学校が地域にどんな影響を与えるのか -治安の悪い所にできるSTEMアカデミー-

ボストンとその近郊は結構治安がいい方だと思うのですが、その中でもボストン市内で発生する殺人事件の約7割が発生しているエリアがあります。
まさにそのエリア、ロックスベリーに新しくSTEM分野(サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、数学)に重点をおいた中学、高校ができることになりました。
7年もかけ、費用7070万ドルほどのこのプロジェクトがやっと州の学校校舎管理局に承認され、ローン申請が通れば工事が来年から始まりまることになりました。(ボストングローブ3月31日)

STEM分野がこれから人材が必要とされる分野、と位置付け、古いもともと女子校だった校舎を立て直して、STEM分野にフォーカスした学校を作ることで、この辺りの高い失業率を将来的に改善するのではないかと考えられています。ここのところ、ボストン市内ではスペースや費用の問題もあり、10年以上新しい学校が作られておらず、郊外での学校建設が進んできました。今回学校を作ろうと計画している辺りは、移民も多く、英語の能力が不足している子供達が多かったのですが、だんだん成績もあがってきたこと、ボストンの市長がかわり、古い校舎への建て替え投資というものにも力が入るようになったことも背景にあるようです。

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日本の文科省の調査でも、親の学歴、収入と子供の学歴の相関関係があきらかになっているようですが、経済的に余裕がある家庭の多く住む治安がいい所に、いい学校を作るのではなく、悪いエリアにいい学校を作ることで学力の底上げをしよう、そして就業率をあげて治安をよくしようという取り組み、かなり大胆だと思われます。そもそも学校にちゃんと通ってこない子達にそんなSTEM分野のような難しいこと教えようとしても授業が成り立たないのではないか、という意見も聞かれますが、教育は夢を与える事、頑張ってほしいです。

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増える大人のADHD(注意欠如多動性障害)

去年の3月に大人のADHD(注意欠如多動性障害)の、自己チェックに関する記事がボストングローブにあり、そこではアメリカの場合800万人が大人のADHDであると予想されていましたが、ADHDかもしれないと思っている40%以上は人は実際はそうではないとの話がありました。その自己診断のチェックのポイント、例えば、自分は忘れっぽい(約束や人が言ったことを忘れてしまう)とか時間の管理ができない(遅刻が多い等)、気がちりやすい、かたずけられない等の項目は、ドキッ、自分も当てはまる、と思う人達が結構いると思います。ただADHDの場合、遺伝的要素が強く大人の場合、すでに子供の頃になんらかの症状があったというのがほとんどだということですが、20年前には一般的に病気としても認知されていなかったので、この記事をみたある医者がこの程度が病気だったらアメリカ人の20%は病気だ、と憤っていました。

ところが実際、小児科医がボストンドットコムにかいている 記事によると、ここ数年幼い子供をもつ母親のADHDが増えているそうです。薬局のデータによると、2008年から2012年まで大人のADHDに処方した薬が53%も増えたそうで、その大半85%が26歳〜34歳の女性だというのです。ADHDは遺伝性要素が強いので、自分の子供がADHDと認定されればもしかして、自分も、と思った親が受診してそう診断される例も増えます。

でもこの小児科医は実はそれだけでなく環境による部分も大きいのではないか、といっています。というのも増加のほとんどが26歳〜34歳の女性であり、その年代がちょうど子供が生まれたり家族、生活環境がかわる時であるということ。この忙しい現代社会において、男性の労働拘束時間も非常に長くなり、家庭のことは女性にまかっせきりという家庭も多い、ストレスが多く、睡眠もしっかりとれず、自分の為の時間が少しもとれない若い両親は精神的に参ってしまっているという実情をあげています。本来薬を飲むほどでもなかったのに、ストレスで症状が悪化してしまう例が増えているということでしょう。

その小児科医はこの状況を薬を処方して解決するということは責任は母親にある、ということでかたずけてしまうことになるのではないかと疑問を抱いています。次の世代を育てていく母親の負担を減らせるように社会が柔軟な育児休暇を認めたり、もっとサポートできることはあるんではなかろうか、又、この状況は製薬会社が得をするだけだとも。。。

