大学による、生き残りをかけた起業教育

日本にも沢山の大学があり、その中で、生き残りをかけて その学校の特徴をどうやってだしていくのか、大学も真剣に ”経営” ということを意識しなければならなくなってきました。
マサチューセッツ州だけで、100以上の大学があるといわれていますが、近年学生数が少ないリベラルアーツカレッジが経営難に陥っています。そんな中、学生数 約1400人のリベラルアーツカレッジである、ハンプシャーカレッジの新たな試みの話です。

ボストングローブ紙 11月1日

のんびりした学校が起業家を刺激する

先週、ハンプシャーカレッジは在校生か、最近卒業した卒業生が起業する為の 100万ドルの支援ファンドを設立したと発表した。
起業家とイノベーションの為の ”シードファンド(事業を始める為の元資金)” と呼ばれ、大学は20万ドルをこれから5年間、成功する確率の高いアイデアに分配する予定だ。

この100万ドルの資金はベンチャーキャピタリストで,、ハンプシャーカレッジの卒業生でもあるMichael Vlock氏と、 彼の妻のKaren Prizker(アメリカでも有数の資産家であるシカゴのPrizker家の出身)によって贈られた。この資金をどこからの干渉もうけることなく、自分たちの夢の実現にむけて使ってほしいといっている。

アメリカ国内のリベラルアーツカレッジは近年、カリキュラムにアントレプレナーシップ論や、その文化、補助金を出したり、夏のインターンシップ等を取り入れる努力をしている。

ハンプシャーカレッジのケースはまだ計画段階で、これからどのようにして、資金提供をするスタートアップを選ぶかをきめていかなければならない。12月までに希望者は書類を提出し、2月に選考があり、3月に最終的に賞が与えられるだろう。まだ はっきりはしないが、だいたい1〜4社くらいに資金提供できればいいと Vlock氏は思っている。

この学校には先攻というものはなく、自分で集中して勉強したいことを選択するようになっている。
”ハンプシャーカレッジはすでに 起業家的学生をサポートするようにデザインされているのです。” と、現役の学生はいう。

実際、2012年で 雑誌 フォーブスの最も ”起業家精神のある大学” の20位にランクインしている。卒業生の中には、Stonyfield Farm Yogurtの創業者や、オーガニックの肉を売るApplegate Farmsのオーナーもいる。Vlock氏によると、学生の理想は社会の問題を解決するノンプロフィット団体を設立することかもしれないが、彼は社会に還元できる、利益を追求したビジネスを望んでいる。
“次のFacebookみたいなものを立ち上げるような人が現れないかな?”

大学の起業センターの立ち上げにかかわったWong氏は、何か具体的な形になるもので 世の中を変える必要があると思う学生に資金が提供されると信じている。多分野にまたがった学びを通じて、ハンプシャーカレッジの学生は、ビジネスのみを先攻してきた学生より、広い視野で物事をとらえ、新しいアプローチで物事を解決するだろう、とWong氏はいう。

”リベラルアーツカレッジでは、アントレプレナーシップというのはビジネススクールとは違った意味でとらえられるんです。やり方も違います、といっても、我々はピザ屋を始めるつもりはないですよ。”

以上が意訳になります。

アメリカでは卒業生が母校に対してこのような大きな資金提供を、寄付もしくは基金として支払うことがよくあります。
大抵は、奨学金だったり、学校施設を維持するため、また人件費に支払われるのだと思いますが、このように明確に”起業資金”と明記することで、高等教育機関の意義が少しかわるのかもしれません。

このような背景には、アメリカ国内のリベラルアーツカレッジが抱える問題も見え隠れします。少数で、教授と学生の距離が近く、勉強や社会生活を営むには整った環境であり、一流の大学院にいくには一部のリベラルアーツの大学を出た方が確実とさえいわれていますが、一方、学生数が少ないために、卒業生からの寄付が非常に重要になっており、二極化が明確になりつつあります。極端に言えば、いろんな意味で成功している卒業生が必要なのです。

この調子でいくと、起業学という学位がとれる日がくるのでしょうか?
実際、ビジネスは学校でいすに座っているだけでなく、実践して、失敗を重ねて学ぶものでもあります。週2日学校で、3日は自分のビジネスの為に働くとか?

