広がる特定分野に特化したインキュベーター

2010年にMITから派生した数社が集まって始めたサマービル市(ケンブリッジ市の隣)にある、グリーンタウンラボ は全米で一番クリーンテクノロジーのスタートアップが集積しているところです。

そのグリーンタウンラボが来年倍のスペースに拡張されることになりました。現在43社がはいっていますが、去年からウェイティングリストがどんどん伸びていることも拡張の理由にあるそうで拡張後は100社ほどが入れる840平米のスペースになる予定。この拡張には1100万ドルがかけられサマービル市及び、マサチューセッツ州のクリーンエネジーセンターも資金を貸付しているそうです。マサチューセッツ州はクリーンエネルギーに力をいれていており外国からも政府レベルで見学に訪れる人々がいます。グリーンタウンラボには 200キロワットのソーラーパネルがあり、電気自動車のためのチャージステーションが2箇所ついています。ここにはスタートアップだけでなく、シェル等の大企業の研究開発部門もオフィスを置いています。

ボストン周辺には分野に特化したインキュベーターがいくつかあります。
ケンブリッジ市には化学、生物系のウェットラボ(実際に化学や生物実験ができるところ)LabCentralというのもありますし、 ハードウエア(ロボットから補綴器具まで様々なもの)を作るために1億円相当の機械まで用意しているスペースを貸す、Bolt, ロボット企業が集まるインキュベーター等、似たような分野にいる起業家達が集まると、情報も早く入ってくるし、互いに協力しあうこともでき相乗効果が生まれるようです。
ちなみに、TedxCambridgeにもきていたGrove というLEDを使って室内で食物を育成できるようなシステムを作るアクアポニックスの会社もグリーンタウンラボにあります。

Grove

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日本の若者にリスクを冒す、ということを教えることができるのだろうか?

”日本の若者にリスクを冒す、ということを教えることができるのだろうか?”

とある、アクセラレーターの創業者に日本へ進出することは考えないのか聞いた時、かえってきた言葉です。
イノベーションを起こすべく、インキュベーターやアクセラレータプログラムというものの有効性が認められつつある中で、こういったプログラムが世界中に広がってきています。ところがその会社は日本に進出するのは言語、文化の違いが大きい中特に、リスクに対する考え方が違うという点で彼らのビジネスが日本ではうけいれられにくいのではないかという疑問を呈していました。
日本人の若者の内向き志向というのはどうやら、世界的にも有名になってしまってきているのでしょうか。

リスクをとらない大人をみて育っている若者からしてみれば、当たり前にリスクを冒してはいけない、と思うに違いありませんよね。つい先日も10年ほど日本に暮らしたことがあるヨーロッパ人が日本に暮らしたあとアメリカにきて、何にほっとしているかといえば、失敗が許されることだという(失敗から何を学ぶかが重要)話をしていました。

事業を簡単に始められない(メンタル的なハードルも高い)資金集めや、オフィスを借りるのでさえ信用力が必要、とりあえずやってみようということがなかなか簡単ではない中でリスクをとるというのは難しいのが現実です。しかしだからといってきちっとした計画があり、信用もある企業もしくは団体が始めた事業がうまくいくという保証もありません。

つい先日も、シェアオフィスの視察にきた地方行政の一団の方が、このオフィスに入居するには、それなりの審査があるのでしょうが、どういう条件があるのですか?と聞いたところ、事務所側は空きがあれば誰でも、と答えたのが印象的でした。
そのシェアオフィス会社を立ち上げた人は、そもそも自分が事業を始めた時に、(始めは全く違う事業だった)オフィスを借りるのがすごく大変で、家まで担保にいれなければならず、大変な思いをした経験からその会社を運営するようになりました。そして、オフィススペースを貸すだけではなく、人的なつながりがもてるようなコミュニティー作りをしています。
ここでは成功している人たちがその後の人を育てています。そういった要素もリスクを一つ減らす取組みの一つといえそうです。

スタートアップを支援する様々なオフィススペース

1999年にボストンの隣町であるケンブリッジ市にあるMITのすぐそばにできたCIC(ケンブリッジイノベーションセンター)は、MITからスピンオフした学生起業家のような人達や、会社をたちあげたばかりで、安い事務所スペースが必要な起業家、個人事業者でいっぱいになり、現在300社以上がそこのオフィススペースを使用しています。家賃は月額一人350ドルから1200ドルくらいまでで、CICには、1人でやっている会社から数十人規模の会社まで、様々あります。オフィスの形も、一人の場合は、ワンフロアーに大きな机があり、そこにイス一つで自分のスペース(事務所)のできあがり。もちろんクローズなオフィススペースもあります。実際、テック系のアプリやウェブサイトを作る会社はスペースがほとんどいりません。建物の中にはベンチャーカフェやヨガのコース、語学コースといった、クラブのようなものまであり、一大コミュニティーを築いています。

