世界の問題をボストンから解決しようーソーシャルアントレプレナーシップ

ボストンのいいところは、アメリカの中でもかなりインターナショナルなところです。ハーバードやMITを始め、沢山の大学があり、エンジニア、学生、研究関係者が沢山いるという理由もあり、私が住んでいる地元の小学校で通っている生徒の国籍を数えてみたら、20カ国近かったと言う事を聞いたことがあります。そういうわけで、国際問題を解決するような、ソーシャルアントレプレナーシップの考え方も自然とでてくるのでしょう。

そんなボストンで、世界的な研究をサポートしようという集まりがありました。

ボストングローブ紙 11月4日

先週マサチューセッツ州立大学で行われたIDEAS Boston conferenceでは、3Dプリンターの話から、シーフードを守れ、まで 幅広いアイデアが集まった。

プレゼンターはSeeding Labs(使われなくなった実験室の機器を集めて、発展途上国に贈ることをしている)の創設者、Nina Dudnick やBounce Imaging (兵士や警察官が危険地域に行く時に使える、野球ボールサイズのカメラを作っている)の創設者のFrancisco Aguilarだ。

去年は Seeding Labs はケニヤより6人の科学者をよんだ。そのうちの一人の化学者である Mildred Nawiriは西アフリカにある土着の野菜がどうやってがんを予防するのかを研究している。

Nina Dudnickはその野菜はアメリカでは育たないので、研究はアメリカではできない事を指摘した。
でも、この研究は最新の機器がなければ、続けられない。Seeding Labsがサポートする前は西洋の化学者が1800年代に使った技術を使っていた。

”このような才能を持っている人はどこにでもいるので、がんのような問題は国境をこえて取り組むべき問題です。”

一方 Bounce Imagingは エクスプローラーと呼ばれる野球のボールのようなカメラを作り、兵士が行けないような危険地域にそのボールを 投げいれると内蔵された6つのカメラが何百ものイメージ写真をとってくれる。そして、その写真をつなぎ合わせて360度の景色がわかるようにするソフトウエアもある。
マイクもついているし、危険な化学物質を見つけるセンサーもとりつけられる。
似たような機器はすでにあるが、発展途上国にとってはもちろんのこと、地元の警察にとっても高すぎるし、操作も難しい。

Bounce Imagingのゴールはその球体状の機器を約700ドルで提供できるようにする事だ。警察署が沢山購入したとしても高すぎないように。

ボストン経済にレッドソックスと上原投手はどれくらい貢献しているのか?

このブログは ”起業と教育の話” なのですが、ここのところ米大リーグのワールドシリーズの最終戦で連日ボストンレッドソックスが新聞の一面を騒がせております。先日、上原投手がMVPを獲得して日本人の中でも、もりあがっていますが、なんと今日の一面はカタカナで大きく

「セントルイス戦」

と上原投手の写真付きで書いてあるのをみて、え?これってボストンの新聞だったよね? なんて思ったりしました。上原投手は普段、自分の気持ちを、日本語のブログで表しているので、(彼の7歳の息子さんはすごく上手な英語でインタビューに答えていました!)メディアもなかなか彼の本心を伝える事ができなかったのでしょう。なんと今日は、彼のブログのここ1週間くらいの気持ちの変化が英語に翻訳されてのっていました。普段、英語の新聞を要約している私にしてみるとすごく、新鮮な気持ちになりました。日本人のブログが英語に翻訳されて、新聞にのってる〜!なんか、この ”proud” な気持ちわかっていただけるでしょうか??(日本人でいてよかった〜、ありがとうって感じです)。上原投手の英語版ブログができる日も近そうですね!

そんな中、ボストンで試合が行われる度に、その周辺にもたらされる経済効果についての記事がありました。

ボストングローブ紙 10月30日

勝っても負けても一試合ごとに600万ドルの経済効果

レッドソックスがボストンに戻ってきてくれて、ケンモアスクエアにある Harker`s Eastern Standard restarurant のオーナーであるGarrett Harkerよりも、喜ぶ人は そうはいないだろう。レッドソックスがボストンで試合をする度に収入が増えるのだ。それは従業員のチップが増える事も意味する。始めの2日間で売り上げが約5割もアップするのだ。”ボストン中のレストランがうちみたいになりたいと思うよ。”

そして、どの町もボストンのように なりたいかもしれない、ボストンコンベンションビジターオフィスによると、ワールドシリーズの1試合度に勝っても負けても 600万ドルの経済効果が見込まれる。もしワールドシリーズの4戦をボストンで行えば2400万ドルにもなるのだ。

Harker`s Eastern Standardのウエイトレス、Rebeccaによると、先週はシフトごとに100ドル余計にチップをもらったし、頭からつまさきまでレッドソックスのユニフォームに包まれたカップルは1本 238ドルもするワインを飲んだ。
”彼らはお祝いをしにくるの。で、ちょっとした現金をおいてってくれるわ” ここのようなレストランでは、オーナーから、皿洗いの人、ウエイトレス、全ての人がこの恩恵を被る。
ワールドシリーズの時期は、どこかの会社のCEOから映画スターまで、予約をとるので席はいっぱいになるのだ。

