ボストン経済にレッドソックスと上原投手はどれくらい貢献しているのか?

このブログは ”起業と教育の話” なのですが、ここのところ米大リーグのワールドシリーズの最終戦で連日ボストンレッドソックスが新聞の一面を騒がせております。先日、上原投手がMVPを獲得して日本人の中でも、もりあがっていますが、なんと今日の一面はカタカナで大きく

「セントルイス戦」

と上原投手の写真付きで書いてあるのをみて、え?これってボストンの新聞だったよね? なんて思ったりしました。上原投手は普段、自分の気持ちを、日本語のブログで表しているので、(彼の7歳の息子さんはすごく上手な英語でインタビューに答えていました!)メディアもなかなか彼の本心を伝える事ができなかったのでしょう。なんと今日は、彼のブログのここ1週間くらいの気持ちの変化が英語に翻訳されてのっていました。普段、英語の新聞を要約している私にしてみるとすごく、新鮮な気持ちになりました。日本人のブログが英語に翻訳されて、新聞にのってる〜!なんか、この ”proud” な気持ちわかっていただけるでしょうか??(日本人でいてよかった〜、ありがとうって感じです)。上原投手の英語版ブログができる日も近そうですね!

そんな中、ボストンで試合が行われる度に、その周辺にもたらされる経済効果についての記事がありました。

ボストングローブ紙 10月30日

勝っても負けても一試合ごとに600万ドルの経済効果

レッドソックスがボストンに戻ってきてくれて、ケンモアスクエアにある Harker`s Eastern Standard restarurant のオーナーであるGarrett Harkerよりも、喜ぶ人は そうはいないだろう。レッドソックスがボストンで試合をする度に収入が増えるのだ。それは従業員のチップが増える事も意味する。始めの2日間で売り上げが約5割もアップするのだ。”ボストン中のレストランがうちみたいになりたいと思うよ。”

そして、どの町もボストンのように なりたいかもしれない、ボストンコンベンションビジターオフィスによると、ワールドシリーズの1試合度に勝っても負けても 600万ドルの経済効果が見込まれる。もしワールドシリーズの4戦をボストンで行えば2400万ドルにもなるのだ。

Harker`s Eastern Standardのウエイトレス、Rebeccaによると、先週はシフトごとに100ドル余計にチップをもらったし、頭からつまさきまでレッドソックスのユニフォームに包まれたカップルは1本 238ドルもするワインを飲んだ。
”彼らはお祝いをしにくるの。で、ちょっとした現金をおいてってくれるわ” ここのようなレストランでは、オーナーから、皿洗いの人、ウエイトレス、全ての人がこの恩恵を被る。
ワールドシリーズの時期は、どこかの会社のCEOから映画スターまで、予約をとるので席はいっぱいになるのだ。

Creek Oyster Barはこの2晩で3000個のオイスターを売り、Harker`s Eastern Standardでは11000ドル分のワインの売り上げがあった。レストランにとっていい年ということは、年末のボーナスがいいということでもある。しかし、このような臨時収入は貯蓄にまわるようだ。

今年は去年のワールドシリーズよりも売り上げがいい、ひとつの理由としては試合が、すでに人々が忙しい週末ではなく 週中に行われていることがあげられる。

Harker氏曰く、”去年はブリザードがきて、売り上げが悪かったが、今年はその埋め合わせをしたんだね。これでバランスがとれたっていうものだよ!”

以上が意訳になります。

食の分野ではワーキングプアになりやすい、という現実があり、特にボストンの場合、食事のレベルの割には食産業で働いている人の賃金が安い、ということがあります。そんな中で、スポーツイベントと一緒に ”食” がからむと売り上げが倍増します。ボストンマラソン、レッドソックス(野球)、セルティックス(バスケットボール)、ペイトリオッツ(アメフト)、チャールスリバーのレガッタ、という国際スポーツイベントが一年中ボストン内の色々な場所で行われることで、実は観光業や食産業が維持されているのかもしれません。これであとは、サッカーだけでしょうか?!

