がないというわけではないのかもしれません。
(もっとも、専業母親をしていても、テレビやコンピューター機器に子育てをしてもらっていたら、そういうわけにはいかないと思いますが)

TEDx Cambridgeをオーケストラのように指揮するディレクターの話

年に2回のTEDxケンブリッジのイベントが先日行われました。今回もイノベーションラボがあり、前回に引き続き、数々のスタートアップがテーブルをだしていました。前回もいたアクアポニックスの会社、Grove(バージョンアップした商品を展示していました)や今回はあのpavlokもブースをだしていました。

今回のスピーカーはハーバードやMITのアカデミック色が強い方々でしたが、大学の授業のような話ではなく、自分の個人的な問題と仕事を結びつけるような話(例えば、ファイナンスエンジニアはガンを治すことができるのか?)や世の中が競争の世界から共存の世界へ移行している話、ロボットと人の共存、協働に関してでした。
TEDxケンブリッジは観客数1100人、という北米最大規模のTEDxイベントですが、今回は毎回リッチな話をしてくれるスピーカーを選んでくるこのTEDxケンブリッジのダイレクターであるDmitri Grunnさんを紹介します。

TEDX2015Fall

TEDX2015Fall

スピーカー選びは彼が独断と偏見(?)で行うそう。そして、話す内容も特にテーマをきめて話してもらうわけではないようです。
TEDxはノンプロフィットなので、イベント自体収益事業ではありません。ボランティアの人達やスポンサーのおかげで成り立っています。しかし完璧主義な彼は、収益事業ではないこのイベントを運営する為のチームを作るときは妥協はしません。

彼は子供の頃、中学までは普通の学校にはいかず、ホームスクール(家庭学習)で教育をうけたといいます。アメリカでは結構、ホームスクールで学ぶ子供達が多いですよね。地域によっては、あまりいい学校がない場合母親や友人、その分野の専門家を呼んだりして、英才教育をうけられる場合もあります。そんな彼は高校でイギリスの高校にいきましたが大学に行く際は進路について悩んだと言います。バイオケミストリー、建築、またピアニストとしても彼は才能がありました。が、STEM分野に興味があった彼は結局MITに進みます。その後会社を立ち上げ、売却そしてTEDxケンブリッジの運営を始めます。

TEDxケンブリッジがこれだけ人を呼べるのは、豊富なスピーカー層、そしてスポンサーのプールが近郊にあるというのは大きいと思います。教育機関が多いことからどうしても教授レベルの人たちが多いですが、何かを極めると、自然にそれを誰かに教える立場になるということもあるのでしょうか。

3年前に初めて行ったイベントには観客45人、それが今年のイベントは1100人収容できる場所に移動。この動員数は北米のTEDxイベントのなかで最大のものだそう。
それでも売り出したチケットは4日で完売。これ以上の観客を収容できるところはケンブリッジにはなく、来年のイベントはボストンにあるオペラハウスで開催されることが決まったそうです。オペラハウスでの規模のTEDxは世界で最大規模のものになるそうですがさてそこでのスピーカーとして彼は誰を選ぶのでしょうか??

ところで今回はディミトリさんの意思がはっきり感じられたことがありました。実は前回スピーチのあとで黒人の若い女性ミュージシャンが演奏したのですが、途中で人がどんどん抜けて、曲が終わるころには誰も席に座っていなかったということがありました。その後の立食のパーティーの時も一人でポツンと寂しそうに座っていた彼女。
その彼女の曲に席から最後まで離れることなく、静かにじっと耳を傾けていた彼の姿が未だに私の目にやきついています。
今回はリベンジ?自身が音楽家でもある、彼は彼女には才能がある、とみこんで彼女を連れてきたわけで、彼女もTEDxのある意味講演者の一人です。表現者として、自分のパフォーマンスを誰も聞いてくれないという環境ほど苦しいことはないと思います。その彼女に敬意を表して、今回も彼女をステージに呼びました、そして今回はしっかりと一人のパフォーマーとして、観客誰も立つことなく演奏できました。

Dmitriさんの本職はどうやらオーケストラの指揮者のようです。

http://www.tedxcambridge.com/portfolio-item/daniel-koh/
http://www.tedxcambridge.com/portfolio-item/julie-shah/
http://www.tedxcambridge.com/portfolio-item/adam-cohen/
http://www.tedxcambridge.com/portfolio-item/primavera-de-filippi/
http://www.tedxcambridge.com/portfolio-item/mina-cikara/
http://www.tedxcambridge.com/portfolio-item/andrew-lo/

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