Creek Oyster Barはこの2晩で3000個のオイスターを売り、Harker`s Eastern Standardでは11000ドル分のワインの売り上げがあった。レストランにとっていい年ということは、年末のボーナスがいいということでもある。しかし、このような臨時収入は貯蓄にまわるようだ。

今年は去年のワールドシリーズよりも売り上げがいい、ひとつの理由としては試合が、すでに人々が忙しい週末ではなく 週中に行われていることがあげられる。

Harker氏曰く、”去年はブリザードがきて、売り上げが悪かったが、今年はその埋め合わせをしたんだね。これでバランスがとれたっていうものだよ!”

以上が意訳になります。

食の分野ではワーキングプアになりやすい、という現実があり、特にボストンの場合、食事のレベルの割には食産業で働いている人の賃金が安い、ということがあります。そんな中で、スポーツイベントと一緒に ”食” がからむと売り上げが倍増します。ボストンマラソン、レッドソックス(野球)、セルティックス(バスケットボール)、ペイトリオッツ(アメフト)、チャールスリバーのレガッタ、という国際スポーツイベントが一年中ボストン内の色々な場所で行われることで、実は観光業や食産業が維持されているのかもしれません。これであとは、サッカーだけでしょうか?!

ところで、今日は先日書いたマスチャレンジの最終ピッチの日です。このイベントもレッドソックスの最終戦をみんながみたいので、急遽時間変更のお知らせがきました。ちなみにマスチャレンジのイベントだって、1000人以上の人が参加するボストンでも大きなイベントの一つです。。。今日はボストン中が大騒ぎになりそうですね。

ボストンはやはりハブである事が最新の調査で判明

この春、20年間ボストンの市長を勤めてきたトーマス•メニーノ氏が今年で引退を表明しました。この20年間でボストンはとても住みやすい、いい町になったという事がマサチューセッツ州立大学の調査で判明した話です。

町の安全性というのは多くの人や企業にとってはコストになるので、住みやすい町をつくることは経済発展にもとても重要な点です。
この20年間で町が整ったからこそ、ますます沢山のベンチャー起業、ファンド、世界からの優秀な研究者をひきつけることができたということが言えると思います。自分もここではあまり、国籍を意識しないですんでいるので、本当に国際都市なんだなと感じます。
様々な人種の人達がそれぞれの目的にむかって協力して生活していけるところ、それがボストンなんだと思います。

ボストングローブ紙 9月1日

ボストンはやはりハブである事が最新の調査で判明

マサチューセッツ州の東に住む330万人のうち90%の人達がこの町はこの20年で非常によくなったと答えている。安全になったし、人種問題も改善されボストンの港がきれいになったので町がよくなったと答えている。55%の人はボストンでのよくなった食事が人をひきつけていると思っている。
世論調査はボストンが仕事や文化、娯楽にとってどんなに大事かを示している。だから市長選は町から48マイル(役77km)四方にまで影響を及ぼす。

マサチューセッツ州立大学の調査ディレクターは ”ボストンはみんながいたい場所です。文化的にも学術的にも地域の中心なのです。だからだれが市長になるかは違いがあります” という。
ボストン市外に住む人はもし、もう少し家賃が安かったり、駐車しやすかったり、犯罪が少なければボストン市内に引っ越したいと思っている。半径25マイル(40km)以内に住んでいる人たちの半分は1週間に一度はボストンにくる。
ボストン”を一言で表せば ”歴史的” や ”強い” という言葉が、また ボストン人を一言で表すと” フレンドリー” や ”無礼者” という答えがかえってくる。アンケートに答えた人は ”20年前ほど、ボストン人もひどくないよ、ずっとフレンドリーになったよ” という。
メニーノ市長は沢山の観光客や、この町にやってくる人達を魅了した。ボストン市内ではメニーノ氏の支持率は82%と大変高い。
現在来年からの新市長のための選挙戦の最中だが、60%ほどの人はまだ選挙に注意をはらってはいない。

以上が要約になりますが、
来年からの市長はどんな方になるのでしょうか。
今のメニーノ氏が70歳になるので、今度の市長は若返る事には間違いないと思われます。
ボストンはニューヨークと違うのは、もう少し落ち着いて生活できる部分でしょうか。大学町なので、ファッション性にはかけますが、アカデミックな雰囲気とスポーツ好きな人々、自然と調和した生活ができます。この町のいい部分をのこして、さらに経済的にも発展ができるといいですね。

バイオテク(生物工学)関連のスタートアップは2億6600万ドルを獲得

バイオテク産業は投資額が大きく、なかなか黒字になりにくいので、長期的な投資が必要といわれていますが、それでもボストンがバイオテク世界でのハブになれるということは、ボストンの投資家の層が厚いということがいえそうです。