ところで、今日は先日書いたマスチャレンジの最終ピッチの日です。このイベントもレッドソックスの最終戦をみんながみたいので、急遽時間変更のお知らせがきました。ちなみにマスチャレンジのイベントだって、1000人以上の人が参加するボストンでも大きなイベントの一つです。。。今日はボストン中が大騒ぎになりそうですね。

コオロギバーのオーナーはテクノロジー会社のレシピを使う

ボストンでもフード産業は非常に注目を浴びている分野なのですが、フード産業に入るには資本法規制という大きな壁を乗り越えなければいけません、又、クリエイティブなこの世界はまだ、人の手に頼っている部分が非常に多いのですが、携帯のアプリを作るような感覚でフードスタートアップを立ち上げるというシリコンバレーからのニュースです。

ボストングローブ紙 10月21日

フード関連のスタートアップはIT会社のレシピを使う

Megan Millerはゴキブリは沢山のタンパク質を含み、すごくおいしいごちそうになるという事を知っている。

でもちょっとそれが、画期的すぎると、いうならコオロギは?もしブレンダーにかけて足や羽がみえなくなってたらきっと大丈夫だろう。彼女はChirp Firmの創業者でコオロギでできてるChirp bar(1本 2.5ドル)を来年から販売する予定だ。
彼女がとっているアプローチはChirp Firmを食品メーカーというよりはテクノロジー企業としてとらえることだ。”私はデジタル製品の開発をしてきました。私はこの会社を立ち上げる時はテクノロジー系のスタートアップを立ち上げるのと同じ考え方をします。”
彼女はChirp Firmを立ち上げながら、出版社Bonnierの研究責任者でもある。Chirp Firmのような会社に大きなベンチャーキャピタルの資金が集まっているが、正直どうやってこのような会社が既存の巨大な食品会社と戦うのかはまだ不明瞭だ。それでも追い風が吹いている。
“今、シリコンバレーでおこっていることは伝統的な技術にとってかわる新しい、何かが始まっているという事です。”
これは音楽の世界でも(i Tunes) 本の世界でも(amazon), 起こったように,フードスタートアップは食の世界の革命はそう遠くない日に実現しそうだと思っている。

“ 食の世界は信じられないくらいイノベーションが不足している。” と植物を使った疑似卵を作っているHampton Creek Foods のCEOJosh Tetrick はいう。
成功する食品会社を作る事はいいアイデア以上のものが必要だ。政府のルールや規制、大きな販売ルートをもった既存の大きな食品会社がある。障壁は厚い。だが、これらのスタートアップはテクノロジーの会社のように振る舞う。”ソフトウエアを作る時のスケーリングという考え方をとりいれるのです、私たちは何かを小さく作る事を知っています。それを何度も、繰り返して、大きくしていくんです。”

Hampton Creek Foodsのオフィスは窓際にもうすぐ、偽卵に変身するはずの植物が育ち、30人ほどの若いプログラマーやマーケッター、科学者達が音楽をがんがんかけて仕事をしている。ここの社員はみんな、食べ物を“食べ物”と、とらえず、新しいアプリを作っている感覚でとらえている。

食の世界で43年の経験があり、ソディウムの少ない塩を販売しているNUTECHフードサイエンスのThomas Manuelはこのビジネスに参入する難しさをよく知っている。”他のテクノロジー産業のようにアイディアを守れたり、パテントがあったりするのと違って、大抵の食品産業にはそんなものはない。だから、自分がすごいアイデアをもって成功してもだれかがすぐそれをコピーできて、作ってしまえるのさ”

国連によると、2050年までに世界の人口は90億人になり、おなかを満たす為の十分な原料が確保できなくなるとの報告があり、虫が解決策になると提案している。

Megan Millerは “人口が増えればタンパク質が足りなくなる、肉をその規模で増やしていくのは不可能です。私達がやろうとしているのは西洋の文化ではまだなされていない、タンパク質を大衆化して普及させるということです、これができれば、ものすごいことになるでしょう”

