生命科学者を引きつけるスピーディーな成功

生命科学の分野で起業をしようとすると、ハードルがものすごく高いということは、よく聞きます。例えば臨床試験に様々な法規制、高額な実験室、機器類、長期間の多額な資金...並ならぬ忍耐力と、資金的な援助、そして大きな志がないと、くじけてしまう。。。私のまわりにも生命科学者が何人かいますが、自分が稼ぐというより、自分の実験の為に高額なものが必要で、研究が続けられることがなによりも幸せという、感じのタイプが多いような気がします。ただ、結果がなかなかでにくいものだと、モチベーションを保つ事が難しいかもしれません、特に若いうちは。

生命科学者を引きつけるスピーディーな成功

ボストン グローブ紙 10月2日

要約

栄誉ある科学賞を高校生の時、がんに関する研究で受賞して現在ハーバード大学の2年生であるNithin Tumma氏は生命科学の分野で将来を約束されたように思われる。
ところが 彼は2人の友人とアップルストアであっという間に製品とサービスを売ることができるアプリの開発の面白さを発見してしまった。そして今彼は消費者技術の分野に将来を見据えている。 ”IT 分野のスタートアップのスピード感が生命科学より、魅力的です。研究をすることは好きですが、時間がかかるし、プロセスが困難です。”

リターンが早いということが、Tumma氏のような賢い若者を 商品が一晩でできあがるような ITの世界にひきつける。世界の健康問題を解決する為に、長期にわたる投資が必要な研究と臨床試験をしなければならない生命科学者の間で、ある種のねたみが生じている。

Johnnes Fruenhauf氏は2006年にケンダールスクエアで生命科学関連の会社を始めたときの不満を覚えている、一年目は実験スペースをみつけ、機器を買い、必要な許可を得るために過ごした。近所にあるケンブリッジイノベーションセンターではIT関連のスタートアップが、短期間で成功していくのを嫉妬を感じながらみていた。
” 彼らは、クラウドスペースを買い、ケンブリッジイノベーションセンターでテーブルを借りて、ラップトップを買って、始められるんだ。 本当の会社、製品、売り上げ、成長も全て少ない資本投資でしかも短期間で手に入る。 ”

現在、Fruenhauf氏とパートナーのPeter Parker氏は生命科学関連の会社の為に初めて 低賃料の実験室や、起業家の研究をスピードアップするのを助ける共用スペースをケンブリッジに作っている。1200万ドルの(12億円相当)施設はLabCentralと呼ばれ、来月オープンする。
ケンブリッジイノベーションセンターのトップのTim Rowe氏が創立メンバーに入り、マスチャレンジのCEOのJohn Harthorne をボードメンバーに迎えている。
Fruenhauf氏曰く、”これは全く、新しいモデルになります、ここに入る会社と今そこにあるIT企業とを近ずけるのです。”

一方、生命科学の分野の投資で その寛容さ、で有名なベンチャーキャピタル会社のThird Rock Venturesは、常に資金の心配をしていることはイノベーションを遅らせると思っていることから、通常この分野では、500万ドルから1000万ドルの資金融資をするところを2500万ドルから4500万ドルを一気に融資する。その御陰で、Third Rock Venturesが融資している会社はマサチューセッツ州においては早く株式公開ができる。
Third Rock VenturesのパートナーのStarr氏は”それでもこの業界の起業家に必要な資質は忍耐力です。” といっている。

LabCentralは500万ドルの資金をマサチューセッツ生命科学センターから、700万ドルを民間のジョンソン アンド ジョンソンとノバルティスからバイオメディカルの研究の為に得た。スータートアップの賃料は一人5万ドルになる予定で、これは通常自分で買わなければならない機器を レンタルできると考えると 相当安い設定である。始めに入居予定の会社の一つはVaxessという会社でワクチンを冷蔵せずに遠隔地に運ぶことができる技術を開発している。ワクチンのシステムの背後にある科学は、10年以上も前から開発されているがVaxessは製品ができるまでに更に 4−6年必要だという。VaxessにとってはLabCentralのような場所がなくては資金が足りなくなる。

