賞金総額100万ドル、手に入れたのはどのスタートアップ? マスチャレンジ賞 

ボストンにある、世界最大のインキュベーター、MassChallenge(マスチャレンジ)が行うアントレプレナー賞の受賞式に行ってきました。
たまたまボストンレッドソックスが大手をかけた 野球のワールドシリーズ最終戦と重なり、急遽時間変更等もありましたが、約1300人が集まる 大イベントでした。

4が月前に、マスチャレンジに来た128社は、今日までに資金提供者を見つけたり、販売先を確保することができたり、パートナーをみつけたり、戦略そのものを見直したりと、大変充実した4ヶ月を過ごせたようです。2週間前にそのうちの26社が選抜され、このファイナルイベントの為に1000人以上の観衆の前で、どんな1分間のピッチ(プレゼンテーション)をするか、策を練った事だと思います。

MCはコメディアンのAasiv Mandvi氏がきて、固くなり気味な会場の雰囲気を笑いで やわらげていました。

約1300人が集まりました。

約1300人が集まりました。

マスチャレンジの代表の二人が挨拶し、
前半13社のピッチが始まりました。1分間で自分の会社をアピールするのは、難しいですが、沢山のメッセージを押し込めるより、シンプルにゆっくり、簡単な言葉で話している人のほうが自分のやっていることに自信があるように見えました。

そしてそういう会社ほど、やっている事に高度な知識や技術が必要だったりするわけです。

ゲストスピーカーには Virgin Galactic のGeorge Whitesides氏
彼はボストン出身です。

”この中で、もし宇宙旅行にいけるのなら行きたい人?” ときくと8割位の人が手をあげました。
“ほら、だから起業家は未来を作るんです!” 

イギリスのVirgin グループの 宇宙旅行をビジネスにする会社のCEOが語る未来、あまりにも壮大なようですが、現実的であったりもしてさすが、夢を引っ張る大企業ってすごいですね!

今までに宇宙に行った事のある人は542人

今までに宇宙に行った事のある人は542人

後半13社のピッチがまた始まりました。
ピッチをし終えた、女性スピーカーとトイレで会ったら、緊張してピッチの前にコーヒー飲みすぎて、って興奮した笑顔。
エキサイティングな空気がこちらにも伝わります。

ピッチをする人も20代から40代後半くらいの人まで様々。
7割は男性でしょうか。

マスチャレンジは世界に進出しています。 イスラエルを始め、現在コロンビア、メキシコ、スイスとも提携をしました。

ベンチャーの文化や、失敗ができる文化、というのが世界中どこでも受け入れられるとは思いませんが、起業をサポートする仕組みや哲学は どの国でも応用できそうです。

結局、5社が10万ドルの賞金を手にし10社が5万ドルの賞金をもらいました。

10万ドルを手にいれた5社

Hemova Medical   
腎臓の透析機器メーカー

MoneyThink   
都市に住むティーンエージャー向けの金融教育を提供する

RailPod   
鉄道の交通管理(交通量の把握等)をするロボットメーカー

Viral Gains   
デジタルマーケティング会社

99Degrees custom
カスタムメイドのアパレル会社

5社の特徴をみると、ここはマサチューセッツなので地域に根ざした問題を解決してくれる会社、それから一般的、普遍的な問題、(国や人種、に限定せず)を解決してくれる会社が賞をとったということでしょうか。IT系が多いかと思いきや、意外にも縫製会社も選ばれているのでバランスがとれた選択かもしれません。

賞金はもらえなかった会社の中には、特定の国の問題や、人種の問題を解決する会社もありました。
ここでは賞金はもらえなくても、きっと手を差し伸べてくれる、人達がいると思います。

参加者たちが ”賞金をもらえなくても、僕たちは決して手ぶらで帰る訳ではない” といっているのが印象的でした。

会場にはたくさんのベンチャーキャピタリストも、いました。その人たちが、新しい投資先を見つけるのも そう遠い日ではなさそうです。

沢山の人から感謝される仕事、多くの人の問題を解決してあげる仕事が、未来のある仕事。そして、それを作るのが起業家なのです。
どれだけ沢山の人をまきこめるかに、成功の是非がかかりそうです。

詳しい情報は 大人の社会科見学 マスチャレンジへ、また翻訳、情報が必要な方は お問い合わせ  のほうへお願いします。
マスチャレンジのHPはこちら

グーグルスタイル、起業家へのアドバイス

グーグルのアドバイスときいただけで、何?何って耳を傾けたくなるのは私だけでしょうか???

