国境を超えてエネルギー政策を考える、ワットドール賞 Watt d`or その2

現在、ワットドール賞(Watt d`or)のエキシビジョンが、9月14日までボストンのノースイースタン大学で行われています。
この展示では過去の受賞者の紹介をしているのですがバイクタイク(バッテリーで走る自転車)や、賞を今までに2度ほど受賞している建築事務所による110年前の家をリノベーションして、100平米のソーラーパネルをつけることで、暖房代とお湯を作る費用ががかからなくなるプロジェクト、排水されたお湯の熱を再利用するシャワーシステム 等が紹介されています。

先日、オープニングに伴い、セミナーも行われ、スイスから70社ほどが、ワークショップを含め、参加しました。

ワットドール賞展示

ワットドール賞展示

バイクタイク

バイクタイク

日本では”地球温暖化にどう対応するのか” と言う話をききますが、ここではどちらかというと、Climate Change すなわち、”気候変動にどう対処するのか”、という大きな課題の中で、エネルギー政策の分野において国を超えて、何ができるのかを考え、話合うということが今回の、イベントの大きな大義でした。スイスとマサチューセッツ州の大きさはほぼ同じくらいです。協力できる分野はイノベーション、技術、技術移転、教育と色々あります。

マサチューセッツ州もアメリカの中ではエネルギー政策を非常に重視している州で、サステナビリティーに力を入れています。再生エネルギー、風力発電、食に関しても州内で自給自足ができるように目指しており、環境問題を経済と結びつけることで雇用問題にも対処しています。

今回、ノースイースタン大学がこのような会議に場所を提供したのも、大学もサステナビリティーに関する分野が成長分野だと認識しているという背景があります。
特にクリンテックの分野はグローバル経済の中で今後6%のマーケット市場になるといわれているそうです。

スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETHZ)が1998年に考案した構想「2000ワット社会」政策という考え方があります。これは、1人あたりの年間目標を2,000ワットと定め、そうすれば長期的にスイスのエネルギー消費を3分の2削減することができる、という考え方です。現実的にこれを実現するのは難しいといわれますが、一方、これを実現するテクノロジーはそろっているともいわれます。福島の原発事故後、スイスは国のエネルギー政策を見直しました。その際、企業と一緒に中、長期計画を練り直し、投資額の大きさや安全の担保の問題、核のゴミ問題を考えた時に原発はコストがかかりすぎるという理由で原発をやめることになりました。原発をやめることにきめてから、スイスはエネルギー消費を効率化させる為にテクノロジーの力を使い、「2000ワット社会」という考え方は現実的な目標になりつつあります。

そういう背景の中、スイスとマサチューセッツ州がどのような形で、手をつなげるのか、国は産業とどのように協力しているのか。個々の企業、大学の例をみながら、見学している人達も討論に参加しながら互いに学び合う事ができたこういう形のセミナーというのは、非常に面白い形の業務提携に後につながっていくのかなという予感がありました。

ちなみに、今回、TEDスタイルでプレゼンをしたMITのドナルド•サドウェイ教授のプレゼンはとても有名で、参考までに過去のTEDを貼っておきます。
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スイスのエネルギー政策を後押しするワットドール賞(Watt d`or)を受賞したシャワーシステム、Joulia

スイスは資源がない国なのでいかに、資源を効果的に使うか、もしくは、再利用できるのか、エネルギー政策というのが国の重要な政策になっています。そのような背景もあってか、ソーラーインパルス(ソーラーパワーで飛ぶ飛行機)や、ソーラーシップが、うまれてきました。

そんなスイスでは、2007年から優れたエネルギー効率的な製品、サービスを生み出す企業や団体にワットドール賞というものが与えられています。賞の内容は5分野にわかれます。
建築、エネルギーテクノロジー、エネルギー効果的な運輸、再生可能なエネルギー、社会。それぞれの分野より、社会にインパクトを与える優れた製品、サービスを提供する企業や団体に賞が与えられます。
昨日から、ワットドール賞の展示がボストンのノースイースタン大学で始まりました。ワットドール賞の国外展示は初になります。オープニングに、スイスより、エネルギー、運輸、教育を管轄しているロイトハード大臣がいらして、スピーチをし、今年、去年等の受賞社数社によるプレゼンテーションが行われました。

その中に Joulia というシャワーシステムを作っている会社があります。
この会社はエネルギーテクノロジーの分野で2013年に賞をもらっているのですが、このシャワーは排水されたお湯の熱を再利用することで従来のシャワーシステムの半分程度のエネルギーでシャワーが使えるというものです。このテクノロジー、日本のように、シャワーだけでなく、お風呂、お湯を沢山使う文化では非常に応用範囲が広いと思われます。一般家庭だけでなく、スポーツクラプや、ホテル、学校等、大量にお湯を使っているところは多くあり、多くの場合そのお湯のもつエネルギーはそのまま捨てられています。
単純な発想なのですが意外と思いつかない、ということで建築家からは好評のシャワーシステムです。

http://joulia.com/en/how-it-works/

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新しいアーバンガーデニングの形、アクアポニックス

2050年には世界の人口は90億人、70%の人々が都市に住むようになり、必要な食料の量は今の倍になるという試算が国連食料農業機関にはあるそうです。

そういう予測のあるなか、都市での農業に将来を見いだして”アクアポニックス” で食料を生産するシステムを作っている、Urban Farmers(アーバンファーマーズ)という会社があります。
アクアポニックスというのは、簡単にいうと水産養殖と水耕栽培をかけあわせたものです。植物を栽培するのに土を使わず、水を使い、綺麗になった水に魚がすみ、魚が自然の肥料を作り出し、植物を育てる為に有効に活用されるという、自然のサイクルを使ったシステムです。このシステムはルーフバルコニーにもおけるようなものや駐車スペースに置く等、いくつかの種類があります。

