クラウドファンディングで資金を集める靴のスタートアップ

ボストンでスタートアップといえば、ほとんどテック関係なのですが、ここ数年のうちに、靴のスタートアップが5社ほど誕生しているという記事が1月28日のボストングローブにありました。実はマサチューセッツ州はコンバースやニューバランスというスポーツ、カジュアルシューズの本拠地であり、19世紀から20世紀にかけて、製造業がアジアにいってしまうまでは靴産業がボストン近郊ではにぎわっていました。ボストンマラソンに、レッドソックス、バスケットチームのセルティクス、レガッタと、スポーツの話題には事欠かない、この州。そこで最近、若者たちが新しいタイプの靴ビジネスを始めています。

山登りにいく人達がはく、防水のちゃんとしたアウトドアスタイルの靴だけど、普段もカジュアルにはける格好のいいものはないものか、という発想のもとに24歳の青年達が2010年に立ち上げた Forsake は始まりました。
靴業界は事業を立ち上げるのに通常お金がとてもかかるのですが、最近たちあげられている靴会社はコンバースやニューバランスのように、売れ筋の靴は作らず、ニッチなマーケティングで、エンボス加工されたボートシューズや、防水加工されたスニーカー、ランニングシューズと同じくらい快適なブーツ等、様々な種類のくつを提供します。

Forsakeは50人の投資家の前でピッチをして、会社をおこすために7人がサポートしてくれましたが、クラウドファンディングだともう少し簡単で2012年に38日間で11万6千ドル(1100万円相当)を1000人から集めたということです。投資家は特にテック産業をサポートしたいので、普通に投資家から資金調達をするのは難しいのですがクラウドファンディングをすることで消費者とも直につながることができるし、彼ら自身が自分の商品の消費者なので顧客のことがよくわかっているとの分析があります。

靴業界は何十万足も売らないと利益がでないビジネスのようです。どこの業界も似たようなものでしょうが、大きい会社のほうが、沢山生産して安くうり、利益をあげることができますが、小さい会社は利益をあげるのが難しいようですね。Forsakeも、デザインをアメリカで行い、生産は海外でしているそうです。

iSlide のように自分で色、文字や柄を選んでプリントすることができるスリッパサンダルもあります。
スリッパ市場の成長はここ数年2桁台だそうでランニング、やバスケットボール用のシューズほど大きな規模に成長するとは思えないようですが、無視するにはもったいない、iSlideという会社を起こしたキットレッジ氏はいいます。カスタムメイドのスリッパの価格は50ドルほどです。
Boston Boot Co. もやはり、キックスタータで25万ドル(2500万円相当)を集めています。
以前はこんなものがほしいと思ったら消費者は会社に連絡をして特別に作ってもらったものですが、これからは自分で作るということができるということらしいです。
最近、ビッグブランドでも靴に限らず自分用にカスタマイズできるブランドがふえています。名前をいれたり、色の組み合わせを変えたり、ニューヨークのコンバースでも自分用の靴を店で作ったりできますし。

それにしても、クラウドファンディングのパワーってすごいですね。ネットの世界は短期間にわっと、人の流れが集中するので、ネットの世界で影響力のある人達は、資金集めが意外と簡単なのかもしれません。又クラウドファンディングは直接消費者とつながる事ができるので、マーケティングのリサーチも同時にできる利点があるようです。

Forsake
iSlide
Cape Cod Shoe Supply Co
Boston Boot Co.
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55歳からの起業

年齢があがるに従って、転職したくても、もしくは、解雇されて他の仕事をみつけたくても見つけられないという人が増えてきます。
1月8日のブルーンバーグの記事には、特に55歳をすぎると、転職市場も非常に厳しくなり、その頃解雇されてしまうと、なかなか次の仕事をみつけられず、起業する人が増えているという記事がありました。
Kauffman Foundation’s researchによると、1996年の統計では55歳〜64歳の間にビジネスを始めた人は14.3%だったのに対して、2012年には23.4%に増えています。理由の一つとしては、寿命がのびて、人が活躍できる期間がのびたというのもありますし、老後の蓄えを心配するというのもその理由だそうです。ベビームーマーたちは学歴も高いし、自信や意欲もあり、健康状態もいい人達が多い。