以上が意訳になります。

日本ではイナゴや蜂の子を食べる文化は昔からありますし、最近は食用のミドリムシの話をよく耳にしますね。
日本人は伝統的な作り方や、手作りというものがまだとても価値のあるものだと、とらえているような気がします。一方アメリカは、食文化に対する執着がそれほどないせいか、全く違うアプローチができるのかもしれません。それでも、私は個人的に和食マニアなので日本の食文化の深さと、広さを考えるとフード関連産業の輸出の余地はまだまだあると思っていますが。

ボストンビール会社が販売する、ビールではないヒット商品

サミュエル・アダムズ (ビール)はボストンビール社のビールブランドで、アメリカ最大の地ビールとして人気があります。
そのボストンビール社が発売したハードサイーダー(アルコール分が0.15%を超えるサイダー)の人気がでているという話がボストングローブの10月18日の記事にありました。個人的にはあまり、アルコールがのめないので、ビアホールにいって見た目はビールのようだけど、実はリンゴのサイダーというは女性にとっては、とてもうれしいです。

アルコールに対しての規制がとても厳しいアメリカでは、(マサチューセッツ州はそうでもないほうだと思いますが)、場合によっては、バーで飲むときもIDをみせて年齢を確かめられます。私なんてどうみても、未成年に見えるはずはないのですが。。。

ボストングローブ紙 10月18日

この一年のボストンビール社のヒット商品, それは ビールではない。アングリーオーチャードサイダーだ。去年、発売されて以来ハードサイダーのなかでは全米で一番人気になり、小さいながらも急成長しているハードサイダー市場の40%を占めるに至っている。ハードサイダーは約1000億ドルのアメリカビール市場のうちで1%にもみたない、ニッチな市場である。しかし、あるアナリストは何年か後にはこれが 3%くらいになると想定している。ハードサイダーの生産量は2011年から2012年に60%も増えている。この急成長がビール産業の主要会社を引きつけている。

世界最大のビールメーカーアンハイザー・ブッシュは5月にサイダーシリーズをだしたし、米国第2位のミラークアーズは去年、カリフォリニアにある、クリスピンハードサイダーを買収した。ビール産業のアナリストのTomas Mullarkeyは ”世界の大きなビールメーカーは新しい飲み物にとりかかって、他の顧客層を取得しようとしています。”

アングリーオーチャードのりんごはイタリアのサウスチロル地方のものである。長い日照時間と、強い日差し、涼しい夜をすごしたリンゴはアメリカのリンゴとは違う酸味がある。そのリンゴは何世紀ものあいだサイダーの為のリンゴを栽培してきた果樹園があるフランスのノルマンディー地方やブリタニー地方のリンゴと一緒にされる。味と同じくらい大切なのは名前と、梱包、広告やラベルである。

アングリーオーチャードは数種類のサイダーをだしている。トラディショナルドライはイギリスのサイダーのようである。一番人気のクリスプアップルバラエティーはもっとフルーティーで甘く ワインのソーヴィ二ヨンブランのようだ。季節のシリーズである、サマーエルダーフラワーもとても人気がある。

ビールは主に男性の顧客向け多いが、アングリーオーチャードの顧客の半分は女性である。2015年までにアングリーオーチャードサイダーの売り上げはボストンビール社の売り上げの20%にまでなるだろうと予測されている。

ボストン ラーメン事情 店が本当に売るものは…

外国にでると、本当に日本の食文化は豊富で日本人は食べるの大好き、だと感じるのですが、10月16日付けの 別冊 ボストングローブGでは、ボストンのラーメンやさん特集をしていました。自分は紹介されたうちの2軒くらいしかしらなかったのですが、7軒ほどがボストンのおいしいラーメン屋さんとして紹介されています。ここにのらないような、レベルのものもいれると、相当数のラーメン屋が存在していることになります。

そのなかでも こちらのメディアにもよくでてくるのが  ”Yume wo katare”(夢を語れ)という店です。この次郎系豚骨ラーメン店は去年の10月にケンブリッジにオープンして以来、何度もこちらのメディアにも登場しています。大きな、チャーシューが入って、12〜14ドルとラーメンの値段としては他の店と比べても高く、しかもアメリカ人にとっては覚えにくい日本語の店名、店のメニューも基本1種類、夕方からしか開かない。
この店がなぜ、そんなに人気があるのでしょうか。

