質のいいコミュニティーはどうやったら作れるの?

先日ある起業家の方とどうやったらいいコミュニティーが作れるのか、という話になりました。

アメリカにきてから今までにかなりの数の創業者、CEOに会ってきましたが最近とくに思うのが、彼らが売っている商品もしくはサービスはもちろん買い手がいなければビジネスとして成り立たないのですが、それ以上に誰がその商品、サービスを提供しているのか、という点がすごく影響力が大きいのではないかということです。
特にたちあげたばかりのスタートアップで働こうと思う人たちは、その会社の株式がほしいとか、ある種の経験がしたいとか、創業者の誰かに頼まれたとか色々理由があると思うのですが,その中で、従業員もまだ少ない中、CEO(創業者)の影響力というのは多大です。彼もしくは彼女を理解できなければ人はついてきません。会社はある種のコミュニティーで、大企業にいっても会社のカラーというのを感じるものですが、スタートアップや中小企業ならなおさらそのカラーは経営者の色が濃く出ます。そしてその会社の提供するサービスや商品はあきらかにその創業者の思いや人となりが大きく反映されます。それに共感するように従業員や顧客がつくのでは?
特に人を主に扱うサービスを提供している場合、どういうコミュニティーを作れるかというのは実は創業者が ”何をするか” 以上に ”どうある” かということに大きく影響されるように思います。
それはもしかしたら、どういう人と友達になりたいか、という感覚と近いのかもしれません。

ビジネスとして、数字だけをおいかけていけば、たぶんいい線行くんじゃない、と思えるビジネスでも人が集まらない、人がいつかないで上手くいかないという例が多くあります。結局、給料をあげることで彼らの満足度をみたすしかない、という例もあるなか、金銭的な理由がなくてもその会社で働きたい、と思わせるものを経営者がもっているかどうか、というのが従業員のモチベーションを支えそれが質のいい商品を作ったり、よい顧客サービスにもつながっていくのではないでしょうか。

U.S.ニュースが出したベストカントリーランキング

U.S.ニュースが出したランキングに、ベストカントリーというのがあります。

ペンシルバニア大学のウォートンスクール(ビジネススクール)とBAV コンサルティングが世界60カ国を選んで、16000人にきいたベストカントリーを1月のスイスのダボスで行われたWEF(ダボス会議)で発表しました。

かなり政治的な感じもうけるランキングです。そもそも、その60カ国はどのように選んだのか、スイスで発表されたランキングでスイスの名はないし、(60カ国に選ばれていない!)アントレプレナーシップの分野ではドイツ、日本、アメリカという順番。日本は2番、、、え??

もしかすると何か別の指標をもって判断しているのかもしれませんがなんだかちょっと偏ったランキンングのような。。。

そのランキングの一位に選ばれたのはドイツですが、”イノベーション”の考え方が、アメリカとドイツは違う、という分析がなされていたのは納得です。
ドイツの経済の強みは中小企業にあります。職業訓練のシステムが広く普及していて、すでにある企業でのイノベーションを促進するのに役立っています。つまりすでにあるものを改良して、(付加価値をつけて)普及させるという意味合いが強いといいます。この感じは日本も近いようですね。ゼロから1を作るのではなく、すでにあるものを組み合わせたり、改善したりする。一方、アメリカにおけるイノベーションは、新しいテクノロジーを発明してそれを劇的に普及させるという、意味合いが強い。(もちろん、イノベーションは発明とは違うという認識はあったにしても)研究開発の分野では日本のレベルは高いのに、イノベーションを起こし外に大きく広げていこうとしていくと、難しい。これはコミュニケーション力、営業力、プレゼン力等に問題があることなのだと思いますが、日本の場合はドイツ型から学べることが多そうです。

スタートアップが成功する一番大きな理由

年始にはTEDxをみていたのですが、その中に”スタートアップが成功する一番大きな理由”というものがありました。
過去20年間に100以上の会社を起業したというビル・グロス氏が、成功と失敗を繰り返す中でスタートアップが成功する要素を見つけ出します。
彼は当初、アイデア、チーム、ビジネスモデル、ファンディング、タイミングという要素が成功するためには大切だと思っていたのですが、多くの成功している会社、失敗した会社を調べたところ、実は一番大切なのは、タイミング、そしてチーム、アイデア、ビジネスモデル、ファンディングという順だということがわかりました。

この中で、ファンディングが最後ということはなんとなく、わかります。ビジネスモデルも、実はあとからついてくるというのもわかりますよね。ビジネスプラン通りに実際物事が運んだというスタートアップはかなり少ない(ほとんどない?)のではないでしょうか。走りながら修正というのが大半でしょう。人と、アイデアが大事というは最もです。しかし、一番大事なタイミング!これは時代の流れ、人との出会いであったりという実はなかなか自分でもコントロールすることができない部分だといえます。
そういう意味では、今だ、という瞬間がよめて決断力があり、運がいい人が成功する、といえそうです。

Bill Gross: The single biggest reason why startups succeed

アクセラレータとインキュベーションの違い ーボストンの場合ー

インキュベーションとアクセラレータ、実際スタートアップがお世話になるであろう確率が高い2つの用語に関してそしてボストンの場合の特徴に関して考えてみたいと思います。

