ドライバーのいない車

長年のライバルであるMITとスタンフォードが協力して、フォードの為にドライバーのいらない車を開発しているという記事が1月23日のボストングローブにありました。

会社のゴールは”常識を兼ね備えた車”を作ること、とフォードはいいます。運転する人は、大抵、見える事と同じくらい見えない事を重視し、次に起こる事を予想することができますが、その直感のようなものを車に装備させたいというのです。
この、次に起こるシナリオを考える機能は周りのリスクをよりよく察知したり、歩行者や他の車、対象物をさける道をみつけたりすることを可能にします。
MITはどこに歩行者や, 動いている車があるかという事を予測する能力を改良することを手伝っており、一方スタンフォードは、トラックなどの障害を見つけ、それに応じてどう反応するかということについて手を貸しているそうです。

人間だって”直感”というものが、どういうふうに機能するのかよくわかっていないのに、それをどうやって車に装備させるのか、興味がありますね。
これからは脳の時代だといわれますが、機械にも脳の機能が着々と組み込まれていくようです。そのうち、運転手という職業がなくなる??車の運転を楽しむということは、特別な趣味になる日がくるのでしょうか。。。

トラウマを消す方法

サイエンスフィクションが現実になりつつあります、少なくともねずみの実験では。

ここ数年のMITの実験成果は、別の記憶をうえつけたり、本当の記憶を再生させたりすることでしたが、薬と行動セラピーで以前に起こったトラウマを消し去る事に成功した、とMITの科学者が発表したことが1月17日のボストングローブにありました。

この研究はまだ人に活用できるものではありませんが、どうやって記憶が形成され、維持されるのかという質問に対する新しい洞察をなげかけるものであります。
MITのピカワー学習・記憶研究所の所長である、ツァイ先生はもともとアルツハイマーの研究をしており、2007年に失った記憶を再生させる試験薬を特定することに成功していましたが、それが心的外傷後ストレス障害を抱える人達にも使えるのではないだろうかと考え始めました。
ツァイ先生のグループは学習と記憶に関係する遺伝子を活性化するHDAC抑制剤と呼ばれている合成物の種類から治験薬をためしました。
心的外傷後ストレス障害を抱える人の治療で安全な状況下でひどい記憶を新しい経験で書き換えるというやり方がありますが、これはいつも機能するとは限りません。そこでツァイ先生は薬がこの有害な記憶を書き換えることができるのか考えました。
記憶喪失の場合にこの薬を使う場合は、長期間の使用になるので副作用が心配されますが、恐れのようなネガティブな記憶を消すのにはその心配はあまりなさそうです。

2013年にスイスローザンヌ工科大学のバイオ、ニューロエンジニアリング関連の大きな研究所(ヒューマン ブレインプロジェクト含む)がジュネーブにできましたが、そのイベントのスピーチで学長がこれからは、脳の時代になる、と発言されていましたね。(ローザンヌ工科大学というのは英語圏でない工科大学の中では世界トップ3に入る大学で、その影響力もかなり高い大学です。)

確かに、脳の研究というのはこれからますます進む分野なのでしょう。友人の、ニューロサイエンティストに ”人って考え方を変えたりすることで病気を治したりできると思う?”ときいたところ、”そういうことはあると思う、それが今、科学的に証明されようとしている過渡期だから、実際、病院には瞑想できる所とか、ヨガができる所があって、私達が自分たちで実験して効果を確かめているの。私は太極拳に興味があるけど” と冗談か本当かよくわからない答えがかえってきました。
今までは、スピリチュアルな部分と、科学がずいぶんかけ離れた場所にあったような気がするのですが、これからはこの差が縮まってくるのかもしれません。