2011年の11月に発表されたサンフランシスコのEncore.orgの調査によると、44歳から70歳までのアメリカ人のうち1/4の人が、自分の会社、(プロフィットでもノンプロフィットでも)を持つ事に興味をもっているそうです。
リタイヤした人たちが多く住むフロリダで、最近労働省が提供したアントレプレナーシッププログラムには500人ほどの人が参加しましたが平均年齢は51歳でした。
50歳以上の人達は教育水準が高いですが、近年の解雇でもう自分は既存の会社の中では仕事を見つけられないと、感じています。
フロリダのアトランティック大学のリサーチパークにはテクノロジー系のビジネスインキュベータが入っており、そのうち30%ほどの会社が50歳以上の人達で運営されているそうです。

市場で自分にあった仕事が見つからないことを悪いこと、ととるのか、自分が独立するいいチャンスとみるのか、失業率が高い経済状況をビジネスを始めるには悪い時期とみなすのか、それともいい人材が市場にあふれていて雇用するにはいい時期、ととるのか、人は同じ立場にいてもどう状況をとらえるかでそれを、チャンスともピンチ、ともみなす事ができます。ただし、その状況をいいようにとらえられる為には、気持ちの上でも準備が必要。
人生は、不公平なものですが、万人に公平なのは、時間。歳は誰でもとります。大企業に勤めていようが、中小零細企業に勤めていようが、労働市場における”自分の商品価値”、というものを意識しなければならない社会になった、というのを感じますね。会社のせい、社会のせい、国のせいではなく、新しいことを始めるのなら、仕方なくではなく、喜んでしたいものです。

スタートアップがベンチャーキャピタリストを探すのは恋人を探すようなもの

ボストンには沢山のスタートアップがありますが、特にソーシャルメディア系の場合、ボストンで資金調達をするのは難しいようで、例えば、Facebook, Evernote,やDropboxのようにボストンで立ち上げても、資金調達できずカリフォルニアに移動する会社が多いです。モバイル系のスタートアップのCo Everywhereの資金調達に関しての話が1月5日 ボストングローブにありました。

Co Everywhereは資金を集める為に地元のベンチャーの200もの会合に参加しましたが、誰も”NO”ともいわないかわりに、”Yes“とも言ってくれない、“次に会う時は会社の役員も一緒に。”と、いわれるのですが、大抵その後上手くいかなくなってしまうそうです。実際、200もの投資家に会う前にあきらめてしまう会社が多いのですが、彼らは違いました。もともとは2012年にBlock Avenueという名前でスタートし、アメリカの情報とレビュー(レストランから学校まであらゆる範囲の)を集めることをゴールとしていました。ところが当初、資金提供してくれていたエンジェル達は、いったい人々がどのくらいそのサイトを見るのか懐疑的でした。そこで、彼らは方向転換します。アメリカの街角で聞かれる、会話やおすすめの店や写真(フェイスブックやツイッター、インスタグラムからの情報)を見せるアプリを作ることにしました。

ウェレズリーにあるベンチャーキャピタルの会社は毎年1000ほどの投資機会があってもそのうち投資するのは3〜4のスタートアップ、ほとんどの場合、 ”断る理由を探している” そうです。結局、そのマッチングはデートをして、互いに気に入る人を見つけるようなもので、会う人が見つかるまでデート続けるか、あきらめるか。。。結局、Co Everywhereは去年の秋に、600万ドルの融資をうけることができ、今後2年間に、数百万のスマホにアプリをいれてもらえるように頑張ることになりました。

実際、100以上のピッチを投資家の前でしなければならないことは起業家にとっては現実であるようですが、それでもいままでにいくつもの企業を立ち上げてきたボストンLEDライトカンパニーのTom Pincince氏は “起業家はビジョンを信じ、それが現実になると他の人たちが納得するまで働きかけることができる人です、そうでなかったら、沢山のイノベーションは起こらなかったでしょう。”

この、アメリカ人の ”ノーといわない、文化” 、私には非常に意外でした。私も、アメリカにきてから、本当にアメリカ人って ”ノー” といわない、とびっくりしているのですが、これはボストン人だから?それとも西海岸の人達は違うのでしょうか?
地元の人いわく、”我々はノーといわずに済むように、会話を続けることを学ぶんだ” ってまるで、日本人のよう?っていうか、今時、日本でも結構ちゃんとノーといえる、状況が増えてるように思うのですが。。。特に、イエス、ノーがはっきりしているヨーロッパからくると、ノーといわないからいいのかと思っていると、そんな事は全然なかった、という失敗が私にもあります。最近は、すぐに ”Yes” と言ってもらえない時はいい兆候ではない、と判断するようになりましたが。