アクセラレーターは大抵90日から4ヶ月程度の間集中的に行われるプログラムを運用します。そして、大抵、シードマネーのようなものが提供され、それに引き換え、3〜8%程度の会社の株式を要求されます。アクセラレータープログラムは大きな資本を調達できるようにし、会社の規模と価値を大きくすることが目的とされます。そのためメンターによる指導、ネットワーキング、どうやって資金調達をしていくか、ということに関して様々なアプローチから学ぶ機会があります。テックスターズやYコンビネータなどが有名ですが、プログラムに参加できる確率は1%程度だといわれれています。

一方、ボストンにある一番有名なアクセラレーターはマスチャレンジになると思いますが、マスチャレンジは、非営利団体です。プログラムに参加してる企業との資本関係はありません。参加社は株式を譲渡する必要もなく、そのかわりといってはなんですが、シードマネーももらえません。しかし、4ヶ月後のファイナルコンペでは、総額2億円近くの賞金が20社近くに分配されることになります。今年プログラムに参加したのは128社そのうち賞金をもらったのは16社,
ということは賞金がもらえる確率12.5%ですね。しかしプログラムに入れる確率が8−10%。結局、賞金をもらうまでの確率はテックスターズ等とあまりかわらないかもしれませんが、プログラムに入るだけでは、基本的にコストがかからない(アプリケーション費用とか宿泊費や食費はかかりますが。。。)ですし、その上ネットワーキングが広がることで、人材獲得や販売チャンネル、資金調達に関するノウハウ等を一気に学べます。場合によっては参加している他社と合併するかもしれません。ベンチャーキャピタルが運営するような少数先鋭のプログラムと違い、成功者をたくさん作り、社会還元を重視したプログラムといえると思います。

インキュベーション施設というと色々なパターンがあるのですが、一般的にはスペースを借りる際に安くスペースを借りることができるかわりに、持ち株の数パーセントを譲渡する、といったことが行われる事が多いようです。(株式譲渡をうけないところもあります)
インキュベータはメンターによって指導される期間が1年以上と長く(メンターがつかない場合もある)会社が成功するという以外に明確なゴールは得にない場合が多いようです。場合によってはアクセラレータプログラムに合格することが目的になっていることもあるそう。資金が大学の補助金であったり、公共(国や地方団体)の資金が補助に出ている場合、家賃が安くなっています。

このブログでもしばしば取り上げるCICですが、世界で一番スタートアップが集積していると言われているCICでは入居社へのメンター制度はなく資本関係もないことから、CICは自社をインキュベータとはみなしていません。しかし、スターアップが集まるコミュニティーを作ることで、そこにベンチャーキャピタルが集まり、大企業が集まり、メンターその他、スタートアップを支援するような人、企業が集まりコミュニティー全体がインキュベータの役割をしています。

さて、マスチャレンジとCICの2つの施設に共通していることは、1日中(もしくは数日にわたる)学校のような受動的なプログラムがあって決まった教育をされていたり、メンターがついて誰かがノウハウをきちっと教えてくれるものではないということです。どちらの施設も、場の提供及び、ネットワーキング、ピッチイベントのような目的をもったイベントを行いますが、何が自分達の問題点で何が自分達に必要もしくは、不必要かということは自身で探っていかなくてはなりません。そしてそれを、閉鎖的な環境ではなく、オープンにそして互いに助け合いながらすることで、エコシステムという大きな相乗効果を出そうとしています。

アメリカンドリームも、エコシステムとして上手く機能すると、格差社会が解消できるような気がします。

日本の若者にリスクを冒す、ということを教えることができるのだろうか?

”日本の若者にリスクを冒す、ということを教えることができるのだろうか?”

とある、アクセラレーターの創業者に日本へ進出することは考えないのか聞いた時、かえってきた言葉です。
イノベーションを起こすべく、インキュベーターやアクセラレータプログラムというものの有効性が認められつつある中で、こういったプログラムが世界中に広がってきています。ところがその会社は日本に進出するのは言語、文化の違いが大きい中特に、リスクに対する考え方が違うという点で彼らのビジネスが日本ではうけいれられにくいのではないかという疑問を呈していました。
日本人の若者の内向き志向というのはどうやら、世界的にも有名になってしまってきているのでしょうか。

リスクをとらない大人をみて育っている若者からしてみれば、当たり前にリスクを冒してはいけない、と思うに違いありませんよね。つい先日も10年ほど日本に暮らしたことがあるヨーロッパ人が日本に暮らしたあとアメリカにきて、何にほっとしているかといえば、失敗が許されることだという(失敗から何を学ぶかが重要)話をしていました。

事業を簡単に始められない(メンタル的なハードルも高い)資金集めや、オフィスを借りるのでさえ信用力が必要、とりあえずやってみようということがなかなか簡単ではない中でリスクをとるというのは難しいのが現実です。しかしだからといってきちっとした計画があり、信用もある企業もしくは団体が始めた事業がうまくいくという保証もありません。

つい先日も、シェアオフィスの視察にきた地方行政の一団の方が、このオフィスに入居するには、それなりの審査があるのでしょうが、どういう条件があるのですか?と聞いたところ、事務所側は空きがあれば誰でも、と答えたのが印象的でした。
そのシェアオフィス会社を立ち上げた人は、そもそも自分が事業を始めた時に、(始めは全く違う事業だった)オフィスを借りるのがすごく大変で、家まで担保にいれなければならず、大変な思いをした経験からその会社を運営するようになりました。そして、オフィススペースを貸すだけではなく、人的なつながりがもてるようなコミュニティー作りをしています。
ここでは成功している人たちがその後の人を育てています。そういった要素もリスクを一つ減らす取組みの一つといえそうです。