バーテンダーになるのに化学の学位は必要か?

ウェズリアンカレッジはアイビーリーグの教育を少人数で行っているリベラルアーツカレッジの一つでリトルアイビーの名門です。
このリベラルアーツ教育、日本語では教養学部の教育とか、”教養”という意味で訳されますが、基礎的な教養を磨くだけでなく、物の考え方を養う、考え方の基礎を学ぶというように理解したほうがいいと思います。アメリカの名門リベラルアーツカレッジは少人数でエリート養成校のようで、卒業後は専門大学院にいく人が多いと言われています。
学長のマイケル・ロス氏はMOOCs等もいれると昨年15万人以上に教えてきたそうなのですが、リベラルアーツの重要性を説いてます。(ボストングローブ5月9日)

この30年間に学生の期待するものも変わってきました。学部生は消費者のように行動し、いい履歴書を作ることを重要視しています。両親は、教育がすぐに就職で、又職場で役立つことを望みます。そして、競争社会では広い見識を求められるリベラルアーツ教育は贅沢なものととらえられ始めています。

近年、一部の人々の間にはリベラルアーツのような広範囲の教育は必要ないという議論がおこり、実際 ”いいマティー二を作るのに、化学の学位がいるのだろうか?” というような議論があり、リベラルアーツに否定的な人たちは、自分達は教育の恩恵を受けてきたのにもかかわらず、直接お金にならないものを ”無駄” な教育とみなします。

しかし、企業側はリベラルアーツ教育の重要性を認識しています。アメリカ大学連盟の調査によると、80%の雇用者が専攻に関わらずリベラルアーツとサイエンスの基礎を勉強するべきだ、と述べています。
だから(この学長は)MOOCsでも学生を”集団”としてとらえず、個人授業のような感じで学びに情熱を注いでもらい、思慮深く、クリティカルシンキングのスキルを習得してもらい、好奇心と熱意をもって学び続けてほしいのです。

アメリカ建国以来、教育は個人の自由を手に入れる為に必要なものであり、個々のポテンシャルを引き出す事で社会に貢献してきました。
アメリカにおける高等教育の変化のペースはかつてないほど早くなっています、不平等をへらし、経済的にも活性化させたいなら実用的でリベラルな教育が必要です。

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リベラルアーツカレッジは一般的に学生数が少なく、一人の教授がみる学生数が少ないこともあってか、学費が高いので、余計に贅沢ととらえられるのかもしれません。しかし、得に近年、グローバルな経営を求められるマネージャー等に広範囲な教養の必要性をとく話もあり、あらためてリベラルアーツというものが見直されている側面もあるようです。先日の記事でもかいた、自分の頭で考える、ということを徹底的にきたえられるのがリベラルアーツカレッジともいえそうです。(私のリベラルアーツカレッジに行く人のイメージは、学ぶということが本質的に好きな人というイメージがありますが。。。)

確かにいいバーテンダーになる為には化学の学位は必ずしもいらないでしょうが、勉強することで自分の可能性を広げてくれるということはありますよね。心理学をもし勉強していたら、もしかして、彼と話したくて客が集まるかもしれないし、ビジネスを勉強したらバーを経営する側に回るかもしれない。

どこまで、どの教育が必要かといえば、正直、人によって違う、としかいえないのかなあ、という気がします。だから本当は一番大切なのは自分を知る事ではないでしょうかね。自分を知るためにリベラルアーツ大学で学ぶ人もいるでしょうし、自分を知っているから、他の選択をする人もいるでしょう。(自分を知るって年齢は関係ないんですよね。私は個人的にはそっちのほうに興味がありますが。。。)

大学による、生き残りをかけた起業教育

日本にも沢山の大学があり、その中で、生き残りをかけて その学校の特徴をどうやってだしていくのか、大学も真剣に ”経営” ということを意識しなければならなくなってきました。
マサチューセッツ州だけで、100以上の大学があるといわれていますが、近年学生数が少ないリベラルアーツカレッジが経営難に陥っています。そんな中、学生数 約1400人のリベラルアーツカレッジである、ハンプシャーカレッジの新たな試みの話です。