一番始めに出てきたTumma氏は2人の友人とハーバード イノベーション ラボのスペースと、かき集めた2万ドルの手元資金で、現状十分だと言う。
彼らの計画はオンライン上の小売業者の為のマーケティングツールのアプリを 作ることである。
数学とコンピューターサイエンスを勉強しているTumma氏はしばらくは新しい挑戦をするがまたいつか、生命科学のところに戻ってくるかもしれない。”自分がやっていることをすぐにかえられる能力が気に入っているので、今はIT分野に傾いていますが、2、3年後は又 考え直すかもしれませんね。”

以上が要約になります。

LabCentralの面白い点は、IT企業が多いケンブリッジイノベーションセンターのそばにあるということです。しかもトップも同じような顔ぶれなので

生命科学+IT =新しいタイプのサービスもしくは製品

が生まれそうな匂いがしますね。こうやって一つの成功モデルが他と、くっついてまた、新しい市場を作っていく力があること、そしてそれを支援する資金調達ができることがボストン界隈の魅力だと思います。ベンチャーキャピタルの層が厚く、一つの会社だけでは支援できなくても、横の連系もうまくっている。以前投稿した、ベンチャーキャピタリストとピッチイベントにも書きましたが、このあたりの、コミュニケーション力も学ぶ事が多そうです。

**ケンダールスクエアはMITがある場所です。

オンラインでの資金集め-クラウドファンディング

ボストングローブ紙 9月24日
意訳

証券取引委員会は月曜より、ケンブリッジにあるWefunder(ウィーファンダー)のような会社がスタートアップ企業のためにオンライン上で資金調達をしやすいように法改正をした。スタートアップ企業はウィーファンダーのようなクラウドファンディングのオンラインのサイトで資金を調達できるようになったのだ。ウィーファンダーの共同創始者のマイク・ノーマンは ”これまで以上にたくさんの資金がスタートアップ企業に流れ込んでくることはいいことです。でももっといいことはこれまでにはない方法でスタートアップをサポートしてくれる人達とつながることができることです。” といっている。Kickstarter 〔キックスターター)やIndiegogo〔インディゴーゴー)のようなクラウドファンディングサイトは近年芸術家や音楽家、起業家達がファンや支持者から資金提供を得ることができるようになったために人気がでている。典型的な例としては資金援助を必要としている者は、寄付金をもらうかわりに商品を提供する。でも彼らは株式の譲渡はしない。証券取引委員会のルールが、企業が投資を求める宣伝がだせるように変わったことで、プロの投資家や金融の専門家達から非難の声があがっている。法改正により株の販売のための広告宣伝が禁止ではなくなったことにより投資家がだまされやすくなっただけでなく、起業家が知らない人に株を売ることによって争いや論争に巻き込まれることをハーバード大学のロースクールの教授のJohn Caotes氏は懸念している。しかし新しい法には制限もある。資金援助をする側は年収が20万ドル(2000万円相当)もしくは純資産100万ドル〔1億円相当)以上でなければならない。ウィーファンダーは最低投資額を1000ドル(10万円相当)としており、そのサイトで資金を集める側も、資金提供する側もチェックされる。スタートアップ企業はプロの投資家の資金提供をすでに受けていなければならない。もちろん、このサイトを使う人達は自分で企業の信用調査をしなければならない。前述ノーマンによると、”それでも非常にリスクの高い投資です。情報公開がしっかりされなければなりません。” 

ウィーファンダー自体、魅力ある投資対象になっている。2012年に2人のMITと
バブソン カレッジの卒業生でたちあげたこの企業はすでに110万ドルの〔1億1千万円相当)の支援を得ている。カリフォルニアとケンブリッジにオフィスを構えるつもりだそうである。