CICは世界で一番スタートアップが集まっているところですが、このような、オフィススペースで、もっと様々な種類のものがその後現在までにいくつも誕生しています。それぞれが製造販売している製品、顧客層によっても、創業者達がふさわしいと思うスペースも違うようです。
理由としては、企業同士が互いの経験を学び合える場になっているということであり、場合によっては、問題を抱えている会社が他の会社に助けてもらったり、社会的な側面もあるとのこと。起業するとはとても孤独なことなので、誰かと話ができたり、一緒に何かを共有できるということは、うれしいということらしいです。

高級オフィス街に去年9月にできたsnap suitesはもう少し、高級な顧客を相手にする場合にいいオフィススペースで、毎月の家賃が一人3000ドルもします。これだけの金額が払える会社なら、自分たちの事務所を構えてもよさそうですが、そうすると、セキュリティーの問題、清掃、90%は使われないだろう会議室とか余計な、コストやスペースが増えるそうで、それを考えるとレンタルオフィスでいい、という会社もあります。

また 去年の7月には ハードウエア(ロボットから補綴器具まで様々なもの)を作るために1億円相当の機械まで用意しているスペースを貸す、Boltもオープンしました。こうなってくると、オフィスを貸すというより、工場貸し?
クラフトビールメーカーのAeronaut Breweryは、2015年にはCoolship Labs という、発酵技術を使って作った商品を扱うビジネスを展開するスタートアップに特化したスペースをオープンするそうです。
これって、みそとか麹とか納豆とかでもいいんですかね?
なんか、とってもおいしそうな、ビジネスの匂いがします!

それにしても人口660万人しかいないマサチューセッツ州で、ボストン周辺にこれだけの、多種類のインキュベーターを含むオフィススペースが集中するのはすごいことです。。。
CICがボストン周辺の大学、研究所の起業文化を支えていること、そしてケンブリッジ市の発達に大きな役割を担っている事は、日々の新聞をよんでもよくわかります。このCICをたちあげたCEOである、Tim Row氏は以前は日本に住み、日系の企業に勤めていたこともある、日本語を大変に流暢に話すアメリカ人です。日本企業のOBともいえる、こういう方が、起業文化の本拠地アメリカで、それを支えているというのはとても面白く、うれしいことでもありますよね。

インキュベーターが支援する新しいホール

ケンブリッジにある、世界で一番スタートアップが集まっているCIC (ケンブリッジ イノベーションセンター)は、MITやマイクロソフト、グーグルのそばにあるインキュベーターで、賃料月に350ドルから事務所を構えられます。そこにVenture Cafeという、起業家同士がお互いに集まったり、意見交換をしあったりできるカフェが入っています。ここでは毎週、木曜にはテーマに沿ったイベントがあり、起業家や投資家も参加して互いに交流し合います。

そのベンチャーカフェが、ウォーターフロントに新しく District Hall というホールを作りました。ここはイベントスペースで、マスチャレンジのようなインキュベータがピッチイベントをしたり、小さな会社がバイヤーの為の商談をするスペースがあったり、イベントスペースとしては約470人ほど収容できます。隣にはレストランも併設、イベントホールの中にはバーもあります。

ボストングローブ紙 11月 4日

ボストンの新しいDistrict Hall(ディストリクト ホール)はいろんな事に使える。イベントスペース、ミーティングスペース、レストラン、そして道場。

いえいえ、ミスターミヤギはきませんけど(*ベスト•キッドの師匠です)
11月23日にはデジタル空手道場が開かれる。ウェブとモバイル開発、コンピュータプログラミングとゲームデザインが学べる。

この一日セッションは27ヵ国でコンピュータークラブを運営している、ノンプロフィット団体のCoderDojoによって行われ、Polaris Partnersというベンチャーキャピタルによって支援されている。10歳〜14歳の子供は無料で参加できる。

今回の講師は、CoderDojo の創設者のJames Wheltonで2年前にアイルランドでコンピュータクラブを始めた。
Whelton氏は CoderDojoの運営するコンピュータクラブをサポートする為に、今年ハローワールド財団を設立して、Polarisは財団の初めてのコーポレートスポンサーになった。

Polaris managingのパートナーは、
”CoderDojoへの投資は、私達みんなの将来に対する投資です。私達の世代がスポーツやアートの世界でしてきたように、新しい世代の起業が技術力で繁栄することを創造してみてください。この、サポートはとても特別なことです。”

という、記事です。

ベンチャーカフェは、起業家同士や、投資家と結びつけたり、スタートアップが活性化するような仕組みを作ったりしています。
このホールができたことで、一般人となかなか交流しにくかった、スタートアップの世界と、一般消費者との距離が縮むような気がします。

