デジタル通貨の決済方法

この数ヶ月ビットコインの話が市場を騒がせています。先週アメリカの国税庁はビットコインを”通貨”とみなさず、”資産”とみなして課税対象にするという発表をしました。一方、ビットコインをメインストリームにのせようという動きも前進しています。
サークルインターネットファイナンシャルというボストンを拠点にする1年ほど前にできたデジタル通貨の決済を行うプラットフォームを作る会社がマウントゴックス社が倒産する少し前に1700万ドルの資金を調達していたニュースがありました。今回の資金調達によりこの一年で2600万ドルの資金を集めたことになります。(ボストングローブ3月27日)

デジタル通貨は国家政府による信用を得ている通貨と違ってコンピューターのネットワークの中にのみ存在しているものですが実際ボストンでもレストランや店舗でビットコインを使って支払い可能な場所は増えてきているそうです。

サークルインターネットファイナンシャルは、ビットコインのようなデジタル通貨を消費者にとってもっと便利に店等で使ってもらえたり、送金できるような決済のしくみを作っています。先週限られた顧客の為に口座を開設し、今年の終わりまでには、一般的な消費者が使えるようにする予定だそうで、gmailやスカイプのようなサービスのように簡単なしくみになる、と創始者のアレアー氏は話します。

アレアー氏は、ビットコインは詐欺や不正がおこりにくく、他の支払い方法よりずっと早く、安い(クレジットカードに発生するような手数料がない)と考えています。
マウントゴックス社のような事件はクリプト通貨ビジネスが政府の要求にもとずく、消費者保護という観点の外にあることが問題であるとし、政府との架け橋として前金融消費者保護庁庁官代理をボードメンバーにひきいれました。
しかし、現状ビットコインの価値は非常に不安定でこの価値を安定させる為にはもっと沢山の金融機関でも受け入れられ、政府の監視が必要であると考えており、それにはあと数年はかかるだろうと見ています。

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通貨というものが、政府の管理下にないということは政府にとっても脅威になるということでしょうし、また厳しい法規制の下にある既存金融機関にとっても面白くはないでしょうがデジタル通貨とそれを巡る環境はこの数年でまだまだ変化しそうです。将来の ”お金” はどうなるのか、しばらく目が離せない状況が続きそうです。

ハーバード大学の資産運用

ハーバード大学は寄付金が多く、リッチな大学としても有名ですが、この豊富な寄付金を運用しているハーバードマネージメントカンパニーという会社があります。この会社の目的はハーバード大学が行う教育と研究を金銭的に長期サポートすることにあります。このファンドのプライベートエクイティマネージャーが変わるというニュースがありました。米国内最大の大学基金のマネージャーになるリチャード•ハル氏(46歳)はテキサスペンションファンドで140億ドルのプライベートエクイティの運営をしていた人です。(ボストングローブ3月17日)未公開株をポートフォーリオにこれからも重点的にいれていこうという方向で、これからはグローバルな未公開株も取入れていきたいとのことです。

ハーバードの寄付ファンドは去年の6月の時点で総資産327億ドルですが、そのうち50億ドルはプライベートエクイティやファンドにあてられているそうです。
大学の資産運用というと、2009年の駒澤大学の巨額損失事件以降ますます日本では手堅く、ロスを少なくするというイメージがありますが、アメリカでもハーバードの積極運営は、他の大学の資産運用にも影響を与えてきています。

大学の資産を考えた時に、資金運用という面もありますが、資金調達という側面もあります。
アメリカの私立大学は寄付集めのための、イベントも多いですが、ハーバードの場合は卒業生の寄付金が特にすごいですね、高額寄付受付のホットラインがあり、”私の所にかかってくる電話は全て、10億ドル以上の寄付の話です”といっていた人がいましたね。。。小さな国の国家予算なみです。そして、資金を提供する側も、喜んで高額を払ってくれます。それは、自分が母校に対して愛着や自信があるということがひとつと、高額を出す人にはやはり、投資という考え方があるようです。結果を出してくれることを望んで学生や研究、もしくは施設に投資をするのです。
特に、卒業生や団体から寄付をもらう場合、卒業生が、あの大学に通ってよかった、又、自分の子供も是非入れたいと思える環境作り、というのはとても重要になってくるようです。

人気のマーケットプレイスは作るのが難しいという話

メディアの世界では、近年沢山の情報が流通するメディアプラットフォームを作ったものが勝ち組になるといわれていますが、物品、サービスの世界ではマーケットプレイスをつくることがはやっているという話が3月16日のボストングローブにありました。

供給側と需要側を上手く結びつける市場で近年うまくいっている会社の中にはeBay, Uber, Etsyがあります。
2010年にマスチャレンジで、5万ドルの賞金をもらって現在までに、65万ドルの資金を調達した、レンタビリティーズというシザーリフトからダンスフロアまでなんでもレンタルするオンラインのマーケットプレイス会社が昨年の秋に、会社を清算するという決断をしたということがのっていました。

彼らに成功するマーケットプレイスを作る為に何が難しかったのかきいてみると、“何もかも”というこたえがかえってきます。

投資家からみると、マーケットプレイスを作るのは時間がかかるし、需要サイドと供給サイドが一緒に成長するように気をつけないといけないのが非常に難しいと分析しています。
それでも、マーケットプレイスを作る傾向はますます加速しているようです。