MOOCs(大規模公開オンライン講座)から学ぶ世界標準の作り方

MOOCsはほとんど、無料のコースですが、その中でMITが$495のコースを発表しました。この1年強の間にMOOCSは急激に浸透し、去年の10月の段階でedXの登録者数140万人、ということでしたが、登録者数がふえたことからMITが新たな戦略にでました。1月10日Gigaomによると、$495のコースはビックデータのコース Tackling the Challenge of Big Data でこの3月から始まる4週間のコースは初めてのプロフェッショナルラーニングのコースになり、アカデミックなものではありません。
これはedXのプラットフォームを使ってプロフェッショナルなクラスを提供するオンラインXと呼ばれる大学によって提供されるものになります。

お金がかかる分、受講する人もそれなりの覚悟と意欲をもってクラスをとるので、終了率もあがることが期待されますね。現実的に、オンラインのコースは働きながらとる人が多いわけで、プロフェッショナルのコースを充実させることは、理にかなっているといえます。
これで、無料のコースの時にはほとんど、評価されなかった、MOOCsの修了書も転職の時に少しは評価が違ってくるのでしょうか。

オープンソースにして、サービスをただで解放し、短期間で数を増やして(仲間を増やして)標準化すること。日本のように、世界標準を作るのが苦手な場合、このやり方は、他の業界でも参考になる、手法な気がします。

現状、世界の大学が参加するMOOCSで支配的になっているのがedXかcousera。基本的にどちらかのみに大学は参加できるようです(今まで唯一、2つのグループに参加しているのが、スイス連邦工科大学のローザンヌ校)これからどういう展開になっていくのか、目がはなせません。

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起業を教えるネットワーク

子供のころ、将来何になりたい?ときかれて、”ピアノの先生”とか、“パイロット”とか、“警察官”、とか考えてみると、ちゃんとした職業名をみんないっていて、そこで “サラリーマン” とかいう友達はあんまり、いなかったような気がします。それが歳を重ね、現実が見えてきて、とりあえず、大企業にいこうとか、商社ならいいとか、形というか枠を気にし始めると、一気に夢がさめてしまいます。 1月16日のボストングローブ紙には中高生にどうやってビジネスをするかということを教えるプログラムを提供する、ノンプロフィット団体、”起業を教えるネットワーク”(Network for Teaching Entrepreneurship programs)が紹介されていました。

ニューヨークシティを中心に活動するこの団体のプログラムは収入の低い家庭が沢山いる学校を対象に、子供達が将来のビジネスを思い描けるように学校のカリキュラムに組み込まれています。
プログラムでは、子供達に消費者になることだけではなく、仕事を作る側になれることを教えます。

17歳のKellamさんは(女子)、肉体的にも精神的にも障害を抱える子供の為のダンススタジオをあけるという、ビジネスを思い描いて、”起業を教えるネットワーク” が開催するピッチコンテストにでて50ドルの賞金をもらいました。
この子は、自分の母親が障害を持った事で、苦しみながらもダンスを通じ自信を取り戻すのを見て、障害を持つ子供たちがダンスを通じて友人を作る事ができるようにこのアイデアを思いついたそうです。この他にも、乳ガン患者を支援するために、ケーキをやいて、利益の10%を乳ガン財団に寄付するというもの、タトゥーを作るアプリの提案など、新聞にでている例ではビジネスアイデアの裏には子供ながらに心を動かされる何か別のストーリーがあり、それを原動力に事業計画を進めています。
ある意味、金銭的な欲がないので、まわりもつい支援したくなるのでしょう。
”起業を教えるネットワーク” が開催する今年度後半に行われるナショナルピッチコンテストでは1位の賞金は25000ドルになる予定です。