ボストングローブ紙 11月1日

のんびりした学校が起業家を刺激する

先週、ハンプシャーカレッジは在校生か、最近卒業した卒業生が起業する為の 100万ドルの支援ファンドを設立したと発表した。
起業家とイノベーションの為の ”シードファンド(事業を始める為の元資金)” と呼ばれ、大学は20万ドルをこれから5年間、成功する確率の高いアイデアに分配する予定だ。

この100万ドルの資金はベンチャーキャピタリストで,、ハンプシャーカレッジの卒業生でもあるMichael Vlock氏と、 彼の妻のKaren Prizker(アメリカでも有数の資産家であるシカゴのPrizker家の出身)によって贈られた。この資金をどこからの干渉もうけることなく、自分たちの夢の実現にむけて使ってほしいといっている。

アメリカ国内のリベラルアーツカレッジは近年、カリキュラムにアントレプレナーシップ論や、その文化、補助金を出したり、夏のインターンシップ等を取り入れる努力をしている。

ハンプシャーカレッジのケースはまだ計画段階で、これからどのようにして、資金提供をするスタートアップを選ぶかをきめていかなければならない。12月までに希望者は書類を提出し、2月に選考があり、3月に最終的に賞が与えられるだろう。まだ はっきりはしないが、だいたい1〜4社くらいに資金提供できればいいと Vlock氏は思っている。

この学校には先攻というものはなく、自分で集中して勉強したいことを選択するようになっている。
”ハンプシャーカレッジはすでに 起業家的学生をサポートするようにデザインされているのです。” と、現役の学生はいう。

実際、2012年で 雑誌 フォーブスの最も ”起業家精神のある大学” の20位にランクインしている。卒業生の中には、Stonyfield Farm Yogurtの創業者や、オーガニックの肉を売るApplegate Farmsのオーナーもいる。Vlock氏によると、学生の理想は社会の問題を解決するノンプロフィット団体を設立することかもしれないが、彼は社会に還元できる、利益を追求したビジネスを望んでいる。
“次のFacebookみたいなものを立ち上げるような人が現れないかな?”

大学の起業センターの立ち上げにかかわったWong氏は、何か具体的な形になるもので 世の中を変える必要があると思う学生に資金が提供されると信じている。多分野にまたがった学びを通じて、ハンプシャーカレッジの学生は、ビジネスのみを先攻してきた学生より、広い視野で物事をとらえ、新しいアプローチで物事を解決するだろう、とWong氏はいう。

”リベラルアーツカレッジでは、アントレプレナーシップというのはビジネススクールとは違った意味でとらえられるんです。やり方も違います、といっても、我々はピザ屋を始めるつもりはないですよ。”

以上が意訳になります。

アメリカでは卒業生が母校に対してこのような大きな資金提供を、寄付もしくは基金として支払うことがよくあります。
大抵は、奨学金だったり、学校施設を維持するため、また人件費に支払われるのだと思いますが、このように明確に”起業資金”と明記することで、高等教育機関の意義が少しかわるのかもしれません。

このような背景には、アメリカ国内のリベラルアーツカレッジが抱える問題も見え隠れします。少数で、教授と学生の距離が近く、勉強や社会生活を営むには整った環境であり、一流の大学院にいくには一部のリベラルアーツの大学を出た方が確実とさえいわれていますが、一方、学生数が少ないために、卒業生からの寄付が非常に重要になっており、二極化が明確になりつつあります。極端に言えば、いろんな意味で成功している卒業生が必要なのです。

この調子でいくと、起業学という学位がとれる日がくるのでしょうか?
実際、ビジネスは学校でいすに座っているだけでなく、実践して、失敗を重ねて学ぶものでもあります。週2日学校で、3日は自分のビジネスの為に働くとか?

そういう意味でも、マスチャレンジは起業の学校だといえますね。
Hampshire College
http://www.hampshire.edu/