以上が新聞の意訳になります。日本でもクラウドファンディングという形の投資が注目されています。
http://www.nhk.or.jp/ohayou/marugoto/2013/06/0618.html
他人の夢に共感できて一緒にそれを追いかけることができるのが、クラウドファンディングの魅力でしょうか。

オフィスをカリフォルニアとケンブリッジに構えるつもりということでスタートアップはやはりシリコンバレーとボストン界隈に集中しているということがわかりますね。

***1ドル100円相当で計算しています

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ご回答をありがとうございました。 ✨

資金を集めるのは事業を成功させるよりは簡単            

9月22日付けのボストングローブ紙に、興味深い記事がのってます。

スタートアップ ストーリー、始めるのは簡単だが、構築するのは大変

記事の要約
2011年の2月23日はBrian Krejcarek(以下ブライアン)にとってアントレプレナー誰もが夢見る日であった。サンフランシスコの”Launch”(ラウンチ)と呼ばれる会議で投資家やその他観衆の前で自分の製品のプレゼンをする機会に恵まれたのだ。当時、彼はケンブリッジイノベーションセンターで寝泊まりする日々を過ごしていた。彼は全ての金を彼のスタートアップである、”GreenGoose”に投入していた。GreenGooseが提供する製品は高額でないワイヤレスのセンサーでどんなものにも装着でき、例えば自転車や子供の歯ブラシに、そしてどれだけの頻度でそのものが使われているかを調べることができるものだ。彼は子供も大人も例えば歯を磨いたりすることでポイントを集めることができ、モチベーションがあがると、提案していた。
このイベントで彼がステージを去る前に2人の投資家がすぐに1000万円ほどの投資を申し出、その日賞も受賞し、とうとう、1億円以上の資金を集めた。

今日、”GreenGoose”は倒産し、ブライアンには800万円ほどの借金が残っている。ブライアンは、2010年にポートランドで会社を起こしたが、資金を得られなかった。そこで東に移動し、プロビデンスのアントレプレナーの促進プログラムを受講し、そこで、投資家へのコネを得る。その後、ケンブリッジのイノベーションセンターに引っ越した。結局、”GreenGoose”には25の投資家が投資をした。グーグルのエグゼクティブであり、投資家のドン・ドッチによると、”このようなエンジェル投資家は基本的に1本250万円の宝くじを買うようなもの。10枚チケット買えば、1枚はあたるでしょう”、といっている。ブライアンは会社を設立した後、サンフランシスコに移住したが、定着しない従業員のことで悩まされる。“Brush Monkey”という製品は去年の夏に49ドルで発売されるが、技術上の問題も抱え、強力な販売ルートの構築もできなかったために、数百個しか売れなかった。投資家からも見放されてしまう。
現在ブライアンはポートランドに戻り、他の会社のコンサルティングをしながら、次のプロジェクトの立ち上げをしている。”僕は何かを作っていく事が好きなのです、それをやめる気はありません” 

Launch Capital 社の分析によると、アメリカ、ヨーロッパでは2013年には去年の倍の起業資金が流入している。でも、追加資金となると難しい。ということは、沢山の企業がGreenGooseのような道をたどるだろうということだ。前述のドッチ曰く、”これがスタートアップビジネスであり、その現実は大抵の企業が失敗をするということだ”。

ここまでが新聞の記事の要約になります。
これを読んでみると先日のピッチイベントでのベンチャーキャピタル会社の勝率40%というのが、いかに確率が高いかということがわかりますね。

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ご回答をありがとうございました。 ✨

ベンチャーキャピタリストとピッチイベント

今日はピッチイベントにいってきました。これはスタートアップの企業が更なる資金を求めて、ベンチャーキャピタリストの前でプレゼンをするものです。
各企業が持ち時間30分でプレゼンと質疑応答に答えます。今日は5社がピッチをしました。このベンチャーキャピタリストの会は、30人強のグループで、毎月20~30集まるの企業からのアプリケーションのうち、5-6社に候補をしぼり、2ヶ月に1度グループメンバーの前でプレゼンをしてもらい、投資をするかどうかを決めます。