とにかく、”Yes”といってもらえるまで、探し続ける、普通の神経なら、自分が間違っているのではないか、と思いますよね。自分を100%以上信じていないと無理です。
さあ、投資家をみつけるのと、生涯の伴侶を見つけるのと、どちらが難しいのでしょう?
ちなみに “独身アラフォー女性は果たして10年後に結婚できているのか?” という記事にある平成22年の国勢調査のデータによると、過去10年の統計からは、独身アラフォー女性が10年後に結婚している確率は1%未満らしいです。。。うーん、なんか悩ましいですね。

参考記事:ベンチャーキャピタリストとピッチイベント

ティーンエージャーの蝶ネクタイビジネス

昨日はテック関連のIPO、今日はティーンエージャーの裁縫ビジネスの話と幅広く、同じレベルでとりあげてくれるのがアメリカの新聞の面白い点だと思います。1月3日のボストングローブで若者の間で蝶ネクタイが復活している話です。

父親はMITの教授である16歳と17歳の少年達は、若い起業家がハイテク技術をつかったアプリ開発をしているというのに、自分たちの手と母親のミシンを使って19世紀の正装である蝶ネクタイを作っています。実際、プロムに使うのにうけているようです。
彼らのスローガンは、”ほどよく時代遅れ” であることであり、”いけてる紳士は蝶ネクタイをする” と思っています。実際、ポップスターからスポーツ選手までパーティーシーンで蝶ネクタイが復活しています。メンフィスでも蝶ネクタイを作る11歳の子供がテレビ番組でも紹介されました。

通常、布か寄付された昔のネクタイでつくるのですが、綺麗でない物のほうがよりいいとのこと、一つ作るのに20分かかり、もし自分に時給を払うなら今は一時間3ドル30セント、それでもバングラディシュの平均賃金の26倍とのこと。

彼らは自分たちが普通ではないことを自覚しています。
もちろん、21世紀のビジネスモデルとしては厳しく、現状は手作りサイトEtsy でも販売中、 これからネクタイとヘアバンド、それからデパートへの進出も目指しています。
このサイト、jackandjacksons.comの、蝶ネクタイの結び方のビデオをみると、今時の子が作ったサイトだなあと、感心してしまうのですよね。(注:このビデオ出てこない場合もあります)できてる物が決して上品とか、高級っていうのではないのですが、ほとんど母親目線。僕たちがんばって〜と応援したくなってしまいます。(笑)プロムの為に、一生懸命手作りって、実は今も昔も変わらないんだなあ、と Pretty in Pink を思い出してしまう、あ、すいません、誰も知らない?

えーっと、実際、ボストンで初めて、呼ばれたレセプションのドレスコードが、女性がロングドレスで男性がタキシードに蝶ネクタイでびっくりしたのを思い出しますが、ある意味、ヨーロッパよりずっとフォーマルなボストン。アメリカの高校はプロムがあるので、ティーンエージャー達はおしゃれをしなければいけない(できる?)機会があります。

一方、ビジネスシーンではますますネクタイを見かけなくなり、カジュアル一辺倒。どこかでフォーマルに装うことで人はバランスをとるのでしょうか。男性のほうが凝り性の方が多いので、はまると意外といけるのかもしれませんね。

”起業家”の定義とは?

Worthless, Impossible and Stupid(意味がなく、あり得なくて、馬鹿げている)というこの夏に出版された本の著者、ダニエル アイゼンバーグ氏のケンブリッジイノベーションセンターで開かれたサイン会をかねたトークショーにいってきました。
アイゼンバーグ教授は、バブソンカレッジのバブソン・アントレプレナーシップ・エコシステム・プロジェクトのディレクターをしています。

彼はイスラエル人ですが、ハーバード大学で心理学の博士号をとった後、イスラエルで、起業について学び、イスラエルのハイテク関連のスタートアップを始め日本やその他、多数の国にまたがる仕事をしてきました。