それがすごく特別美味しいからという理由よりも、夢を追いかけてる人たちが沢山いるボストンという町で、彼らを応援するような、仕組みがあるからだと思われます。
それは、自分の夢をかいて、店の壁にかけてもらえる、ということです。夢をかいて額にいれて、小さい額を1ヶ月間壁にかけると10ドル、大きな額では3ヶ月かけて、30ドルするそうです。
店に来る度に自分の夢を思い出す。そうなったらいいな、ではなくもうかなったように、書く事で、もうすでに実現したと、自分に思わせる。(よく言う、成功哲学です)
めげることがあっても、それをみる事で、書いたときの自分を思い出すでしょうし、自分だけでなく、まわりにも沢山がんばっている人がいるのをみて、またがんばろうという気になるのでしょう。

店が売るものは、ラーメンだけではなく、その他の体験がこの店に人を引きつける理由だと思います。
先日書いた、
 クラウドファンディングであなたもレストランのオーナーに 

でも、あったように、自分一人の店という、意識より 沢山の人と気持ちを共有できる店作り というのが、これからの店作りの成功のポイントになりそうです。

これから、ボストンはだんだん寒い時期に入ります。店に入る前に外で並ぶのも厳しくなるので、早いうちにいったほうがいいですね。

クラウドファンディングであなたもレストランのオーナーに。

毎週水曜日は食関連の特集が組まれているボストングローブのGマガジン(別冊)ですが10月9日号ではキックスターターインディゴーゴーのようなクラウドファンディングの出現により、従来夢を叶える為に富裕層の投資家から資金調達をしたり、銀行ローンを組まなければならなかった食関連の起業家達がどのように一般のファンによって支えられているかを特集していました。

シンデレラストーリーが実際あって、Minnesota’s Travail というレストランは7万5千ドルを募集目標にしていましたが、キックスターターで23万ドル以上を集めたそうです。実際にキックスターターで資金を集めて中国系アメリカンレストランをあけたLiさんは、”キックスターターのプラットフォームは人々がつながりやすく、自分たちが信じたものをみんなで助ける働きがあります。” という。資金提供した人はその額に応じて報酬(金銭以外の)をもらいます。Liさんの店の場合は、“投資額は5ドルからです。例えばこの店では、資金提供をしてくれた人の名が壁に入りますし、多額になれば、その人の為のメニューというのもできるかもしれません。”といいます。
集めた資金によって、店の家具を調達したレストランオーナーもいます。

クラウド上での資金集めは、料理人としての腕以上に、ソーシャルメディアをつかって短期間にどれだけ資金を調達できるかというダイナミズムが重要になってきます。

認知度をあげられるということも、資金調達と同じ位、クラウドファンディングに引きつけられる重要な一つの要素となっています。

バブソンカレッジのFood Sol action tank のダイレクターのRachel Greenberger 氏は ”食のビジネスでは初期に沢山の投資が必要で、従来の投資家にとってはリスクがありすぎるのでこのようなプラットフォームはこれからますます広がるでしょう。”  投資家は食のビジネスに関しては懐疑的ですが、一方クラウドファンディングの投資家は好意で投資する傾向にあります。

クラウドファンディングで、これからもますます新しいレストランが出現しそうです。なぜなら、自分が投資した店にいって、自分が払ったお金がこの皿になったとか、いすになったとか考えるだけで、まるで自分もこの店を出店したような気がするでしょうし、そこで出されたはじめの料理を楽しめば、彼らが一番のファンになってくれるでしょう。

クラウドファンディングのいい点は沢山の人が小額から参加できて、自分もちょっとだけ夢をみられることでしょうか。

これで思い出したのですが、ケンブリッジにとてもはやっているラーメンやさんがあります。そこの売りは壁を貸して、自分の夢をそこにかいておけることです。店にきて、ラーメンを食べるたびに自分の夢を思い出し、がんばろうと思う、レストランが売るものは食べ物だけではないということがわかります。