日本でも10代の子供たちがプログラミングを習える機会がふえているようですね。色々な事が低年齢から始めないといけなくなっている、というかできるようになっている、ようです。なんでも自分の才能を早くから見極めることができる人ほど、又 好き、と得意な分野の組み合わせを見つけられる人ほど成功のチャンスが増えるのかな、という感じです。親も様々な意味でのサポートが要求されていますね。

賞金総額100万ドル、手に入れたのはどのスタートアップ? マスチャレンジ賞 

ボストンにある、世界最大のインキュベーター、MassChallenge(マスチャレンジ)が行うアントレプレナー賞の受賞式に行ってきました。
たまたまボストンレッドソックスが大手をかけた 野球のワールドシリーズ最終戦と重なり、急遽時間変更等もありましたが、約1300人が集まる 大イベントでした。

4が月前に、マスチャレンジに来た128社は、今日までに資金提供者を見つけたり、販売先を確保することができたり、パートナーをみつけたり、戦略そのものを見直したりと、大変充実した4ヶ月を過ごせたようです。2週間前にそのうちの26社が選抜され、このファイナルイベントの為に1000人以上の観衆の前で、どんな1分間のピッチ(プレゼンテーション)をするか、策を練った事だと思います。

MCはコメディアンのAasiv Mandvi氏がきて、固くなり気味な会場の雰囲気を笑いで やわらげていました。

約1300人が集まりました。

約1300人が集まりました。

マスチャレンジの代表の二人が挨拶し、
前半13社のピッチが始まりました。1分間で自分の会社をアピールするのは、難しいですが、沢山のメッセージを押し込めるより、シンプルにゆっくり、簡単な言葉で話している人のほうが自分のやっていることに自信があるように見えました。

そしてそういう会社ほど、やっている事に高度な知識や技術が必要だったりするわけです。

ゲストスピーカーには Virgin Galactic のGeorge Whitesides氏
彼はボストン出身です。

”この中で、もし宇宙旅行にいけるのなら行きたい人?” ときくと8割位の人が手をあげました。
“ほら、だから起業家は未来を作るんです!” 

イギリスのVirgin グループの 宇宙旅行をビジネスにする会社のCEOが語る未来、あまりにも壮大なようですが、現実的であったりもしてさすが、夢を引っ張る大企業ってすごいですね!

今までに宇宙に行った事のある人は542人

今までに宇宙に行った事のある人は542人

後半13社のピッチがまた始まりました。
ピッチをし終えた、女性スピーカーとトイレで会ったら、緊張してピッチの前にコーヒー飲みすぎて、って興奮した笑顔。
エキサイティングな空気がこちらにも伝わります。

ピッチをする人も20代から40代後半くらいの人まで様々。
7割は男性でしょうか。

マスチャレンジは世界に進出しています。 イスラエルを始め、現在コロンビア、メキシコ、スイスとも提携をしました。

ベンチャーの文化や、失敗ができる文化、というのが世界中どこでも受け入れられるとは思いませんが、起業をサポートする仕組みや哲学は どの国でも応用できそうです。

結局、5社が10万ドルの賞金を手にし10社が5万ドルの賞金をもらいました。

10万ドルを手にいれた5社

Hemova Medical   
腎臓の透析機器メーカー

MoneyThink   
都市に住むティーンエージャー向けの金融教育を提供する

RailPod   
鉄道の交通管理(交通量の把握等)をするロボットメーカー

Viral Gains   
デジタルマーケティング会社

99Degrees custom
カスタムメイドのアパレル会社

5社の特徴をみると、ここはマサチューセッツなので地域に根ざした問題を解決してくれる会社、それから一般的、普遍的な問題、(国や人種、に限定せず)を解決してくれる会社が賞をとったということでしょうか。IT系が多いかと思いきや、意外にも縫製会社も選ばれているのでバランスがとれた選択かもしれません。

賞金はもらえなかった会社の中には、特定の国の問題や、人種の問題を解決する会社もありました。
ここでは賞金はもらえなくても、きっと手を差し伸べてくれる、人達がいると思います。

参加者たちが ”賞金をもらえなくても、僕たちは決して手ぶらで帰る訳ではない” といっているのが印象的でした。

会場にはたくさんのベンチャーキャピタリストも、いました。その人たちが、新しい投資先を見つけるのも そう遠い日ではなさそうです。

沢山の人から感謝される仕事、多くの人の問題を解決してあげる仕事が、未来のある仕事。そして、それを作るのが起業家なのです。
どれだけ沢山の人をまきこめるかに、成功の是非がかかりそうです。

詳しい情報は 大人の社会科見学 マスチャレンジへ、また翻訳、情報が必要な方は お問い合わせ  のほうへお願いします。
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