アメリカ人はなぜ魚を輸入するのか?

アメリカ人の食事のイメージは、ハンバーガー、チキン、ステーキに、肉、肉、肉!という感じだったのですが、考えてみれば、沿岸部に人が集中しておりもっと魚を食べてもいいはず。ボストンマグロは築地でも売買されていますが、寿司文化がここまで浸透するまではここではあまり消費されなかったのでは?

ボストングローブの7月29日に ”ニューヨークの漁師” であり、(ベストセラーにもなった“Four Fish”の著者)”American Catch: The Fight for Our Local Seafood” を書いたポール•グリーンバーグ氏のインタビューが掲載されていました。彼は、なぜ、アメリカは海に面している部分が多く、沿岸部から20km以内のところに人が集中しているのにも関わらず、魚介類の90%を輸入に頼っているのか、ということを調べました。ここ最近は、アメリカ沿岸部でのかきの生産率があがり、14%までにもなったそうです。(以前は1%ほどだった)著書ではカキやエビ、鮭の消費をみることで、どうやってアメリカ人が地元の魚を食べるのをやめたのかを語っています。

American Catch: The Fight for Our Local Seafood

Q:こんなに、沿岸部に面しているのにどうしてアメリカ人は魚を食べないんでしょうか?

A: アメリカは始めは沿岸部を植民地化して広がっていきました。その後、内陸部に人が広がっていくにつれて、土地を商品化することでたくさんの、お金を作る事ができることがわかり主に土地から生産される農作物を食べるようになったのです。
アジアでは年間1人あたり、およそ16kgの魚介類を消費しており(アメリカでは6.8kg程度)現在、アメリカで採れたものの3分の1がアジアに輸出されています。私達が海洋資源から距離をとり、食としてみなさないと、益々、沿岸部は汚染され、かきの養殖所はなくなり、沼地が劣化するのです。

Q:アメリカ人は他の国で養殖された魚介類を食べるのに、自分たちで捕まえた天然の魚介類を輸出するのはなぜでしょう?

A:19世紀からアメリカ人は魚臭いものがいやになったのです。チキンのように淡白な味のものが好きなのです。現在市場に出回っているサーモンや、エビは天然のものよりも、ずっと淡白であり、安いです。アメリカの漁師はアメリカ人は天然魚に高い金額をださないけど、中国人は払うということを知っています。

Q:どうしてカキ、エビと鮭について本で取り上げることにしたのでしょうか?

私は生態系の基盤について話したかったのであり、それぞれの生物が違った側面を代表しています。ニューヨーク市の沿岸部にはかつては数兆ものカキがいました。それらは、沢山の魚介類の生息地を作っていたのです。それからエビはアメリカで一番消費されているシーフードで、一人当たりの消費量は年間1.8kg、これは鮭とまぐろをあわせた年間消費量に値します。野生のエビが育つミシシッピーのデルタ地帯は毎時フットボールフィールドほどの大きさが消滅しています。鮭も現在では減少しています。

Q: どうやって養殖エビがこれほどまでに普及するようになったのでしょう?

A. ”えびの踊り食い”という料理は日本では人気がありました。1940年代にはエビは500gで当時の100ドル以上の価値があったのです。最初に養殖を始めた人はエビがとても早く成長して、狭い所で、沢山飼育することができ、世界中の人のタンパク源になるということに気ずきました。そこで、アジアの様々な場所からくる大学院生を教育して、彼らがその後それぞれの国で養殖業を始めたのです。現在エビの養殖は巨大産業になっています。私達が食する90%のエビは輸入されており、そのうちの半分は養殖エビです。

Q:人々が魚介類を買うことでどうやって健全な生態系をサポートできるのでしょうか?

A:カキやはまぐり、カラスガイをもっと食べてもいいと思います。これらのものは水を綺麗にして、生物の生息地を提供します。研究から目をひくのは、いわしやにしんでここで採れても、ここで消費されないのです。魚介類のピラミッドを想像してみると、一番下が養殖されている二枚貝と海藻類、それらがベースになって、一番上のほうにはメカジキ、タラ、縞スズキという感じでしょうか。

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新しいアーバンガーデニングの形、アクアポニックス

2050年には世界の人口は90億人、70%の人々が都市に住むようになり、必要な食料の量は今の倍になるという試算が国連食料農業機関にはあるそうです。

そういう予測のあるなか、都市での農業に将来を見いだして”アクアポニックス” で食料を生産するシステムを作っている、Urban Farmers(アーバンファーマーズ)という会社があります。
アクアポニックスというのは、簡単にいうと水産養殖と水耕栽培をかけあわせたものです。植物を栽培するのに土を使わず、水を使い、綺麗になった水に魚がすみ、魚が自然の肥料を作り出し、植物を育てる為に有効に活用されるという、自然のサイクルを使ったシステムです。このシステムはルーフバルコニーにもおけるようなものや駐車スペースに置く等、いくつかの種類があります。