この本では、世界中の起業家の事例が沢山でてくるので、読み物として、おもしろいです。私は起業するとは自分の人生を探求していくことなのかな、という気がすごくしましたね。この本にでてくるどの起業家も、まっすぐ平坦な道をいっているわけではなく、どの人も困難にぶつかったり、ぎりぎりのところを歩いていたりします。読んでいるほうは、なんて激しい人生だろう、と思いますがきっと、当人達はやりたいことを追求しているだけなんだろうとも思います。

まず、彼は起業家精神とは 他の人が認識できない、もしくは見逃している需要と供給のギャップを見いだし、そこから ”驚異的な価値” を創造し、それに見合うリターンを受け取るということ、を前提にしています。だから、個人事業や中小企業のオーナーは必ずしもそれにあてはまらない(場合が多い)ということを主張しています。スケールを大きくして、金銭的なリターンをあげられなければ、起業家とはいえないそうです。(このあたりの点は、トークショーにきていた、人の中でも意見が分かれました。)自分の商品、サービスに金銭的な価値がついて始めて、価値を創造しているといえる、と彼は主張します。

本の前半では、起業家の3つの神話のうそ、について書いてあります。
• 起業家はイノベーターでなければならない。

• 起業家は専門家でなければならない

• 起業家は若くなければならない。

これらに対して、そうではない事例をあげて、反論しています。

大抵どの起業家も、みんなに反対された事業を起こしています。というのも、みんながいいといったものには手をださないからです。みんなに馬鹿げてる、とかあり得ないといわれても、自分を信じて、周りをまきこんでなんとか、やってしまうから、普通の神経の人は起業家にはなれない、というわけです。

そして、もちろん、失敗もたくさんあります。ハーバードビジネススクールのビジネスプランの賞をとったビジネスでさえ、上手くいかないこともある例をあげています。

今回のトークショーでは、30人近くの人がいたでしょうか、著者が一方的に話すというより、観客のだす、質問に答えるという形をとったので関係性が一気に縮まって面白かったです。若者の起業に対しては非常に懐疑的でしたね、特に、若者の起業がすばらしい事だらけ的なメディアの報道には、辟易されていました。が、それに対して真っ向から挑んでいる若者もいたりして、非常にエキサイティングでした。

あと、彼が見なしているレベルの”起業”というのは、自分のしていることを100%以上愛せないと、とてもできることではないな、と思いました。まさに自分自身の人生を120%生き抜くというか。。。どこか、大衆に対する共感力が高い、成功する芸術家的な香り、それと同時に、緻密さのようなものも感じました。アイデアやビジョンはとてつもなく、大きく夢見ていると感じられても、階段を丁寧に少しずつ、一歩ずつ確認して上っていくような。。。

又、どの話にも共通していると気ずいたのは、リーダーシップを発揮して、チームを作る力です。
リーダーシップは起業家でなくても、どの分野の世界でも発揮できるものですが、逆に起業家はリーダーでなければいけないようですね。リーダーシップをとるには、才能も必要なんじゃないかなあ、と思って調べてみると、実際、”最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと”という本で、リーダーには才能が必要だとのべられています。どんな、才能が必要かは、是非本を参照してみてください。

又日本人として、実業家、社会起業家の杤迫 篤昌(とちさこ あつまさ)氏の例が選ばれていて、銀行口座をもたない出稼ぎ移民の送金を手助けをする金融機関を立ち上げたことを紹介していました。彼は、三菱東京UFJ銀行(もと東京銀行)のバンカーで27年勤めてから起業された方です。日本人だけど、南米の人達の役に立つような起業をされました。普及させたいとの思いから、”支援”という形でなく、あえて、ビジネスという形をとった例です。

海外勤務が長くて、これから早期退職でもして、第二の人生を始めようか、と思われている方の起業の参考に、なるかもしれません。

本によると、起業する年齢の平均は男性40歳、女性41歳、そしてそのうち23%は55〜64歳のベイビーブーマーなんだそうです。そして、彼もトークショーの中で色々な条件の整う40代以降の起業をすすめていました。

結局、自分の好きなビジネスを追求して、あとから振り返ってみたら起業家になっていた、ということなのかもしれませんね。今までにない新たな市場を創造したい、と思っている方は、読んでみて損はないと思います。

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Worthless, Impossible and Stupid: How Contrarian Entrepreneurs Create and Capture Extraordinary Value