今年IPOを目指すボストン生まれの2社ーウェイフェアとハブスポット

ボストン生まれで今年上場を目指している会社に, Wayfair HubSpotがあります。
家具等のホームグッズを扱う通販のウェイフェアとインバウンドマーケティングのハブスポットは全く違う分野の会社のようにみえますが、2社の類似点が紹介されていました。(ボストングローブ5月30日)

類似点:
• ドットコムブームの後、それぞれ2002年(ウェイフェア)と2006年(ハブスポット)に創設されたこと
• 創業者たちはそれぞれ大学で出会った友人と会社をたちあげたこと(コーネル大学とMITスローンスクール)
• 創業者たちはシリアルアントレプレナーであること
• 他の会社よりも早くビジネスの世界におけるグーグルの力を十分に理解していたこと。
• 大手の投資家の資金を集めていること

ハブスポットは(将来の)顧客が自分たちのサービスをオンラインの検索から効率よくみつけてくれる為にどうやってブログや役にたつコンテンツをウェブサイトにのせるのかということを提案します。マーケターとしてはウェイフェアよりは上手で、インバウンドマーケティングという言葉を作り、本も出版し、毎夏5000人ほどをボストンに集め、会議を行っています。アマゾンのように自分が過去に買ったものの情報をもとに自分におすすすめのものを提示し、カスタマイズ化されたウェブページやイーメイルメッセージを送るようにすることに焦点をあてていますが、今後オラクルやSalesforce.com, Marketoといった大きな競争相手と競争していくことになるでしょう。

一方、ウェイフェアは1600人もの従業員をかかえる地元で最大のEコマース会社。アマゾンとは違い、在庫はもたずに、製造業者から直に物品を発送します。知名度があまりない為に、上場前に知名度をあげようとしています。

正直、ウェイフェアのサイトをみてなぜ、こんなに売れているのかよくわからなかったのですが、調べてみると、もともとニッチの商品を扱う小さなドットコムブランド200ほどのサイトをひとまとめにしたものが、ウェイフェアだということで、はじめにそれぞれのセグメントで顧客をしっかり捕まえているからこれだけの売り上げがたつのだと納得しました。顧客がグーグルで検索した時にどれだけ、自分たちの商品や、サイトが目につくのかということを早くから考えてサイト構築をしています。
買う人がいなければ、商売は成り立たないということで、忠実に顧客目線の商売を続けてきた結果、ということがいえそうです。

去年のウェイフェアの売り上げは913億ドルでハブスポットは77億ドルだということです。

ボストンと東京をつなげてのもの作り、NASA ボストンハッカソンイベント

4月12日、13日に全世界でNASAハッカソンが行われました。全世界から40以上の国が参加してこの2日間にNASAのビックデータにアクセスすることができ、NASAの出す課題に関連したアプリケーションを作ります。ボストンでもCIC(ケンブリッジイノベーションセンター)において初のBoston NASAハッカソンのイベントが開催されました。日本でも最近きくようになってきましたが、ハッカソンとは「ハック」と「マラソン」からの造語であり、同じテーマに興味を持った開発者、デザイナー、エンジニア、企画者等が集まり、協議・協力しながら集中的にコーディングを行う催しです。https://2014.spaceappschallenge.org/

企業内でハッカソンをするともし面白いアイデアがでれば、そこからアイデアが商品化されるという機会もありますし、ハッカソンのスポンサーになれば、その場で仕事ぶりを確認できるので優秀な人材をリクルートする機会にも恵まれます。一人で参加しても、その場でチームを作って、いいものができればそこから起業する機会に恵まれるケースもあります。うまくプログラミングするだけでなく、いいアイデア、グループの中でのコミュニケーション力、チームワーク力、プレゼン力、色々な要素がからんでくるので、チームの中で個人の力を最大に生かすことが求められます。

さて、今回はボストンでの初めてのNASAハッカソンになりましたが、その中で更に4チームは日本で同時開催しているNASA東京ハッカソンの参加者と一緒にジョイントチームを作り作品を作っていきました。これは昨年9月にボストンのMITメディアラボで開催されたイノベーションと起業に関するフォーラム(ボストン日本総領事館、ハーバードビジネススクール共催)でだされた、”ボストンが日本におけるイノベーションと起業を促進させる為にどんなことができるのか”、という課題に対して答える為に結成されたチームBInnovative がオーガナイズした4チームです。

