中国の景気減速がボストンの大学に与える影響

外国人をたくさん受け入れてるアメリカの大学では、歴史的に、世界の政治や経済の変化に少なからず影響をうけてきました。ここのところの中国株式市場の混乱で、このまま事態が好転しないと、中国からの学生が多いボストンの大学にも影響があるんではないかという懸念がでてきています。

ボストンエリアにおける、留学生の比率をみてみると、中国からは28.6%、インド10.5%、韓国5.9%、その後カナダ、サウジアラビア、台湾、トルコ、と続き、日本からは1.5%となっています。
Institute of International Educationの2014年のリポートによると、ボストンは全米で外国人留学生の多い3番目の都市になっており、19億ドルの経済効果をもたらしています。

外国人比率が高いのは、ノースイースタンやボストン大学ですが、ボストン大学では特に2014年度の外国人学生のうち41%が中国人になっています。

資金が潤沢にあるハーバードやMITは、中国人比率が低いこともあり、それほど影響は受けないと考えられていますが、他の中堅どころで規模の小さい学生からの学費をあてにして経営をしている大学では、中国人をあてにしている部分もあるので、中国人の比率が下がることが直接経営に影響を与えます。

それにしても中国人の大半は大学からアメリカにやってくる留学生ですが、現実には、高校や中学からすでに寄宿舎付きの学校にいっていたり、資産の移転という視点で考えた場合、家族ごと郊外の教育水準の高いエリアに家を買って家族ごと移動、また母子だけアメリカにいて父親が仕送りということが起こっています。

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クラウドファンディングで学費を稼ぐ

クラウドファンディングで色々なものが資金調達できるようになっていますが、個人的な学費まで調達できるとなると、本当に困っている人達にとっては朗報かもしれません。相当いろんな使い方が生まれそうです。
それにしてもアメリカの学費は高い!!!

ボストングローブ紙 11月13日

数週間前、Alexis-Brianna Felix さんはボストン大学を卒業できないんではないかと、心配になっていた。ブロンクスの貧しい地域で育った19歳の彼女は、来学期の為の学費を払うことができそうになかった。

そこで彼女はスタートアップビジネスがやるような、クラウドファンディングで学費を集め始め、ウェブサイトで家族や友達、知らない人にまで、学費を支援してもらう事にした。

“もし、私を援助してくださるのなら、寄付というより投資と考えてください。”と彼女は GoFundMe.comのサイトでいっている。
”私に投資してくださるなら、私は間違いなく成功します。がっかりは、させません。”

寄付は、大抵 一口10ドルとか25ドルとかの金額だが、募集を始めると、どんどん集まってきて、27時間後にはすぐに目標の5000ドルまで到達し、順調にいけば 家族の中で学位をとれる初めての人になれる。

現在、クラウドファンディングというのは、スタートアップに投資したり、災害や病気から立ち直るための援助資金等、を調達する方法として人気がでている。大学の学費の高騰により、インターネット上の資金集めは、研究費や留学費用、学費を捻出する為に役立っている。

しかし、クラウドファンディングにも費用がかかる、ウェブサイトによれば寄付金毎に5%の手数料が差し引かれる。
カレッジ学費の専門家によると、このように学費を集めるのはまだ珍しいというが、これからのトレンドになりそうだ。

クラウドファンディングは、Alexis-Brianna Felix さんにとっては最後の手段であった。
ボストン大学は年間 58530ドル(1ドル百円とすれば、年間約580万円!)学費がかかる。ファイナルシャルエイドや連邦ローンを差し引いても更に10000ドルを調達しなければならないのだ。

そんな時に、他の大学の学生が留学費用を募っているツイートをみて、親友に相談してみた。
友人は ”チャリティーでなく、私への投資ということを訴えてみたら?” といった。

Horace Mann Schoolという、彼女が成績が優秀で、また資金を援助してもらえた為に入れた名門のボーディングスクールでの友達、高校とボストン大学の同窓生、それから知らない人からも資金が集まった。入金された5ドルにはメッセージがついていて ”私たちはお互いに知り合いではありませんが、あなたの勇気、粘り強さと忍耐に心動かされました” というメッセージがついていた。
25日後には彼女は、募金件数 203、総額8856ドルを手にした。

この投資を回収できる自信が彼女にはある。”私は手に入れる機会を最大限に生かして、一生懸命働きます。”

広報と社会学を学んでいる彼女は、春にはボストンのスタートアップで広報のインターンシップが決まっている。

多くの高校時代の友達は高校も卒業できず、姉は資金がつきて大学を中退した。
今、彼女は、学費を出す為に自分達の貯金箱を空にしてくれた、自分の5歳と11歳の妹達を励ますことができると思っている。
”彼らが大学に行く時はお金に困らないように、私はちゃんと成功していないと!”

以上が意訳になります。

日本の大学別・生涯給料ランキングというのは時々発表されますが、アメリカのものも学費と比べた表でみてみたい、ROIはどうなのか、と思って調べてみると、ありました。
大学に行ってモトがとれるか - 大学っていい投資?

