イノベーションエコノミーをどのように育てるのか   −ケンブリッジ市の成功例から学ぶ−

日本でもイノベーションを起こすための取り組みが色々検討されていますが、ケンブリッジ・ボストンエリアでなぜ、イノベーションエコノミーが成功しているのかということを簡単に説明したいと思います。

一つとても大事な点はイノベーションを起こし、成功する起業をするということがまるで、その会社一つ、もしくは偉大な起業家一人を育てるというように思われている部分があるのですが、地域として成功するためには、エコシステムとして成り立たないと、継続して繁栄していきません。

ここでいうエコシステムとは循環する、という意味ですが、このシステムが地理的にも非常に集約されていることに大きな意味があります。

ケンブリッジ市の例でみると、まず
1 大学が集中している
ハーバード、MITといった世界でも最高峰の大学やその研究所を中心にケンブリッジ市、及びボストン周辺には多数の大学が集まっており、日々新しいテクノロジーやアイデアが生み出されます。

2 ベンチャーキャピタル
エンジェルと呼ばれる個人投資家や、ベンチャーキャピタリストが大学からスピンオフしたスタートアップを支えています。

3 インキュベータ
CIC(ケンブリッジイノベーションセンタ−)のようにメンターやベンチャーキャピタルも出入りするような起業家達のコミュニティーを作っているワーキングスペースが数多くあります。

大学で生まれた新しいテクノロジーやスタートアップはベンチャーキャピタルからの資金提供やメンターの助けを得て、コワーキングスペースのような場所(インキュベータ)で育っていきます。そこは、起業家達が集まるコミュニティであり、互いに情報交換したり、メンターからの支援を受けたりすることができます。そして、大きくなった企業はさらに、別の場所に移るもしくは、大企業に売却されて、多額の資金を得た起業家達は今度はメンターや投資家として新たな起業家を育てたり、またシリアルアントレプレナーとして、次の事業を立ち上げたりしていくのです。そしてそれがMITを中心にして半径2〜3km程度の範囲のところで行われています。場所が集積するのがいい理由というのは人の流れが密になり、人がコミュニティに帰属する意識も上がるからです。コミュニケーション量も増えることでそこからまた新たなものが生まれる可能性が高くなります。

そして、上の表の3つの要素の中でさらに細分化が進んでいます。例えば、インキュベータ一つとっても、ラブセントラルのように、バイオテックの為のインキュベータや食関連のインキュベータ、またマスチャレンジのように、一つの施設の中に、スタートアップ、ベンチャーキャピタル、メンターを組み込んだスタートアップをより、積極的に育てるようなアクセラレータと、それぞれがさらに細かく枝分かれしているのです。
大学の中にも各大学がアントレプレナーセンターを構え、メンターの紹介、ベンチャーキャピタルへのつながりと、学生起業を支援しているところも多くあります。

マサチューセッツの州知事は、来年から変わります。新しい州知事の課題は、成功したケンブリッジのような、イノベーションエコノミーの集積地をマサチューセッツ州内の他のエリアでも作ることを支援できるのかということになります。

日本の場合、必ずしもこのパターンではないとしても、成功するイノベーションエコノミーを作れるかは資金を作り次に投資する、という資金の流れと人を育て、育った人が次の世代を育てるというエコシステムが、あるまとまった地域で作れるか否かではないかと思います。

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学生ローン問題ー自分に借金があることを自覚していない大学生達ー

アメリカの高校の最終学年にいる生徒は年があけると大学進学の為にそろそろ願書を出す季節なのですが、年内にアーリーアクションやアーリーディシジョンといって、通常の願書提出よりも早く出せる仕組みがあります。どうしてもここがいいという志望校がはっきりしている場合、それで願書を出す子供達も多いのですが、早くに願書を出した子達がそろそろ合格通知を受け取り始めました。来年の秋に入学する学校が今の時期にもうわかることになります。学生達からしてみれば、クリスマスプレゼントをもらうようなものですが、早いですね本当に。卒業する6月まであと半年、気持ち的に余裕をもって高校生活をすごせるということになります。