ABCネットワークの番組にシャークタンクというリアリティーショーがありますが(日本のマネーの虎のような番組)そのショーでは、資金調達をしたい、企業が数人の投資家の前でピッチをし、投資がもらえるか、どうかをきめます。とても面白い番組だとは思いますが、なんだかとても残酷なショーのような気もします。お金を出す変わりに、株式比率を60%にしろだとか、金利40%で貸す、とか、何万人の見ている前で、人生最大の(?)決定をしなければいけないかもしれない、このショー見てる方もドキドキです。投資家達の中には人相の悪い人もいたりして、まさにシャーク。人食いさめの餌食になってしまうのか?という現実的な怖さもあります。面白いのは、クッキーを作って売る人達やアクセサリーを作って売っている人にも同じように投資を受けるチャンスがあるということ。実際、ものすごい特許もある発明に、投資がこず、革細工のアクセサリーを作っている人が投資をうけたりすることもあり、投資家がお金の流れをどうみているか、というもわかります。ある投資家が、2〜3分のプレゼンで ”あなたのことが好きになれないから、投資しない” といっているのをみると、会ってすぐ人を魅了する力というのも、一つの才能だと思いますね。

スタートアップを支援する様々なオフィススペース

1999年にボストンの隣町であるケンブリッジ市にあるMITのすぐそばにできたCIC(ケンブリッジイノベーションセンター)は、MITからスピンオフした学生起業家のような人達や、会社をたちあげたばかりで、安い事務所スペースが必要な起業家、個人事業者でいっぱいになり、現在300社以上がそこのオフィススペースを使用しています。家賃は月額一人350ドルから1200ドルくらいまでで、CICには、1人でやっている会社から数十人規模の会社まで、様々あります。オフィスの形も、一人の場合は、ワンフロアーに大きな机があり、そこにイス一つで自分のスペース(事務所)のできあがり。もちろんクローズなオフィススペースもあります。実際、テック系のアプリやウェブサイトを作る会社はスペースがほとんどいりません。建物の中にはベンチャーカフェやヨガのコース、語学コースといった、クラブのようなものまであり、一大コミュニティーを築いています。

CICは世界で一番スタートアップが集まっているところですが、このような、オフィススペースで、もっと様々な種類のものがその後現在までにいくつも誕生しています。それぞれが製造販売している製品、顧客層によっても、創業者達がふさわしいと思うスペースも違うようです。
理由としては、企業同士が互いの経験を学び合える場になっているということであり、場合によっては、問題を抱えている会社が他の会社に助けてもらったり、社会的な側面もあるとのこと。起業するとはとても孤独なことなので、誰かと話ができたり、一緒に何かを共有できるということは、うれしいということらしいです。

高級オフィス街に去年9月にできたsnap suitesはもう少し、高級な顧客を相手にする場合にいいオフィススペースで、毎月の家賃が一人3000ドルもします。これだけの金額が払える会社なら、自分たちの事務所を構えてもよさそうですが、そうすると、セキュリティーの問題、清掃、90%は使われないだろう会議室とか余計な、コストやスペースが増えるそうで、それを考えるとレンタルオフィスでいい、という会社もあります。

また 去年の7月には ハードウエア(ロボットから補綴器具まで様々なもの)を作るために1億円相当の機械まで用意しているスペースを貸す、Boltもオープンしました。こうなってくると、オフィスを貸すというより、工場貸し?
クラフトビールメーカーのAeronaut Breweryは、2015年にはCoolship Labs という、発酵技術を使って作った商品を扱うビジネスを展開するスタートアップに特化したスペースをオープンするそうです。
これって、みそとか麹とか納豆とかでもいいんですかね?
なんか、とってもおいしそうな、ビジネスの匂いがします!

それにしても人口660万人しかいないマサチューセッツ州で、ボストン周辺にこれだけの、多種類のインキュベーターを含むオフィススペースが集中するのはすごいことです。。。
CICがボストン周辺の大学、研究所の起業文化を支えていること、そしてケンブリッジ市の発達に大きな役割を担っている事は、日々の新聞をよんでもよくわかります。このCICをたちあげたCEOである、Tim Row氏は以前は日本に住み、日系の企業に勤めていたこともある、日本語を大変に流暢に話すアメリカ人です。日本企業のOBともいえる、こういう方が、起業文化の本拠地アメリカで、それを支えているというのはとても面白く、うれしいことでもありますよね。