もちろん、給料だけが全てでないにしても、学生ローンを抱えたまま、何年も失業というのは本当に困ります。。。
日本でも同じようなランキングを見た時に、もしかしたら、進路を考え直すという選択肢もでてくるのかもしれません。

大学による、生き残りをかけた起業教育

日本にも沢山の大学があり、その中で、生き残りをかけて その学校の特徴をどうやってだしていくのか、大学も真剣に ”経営” ということを意識しなければならなくなってきました。
マサチューセッツ州だけで、100以上の大学があるといわれていますが、近年学生数が少ないリベラルアーツカレッジが経営難に陥っています。そんな中、学生数 約1400人のリベラルアーツカレッジである、ハンプシャーカレッジの新たな試みの話です。

ボストングローブ紙 11月1日

のんびりした学校が起業家を刺激する

先週、ハンプシャーカレッジは在校生か、最近卒業した卒業生が起業する為の 100万ドルの支援ファンドを設立したと発表した。
起業家とイノベーションの為の ”シードファンド(事業を始める為の元資金)” と呼ばれ、大学は20万ドルをこれから5年間、成功する確率の高いアイデアに分配する予定だ。

この100万ドルの資金はベンチャーキャピタリストで,、ハンプシャーカレッジの卒業生でもあるMichael Vlock氏と、 彼の妻のKaren Prizker(アメリカでも有数の資産家であるシカゴのPrizker家の出身)によって贈られた。この資金をどこからの干渉もうけることなく、自分たちの夢の実現にむけて使ってほしいといっている。

アメリカ国内のリベラルアーツカレッジは近年、カリキュラムにアントレプレナーシップ論や、その文化、補助金を出したり、夏のインターンシップ等を取り入れる努力をしている。

ハンプシャーカレッジのケースはまだ計画段階で、これからどのようにして、資金提供をするスタートアップを選ぶかをきめていかなければならない。12月までに希望者は書類を提出し、2月に選考があり、3月に最終的に賞が与えられるだろう。まだ はっきりはしないが、だいたい1〜4社くらいに資金提供できればいいと Vlock氏は思っている。

この学校には先攻というものはなく、自分で集中して勉強したいことを選択するようになっている。
”ハンプシャーカレッジはすでに 起業家的学生をサポートするようにデザインされているのです。” と、現役の学生はいう。

実際、2012年で 雑誌 フォーブスの最も ”起業家精神のある大学” の20位にランクインしている。卒業生の中には、Stonyfield Farm Yogurtの創業者や、オーガニックの肉を売るApplegate Farmsのオーナーもいる。Vlock氏によると、学生の理想は社会の問題を解決するノンプロフィット団体を設立することかもしれないが、彼は社会に還元できる、利益を追求したビジネスを望んでいる。
“次のFacebookみたいなものを立ち上げるような人が現れないかな?”

大学の起業センターの立ち上げにかかわったWong氏は、何か具体的な形になるもので 世の中を変える必要があると思う学生に資金が提供されると信じている。多分野にまたがった学びを通じて、ハンプシャーカレッジの学生は、ビジネスのみを先攻してきた学生より、広い視野で物事をとらえ、新しいアプローチで物事を解決するだろう、とWong氏はいう。

”リベラルアーツカレッジでは、アントレプレナーシップというのはビジネススクールとは違った意味でとらえられるんです。やり方も違います、といっても、我々はピザ屋を始めるつもりはないですよ。”

以上が意訳になります。

アメリカでは卒業生が母校に対してこのような大きな資金提供を、寄付もしくは基金として支払うことがよくあります。
大抵は、奨学金だったり、学校施設を維持するため、また人件費に支払われるのだと思いますが、このように明確に”起業資金”と明記することで、高等教育機関の意義が少しかわるのかもしれません。

このような背景には、アメリカ国内のリベラルアーツカレッジが抱える問題も見え隠れします。少数で、教授と学生の距離が近く、勉強や社会生活を営むには整った環境であり、一流の大学院にいくには一部のリベラルアーツの大学を出た方が確実とさえいわれていますが、一方、学生数が少ないために、卒業生からの寄付が非常に重要になっており、二極化が明確になりつつあります。極端に言えば、いろんな意味で成功している卒業生が必要なのです。

この調子でいくと、起業学という学位がとれる日がくるのでしょうか?
実際、ビジネスは学校でいすに座っているだけでなく、実践して、失敗を重ねて学ぶものでもあります。週2日学校で、3日は自分のビジネスの為に働くとか?