今回は日米にまたがってのリモート作業、しかも語学の壁もあるということで、ハッカソンが行われる2週間前にすでに、どういうアイデアがあるかをアイデアソンでだしあい、チームも作り、下準備をしました。準備段階での日本からだされるアイデアがデザインや遊びの要素が強い物が多い一方、ボストン側からのアイデアがどんなふうに宇宙空間や実生活で

DSCN1535

DSCN1557

役立つのかという要素が強い反面、技術的にもすぐにできるの?というものもあり、これはどうなるのかなあ、思っていましたが、参加者もソフトウェアのエンジニア、ハードウエアのエンジニア、MBAを卒業した人、日本語が得意なアメリカ人、中国人、韓国人と様々な分野から多様な人が組合わさる事で、おもしろい提案がでてきました。

例えば、世界のどこで地滑りが発生するかを予測するアプリケーションや、宇宙空間に長く滞在する宇宙飛行士の精神状態をチェックするためにグーグルグラスのようなめがねをかけることで、顔の表情の変化から5つの感情を読み取り精神状態を把握するというアプリなど、をなんとか形にまとめあげました。今回結成されたボストンと東京を結ぶチームは、実用的な、問題解決策を提示し、ハッカソンを通じて、すぐにでも商品化できそうなものが作れる可能性がある、と思ったことでしょう。

ボストン側から参加した多くの学生はこのように、週末のみでボストンと日本という距離の差、そして言語の差も乗り越えリモートで作品を作り上げることができたということはこれからの社会人生活でも役に立ついい経験であり、自信もついた事と思います。

表彰式がおわった後も、居残り、作業を続けていたチームもいて、チームの中で互いに能力を褒め称えていたのが印象的でした。

DSCN1603

マサチューセッツ州のイノベーションポリシー概要

ボストンは世界でも一番インパクトがあるイノベーション経済圏 の一つですが、この州ではどうやってこのリーダーシップを維持しているのかという点をマサチューセッツ州が報告しました。

一つ目はイノベーションポリシーです。

イノベーションポリシーについてはボストンが強い、ライフサイエンスやクリーンエネルギー、ビックデータやロボティックス等個々の分野については含みません。むしろ、起業を促進する為に重要な4つの分野にフォーカスしています。

1 世界クラスの研究所や大学
世界のトップレベルをキープするために教育やR&Dに投資をすること
例えば、ハーバードやMITだけでなく世界のトップ10の大学のうちうち6大学が東海岸にある

2 起業
いかに早く科学や技術を市場に持ち込めるかに力をいれる
例えばマスチャレンジのような機関は人的才能と地域の投資家をつなげる役割を果たす

3 高度に発達した製造業
7300の会社と25万人の従業員がこの分野で働いている
スタートアップの為に合わせた製造契約が重要、米国内でスタートアップとより結びつきの強い製造業を作る事が大事

4 才能をキープすること
外国人の学生やテック関連の起業家はボストンで学んだ後に国を離れてしまうが、魅力のあるインターンシッププログラムやマスチャレンジのようなプログラムが重要である
マスチャレンジのようなプログラムではビザの問題が解決できていないのでマサチューセッツの弁護士は現在アメリカ政府と解決策を探している
(現状はマスチャレンジ自体がビザの発行をすることができないので学生ビザや、観光ビザでアメリカに入ることになるが、資金調達をうけ、長期で滞在する場合にむけた解決方法が現状探られている。)

もう一つの重要な点はマスチャレンジの存在です。

マスチャレンジは4ヶ月の起業を促進するプログラムです。プログラム開始から4ヶ月後に行われるコンペでは100万ドル以上のキャッシュが賞金としてスタートアップに提供されます。そして、ワールドクラスのメンターやトレーニング、無料のオフィススペース、資金調達ルートの紹介、法的アドバイス、メディアの注目等、1000万ドル以上の価値のあるあらゆる種類のサポートがうけられるのです。マスチャレンジはノンプロフィットオーガニゼーションです。

ボストンベースである、この起業促進プログラムには分野を問わず、世界中から世界市場を狙っていきたい人が集まってきます。スタートアップはまだ若い企業で50万ドル以下の資金しか調達していないことが望まれます。(一人からの参加でもオッケー)アメリカ以外にもすでにロンドンとイスラエルにマスチャレンジは進出しています。

このように、州がイノベーションを起こし易いように、政策を作り、財政面でもサポートしているということがわかります。

参考記事:
大人の社会科見学  マスチャレンジ

髪の毛を切って、ファンドレイジングをしよう

ボストン市近郊にある、グラニットテレコミュニケーションズという会社が、社員の髪の毛を切る事で220万ドル(2億円強!)の資金を集め、ダナファーバー癌研究所に寄付をしたという話がありました。(ボストングローブ 3月4日)
ダナファーバーがん研究所はボストンにあり、アメリカ国立癌研究所指定癌センターの一つで国際的にも有名な施設です。

