広がる特定分野に特化したインキュベーター

2010年にMITから派生した数社が集まって始めたサマービル市(ケンブリッジ市の隣)にある、グリーンタウンラボ は全米で一番クリーンテクノロジーのスタートアップが集積しているところです。

そのグリーンタウンラボが来年倍のスペースに拡張されることになりました。現在43社がはいっていますが、去年からウェイティングリストがどんどん伸びていることも拡張の理由にあるそうで拡張後は100社ほどが入れる840平米のスペースになる予定。この拡張には1100万ドルがかけられサマービル市及び、マサチューセッツ州のクリーンエネジーセンターも資金を貸付しているそうです。マサチューセッツ州はクリーンエネルギーに力をいれていており外国からも政府レベルで見学に訪れる人々がいます。グリーンタウンラボには 200キロワットのソーラーパネルがあり、電気自動車のためのチャージステーションが2箇所ついています。ここにはスタートアップだけでなく、シェル等の大企業の研究開発部門もオフィスを置いています。

ボストン周辺には分野に特化したインキュベーターがいくつかあります。
ケンブリッジ市には化学、生物系のウェットラボ(実際に化学や生物実験ができるところ)LabCentralというのもありますし、 ハードウエア(ロボットから補綴器具まで様々なもの)を作るために1億円相当の機械まで用意しているスペースを貸す、Bolt, ロボット企業が集まるインキュベーター等、似たような分野にいる起業家達が集まると、情報も早く入ってくるし、互いに協力しあうこともでき相乗効果が生まれるようです。
ちなみに、TedxCambridgeにもきていたGrove というLEDを使って室内で食物を育成できるようなシステムを作るアクアポニックスの会社もグリーンタウンラボにあります。

Grove

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歴史や哲学のようにお金に直接結びつかない分野を勉強することは不要なの?

文科省の国立大学での人文系学部を減らす動きについては夏頃から新聞を騒がせていますね。文科省の言い分と、その解釈をめぐってはいろいろな話がありますが、結局、人口と大学数(学部数)のバランスと実際、国が描く将来の産業を担う人材の育成の観点から考えると一部の大学(特に私立)が専門学校化したり、学部を減らすというのは需給バランスを考えれば実際には起こるりえる現実的な話だと思います。

一方で歴史、哲学のようにビジネスには直接結びつかないような分野は本当に不要なんでしょうか。

アメリカではリベラルアーツ大学の価値は広く認められていると思いますが今回はドイツ語圏の例で、人文系の教養科目を全く学ばなかった場合を考えてみます。

例えば、15歳から職業訓練にはいる道を取った場合、中学までに学ぶ、基礎教育そして高校はそれぞれの職業に関する勉強、ビジネス、ファイナンス、技術的、工学的な基礎であったり、言語であったりで、いわゆる一般教養は学ばず、その道のプロになっていきます。そのままその後一生学校にいかない人も多くいます。

ここからはあくまでも私の経験にもとずく偏見ですが、多くの場合(全てとはいいません)職業訓練を選択し、その後全く”学校”にいかない、もしくはなんだかの勉強をしたり外の世界を見ない人と、自分はなかなか話しが続かない、というか共通の価値感を持つことが厳しいという感じがします。彼らは、仕事はちゃんとするし、経済力だってちゃんとあります。へたしたら、大卒のしかも博士号をもっている人よりも裕福の場合も結構あります。しかし、アジア人である自分とは話しがかみ合わないのです。中学校レベルまでの知識しかないとすると、歴史だってヨーロッパ史くらいしかしないでしょうし、極東も東南アジアも地理的にはなんとなくわかっても、文化的区別はつかなかったり、当然その歴史や宗教観なんてわかりません。この人はこういう国からきて、こういう背景があるからこういうことを言い出す、という裏の部分の理解が少ないので、深い話しもできませんし、視野が狭いので話しがかみ合わないのです。またそしてそういう人に限って”知りたい”、という好奇心もあまりなかったり”なぜ?”という問いに対して、多方面からのアプローチというのが苦手のように思います。