ところが、いざ大学生活が始まっても、ワシントンポスト12月14日によると大学一年生のほとんどが自分がどのくらいの借金を背負っているのか正確に把握していないといいます。連邦学生ローンを借りている大学1年生の28%が連邦ローンを借りているという自覚がなく、さらに14%は自分たちが何らかの借金を背負っているということさえわかっていないとのこと。2011年〜12年に行われた高等教育学生助成金調査によると、51%の学生は負債を過少評価し、25%は過大評価しているといいます。

18歳ですでに借金の心配をしなければいけないというのはなかなか大変なことですよね。。。
実際、親が学費を支払う場合、借金がどれくらいなのかということをシリアスに考えない学生達もいるでしょうし、それに大学を卒業した後にどれくらいの年収が得られるのかといったことまで考えていない場合も多いでしょう。もっとも、高給だと思っていた職業がそうでもなかったということもあるでしょうが。。。
日本では大学から、一人暮らしをする学生も増えます。逆に、アメリカのように寮生活をしないことで、経済観念もつくのかもしれませんね。

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製薬ビジネスディベロップメントの専門家にきく、日本市場にかける思い

日本の社会も女性の活用というものを真剣に進めなければいけなくなってきました。

この女性のインタビューシリーズでは、様々な生き方、働き方をしてグローバルな市場で活躍している女性達にフォーカスを当てていますが、今回の女性は非常にダイナミックな方、グローバルな製薬市場における製薬ビジネスディベロップメント(新規事業開拓)の専門家であるアニー・ベダード(Anny Bedard)さんです。アニーさんは、製薬会社シャイアーで副社長及び、 日本とアジア太平洋地区のゼネラルマネージャーを努め 稀少、難病疾患治療の為の製薬を世界で販売するために、南アメリカ及びアジア各国において、ビジネスをたちあげてきました。そんな彼女に日本のことや自分の強みをどうみつけていくのか、そしてこれからの展望をききました。

彼女はカナダケベック州出身のフランス系カナダ人で、サイエンス、バイオケミストリーを勉強した後、製薬関連の マーケティング、営業の仕事を始めとし、カナダ(フールニエファーマ)、フランス(フールニエファーマ)、アメリカ(セロノ、シャイアー)と拠点を移動させてきました。

—世界中を移動されていますが、引っ越しを伴う移動の際は、何を基準に決断するのですか?
私は何か新しいことに挑戦することやクロスカルチャーの環境で働くことが好きです。上司に恵まれたというのもありますが、周りにもチャンスがあったらどうしたいのかという自分の意思を伝えておくということも大切です。

—新規市場開拓というのはどこの国でしてきたのですか?随分時間もかかりますよね?
メキシコ、ブラジル、コロンビア、日本、韓国、台湾等です。1つの市場に大体、1年くらいかかります。10人くらいのチームで市場の大きさ、法規制といったようなことを調べる市場調査をして販売ルートを確保します。ジャングルの中に道を作るようなもので、とりあえず市場を開拓し、基盤を作ったら後の人に引き継ぎます。遺伝性の稀少、難治性疾患というのはとても限られた市場です。より患者の方に近いところでビジネスができるのが魅力的です。

—南米とアジアって文化も、人のメンタリティーも全然違うと思うのですが、大変ではありませんでしたか?
私は何かに挑戦するのが好きですから。(笑)
そうですね、確かに、ブラジルと日本は全然違いますね、ブラジルには日本人がたくさん移民として住んでいますが。アジアと一言でいっても中国は日本とは全然違いますし。特に日本や韓国は男性社会ですね、でも日本人の女性は本当に優秀な人が多いですよ。信頼もできるし、きちっと仕事をするし、オーガナイズもできている。
でも、自分の箱の中からでることも大事ですよ、それには変わる勇気やガッツは必要です。