それぞれのベンチャーキャピタリストが資金を出し、ファンドから今回は1社につきマックス20万ドル(2000万円弱相当)投資します。例えば投資対象が100万ドル(1億円弱相当)必要な場合は、他のベンチャーグループと一緒になって投資することもあるそうです。
30人以上の人たちが、投資をするかしないかは多数決投票?と思っていたら、意外にも、大抵の場合最終的にはほぼ全員一致で投資するかしないかはきまるそうです。様々な分野の専門家たちがいるので、自分がわからないことでも誰かがサポートできるというのは集団の強みなのでしょう。
キャピタリストの年齢は、30代くらいの人がちらほら。今日初めてこの会に参加するという若者2人組は(東ヨーロッパの人だと思います)最近、自分たちのスタートアップ企業を売って資金を作ったそうです。みんなが拍手して迎えました。

8割は50代以上の人でしょうか、女性は2,3人というところ。色んなバックグラウンドがある人たちがいるのでそれぞれが意見を言ったり、質問をすることでみんなで情報を共有していきます。
ベンチャーキャピタルの市場規模は全米で260億ドルほどあるそうで、ボストンにはこのようなベンチャーキャピタルのグループが10個強ほどあるそうです。それとは別に個々にエンジェル投資家として、サポートしている人たちも含めると、ボストンには相当数の投資家がいると思われます。一方、ピッチをする側も年齢が意外にもバラバラです。大学院をでたばかりの若者もいれば、大学教授に、もうすぐ定年?と思われるような方もいます。

さて、今日のトップバッターはピッチ2度目のチャレンジであるA社。メディア向けのサービスを提供するIT会社です。一度失敗しても何度でもトライできるのがアメリカ文化のいい点です。ベンチャーキャピタリストの一人が ”ヨーロッパは難しいね、失敗することがとてもいけないことだと思っているし、一度失敗してしまうと、烙印をおされてしまうのだから” と発言。 いえいえ、日本も同じだと思います。。。というか、日本は手を上げることさえも難しい。。。
そういう事情かどうか、経済上の問題もありますがヨーロッパのベンチャーの市場はここ最近小さくなっているそうです。

さてA社のプレゼンの前にグループとしてではなく、個人的にこの会社をサポートしている投資家(彼ももちろん、投資家グループのメンバーです)がこの企業の紹介をします。たかが2分程度のピッチですが、まるでショーのようです。A社にとってみればまさにエンジェルに援護されているようですね。(エンジェル投資家とはよく言ったもの)
基本的なビジネスプランに、マーケティングプラン、顧客層、競争相手、収益の上げ方等、話が進みます。そこでここ4年後の成長率、具体的な売り上げ目標数字がでました。一年目は300万円くらいの売り上げが4年後には10億円くらいになっている!うーん、、、これにはさすがに投資家からも質問が。
”この売り上げ予測の内訳は?”
こんな具合に、途中に質問が入ったりしながら、30分がすぎました。
そして、ピッチが終ったあと、今度は投資家たちがデューデリジェンス(投資の前に行われる多面的な企業調査)をするかどうか、旗手して(!)きめます。
ここで審査が通ると、2ヶ月ほどかけてデューデリジェンスをし、それが上手くいって晴れて、投資家から資金調達できるというしくみです。かなり短時間で話がすすみますね。

今日は2社が審査を通過しました。さあ、最終的に投資を受けられるのでしょうか...

さて今日のピッチで私の心に残った言葉は

数字だけを追いかけていると違う方向に行ってしまう

キャシュフローは大事です、とにかく数字をあげなければ投資家はついてこない、でもそれ以上に投資家がみているのは、

その商品、サービスは市場で受け入れられるものなのか

ということでした。 市場で受け入れられれば当然数字がついてくるということですね。