グラニットテレコミュニケーションズという会社には1200人以上の従業員がいますが、そのうち約430人の従業員が髪をきり、それぞれが、支払った金額がダナファーバー癌研究所に寄付されました。5000ドル払った人もいたそうで、癌で苦しむ人たちが周りにいる人ほど、寄付金もあがる傾向にあったようです。

4月にはボストンマラソンが開催されますが、(以前の記事にも書きましたが)、ダナファーバーはボストンマラソンでもファンドレイジングイベントを行っています。ボストンマラソンを走ることで、お金を集めるのです。自分の身の回りに癌で苦しんでいる人がいるけれど、自分には何もできない、という気持ちがある人は、そばに癌研究の為に資金を集めて走ってくれる人がいると、そのことに感謝して、お金をだします。そうやって、色々な人々の気持ちを集め一人一人のランナーが、100万円ずつ集めると400人走れば、4億円の資金になるのです。

ファンドレイジングが成功するには、ストーリーやコンセプトに共感できるか、という点や、自分が寄付することで社会の問題を解決することに役立つのか、という点が大事だと思います。

参考記事:
ボストンマラソンを走って社会起業家になろう その1

ボストンマラソンを走って社会起業家になろう その2

このエントリーをはてなブックマークに追加

理系女子を育てる取り組み

オバマ大統領も、子供の教育、とりわけ、サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング分野(STEM分野)を重視していて、それを教える先生達を養成することも重要だとしています。国全体でこれらの分野にかかわる人材が不足しているというのです。

changetheequation によると8年生(中学2年生)の数学を教える教員のうち31%しか、また、サイエンスでは48%しかそれぞれの科目を専門として勉強をしてきていません。小学校では2012年のデータによると1週間で2.6時間しか、サイエンスの授業時間はなく、1994年の2.9%よりも減ってしまっています。この問題を解消する為に、イノベーションを起こすための教育をする、という目標をオバマ政権は掲げています。

一方、2008年のマサチューセッツ州のSAT試験(大学進学適性試験)データからのレポートによると、22.5%の高校生がSTEM分野に関して大学で習おうとしているとのこと。
そういう状況の中で、理系女子を育てる為に頑張っている、サイエンスクラブ フォー ガールズというNPO 団体がボストンにはあります。STEM分野に関しては、得に女子に対するサポートが少なく、そこに特化した団体です。

これは、12年生まで(高校卒業まで)の女子を対象に、支援する団体であり、理系の女子をサポートしようとティーンエージャーの娘達をもつ母親が1994年にたちあげたグループでしたが、どんどん支援の輪が広がって 現在では小学生から科学、テクノロジー、エンジニアリング、数学に興味のある女子達を育てるために様々なプログラムでサポートしています。

この団体、現在では1000人以上もの卒業生をだしており、支援もどんどん広がっています。小学校では、サイエンスって何?という事から始まり、高学年ではクラブのようになっていて、それぞれのクラブ、例えば、航空工学、なら企業からメンターがきて、そのメンターのもとに、色々勉強したり、作品を作ったりして、高校2、3年では企業によっては、夏休みにインターンシップをさせてくれるところや、大学のワークショップにも参加できるようなプログラムもあります。

スポンサーがすごいですね、IBM、マイクロソフトやノバルティス等のビッグカンパニー15社の他に、様々なイベントを通じファンドレージングで資金調達やボランティアを募集しています。
その道の専門家が、メンターとなってサポートしてくれるので、実際の企業での話もきけるでしょうし、将来の職業も具体的に想像できそうでアメリカではこういった、企業が直接教育に関わるようなプログラムが多いですね。スポンサーといってもお金を出す以上に、人をだしてくれれば、学校のクラブとは違って、もっと実践的なものになります。実際、このプログラムをとった高校3年生に去年会ったのですが、自分の興味のある分野のスペシャリストから指導をうけられて、わくわくするし、夏のインターンシップもすごい楽しかった、と興奮気味に話してくれました。ロケットサイエンティストになりたい彼女、彼女のやっている事は、私には技術的にはさっぱり、わかりませんが、楽しそうな顔!それを見るだけでも、こちらも幸せな気持ちになりました。

日本でも、定年退職した方々や、早期退職した方々が、こういった学校ではカバーしきれない分野を企業とつなげて支援をしてくださるといいのに、と思いますが、どうでしょう?