そういう意味でも、マスチャレンジは起業の学校だといえますね。
Hampshire College
http://www.hampshire.edu/

ハーバード大学が低所得者の学生の受け入れを増やそうとしている

エリート大学が、批難をかわすための策という話もありますが、現実的にはアメリカでは、ほとんどの学生がファイナンシャルエイドのサポートを受けると言われています。

大学はファーストジェネレーションの学生の要求を満たす努力をしている
  
という記事でもありましたが、実際ダイバーシティを大切に思っているアメリカの大学にとってはいろんな人にチャンスを与えることは大切なことです。特にエリート校に入学する日本人の割合が減っているので、これから大学選びを検討している方にはチャンスがあるかもしれません。

ファイナンシャルエイドに関する詳しい情報はこちら
**ただし、日本にいる日本人が申請する場合は、特別なものでないと、難しいかもしれませんが、文部科学省などでも、エイドをだしているようです。

ボストングローブ紙 10月25日

ハーバード大学と他のエリート大学が長年低所得層の学生の受け入れを積極的に行ってこなかったことへの批難から、キャンペーンを展開しファイナンシャルエイドについてソーシャルメディアやビデオ等の方法で高校性を対象にアピールすることにした。沢山の学生やその家族は、発表されている学費をみて、申し込みをあきらめてしまうが、みんなはどんなファイナンシャルエイドがあって、それがどんなに学費を削減してくれるかをしらないのだ。非常にいい大学に、ほとんどただで通えるということさえありえるのに。

“沢山の優秀な学生が特に経済的な理由から、レベルを落とした学校にったり、大学への進学をあきらめたりしています。ハーバードではすでに毎年、140の都市や市町村に、該当する学生や両親や学校のガイダンスと会うために手紙を送っているが、ウェブサイトでは入学案内と、ファイナンシャルエイドの説明は別になっているのでわかりにくい。新しいキャンペーンはテキストメッセージやフェイスブックなどのソシャールネットワークを使うことで生徒が応募しやすくなる。まず第一の目的は低所得者層の大学卒業率をあげるということである。ハーバードによるここ数年のデータによると、裕福なエリアに住む優秀な高校四年生(最終学年)のうち、78%が全米の238の優秀な大学に、入学しているのに比べ、低所得者層住む地域の優秀な高校四年生は三分の一しか入学できていない。また、高校生は、自宅のそばにある卒業率が高くて、サポート体制がしっかりしている、大学を検討する傾向にあるという。

コーネル大学の研究所の教授のEhrenberg氏はハーバード大学等の取り組みを歓迎している、なぜならファイナンシャルエイドをよく知っている学生ほど、レベルの高い大学を選ぶからだ。しかし情報だけでは問題は解決しない。
裕福な、ハーバードやイエール、プリンストン大学はもっと低所得層の学生を受け入れられるが、財政的に厳しい他の大学は、授業料をあげなければ、低所得層の学生を受け入れられない。

以上が、意訳になります。

アメリカには、相当数の大学があり、大学間の競争がますます激しくなってもいます。日本の大学もそうですが、大学間の競争が国内だけにととどまらず、国際競争になっています。それを考えると、これから淘汰される、大学も増えていくことが想定されます。日本の学生もそれを念頭に、大学選びは世界に目を向けていくことが新しいチャンスをつかむことにつながる可能性が高いように思います。

連邦学生ローン、18年ぶりの高い割合での債務不履行

秋は新学期なので、先日の記事にも書いた、高等教育の学費の高さというのが、メデイアをさわがせるのですが、今回は連邦学生ローン(公的なローン)が18年ぶりに高い割合で債務不履行に陥っているという話です。といっても、毎年のように問題になるのに、改善の兆しがみえないばかりか、ますます格差が広がるような感じがしています。

9月8日発行のボストングローブマガジンによると、2005年の一人あたりの平均の学生ローン負債額が17233ドル(約170万円)だったのに対して2012年には27253ドル(約270万)になっています。一つの要因には一部の私立大学はブランド化がすすみ、オリンピック競技場も顔負けなスポーツ施設や, 学生食堂もレストランなみのメニューを取り揃えるなどのことをしていることがあげられています。学費を下げる為にオンラインのコースの提案もなされていますが、実際、大学に行く人のほとんどが様々な形の学生ローンや奨学金のお世話になっているという現実があります。

ボストングローブ紙 10月1日

連邦学生ローン、18年ぶりの高い割合での債務不履行

要約

7人に1人は連邦学生ローンの債務不履行に陥っているという事実は、この景気がよくないときに卒業生達にとって学費の支払いがどれだけ大変なのかを示している。債務不履行(デフォルト)の割合は14.7%と1995年以来、一番高い。

ワシントンのヤングインビンシブルという18歳から34歳までの若者をターゲットとしているNGOで政策担当と研究所長をしているRory Osullivan氏によると、このデフォルトの増え方は借り手の痛みを表しているという。 ”借り手にとっては財政的危機状況です。” デフォルトはクレジットカード会社の評価と将来的に借金をすることを難しくする。米国の、学生ローンの総額は、政府系のローンと民間のローンを合わせると、1兆2000億ドルにものぼる。この総額は住宅ローン以外のその他の消費者金融の負債総額を超える。

**ヤングインビンシブル というのは18歳から34歳までの若者の声が政府の政策に反映するように働きかけているNGOです。