—日本の社会の特異性はなんでしょうか。
仕事における価値観というのは西洋と日本では違いますね。自分が日本市場に参入するときは、長年日本に住んでいるアメリカ人と西洋人の考え方がわかる日本人のコンサルタントの方に 色々教わりました。特別だと思うのは、結果以上に過程を重要視することでしょうか。あと、仕事が細かく細分化されているので、人がたくさん必要ですね。

—どうしたら自分の強みを発見して、自分の得意な分野で仕事を続けられると思いますか?
必ずしも、全ての人が好きなことや得意なことを仕事にできていないかもしれません。私は1年の終わりにはいつも、今年成し遂げたこと、反省点、来年に持ち越す課題というのを洗い出して、自己評価をします。そしてそれを又第三者からも評価してもらいます。そうすると、自分の強み、得意なこと、好きな事が見えてきます。好きなこと、得意なことが仕事の中でより生かせていればいいですし、そうでないなら現在満足できているかを確認することは大事です。

さて、彼女は次のステージ、起業をするために 準備をしています。

—これからのビジョンは?
日本が大好きだしとても素晴らしい国だと思います。しかもアメリカ、ヨーロッパに続き、製薬市場として大きなもので、非常に魅力的です。遺伝性の稀少、難治性疾患治療の為の製薬や処方箋の必要な特殊な薬を扱う規模の小さな会社やスタートアップが 日本市場に新規参入するのを手伝うようなビジネスをしていきたいと思っています。
それと同時に日本の女性達にも頑張ってもらいたいです。特に製薬産業にいる女性達がもっとオープンになって、活躍できるように手助けをしたいと思います。

—私は以前、日本にいる外国人CEOから、外国に住んでいた人と一緒のほうが働きやすいし、そういう人を採用したい、ということをききました。
そうですね、でもだからといって全員が外国で研修や留学できるわけではないですし、日本しか知らない、日本語しかわからない人にいきなり、グローバルになれというのはフェアではないです。
外資系の会社にいる人達や、外国帰りの人達というのは社会を変えていく上でいい人的資源になると思われます。彼らに手伝ってもらって人的ネットワークを作っていくとか、例えば、パーソナルディベロップメントプログラムのようなものを作って一つずつ階段を上っていくようにするとかという方法が、個人レベルでできることかもしれませんね。

* * *

とてもエネルギッシュな方で楽しそうに話されるのですが、よくよくきいていみると本当にすごい事をされている方です。世界を股にかけて活躍とはまさにこういうことをいうのだなあと思います。
お話をきいていて個人的には日本の規制の多さ、書類の多さ、 根回しの必要性、コミュニケーションに時間がかかる、といったことが仕事の効率性を下げている可能性があるように思いました。英語で書くと簡単なことでも日本語にすると、 文章が長くなりますし、それだけ、気を使って書いて、なかなか核心に話がこないというのは、日本語や日本文化の特徴なのでしょう。

女性を活用し、少子化をとめる為には労働の生産性をあげて、人が働きやすい環境を整え、男女ともに長時間労働から解放されることが必要 ですね。そのためには外部の成功例を見たり意見をきくことは参考になります。

アニー・ベタードさん

アニー・ベタードさん

日本人妻の草の根外交

先日、日本の在外公館に勤めておられる日本人の方と、こんな話になりました。

彼女は、現在の職について数年たちますが、仕事で日本語を流暢に話せる外国人の男性達に多く会いびっくりするのだけど、話をよくきくと、その陰には大抵日本人妻の存在があるといいます。外国で日本語の普及に大きく貢献しているのはいわゆる『日本人妻外交官』なのではないでしょうか、という話でした。

統計的には日本人男性と外国人女性の国際結婚のほうが、その逆よりも圧倒的に多いのですが、地域性のせいか自分の周りをみると、日本人女性と結婚している外国人男性のほうが、多いようです。そして、子供が学童期になれば日本語の補習校にいかせ、これは男女を問わずですが互いの文化を理解するために日本語を子供と一緒に習っている人達も多くいます。

