加速する地産地消の考え方

一般的にアメリカの料理は美味しくないというイメージがあるようですが、料理がおいしくないというよりも、そもそも、野菜そのものが美味しくないなあ、と思ってました。友人の中には農地を借りて、農家の方と契約して、そこで、年間数十時間働きながら、収穫したものを買い上げている人たちもいますが、もう少し手軽な感じで日本の生協のようなものはないかな、と思っていたところ、知人が、農家と消費者をつなぐ食のスタートアップを始めました。そして、お試しで頼んだ野菜も肉もすごく美味しい!
又、頼もうと思っていたら、12月6日のボストングローブ紙に取り上げられていました。

Something gud というそのサイトはマサチューセッツ州と、その周辺の州のファーマーズマーケットで販売するような、小規模生産者から野菜、酪農家の自家製チーズ、パン等を直接仕入れ、配送をしてくれます。
ファーマーズマーケットに出すような、生産者は機械化して、大量生産でスーパーにおろしている所は少ないので、余計な添加物がはいっていなかったり、手作りのよさがあります。
この会社は、イメージ的には日本の生活クラブや、らでっしゅぼーやのような感じですが、もう少し地産地消と品質にこだわった小さい規模のサイトでしょうか。

新聞記事によると、産地と消費者を結びつける企業には、いくつかパターンがあるようです。
個人消費者と生産者を結びつけるもの
レストラン、学校などの、ある程度量が出るところに特化して卸しているところ
農家の産物を調理して冷凍して消費者に届けるところ

値段はオーガニックスーパーとあまり変わらないそうなのですが、大きな違いは売り上げの大半が農家や生産者にいくことです。
Farmers to youという会社の場合、例えば1ドルの商品を消費者が買った場合、そのうち65セントは農家のところにいく、これは、国内平均15.5セント(米国農務省の調べによる)に比べるとかなり、高い比率になります。

Farmers to youは2009年にスタートした、農産物を直接消費者に届ける会社 で、発表によると現在480家族が登録しており、1週間あたりの1家族の購入平均が65ドルということで、この会社では600家族登録してくれれば、黒字になる計算で来年の春あたりに達成できると予測しています。

マサチューセッツ州でも、地産地消が見直されている背景には農地がどんどん開発されており、生産者が減っているという事に危機感があるからです。一方、教育レベルの高い、このエリアは、環境問題や、健康問題にも平均的なアメリカ人よりもずっと敏感。(うちの隣の住人がコンポストをやっているときいて、そんなアメリカ人いるんだ!ってびっくりしました。)

私達は、あまりにも便利な生活に慣れてしまって、なんでも手に入ることが当たり前のような生活をしていますが、本来その土地の、その季節の旬なものが一番おいしく、体にもいい。そしてそれを、必要な分だけ、買う、という自然な生活の大切さを、ここのところ特に感じます。

大量生産、大量消費をしてきたアメリカ社会でも、大型農家や、遠方からの配送、そして大型スーパーに集約というモデルから、地産地消という、自然本来のあり方に戻ることが加速されている感じが、うれしいですね。

このスタートアップを立ち上げたのは20代の若者たちです、こうやって、1次産業と若者のIT力が上手く組み合わさって新しいビジネスモデルができることは、喜ばしいことです。

Something gudの創設者の一言
”自分たちのしていることのすばらしいことは、社会にとっていいことをすることで、お金を稼げることだ”

コオロギの炒飯はいかがでしょう?

虫を食べるというのは、日本でも地域によっては、昔からある習慣ですが、最近はアメリカでもそういう商品開発を、よくきくようになりましたね。
国連によると、2050年までに世界の人口は90億人になり、みんなのおなかを満たす為の十分な原料が確保できなくなるとの報告があり、虫が解決策になると提案もされています。今年の、春に行われたボストンでの、ソーシャルエンタープレナーシップ賞を受賞した学生のグループも、発展途上国で虫を使って、食のビジネスをおこすというアイデアでした。

虫を使った食品を提供する、スタートアップの話です。

ボストングローブ 11月25日

ケンブリッジの3人の女性、D’Asaroさん、Wangさん 、Natowさんが立ち上げた Six Foodsは虫を扱うだけでなく、食べる。

人に昆虫を食べさせることは、気が重い仕事だが、
”人の受け取り方って、かわるものですよ。昔はロブスターは囚人が食べるものだったし、生の魚を食べるなんていや、とかみんな思っていたけど、いまではどっちもごちそうでしょ。”

Six Foodsは 主にスナックフードから始めるつもりである。“ミルワーム(ゴミムシダマシ科の甲虫の幼虫)って, とても風味が豊かで軽食としてあっていると思う”
とD’Asaroさんはいう。

彼女はスタートアップコミュニティ用の集合住宅に住んでいる。そこで定期的に毎週みんなが集まる食卓に虫の料理を持っていくと反応がいい。
ある時、ミルワームのタコスをイベント用に用意して、共有の冷蔵庫に事前にいれておき、いざ、みんなにだそうと冷蔵庫をあけたら、すでにちょっとしか残っていなかったということがあった。