しかし、その道を選択した場合でも、その後、専門大学(学校)に入り、もう一度その分野の勉強(もしくは別の分野)を続けるという道もあります。そして、実際そこからMBAをしたり、マスターをとったりする道もあるのでそのレベルにまでいく人たちは結局、教養部分をどこかの時点でつけるということになります。そして、大抵の場合、彼らは外国にでていくのでその視野は自然に広がってきます。視野が広がるということは許容範囲も広くなり、相手の立場を理解しやすくなります。

一方大学進学への道を選ぶとすると、少なくとも18までに大学レベルの一般教養課程を学び、(理系でも文系でも)大学からは専門課程に入ります。よって、大学で人文系の教養科目は基本必須ではありません。(大学によっては多少違うかもしれませんが)
ヨーロッパの学生はよく旅行しますね。それも結構長く数ヶ月から一年も。
一見無駄なようにみえる余裕が思考力とか物事を多面的にみたり深く考えることに繋がっているいるようにも思えます。

グローバル化が進んでいる世の中で、世の中はどんどん複雑になっています。一生ローカルで生きていければいいですが、解決すべき問題も難しくなっているなか広い視点をもっていくことはますます重要になるのではないでしょうか。

企業内ベンチャーをどう育てるか?

大企業にいるタイプと、ベンチャー企業で働くタイプの人は結構違いますよね。
とくに日本の大企業だと同じ会社に10年以上いる人達も結構いると思いますが、だんだん視野も世界も狭くなってきます。新しい空気をいれて感度をよくし、イノベーティブでいるためにはどうしたらいいでしょうか。

一つは、スタートアップの集まるインキュベーターのようなところにサテライトオフィスをもつ。
実際、そうやって人材を獲得したり、新しいテクノロジーをとりいれる、もしくは、小さな企業を買収、資金をだして、共同研究をするということはよく行われています。

もう一つは、マスチャレンジのようなアクセラレータプログラムに社内ベンチャーを送り込んで、教育するというやり方もあります。
マスチャレンジのダイヤモンドパートナーであるビューラー社はスポンサー金を支払いその代わりと言ってはなんですが、社内教育プログラムとして、社員をプログラムにおくりこんでいます。通常は、外からアプリケーションをし、選ばれないと参加できないプログラムに、社内のコンペで勝ったチームがマスチャレンジにいけるということになれば、社員も意欲がわきます。上手くいけば、スピンオフができるかもしれないですし、社内に新しい部署ができるかもしれません。
社員にとってもリスクは少ない(っていうかほとんどない?)ですし、会社にとっては社員を活性化させ、新しい事業を生み出すことができます。

大企業にいる人をいかにイノベーティブにしていくか。イノベーティブなのは技術だけではなく人であり、マスチャレンジのプログラムは”人”という資源を活性化させていくことにつながるところがすごいところです。

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さて、今年のマスチャレンジアワードは、政治色が若干強いものになりました。
マサチューセッツ州のベイカー知事に、ボストンのウォルシュ市長、来年はイスラエル、メキシコでマスチャレンジがオープンするので、各国の代表者、特にメキシコは国をあげてイノベーションエコノミーを後押ししています。どこの国でもイノベーションを牽引する産業はウェルカムという感じでしょうか。

2010年に始まったマスチャンレジのアクセラレータプログラムで現在までに835のスタートアップが6500以上雇用を生み出し、11億ドル(8億円ほど)資金調達をしました。今年は2250社の申し込みが世界60カ国からありました。他のアクセラレータープログラムやインキュベーターとちがってマスチャレンジはノンプロフィットです。スタートアップの株式を要求したり、他の金銭的な支払いというのが生じないところもスタートアップにとってはとてもいい環境でありますし、他の利害関係者にとって、ニュートラルな立場でいられます。