日本にいて日本語が、もしくは日本文化がわかるから日本人と結婚することになったのか、相手の国もしくは、第三国で知り合って、縁のあった人がたまたま日本人だったのかで、温度差もあるのでしょうが、相手をもっと理解する為に互いの文化や言語を知ろうという気持ちが世界を繋げていくのではないかなと感じます。

これがまさに草の根外交なんでしょうね。日本に住んだこともないのに、とても流暢に日本語を話すアメリカ人にも会いましたが、その隣にもやはり日本人妻の姿がありました。

TEDx Palais des Nations-人の為に尽くす人達の話-

ジュネーブにあるパレ・デ・ナシオン(国連欧州本部や様々な国際機関が入っている)とボストンを含めた世界22都市を結ぶライブストリームのTEDxが行われました。パレ・デ・ナシオンには、国連難民高等弁務官事務所、国際労働機関、世界保健機構、赤十字国際委員会といった主に人権に関わる機関が多くはいっていますが、今回の背景にあるテーマはインパクト。人道的見地から人の為に働く、科学者、起業家、人権活動家達にフォーカスをあてました。
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そのうちの2人の話を紹介します。

国際障害同盟(IDA)の会長であり、世界盲人連合(WBU)の前プレジデントであったマリアンヌ・ダイアモンドさん。
子供の頃から、本が好き、数学が得意だった彼女ですが、目の見えない彼女は目がみえなくても読める点字本や、オーディオブックのような教材を探すのに苦労したと言います。
大学で数学を勉強してITスペシャリストになった彼女ですが、その後、自分のように目が見えない人のために、尽くす道を選びました。
それは御自身のお子さんが同じ障害を抱えていたということも動機になったようです。視覚障害者の問題というのはちゃんとした教育が受けられなくて、雇用される率が低いということだそう。そしてそれは発展途上国では特にひどく、先進国でも就職率は低いという現実があります。教育をしたくても、視覚障害者にも対応している本や学習教材が圧倒的に不足しているということが背景にあるそうです。出版される本の93%は目の見えない人に対応していないという事実があり、その状況を改善する為に、視覚障害者の為の本を作り、プロモーションして、国際的なデータベースに誰でもアクセスできるように活動をしています。
出版される全ての本が視覚障害者でも読める(聴ける)ようにすることが彼女の目標です。

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国連難民高等弁務官事務所のヨーロッパ支局のディレクターであるヴィンセント・コーチェテル氏は1998年、37歳のときチェチェンにおいて任務中に突然銃をつきつけられ拉致され、317日間監禁された方なのですが、彼はある意味幸運にも生きて戻ってこれた、でも同じような任務についていた同僚の中にはなくなられた方達も多くいるわけです。そして、この人権に関わる活動をされている中で、任務中に怪我をしたり、亡くなる方というのがここ十数年でどんどん増える傾向にあるそうです。
拉致された始めの3日間は車のトランクの中で車から車へと移動させられ、その後地下牢のような真っ暗な場所で、1日2回のスープとパンをもらい、15分のろうそくの明かり、トイレットぺーパーもないところですごし、また数日後に移動したところでは45分の明かりと音楽がもらえ監禁されている時に、彼らの活動に対して感謝の言葉をかけてきた人もいるそう。
”全ての命は重要なのです、それは津波の被害者も、難民も同じなのです”
大変なめにあってもなお正義の為に、人権の為につくす決心をさらに強くしたようです。

tedex

ボストンでは起業家達のピッチをよくきき、問題を解決しようという情熱やパワーを感じるものですが、今回は人の為に命をかけて尽くす人達の話をきいていて実際プロフィット事業でも、ノンプロフィット事業でも、自分の職務、役割、夢に対する情熱、パワー、信念というのは、起業家の持つものと同じような強さを感じましたね。
そしてたぶんとてもシンプルなことですが、どの分野でも成功する人というのは、自分の役割を100%全うする人達なんでしょう。