最近での成功例はこの1月にIPOしたベービーシッターやペットシッター、老人ケアを必要とする人、その仕事を提供できる人の為のマーケットプレイス Care.com です。去年は8200万ドルの収益がありました。
この他に、プライベートのコーチとアマチュアスポーツプレイヤーを結びつけるサイトCoachUp  
この会社は1000万ドルを調達しましたが、彼らにとって難しいことはコーチをみつけることではなく、プライベートコーチとは何か、ということと、スポーツをする子供達や親たちにプライベートコーチをつける利点を認知してもらうことなのだそうです。日本でも以前、逆上がりができない子供や学校の体育のテストのために、プライベートコーチをつけて練習した、という話をきいたことがありますが、程度の差はあれ、スポーツコーチの需要はあるようですね。(目的はそれぞれ違うようですが。。。)

今週スタートするのはSoonSpoon (高級)レストランの予約キャンセル分をラストミニッツで提供するサイトです。

またマーケットプレイスの中にはチャリティーに寄付するものもあります。
Canaryでは不要になった家具、電化製品、家財を売ると、60%は売り主が、12%はCanaryのパートナーのノンプロフィットにいきます。

マーケットプレイスを作る難しさは、認知度をあげて、ある程度流通量が増えるまで、資金が必要であり、労働集約的なビジネスであるという点だそうです。
しかし、一度マーケットプレイスで、沢山の取引がいい値段でされるようになると、競争相手がいなくなります。それがE’bayの価値が750億ドルになった理由だとの分析があります。

ハーバード大学卒業記念講演、今年のスピーカー決定

今年のハーバード大学卒業式の記念講演は前ニューヨーク市長のブルームバーグ氏がスピーチを行うことにきまりました。

歴代スピーチをしてきた人々は、米国人に限らず、政治、経済、司法、国際社会、文芸、文化といった様々な分野で社会に貢献してきた人達であり、一般的にも知られている名前でいえば、ビルゲイツ, JK ローリング、去年はオプラ・ウィンフリーと、豪華メンバーです。今年、スピーチがきまったマイク•ブルームバーグ氏はボストン出身でジョンズ・ホプキンス大学電気工学科を卒業し、ハーバード・ビジネス・スクールでMBAをとったハーバードの卒業生なので、まだスピーチしていなかったことが意外な感じです。

彼は証券会社大手のソロモン・ブラザーズに勤務し、パートナーにまでなりますが、その後退社、通信会社ブルームバーグを立ち上げて、金融情報端末の販売をして財産を築きます。その後、ニューヨーク同時テロ後の2002年から2013年末までニューヨーク市長を勤めました。フォーブス誌による2013年世界長者番付では13位にランクされている資産家です。

ハーバード大学を卒業するような学生達はどちらかといえば、人生で今までに大きな失敗や挫折はしてこなかったかもしれません。賢く、また一生懸命頑張ることができる人達であり、そして、卒業後も自分を叱咤激励して、前をみて進んでいける人達でしょう。
しかし、私が個人的に好きだったのはそういう学生達を前にした、JKローリングのスピーチ(2008年)で、彼女は、経済的にも底辺の生活を知っているだけに、言葉に深みがあるように思えました。

私が彼女のスピーチで特に好きなのは
”私が恐れていたのは、貧困ではなく、失敗でありましたが、でも失敗したことにより、(仕事もなく、シングルマザーになり、ホームレスぎりぎりの生活)自由になることができました。失敗は不必要なものをはぎ取ります。自分以外の何かであることをやめ、自分にとって重要な仕事を成し遂げることに全てを集中しました。”
という部分です。

エリート卒業生達にとっては、立ち位置がすでに凡人からみたら違うので、普通の人には失敗でないレベルも失敗の範疇になるかもしれませんが、大小問わず失敗をしない人生はあり得ないわけで、失敗を恐れて及び腰になっていきる人生は始めから失敗だと、彼女は言っています。

さて、ブルーンバーグ氏は、エンジニアで, 経済界に君臨し、そして政治家と、いくつもの分野を股にかけて活躍してきました。できることが一つではなく、色々な
才能をもっている彼が、どのようなスピーチをしてくれるのか、楽しみです。

政治活動のためのインキュベータ

ボストンにはビジネスを、加速させるための仕組みとして様々な種類のインキュベータ(新事業支援施設)があります。インキュベータというと、普通はテック系の共有オフィスを思い浮かべますが、共有キッチンや共有ラボまで実は色々の種類のものがあります。
そして今度は政治的なインキュベータの話です。(ボストングローブ3月3日)

Blue Lab.というスペースは(まだ1部屋)、政治のキャンペーンのために、まるでテック系のインキュベータのように候補者達が場所と資源を共有することで、コストをカットし、効率をはかることを目的にできました。背景にあるのは、政治のキャンペーンというのが、昔から変わっていないということで、現在のテクノロジーやSNSをもっととりいれて、変えていこうとの考えからだそうです。

まだはじめて10ヶ月しかたっていないこのビジネスは民主党の活動家でありエドワードケネディの広報秘書官だったスコット • ファーソン、キャンペーンマネージメント会社をやっているショーン • シンクレア、上院多数党院内総務のキャンペーンマネージャだったハリーライドによって立ち上げられました。
Blue Lab.は民主党の選挙キャンペーンのコンサルタントがチームになって、選挙戦を支えるというしくみですが、個別にコンサルタントと契約するのではなく、パッケージにすることによってより効率よく、コストも減らせるというしくみになるようです。
費用にはパンフレットやビデオ撮影、色々調べる事を手伝う学生の費用、もし候補者が自分の事務所がなければ、Liberty Square (ファーソン氏の会社)のオフィスを使って、ミーティングができます。
政治キャンペーンの為のインキュベータをニュージャージに作ろうという計画もでているそうです。

インキュベータという考え方が様々な分野で広がりつつあります。コストの意味でも節約できますが、情報を共有したり、孤独感がないということも大きな利点であるようです。
もっとも、秘密が多い業界にはむかないかもしれませんが。