ボストングローブ紙 10月18日

バイオテク関連のスタートアップは2億6600万ドルを獲得

株式市場の上昇といくつかの株式会社のデビューが成功して、投資家は今年の第3四半期の間に、ボストン地域で2億5000万ドル以上をバイオテク関連のスタートアップに注ぎこんだ。

トンプソン・ロイターからのデータによると、前四半期はここ10年で最低レベルだったが、今期はボストン地域のバイオテク関連株のIPOが非常に成功し2億6600万ドルの投資の波がきた。

投資家の製薬会社への興味を惹き付けた エナンタ ファーマシューティカルズ社 ブルーバードバイオ社、.アジオス・ファーマシューティカルズを含む、マサチューセッツ州でのIPOに続いて、9月下旬には ファンデーション・メディシン社は1株 18ドルで発行され、1億600万ドル集め、木曜日には、1株34.88ドルで引けた。

ライフサイエンスとソフトウエアのスタートアップに投資するケンブリッジにあるアトラスベンチャーのJeff Fagnan氏は ”今、バイオテクは急成長しており、関心をひきつけています.” という。プライスウオーターハウスクーパーズのマネーツリーレポートによると、アトラスベンチャーはここのところ最も活発な地元のベンチャーで、四半期の間およそ25のスタートアップに投資している。そしてその大半はボストンにある。

ニューイングランド地方での第三四半期のベンチャーの投資額は7%上がり8億7000万ドルになり、全米規模では11%アップして77億ドルになっている。

全国的に、ソフトウェア スタートアップへの投資額は35億6000万ドルに達しているが、それは10年前の急成長しているインターネットブームの頃のレベルには至らない。それでも ボストンで、ソフトウエア関連では、期間の間取引の最大多数を占めた。
ボストンエリアのソフトウェア企業では、ただ一つ、ウェルズリーの、携帯支払い会社Paydiant社だけが前述のマネーツリーリポートが発表する地域の10の大きな取引としてリストされており、投資額は2050万ドルだった。

ソフトウェア スタートアップへの投資額が落ちている理由は、資本集約的なバイオテクノロジーや医療機器の会社に比べて、少ない資本でスタートできる点である。投資会社アトラス社のFagnan氏は 沢山の会社は数百万ドルでスタートできるから、これから投資の平均値はさがっていくだろうとみている。

以上が要約になります。
ソフトウエア関連産業はコストがあまりかからず、また場所も問わないで起業できるので安く、早く世界に浸透しやすいメリットがあります。そのソフトウエアの特有性をうまく使った、バイオ関連産業が発達してくると、収益が早くあがる仕組みができるかもしれません。

貧富の差がますます拡大?

読売新聞の10月20日の記事で

シリコンバレー、貧富の差拡大…米の縮図に


http://www.yomiuri.co.jp/net/news0/world/20131020-OYT1T00235.htm
という記事がありました。

シリコンバレーとボストンはとても似ているポジションなので、この現象は気になります。
正直、ボストンでも同じような状況がおきているのではないのか、と気になっていたのです。
というのも、もちろん退役軍人の方が路上で生活のための募金を募っているのに出くわすのはもう普通になっているのですが、それだけではなく若者も、どういう理由かわかりませんが高校を卒業できず、ふらふらしているという話も時々ききますし、実際そういう子達を見たことがあるからです。
ビジネススクールをでてMBAをとってもなかなか仕事がみつからない人さえも目にします。(というか、そもそもMBAをとった人は起業すればいいのに、と思うのですが。。)

ケンブリッジに住んでいる友人は子供たちを私立学校に通わせる事にした理由を、子供達の家庭間の経済格差がありすぎることを一つにあげており、その中でも経済的に困っている人達の割合が非常に多いと言っていました。
高校でも教科書は支給されても(レンタルですが)計算機は指定のものを買わなければいけなく、その計算機を買えない家庭の為にレンタルサポートしている学校もあります。
公立学校は日本でも貧富の差があり、それはある程度は仕方がないことかと思いますし、それがかえって、子供たちにとってプラスに働く事もあると思うのですがアメリカの場合、国籍などのバッググラウンドも多種多様な分、違いも日本以上に大きくなり、理解できる範囲を超えてしまうのかもしれません。

結局、教育の差が経済的な差になり、今まではなんとか大学を出ればそこそこの仕事につける可能性が高かったのに、学卒だけでは成り立たなくなっている、という現実があります。それは、4年生の大学をでたところで、具体的なスキルが身につかない場合が多く、大学院をでてやっと専門的な勉強ができるというしくみになってしまっているからでしょう。実際、学卒や高卒でもいい仕事にめぐまれてきた場合、学歴が必ずしも全てにはなりませんが、学歴がボトムラインをサポートしているということはあります。就職して初めて、自分に合った仕事に巡り会ったり、また やっぱり向いていないという結論に達した場合、また新しく勉強し直すというチャンスがここにはそれでも、あるとは思います。
実際は、どんどん多くの人達が大学院やMBAをめざすということになり、ますます金銭的な負担が増えています。