ボストングローブ 10月7日

グーグルスタイル、起業家へのアドバイス

Jeremy Wertheimer氏は先週ケンブリッジのグーグルでの起業家のイベントで思慮深いアドバイスをした。Wertheimer氏は現在、グーグルのエンジニアリング部門のバイスプレジデントであるが、2011年にグーグルが700万ドルで買った旅行サイト, ITAの創業者だ。Wertheimer氏とMITのコンピュータ技師のチームは1990年代、当時乗客が航空券の値段を素早く比較する方法がなかった時代に仕事を始めた。”もし 自分にとっては解けない訳がない問題だけど、他の人には解けないらしい問題をみつけたら、それは何か他の物にとっては破滅的なことになってしまうかもしれないけれど、とても面白いサインです。そこに起業のチャンスがあるのです。”と、Wertheimer氏はいう。

彼は他のシグナルも探すようにいっている。ITAの研究で、Wertheimer氏は航空業界のコンピューターシステムは10年ほど前に作られたもので、ずっとアップデートされてこなかったことを突き止めた。”だからもし、システムが少し古い部分をみつけたらそこがたいてい面白い部分なんだ。”

以上が要訳になります。
顧客の困っているところを探せ、というのは新規事業をするうえでよく
聞く言葉です。このブログでも紹介している、
Disciplined Entrepreneurship 起業の法則
でも消費者の立場にたった製品作りを説いています。
問題点を、最新の技術力で解決、というのが成功セオリーということでしょうか。

生命科学者を引きつけるスピーディーな成功

生命科学の分野で起業をしようとすると、ハードルがものすごく高いということは、よく聞きます。例えば臨床試験に様々な法規制、高額な実験室、機器類、長期間の多額な資金...並ならぬ忍耐力と、資金的な援助、そして大きな志がないと、くじけてしまう。。。私のまわりにも生命科学者が何人かいますが、自分が稼ぐというより、自分の実験の為に高額なものが必要で、研究が続けられることがなによりも幸せという、感じのタイプが多いような気がします。ただ、結果がなかなかでにくいものだと、モチベーションを保つ事が難しいかもしれません、特に若いうちは。

生命科学者を引きつけるスピーディーな成功

ボストン グローブ紙 10月2日

要約

栄誉ある科学賞を高校生の時、がんに関する研究で受賞して現在ハーバード大学の2年生であるNithin Tumma氏は生命科学の分野で将来を約束されたように思われる。
ところが 彼は2人の友人とアップルストアであっという間に製品とサービスを売ることができるアプリの開発の面白さを発見してしまった。そして今彼は消費者技術の分野に将来を見据えている。 ”IT 分野のスタートアップのスピード感が生命科学より、魅力的です。研究をすることは好きですが、時間がかかるし、プロセスが困難です。”

リターンが早いということが、Tumma氏のような賢い若者を 商品が一晩でできあがるような ITの世界にひきつける。世界の健康問題を解決する為に、長期にわたる投資が必要な研究と臨床試験をしなければならない生命科学者の間で、ある種のねたみが生じている。

Johnnes Fruenhauf氏は2006年にケンダールスクエアで生命科学関連の会社を始めたときの不満を覚えている、一年目は実験スペースをみつけ、機器を買い、必要な許可を得るために過ごした。近所にあるケンブリッジイノベーションセンターではIT関連のスタートアップが、短期間で成功していくのを嫉妬を感じながらみていた。
” 彼らは、クラウドスペースを買い、ケンブリッジイノベーションセンターでテーブルを借りて、ラップトップを買って、始められるんだ。 本当の会社、製品、売り上げ、成長も全て少ない資本投資でしかも短期間で手に入る。 ”