芋虫のサルサや、ミルワームのタコス、コオロギのジンジャーブレッド、コオロギの炒飯も作る。でも、虫を使って料理するのは簡単ではない。

“僕にとっては本当に難しいよ、だってエビとかロブスターみたいには反応しないんだから。”とSofra Bakery のシェフ、Geoff Lukaはいう。彼はSix Foodsのメンターとして、レシピを作るのと、ビジネスのアイデアについてサポートをしている。

特に ”産地直送” と、”持続可能性“ がキャッチフレーズになりつつある今の社会で、虫を食べるという議論で戦うことは難しい。
“1頭の牛に与えるえさと同じ分量で、虫からは12倍の肉を摂取できるんです。たとえ、1%の肉の需要を減らしたとしても、ものすごいインパクトになりますよ。”

以上が要訳になります。

ミルワームの写真をのせようと思ったのですが、ちょっと気分が悪くなってしまったので、どんなものか詳しく知りたい方はウェブで検索してみてください。(笑)

参考記事
コオロギバーのオーナーはテクノロジー会社のレシピを使う

コオロギバーのオーナーはテクノロジー会社のレシピを使う

ボストンでもフード産業は非常に注目を浴びている分野なのですが、フード産業に入るには資本法規制という大きな壁を乗り越えなければいけません、又、クリエイティブなこの世界はまだ、人の手に頼っている部分が非常に多いのですが、携帯のアプリを作るような感覚でフードスタートアップを立ち上げるというシリコンバレーからのニュースです。

ボストングローブ紙 10月21日

フード関連のスタートアップはIT会社のレシピを使う

Megan Millerはゴキブリは沢山のタンパク質を含み、すごくおいしいごちそうになるという事を知っている。

でもちょっとそれが、画期的すぎると、いうならコオロギは?もしブレンダーにかけて足や羽がみえなくなってたらきっと大丈夫だろう。彼女はChirp Firmの創業者でコオロギでできてるChirp bar(1本 2.5ドル)を来年から販売する予定だ。
彼女がとっているアプローチはChirp Firmを食品メーカーというよりはテクノロジー企業としてとらえることだ。”私はデジタル製品の開発をしてきました。私はこの会社を立ち上げる時はテクノロジー系のスタートアップを立ち上げるのと同じ考え方をします。”
彼女はChirp Firmを立ち上げながら、出版社Bonnierの研究責任者でもある。Chirp Firmのような会社に大きなベンチャーキャピタルの資金が集まっているが、正直どうやってこのような会社が既存の巨大な食品会社と戦うのかはまだ不明瞭だ。それでも追い風が吹いている。
“今、シリコンバレーでおこっていることは伝統的な技術にとってかわる新しい、何かが始まっているという事です。”
これは音楽の世界でも(i Tunes) 本の世界でも(amazon), 起こったように,フードスタートアップは食の世界の革命はそう遠くない日に実現しそうだと思っている。

“ 食の世界は信じられないくらいイノベーションが不足している。” と植物を使った疑似卵を作っているHampton Creek Foods のCEOJosh Tetrick はいう。
成功する食品会社を作る事はいいアイデア以上のものが必要だ。政府のルールや規制、大きな販売ルートをもった既存の大きな食品会社がある。障壁は厚い。だが、これらのスタートアップはテクノロジーの会社のように振る舞う。”ソフトウエアを作る時のスケーリングという考え方をとりいれるのです、私たちは何かを小さく作る事を知っています。それを何度も、繰り返して、大きくしていくんです。”

Hampton Creek Foodsのオフィスは窓際にもうすぐ、偽卵に変身するはずの植物が育ち、30人ほどの若いプログラマーやマーケッター、科学者達が音楽をがんがんかけて仕事をしている。ここの社員はみんな、食べ物を“食べ物”と、とらえず、新しいアプリを作っている感覚でとらえている。

食の世界で43年の経験があり、ソディウムの少ない塩を販売しているNUTECHフードサイエンスのThomas Manuelはこのビジネスに参入する難しさをよく知っている。”他のテクノロジー産業のようにアイディアを守れたり、パテントがあったりするのと違って、大抵の食品産業にはそんなものはない。だから、自分がすごいアイデアをもって成功してもだれかがすぐそれをコピーできて、作ってしまえるのさ”

国連によると、2050年までに世界の人口は90億人になり、おなかを満たす為の十分な原料が確保できなくなるとの報告があり、虫が解決策になると提案している。

Megan Millerは “人口が増えればタンパク質が足りなくなる、肉をその規模で増やしていくのは不可能です。私達がやろうとしているのは西洋の文化ではまだなされていない、タンパク質を大衆化して普及させるということです、これができれば、ものすごいことになるでしょう”

以上が意訳になります。

日本ではイナゴや蜂の子を食べる文化は昔からありますし、最近は食用のミドリムシの話をよく耳にしますね。
日本人は伝統的な作り方や、手作りというものがまだとても価値のあるものだと、とらえているような気がします。一方アメリカは、食文化に対する執着がそれほどないせいか、全く違うアプローチができるのかもしれません。それでも、私は個人的に和食マニアなので日本の食文化の深さと、広さを考えるとフード関連産業の輸出の余地はまだまだあると思っていますが。