この会社はもともと大学から派生した研究をもとに、できた会社だそうです。本社はチューリッヒなのですが、チューリッヒは都会といっても、緑も結構多いですし、町の中心から15分も車で走れば、ちょっとした、自家菜園なんてできてしまうスペースはあるので、それほど需要が見込めるのかな?と思ったのですが、実際、できた野菜を大手のスーパーのコーナーにおいてもらったら通常の野菜よりもかなり割高でも、コンセプトに共感してくださる方が結構いて、よく売れたとのことでした。魚のほうも普通に食べられます、ただ淡水魚になりますが。

都会でのガーデニングというのはいろんな形がありますが、土を作る事から始まって、それなりに食べられるものを収穫しようと思うと、結構手間もかかります。アクアポニックスの場合、サイクルができてしまえば、手間がほとんどかからないそうで、夕飯に食べる魚も自分のところで育てたもの、ということが可能になります。
これで、裏庭あたりに鶏でもかって卵も自分のところで作ると、食に関してはほとんど自給自足できてしまいそうです。

ところで、ボストン市の発表によると、マサチューセッツ州での地産地消率というのは全米で一番高いということです。確かに、少し、郊外にいけば、野菜を庭で作っている人、コンポストをしている人達、生協のように、みんなで食品の共同購入をしている人達がいたり、近郊の酪農家がミルクを売りにきたりもします。ここでの問題点は町での農業の商業化ということだそうですが、隣の家の裏庭で、はちや鶏をかいだしたらどうするか、という問題。ここでは基本、近所との話合いという事になるらしいですが確かに、都会で隣が養鶏所のようになっていたら、ちょっと困ることもあります。

そんなに、遠くない将来に都会のマンションの屋根にソーラーパネル、共同で野菜を栽培できるようなシステムが普通にあるようになるでしょうか?

スーパーの食品廃棄物をエネルギーに -サステナビリティを追求するスーパーの話-

マサチューセッツ州、コネチカット州、ロードアイランド州内に213店舗展開している、オランダ資本のスーパーマーケットチェーン、ストップアンドショップという店があります。この店は、障害者の雇用に積極的に取り組んだり、地元の学校と一緒にプログラムを作ったりと、地域に根ずいた店舗作りをしているチェーンです。
この店がサステナビリティという観点から, 寄付する事もできず、商品としても売り物にならなくなった廃棄食料品から、エネルギーを作る資源再生工場をフリータウンにある配送センターに作ることになり、2015年に完成予定と発表しました。(2月16日ボストングローブ)

この12000平方フィートのフィード・リソース・リカバリー社の革新的な、食品廃棄物を燃料にかえる施設は米国では2つ目のケースになるそうです。(現状このテクノロジーが使われているのは2012年にできたカリフォルニアにあるスーパーマーケットチェーンクローガー社のもので、毎日350店舗から、150トンの食料を処理しています。)

ストップアンドショップの施設では毎日95トンの食品が処理され、ディストリビューションセンターの40%の電気を供給できるようになる予定です。このセンターは24時間操業で1000人以上のフルタイムもしくはパートタイムの従業員がいます。

現在、賞味期限ぎりぎりになった食品はただでフードパントリーに寄付されていますが、2013年には1200万ドル分のものが寄付された計算になっています。
賞味期限がすぎた食品や傷がついたもの等少量は家畜用のえさとして農場に寄付されているかコンポストされています。しかし、大抵のものは廃棄されているのです。新しい工場で処理されるのは腐敗しやすいものなので寄付が減るわけではないそうです。

ストップアンドショップは環境に配慮して多額の投資をしていますがそれによって無駄なトラックの使用も減るし、再生可能エネルギーも生み出し、国が掲げる2020年までに年間45万トンの有機ゴミを減らそうという目標にも貢献しようとしています。

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アメリカ人以上に賞味期限に敏感な日本人。一人当たりの食品廃棄率も相当高いといわれています。農林水産省によると、(平成22年度)食品ロスは日本国内で年間約500万~800万トン、これは世界全体の食料援助量の2倍にあたり、日本の米収穫量に匹敵するらしいです。食品自給率が低いのにも関わらず、コンビニやスーパーからの廃棄率も高いといわれてますから、サステイナブルな生活を考えなければならないのは日本人も同じです。

参考記事:
サステナブル(環境に優しく持続可能)な生活を目指しているスタートアップ-practically green-