現在、Fruenhauf氏とパートナーのPeter Parker氏は生命科学関連の会社の為に初めて 低賃料の実験室や、起業家の研究をスピードアップするのを助ける共用スペースをケンブリッジに作っている。1200万ドルの(12億円相当)施設はLabCentralと呼ばれ、来月オープンする。
ケンブリッジイノベーションセンターのトップのTim Rowe氏が創立メンバーに入り、マスチャレンジのCEOのJohn Harthorne をボードメンバーに迎えている。
Fruenhauf氏曰く、”これは全く、新しいモデルになります、ここに入る会社と今そこにあるIT企業とを近ずけるのです。”

一方、生命科学の分野の投資で その寛容さ、で有名なベンチャーキャピタル会社のThird Rock Venturesは、常に資金の心配をしていることはイノベーションを遅らせると思っていることから、通常この分野では、500万ドルから1000万ドルの資金融資をするところを2500万ドルから4500万ドルを一気に融資する。その御陰で、Third Rock Venturesが融資している会社はマサチューセッツ州においては早く株式公開ができる。
Third Rock VenturesのパートナーのStarr氏は”それでもこの業界の起業家に必要な資質は忍耐力です。” といっている。

LabCentralは500万ドルの資金をマサチューセッツ生命科学センターから、700万ドルを民間のジョンソン アンド ジョンソンとノバルティスからバイオメディカルの研究の為に得た。スータートアップの賃料は一人5万ドルになる予定で、これは通常自分で買わなければならない機器を レンタルできると考えると 相当安い設定である。始めに入居予定の会社の一つはVaxessという会社でワクチンを冷蔵せずに遠隔地に運ぶことができる技術を開発している。ワクチンのシステムの背後にある科学は、10年以上も前から開発されているがVaxessは製品ができるまでに更に 4−6年必要だという。VaxessにとってはLabCentralのような場所がなくては資金が足りなくなる。

一番始めに出てきたTumma氏は2人の友人とハーバード イノベーション ラボのスペースと、かき集めた2万ドルの手元資金で、現状十分だと言う。
彼らの計画はオンライン上の小売業者の為のマーケティングツールのアプリを 作ることである。
数学とコンピューターサイエンスを勉強しているTumma氏はしばらくは新しい挑戦をするがまたいつか、生命科学のところに戻ってくるかもしれない。”自分がやっていることをすぐにかえられる能力が気に入っているので、今はIT分野に傾いていますが、2、3年後は又 考え直すかもしれませんね。”

以上が要約になります。

LabCentralの面白い点は、IT企業が多いケンブリッジイノベーションセンターのそばにあるということです。しかもトップも同じような顔ぶれなので

生命科学+IT =新しいタイプのサービスもしくは製品

が生まれそうな匂いがしますね。こうやって一つの成功モデルが他と、くっついてまた、新しい市場を作っていく力があること、そしてそれを支援する資金調達ができることがボストン界隈の魅力だと思います。ベンチャーキャピタルの層が厚く、一つの会社だけでは支援できなくても、横の連系もうまくっている。以前投稿した、ベンチャーキャピタリストとピッチイベントにも書きましたが、このあたりの、コミュニケーション力も学ぶ事が多そうです。