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実際、そういう厳しい現状があるだけに、日本では子供が生まれると離職したり時短や、契約社員になったりということがふえることになるのですが、夫婦がフルに働き、家族、近隣等のコミュニティーのサポートが受けられないで、母親に対する負担が増大するとどこかにひずみがくることになり、それが日本では少子化ということの原因の一つにもつながっているのではないでしょうか。少子化や女性の就業率を増やすということを考えた時、ライフスタイル、社会構造を含め色々な要素を考える必要がでてくるわけでこれが正解というのはだしにくそうです。

デジタル通貨の決済方法

この数ヶ月ビットコインの話が市場を騒がせています。先週アメリカの国税庁はビットコインを”通貨”とみなさず、”資産”とみなして課税対象にするという発表をしました。一方、ビットコインをメインストリームにのせようという動きも前進しています。
サークルインターネットファイナンシャルというボストンを拠点にする1年ほど前にできたデジタル通貨の決済を行うプラットフォームを作る会社がマウントゴックス社が倒産する少し前に1700万ドルの資金を調達していたニュースがありました。今回の資金調達によりこの一年で2600万ドルの資金を集めたことになります。(ボストングローブ3月27日)

デジタル通貨は国家政府による信用を得ている通貨と違ってコンピューターのネットワークの中にのみ存在しているものですが実際ボストンでもレストランや店舗でビットコインを使って支払い可能な場所は増えてきているそうです。

サークルインターネットファイナンシャルは、ビットコインのようなデジタル通貨を消費者にとってもっと便利に店等で使ってもらえたり、送金できるような決済のしくみを作っています。先週限られた顧客の為に口座を開設し、今年の終わりまでには、一般的な消費者が使えるようにする予定だそうで、gmailやスカイプのようなサービスのように簡単なしくみになる、と創始者のアレアー氏は話します。

アレアー氏は、ビットコインは詐欺や不正がおこりにくく、他の支払い方法よりずっと早く、安い(クレジットカードに発生するような手数料がない)と考えています。
マウントゴックス社のような事件はクリプト通貨ビジネスが政府の要求にもとずく、消費者保護という観点の外にあることが問題であるとし、政府との架け橋として前金融消費者保護庁庁官代理をボードメンバーにひきいれました。
しかし、現状ビットコインの価値は非常に不安定でこの価値を安定させる為にはもっと沢山の金融機関でも受け入れられ、政府の監視が必要であると考えており、それにはあと数年はかかるだろうと見ています。

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通貨というものが、政府の管理下にないということは政府にとっても脅威になるということでしょうし、また厳しい法規制の下にある既存金融機関にとっても面白くはないでしょうがデジタル通貨とそれを巡る環境はこの数年でまだまだ変化しそうです。将来の ”お金” はどうなるのか、しばらく目が離せない状況が続きそうです。

スーパーの食品廃棄物をエネルギーに -サステナビリティを追求するスーパーの話-

マサチューセッツ州、コネチカット州、ロードアイランド州内に213店舗展開している、オランダ資本のスーパーマーケットチェーン、ストップアンドショップという店があります。この店は、障害者の雇用に積極的に取り組んだり、地元の学校と一緒にプログラムを作ったりと、地域に根ずいた店舗作りをしているチェーンです。
この店がサステナビリティという観点から, 寄付する事もできず、商品としても売り物にならなくなった廃棄食料品から、エネルギーを作る資源再生工場をフリータウンにある配送センターに作ることになり、2015年に完成予定と発表しました。(2月16日ボストングローブ)

この12000平方フィートのフィード・リソース・リカバリー社の革新的な、食品廃棄物を燃料にかえる施設は米国では2つ目のケースになるそうです。(現状このテクノロジーが使われているのは2012年にできたカリフォルニアにあるスーパーマーケットチェーンクローガー社のもので、毎日350店舗から、150トンの食料を処理しています。)

ストップアンドショップの施設では毎日95トンの食品が処理され、ディストリビューションセンターの40%の電気を供給できるようになる予定です。このセンターは24時間操業で1000人以上のフルタイムもしくはパートタイムの従業員がいます。