この会社はもともと大学から派生した研究をもとに、できた会社だそうです。本社はチューリッヒなのですが、チューリッヒは都会といっても、緑も結構多いですし、町の中心から15分も車で走れば、ちょっとした、自家菜園なんてできてしまうスペースはあるので、それほど需要が見込めるのかな?と思ったのですが、実際、できた野菜を大手のスーパーのコーナーにおいてもらったら通常の野菜よりもかなり割高でも、コンセプトに共感してくださる方が結構いて、よく売れたとのことでした。魚のほうも普通に食べられます、ただ淡水魚になりますが。

都会でのガーデニングというのはいろんな形がありますが、土を作る事から始まって、それなりに食べられるものを収穫しようと思うと、結構手間もかかります。アクアポニックスの場合、サイクルができてしまえば、手間がほとんどかからないそうで、夕飯に食べる魚も自分のところで育てたもの、ということが可能になります。
これで、裏庭あたりに鶏でもかって卵も自分のところで作ると、食に関してはほとんど自給自足できてしまいそうです。

ところで、ボストン市の発表によると、マサチューセッツ州での地産地消率というのは全米で一番高いということです。確かに、少し、郊外にいけば、野菜を庭で作っている人、コンポストをしている人達、生協のように、みんなで食品の共同購入をしている人達がいたり、近郊の酪農家がミルクを売りにきたりもします。ここでの問題点は町での農業の商業化ということだそうですが、隣の家の裏庭で、はちや鶏をかいだしたらどうするか、という問題。ここでは基本、近所との話合いという事になるらしいですが確かに、都会で隣が養鶏所のようになっていたら、ちょっと困ることもあります。

そんなに、遠くない将来に都会のマンションの屋根にソーラーパネル、共同で野菜を栽培できるようなシステムが普通にあるようになるでしょうか?

加速する地産地消の考え方

一般的にアメリカの料理は美味しくないというイメージがあるようですが、料理がおいしくないというよりも、そもそも、野菜そのものが美味しくないなあ、と思ってました。友人の中には農地を借りて、農家の方と契約して、そこで、年間数十時間働きながら、収穫したものを買い上げている人たちもいますが、もう少し手軽な感じで日本の生協のようなものはないかな、と思っていたところ、知人が、農家と消費者をつなぐ食のスタートアップを始めました。そして、お試しで頼んだ野菜も肉もすごく美味しい!
又、頼もうと思っていたら、12月6日のボストングローブ紙に取り上げられていました。

Something gud というそのサイトはマサチューセッツ州と、その周辺の州のファーマーズマーケットで販売するような、小規模生産者から野菜、酪農家の自家製チーズ、パン等を直接仕入れ、配送をしてくれます。
ファーマーズマーケットに出すような、生産者は機械化して、大量生産でスーパーにおろしている所は少ないので、余計な添加物がはいっていなかったり、手作りのよさがあります。
この会社は、イメージ的には日本の生活クラブや、らでっしゅぼーやのような感じですが、もう少し地産地消と品質にこだわった小さい規模のサイトでしょうか。

新聞記事によると、産地と消費者を結びつける企業には、いくつかパターンがあるようです。
個人消費者と生産者を結びつけるもの
レストラン、学校などの、ある程度量が出るところに特化して卸しているところ
農家の産物を調理して冷凍して消費者に届けるところ

値段はオーガニックスーパーとあまり変わらないそうなのですが、大きな違いは売り上げの大半が農家や生産者にいくことです。
Farmers to youという会社の場合、例えば1ドルの商品を消費者が買った場合、そのうち65セントは農家のところにいく、これは、国内平均15.5セント(米国農務省の調べによる)に比べるとかなり、高い比率になります。

Farmers to youは2009年にスタートした、農産物を直接消費者に届ける会社 で、発表によると現在480家族が登録しており、1週間あたりの1家族の購入平均が65ドルということで、この会社では600家族登録してくれれば、黒字になる計算で来年の春あたりに達成できると予測しています。

マサチューセッツ州でも、地産地消が見直されている背景には農地がどんどん開発されており、生産者が減っているという事に危機感があるからです。一方、教育レベルの高い、このエリアは、環境問題や、健康問題にも平均的なアメリカ人よりもずっと敏感。(うちの隣の住人がコンポストをやっているときいて、そんなアメリカ人いるんだ!ってびっくりしました。)

私達は、あまりにも便利な生活に慣れてしまって、なんでも手に入ることが当たり前のような生活をしていますが、本来その土地の、その季節の旬なものが一番おいしく、体にもいい。そしてそれを、必要な分だけ、買う、という自然な生活の大切さを、ここのところ特に感じます。

大量生産、大量消費をしてきたアメリカ社会でも、大型農家や、遠方からの配送、そして大型スーパーに集約というモデルから、地産地消という、自然本来のあり方に戻ることが加速されている感じが、うれしいですね。

このスタートアップを立ち上げたのは20代の若者たちです、こうやって、1次産業と若者のIT力が上手く組み合わさって新しいビジネスモデルができることは、喜ばしいことです。

Something gudの創設者の一言
”自分たちのしていることのすばらしいことは、社会にとっていいことをすることで、お金を稼げることだ”