ボストンビール会社が販売する、ビールではないヒット商品

サミュエル・アダムズ (ビール)はボストンビール社のビールブランドで、アメリカ最大の地ビールとして人気があります。
そのボストンビール社が発売したハードサイーダー(アルコール分が0.15%を超えるサイダー)の人気がでているという話がボストングローブの10月18日の記事にありました。個人的にはあまり、アルコールがのめないので、ビアホールにいって見た目はビールのようだけど、実はリンゴのサイダーというは女性にとっては、とてもうれしいです。

アルコールに対しての規制がとても厳しいアメリカでは、(マサチューセッツ州はそうでもないほうだと思いますが)、場合によっては、バーで飲むときもIDをみせて年齢を確かめられます。私なんてどうみても、未成年に見えるはずはないのですが。。。

ボストングローブ紙 10月18日

この一年のボストンビール社のヒット商品, それは ビールではない。アングリーオーチャードサイダーだ。去年、発売されて以来ハードサイダーのなかでは全米で一番人気になり、小さいながらも急成長しているハードサイダー市場の40%を占めるに至っている。ハードサイダーは約1000億ドルのアメリカビール市場のうちで1%にもみたない、ニッチな市場である。しかし、あるアナリストは何年か後にはこれが 3%くらいになると想定している。ハードサイダーの生産量は2011年から2012年に60%も増えている。この急成長がビール産業の主要会社を引きつけている。

世界最大のビールメーカーアンハイザー・ブッシュは5月にサイダーシリーズをだしたし、米国第2位のミラークアーズは去年、カリフォリニアにある、クリスピンハードサイダーを買収した。ビール産業のアナリストのTomas Mullarkeyは ”世界の大きなビールメーカーは新しい飲み物にとりかかって、他の顧客層を取得しようとしています。”

アングリーオーチャードのりんごはイタリアのサウスチロル地方のものである。長い日照時間と、強い日差し、涼しい夜をすごしたリンゴはアメリカのリンゴとは違う酸味がある。そのリンゴは何世紀ものあいだサイダーの為のリンゴを栽培してきた果樹園があるフランスのノルマンディー地方やブリタニー地方のリンゴと一緒にされる。味と同じくらい大切なのは名前と、梱包、広告やラベルである。

アングリーオーチャードは数種類のサイダーをだしている。トラディショナルドライはイギリスのサイダーのようである。一番人気のクリスプアップルバラエティーはもっとフルーティーで甘く ワインのソーヴィ二ヨンブランのようだ。季節のシリーズである、サマーエルダーフラワーもとても人気がある。

ビールは主に男性の顧客向け多いが、アングリーオーチャードの顧客の半分は女性である。2015年までにアングリーオーチャードサイダーの売り上げはボストンビール社の売り上げの20%にまでなるだろうと予測されている。

ボストン ラーメン事情 店が本当に売るものは…

外国にでると、本当に日本の食文化は豊富で日本人は食べるの大好き、だと感じるのですが、10月16日付けの 別冊 ボストングローブGでは、ボストンのラーメンやさん特集をしていました。自分は紹介されたうちの2軒くらいしかしらなかったのですが、7軒ほどがボストンのおいしいラーメン屋さんとして紹介されています。ここにのらないような、レベルのものもいれると、相当数のラーメン屋が存在していることになります。

そのなかでも こちらのメディアにもよくでてくるのが  ”Yume wo katare”(夢を語れ)という店です。この次郎系豚骨ラーメン店は去年の10月にケンブリッジにオープンして以来、何度もこちらのメディアにも登場しています。大きな、チャーシューが入って、12〜14ドルとラーメンの値段としては他の店と比べても高く、しかもアメリカ人にとっては覚えにくい日本語の店名、店のメニューも基本1種類、夕方からしか開かない。
この店がなぜ、そんなに人気があるのでしょうか。

それがすごく特別美味しいからという理由よりも、夢を追いかけてる人たちが沢山いるボストンという町で、彼らを応援するような、仕組みがあるからだと思われます。
それは、自分の夢をかいて、店の壁にかけてもらえる、ということです。夢をかいて額にいれて、小さい額を1ヶ月間壁にかけると10ドル、大きな額では3ヶ月かけて、30ドルするそうです。
店に来る度に自分の夢を思い出す。そうなったらいいな、ではなくもうかなったように、書く事で、もうすでに実現したと、自分に思わせる。(よく言う、成功哲学です)
めげることがあっても、それをみる事で、書いたときの自分を思い出すでしょうし、自分だけでなく、まわりにも沢山がんばっている人がいるのをみて、またがんばろうという気になるのでしょう。

店が売るものは、ラーメンだけではなく、その他の体験がこの店に人を引きつける理由だと思います。
先日書いた、
 クラウドファンディングであなたもレストランのオーナーに 

でも、あったように、自分一人の店という、意識より 沢山の人と気持ちを共有できる店作り というのが、これからの店作りの成功のポイントになりそうです。

これから、ボストンはだんだん寒い時期に入ります。店に入る前に外で並ぶのも厳しくなるので、早いうちにいったほうがいいですね。