現在、賞味期限ぎりぎりになった食品はただでフードパントリーに寄付されていますが、2013年には1200万ドル分のものが寄付された計算になっています。
賞味期限がすぎた食品や傷がついたもの等少量は家畜用のえさとして農場に寄付されているかコンポストされています。しかし、大抵のものは廃棄されているのです。新しい工場で処理されるのは腐敗しやすいものなので寄付が減るわけではないそうです。

ストップアンドショップは環境に配慮して多額の投資をしていますがそれによって無駄なトラックの使用も減るし、再生可能エネルギーも生み出し、国が掲げる2020年までに年間45万トンの有機ゴミを減らそうという目標にも貢献しようとしています。

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アメリカ人以上に賞味期限に敏感な日本人。一人当たりの食品廃棄率も相当高いといわれています。農林水産省によると、(平成22年度)食品ロスは日本国内で年間約500万~800万トン、これは世界全体の食料援助量の2倍にあたり、日本の米収穫量に匹敵するらしいです。食品自給率が低いのにも関わらず、コンビニやスーパーからの廃棄率も高いといわれてますから、サステイナブルな生活を考えなければならないのは日本人も同じです。

参考記事:
サステナブル(環境に優しく持続可能)な生活を目指しているスタートアップ-practically green-

マサチューセッツ州のイノベーションポリシー概要

ボストンは世界でも一番インパクトがあるイノベーション経済圏 の一つですが、この州ではどうやってこのリーダーシップを維持しているのかという点をマサチューセッツ州が報告しました。

一つ目はイノベーションポリシーです。

イノベーションポリシーについてはボストンが強い、ライフサイエンスやクリーンエネルギー、ビックデータやロボティックス等個々の分野については含みません。むしろ、起業を促進する為に重要な4つの分野にフォーカスしています。

1 世界クラスの研究所や大学
世界のトップレベルをキープするために教育やR&Dに投資をすること
例えば、ハーバードやMITだけでなく世界のトップ10の大学のうちうち6大学が東海岸にある

2 起業
いかに早く科学や技術を市場に持ち込めるかに力をいれる
例えばマスチャレンジのような機関は人的才能と地域の投資家をつなげる役割を果たす

3 高度に発達した製造業
7300の会社と25万人の従業員がこの分野で働いている
スタートアップの為に合わせた製造契約が重要、米国内でスタートアップとより結びつきの強い製造業を作る事が大事

4 才能をキープすること
外国人の学生やテック関連の起業家はボストンで学んだ後に国を離れてしまうが、魅力のあるインターンシッププログラムやマスチャレンジのようなプログラムが重要である
マスチャレンジのようなプログラムではビザの問題が解決できていないのでマサチューセッツの弁護士は現在アメリカ政府と解決策を探している
(現状はマスチャレンジ自体がビザの発行をすることができないので学生ビザや、観光ビザでアメリカに入ることになるが、資金調達をうけ、長期で滞在する場合にむけた解決方法が現状探られている。)

もう一つの重要な点はマスチャレンジの存在です。

マスチャレンジは4ヶ月の起業を促進するプログラムです。プログラム開始から4ヶ月後に行われるコンペでは100万ドル以上のキャッシュが賞金としてスタートアップに提供されます。そして、ワールドクラスのメンターやトレーニング、無料のオフィススペース、資金調達ルートの紹介、法的アドバイス、メディアの注目等、1000万ドル以上の価値のあるあらゆる種類のサポートがうけられるのです。マスチャレンジはノンプロフィットオーガニゼーションです。

ボストンベースである、この起業促進プログラムには分野を問わず、世界中から世界市場を狙っていきたい人が集まってきます。スタートアップはまだ若い企業で50万ドル以下の資金しか調達していないことが望まれます。(一人からの参加でもオッケー)アメリカ以外にもすでにロンドンとイスラエルにマスチャレンジは進出しています。

このように、州がイノベーションを起こし易いように、政策を作り、財政面でもサポートしているということがわかります。

参考記事:
大人の社会科見学  マスチャレンジ