そういう意味でも、マスチャレンジは起業の学校だといえますね。
Hampshire College
http://www.hampshire.edu/

賞金総額100万ドル、手に入れたのはどのスタートアップ? マスチャレンジ賞 

ボストンにある、世界最大のインキュベーター、MassChallenge(マスチャレンジ)が行うアントレプレナー賞の受賞式に行ってきました。
たまたまボストンレッドソックスが大手をかけた 野球のワールドシリーズ最終戦と重なり、急遽時間変更等もありましたが、約1300人が集まる 大イベントでした。

4が月前に、マスチャレンジに来た128社は、今日までに資金提供者を見つけたり、販売先を確保することができたり、パートナーをみつけたり、戦略そのものを見直したりと、大変充実した4ヶ月を過ごせたようです。2週間前にそのうちの26社が選抜され、このファイナルイベントの為に1000人以上の観衆の前で、どんな1分間のピッチ(プレゼンテーション)をするか、策を練った事だと思います。

MCはコメディアンのAasiv Mandvi氏がきて、固くなり気味な会場の雰囲気を笑いで やわらげていました。

約1300人が集まりました。

約1300人が集まりました。

マスチャレンジの代表の二人が挨拶し、
前半13社のピッチが始まりました。1分間で自分の会社をアピールするのは、難しいですが、沢山のメッセージを押し込めるより、シンプルにゆっくり、簡単な言葉で話している人のほうが自分のやっていることに自信があるように見えました。

そしてそういう会社ほど、やっている事に高度な知識や技術が必要だったりするわけです。

ゲストスピーカーには Virgin Galactic のGeorge Whitesides氏
彼はボストン出身です。

”この中で、もし宇宙旅行にいけるのなら行きたい人?” ときくと8割位の人が手をあげました。
“ほら、だから起業家は未来を作るんです!” 

イギリスのVirgin グループの 宇宙旅行をビジネスにする会社のCEOが語る未来、あまりにも壮大なようですが、現実的であったりもしてさすが、夢を引っ張る大企業ってすごいですね!

今までに宇宙に行った事のある人は542人

今までに宇宙に行った事のある人は542人

後半13社のピッチがまた始まりました。
ピッチをし終えた、女性スピーカーとトイレで会ったら、緊張してピッチの前にコーヒー飲みすぎて、って興奮した笑顔。
エキサイティングな空気がこちらにも伝わります。

ピッチをする人も20代から40代後半くらいの人まで様々。
7割は男性でしょうか。

マスチャレンジは世界に進出しています。 イスラエルを始め、現在コロンビア、メキシコ、スイスとも提携をしました。

ベンチャーの文化や、失敗ができる文化、というのが世界中どこでも受け入れられるとは思いませんが、起業をサポートする仕組みや哲学は どの国でも応用できそうです。

結局、5社が10万ドルの賞金を手にし10社が5万ドルの賞金をもらいました。

10万ドルを手にいれた5社

Hemova Medical   
腎臓の透析機器メーカー

MoneyThink   
都市に住むティーンエージャー向けの金融教育を提供する

RailPod   
鉄道の交通管理(交通量の把握等)をするロボットメーカー

Viral Gains   
デジタルマーケティング会社

99Degrees custom
カスタムメイドのアパレル会社

5社の特徴をみると、ここはマサチューセッツなので地域に根ざした問題を解決してくれる会社、それから一般的、普遍的な問題、(国や人種、に限定せず)を解決してくれる会社が賞をとったということでしょうか。IT系が多いかと思いきや、意外にも縫製会社も選ばれているのでバランスがとれた選択かもしれません。

賞金はもらえなかった会社の中には、特定の国の問題や、人種の問題を解決する会社もありました。
ここでは賞金はもらえなくても、きっと手を差し伸べてくれる、人達がいると思います。

参加者たちが ”賞金をもらえなくても、僕たちは決して手ぶらで帰る訳ではない” といっているのが印象的でした。

会場にはたくさんのベンチャーキャピタリストも、いました。その人たちが、新しい投資先を見つけるのも そう遠い日ではなさそうです。

沢山の人から感謝される仕事、多くの人の問題を解決してあげる仕事が、未来のある仕事。そして、それを作るのが起業家なのです。
どれだけ沢山の人をまきこめるかに、成功の是非がかかりそうです。

詳しい情報は 大人の社会科見学 マスチャレンジへ、また翻訳、情報が必要な方は お問い合わせ  のほうへお願いします。
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