**ケンダールスクエアはMITがある場所です。

資金を集めるのは事業を成功させるよりは簡単            

9月22日付けのボストングローブ紙に、興味深い記事がのってます。

スタートアップ ストーリー、始めるのは簡単だが、構築するのは大変

記事の要約
2011年の2月23日はBrian Krejcarek(以下ブライアン)にとってアントレプレナー誰もが夢見る日であった。サンフランシスコの”Launch”(ラウンチ)と呼ばれる会議で投資家やその他観衆の前で自分の製品のプレゼンをする機会に恵まれたのだ。当時、彼はケンブリッジイノベーションセンターで寝泊まりする日々を過ごしていた。彼は全ての金を彼のスタートアップである、”GreenGoose”に投入していた。GreenGooseが提供する製品は高額でないワイヤレスのセンサーでどんなものにも装着でき、例えば自転車や子供の歯ブラシに、そしてどれだけの頻度でそのものが使われているかを調べることができるものだ。彼は子供も大人も例えば歯を磨いたりすることでポイントを集めることができ、モチベーションがあがると、提案していた。
このイベントで彼がステージを去る前に2人の投資家がすぐに1000万円ほどの投資を申し出、その日賞も受賞し、とうとう、1億円以上の資金を集めた。

今日、”GreenGoose”は倒産し、ブライアンには800万円ほどの借金が残っている。ブライアンは、2010年にポートランドで会社を起こしたが、資金を得られなかった。そこで東に移動し、プロビデンスのアントレプレナーの促進プログラムを受講し、そこで、投資家へのコネを得る。その後、ケンブリッジのイノベーションセンターに引っ越した。結局、”GreenGoose”には25の投資家が投資をした。グーグルのエグゼクティブであり、投資家のドン・ドッチによると、”このようなエンジェル投資家は基本的に1本250万円の宝くじを買うようなもの。10枚チケット買えば、1枚はあたるでしょう”、といっている。ブライアンは会社を設立した後、サンフランシスコに移住したが、定着しない従業員のことで悩まされる。“Brush Monkey”という製品は去年の夏に49ドルで発売されるが、技術上の問題も抱え、強力な販売ルートの構築もできなかったために、数百個しか売れなかった。投資家からも見放されてしまう。
現在ブライアンはポートランドに戻り、他の会社のコンサルティングをしながら、次のプロジェクトの立ち上げをしている。”僕は何かを作っていく事が好きなのです、それをやめる気はありません” 

Launch Capital 社の分析によると、アメリカ、ヨーロッパでは2013年には去年の倍の起業資金が流入している。でも、追加資金となると難しい。ということは、沢山の企業がGreenGooseのような道をたどるだろうということだ。前述のドッチ曰く、”これがスタートアップビジネスであり、その現実は大抵の企業が失敗をするということだ”。

ここまでが新聞の記事の要約になります。
これを読んでみると先日のピッチイベントでのベンチャーキャピタル会社の勝率40%というのが、いかに確率が高いかということがわかりますね。

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ご回答をありがとうございました。 ✨

国の起業支援

少し時間がたってしまったのですが、たまたま 米ボストンに創業支援センター設立へ=韓国長官
という記事〔8月9日付)をみつけました。先日のピッチイベントでも投資家の方がいっておられたのですが、”今世界中の国がボストンに注目している。それは、スタートアップ企業のサポート体制〔資金や様々なサービス)、環境が整っているからだ” と。

春にはスイスからの企業が20社、ロシアからの企業も数十社、視察や企業教育のためにきています。ドイツ、フランスをはじめ世界各国がスタートアップ企業を支援する仕組みを国をあげて、作ろうとしているのです。どういうことかというと、ボストンには前述したように大学の研究機関が集中しています。MITやHarvard 等の技術を使い、資金はベンチャーキャピタルから集め、(例えば韓国系の会社であっても、アメリカに所在していれば、ようするに言い換えればアメリカで税金を払うことになるならばということでしょうか、ベンチャーは投資します)ボストンから世界市場を狙うということです。その為に、国をあげて今各国がサポート体制を作ろうと動いているのです。日本はどうでしょうか。日本には世界に誇れる技術がたくさんあると思いますがそれを世界とつなげる仕組みはあるでしょうか? すでに10年以上も前からそういった仕組み作りを国をあげて、行っている国があります。

スイス科学技術領事館SWISSNEXについては次回に詳しくお話させていただきます。