今年で6年目になりますが、増え続けるのは参加社だけではなくこのアクセラレータープログラムの授賞式をみる人たちで、今年は1700人、しかも席もキャンセル待ちでした。ファイナリストとしては26社が選ばれ、壇上でピッチをするわけですが、ここに残った26社はどれもこれから成功する確率が大変高いと言われています。そういった意味でも、投資家にとっても非常におもしろいこの賞(ショー?)であります。その中で16社がこの日総額1.3億円程度の資金を手にしたわけですが、まあ少ないという人もいますがあくまでも、返す必要のないお金をこれだけもらえるというのはいいですよね。。

賞が発表される前に円板型のピアノで演奏するブロキット・パーソンズ氏

賞が発表される前に円板型のピアノで演奏するブロキット・パーソンズ氏

ショー的要素が強い受賞式ですが、毎年世界をかえる豊富なアイデアの数々には圧倒されます。
ファンタジーフットボール(ソーシャルゲーム)のDraft King は2015年にすでに10億ドルを集めていますし、おなじみの電気ショックで悪習慣を直す、Pavlok 虫をチップスにした SIX FOODS  と様々な分野から選ばれていましたが、その中でも若干バイオ関連がやはり多かったかな?との感じもうけました。

電気ショックで悪習慣を治すパブロック、腕時計タイプ。

電気ショックで悪習慣を治すパブロック、腕時計タイプ。


個人的に面白いと思ったのは骨をくっつけるノリを開発したLaunchPad Medical骨を接着するのは非常に難しいということで、長く続く痛みを抱える患者をみていた医師が患者の負担を減らすために始めた会社です。これを使用することで、数分で骨がつき、痛みからも早く解放されるというものですが、バイオ関連の専門家の目からみても非常に有望な会社のようです。

日本の若者にリスクを冒す、ということを教えることができるのだろうか?

”日本の若者にリスクを冒す、ということを教えることができるのだろうか?”

とある、アクセラレーターの創業者に日本へ進出することは考えないのか聞いた時、かえってきた言葉です。
イノベーションを起こすべく、インキュベーターやアクセラレータプログラムというものの有効性が認められつつある中で、こういったプログラムが世界中に広がってきています。ところがその会社は日本に進出するのは言語、文化の違いが大きい中特に、リスクに対する考え方が違うという点で彼らのビジネスが日本ではうけいれられにくいのではないかという疑問を呈していました。
日本人の若者の内向き志向というのはどうやら、世界的にも有名になってしまってきているのでしょうか。

リスクをとらない大人をみて育っている若者からしてみれば、当たり前にリスクを冒してはいけない、と思うに違いありませんよね。つい先日も10年ほど日本に暮らしたことがあるヨーロッパ人が日本に暮らしたあとアメリカにきて、何にほっとしているかといえば、失敗が許されることだという(失敗から何を学ぶかが重要)話をしていました。

事業を簡単に始められない(メンタル的なハードルも高い)資金集めや、オフィスを借りるのでさえ信用力が必要、とりあえずやってみようということがなかなか簡単ではない中でリスクをとるというのは難しいのが現実です。しかしだからといってきちっとした計画があり、信用もある企業もしくは団体が始めた事業がうまくいくという保証もありません。

つい先日も、シェアオフィスの視察にきた地方行政の一団の方が、このオフィスに入居するには、それなりの審査があるのでしょうが、どういう条件があるのですか?と聞いたところ、事務所側は空きがあれば誰でも、と答えたのが印象的でした。
そのシェアオフィス会社を立ち上げた人は、そもそも自分が事業を始めた時に、(始めは全く違う事業だった)オフィスを借りるのがすごく大変で、家まで担保にいれなければならず、大変な思いをした経験からその会社を運営するようになりました。そして、オフィススペースを貸すだけではなく、人的なつながりがもてるようなコミュニティー作りをしています。
ここでは成功している人たちがその後の人を育てています。そういった要素もリスクを一つ減らす取組みの一つといえそうです。