保育費を賞金としてもらうMITの科学者

どの分野の仕事でも、一流の仕事をしたい女性は結婚したとしてもなかなか子供を持ちながら、男性と同じような条件もしくは、それ以上の環境で働いていくのは大変です。
家庭をもち、一流の仕事をする女性はスーパーウーマンであるか、時間的に自由がきく仕事に恵まれている、もしくは周りのサポート体制がしっかりしてるのどれかだと思います。それは程度の差はあれ、日本もアメリカも一緒のようです。

ボストングローブ紙 10月4日

保育費を賞金としてもらうMITの科学者

2年半前に、MITの生物学の研究者達が、外部の諮問委員会と仕事について討論していたとき、仕事上どんなものがあったら助かるか、聞かれた。ある女性は ”保育所” と答えた。
億万長者で慈善家のDavid Koch氏は、今までこういった委員会には沢山出席しているが、心を動かされたことがなかった。でも彼女の話をきいて“涙がでた” といっている。
Koch氏はすでにMITには1億5千万ドルほどの研究費と教職員の費用をだしているが、さらに子供のデイケアに2000万ドルを支出することを決めた。David Koch デイケアセンターが金曜に完成する。
各大学も世界レベルの研究をする人々をリクルートしたり、ひきとめたりするために、彼らにも家族がいるということをますます認識しなければならなくなっている。
Koch 氏はこう振り返る、”これほどまでの情熱と、一方 どうにもならない問題をかかえて落胆している人たちを初めてみました。子供のために適切な施設を作らなければ、すばらしい研究者達を失ってしまいます。” 10年ほど前はMITでの状況は全く違うものだったと、生物学の教授であり 子供のいないNancy Hopkinsはいう。“子供のことを仕事場では話せなかったです、子供がいれば、いい科学者にはなれないと思っていた人たちがいました。”

一方、現在沢山の大学では保育サービスがあり、財政的なサポートも うけられる。
ハーバード大学もここ10年ほどワークライフバランスをサポートしようとしている。この4年間で400万ドルが教職員の保育費の援助として支払われている。30年ほど前には家族がいてもそれは、個人的な問題、との認識だった。

サポートを求めているのは母親だけではない、父親もそうだ。マサチューセッツ大学メディカルスクールのPhillip Zamore氏は他の職員と一緒に新しい保育所をあるルールにのっとって開設するように交渉した、そのルールとは職員が自分のオフィスから歩いて保育所までいけること。彼は自分の研究所で家族がいる人達をサポートしている。
”研究所でのキャリアが研修員から始まり、教員になるまでの時期というのはまさしく 子供がうまれる時期なのです。私たちは親である事を楽しみながら、科学者であることも楽しめるのです。”

9月に天体物理学者のSara Seager氏がマッカーサー財団の ”ジニアス” 賞を受賞した。彼女は受賞金を子供の保育料と家計費の足しにするといっている。Seager氏は二人の息子を主夫として育ててくれた夫をがんでなくした。家の面倒をみてくれる人を雇うことで気持ちが解放されるなら、それがキャリアを続ける中でできる一番の投資なのだという。

以上が意訳になります。

ヤフーのCEOが自分のオフィスに子供の保育スペースを作らせた話もありますが、大抵の女性がそこまでできるような立場ならいいのですが、なかなか現実は難しい。ある程度の実績をあげて、それなりの立場にならないと、そこまではできない、ということはますます、高齢出産がすすみます。でも、高齢でも出産できればまだいいですが、家庭をもつことさえも難しい人たちもたくさんいます。だからワークライフバランスを考えて。。。根本的な問題は他のところにありそうです。

個人的な意見で恐縮ですが... ”成功”という定義がもう少し、違ってくるとそれぞれの人生がとても楽になるような気がするのですが。女性の中でも子供をもってもキャリアを続けたい人もいれば、家庭で子供と向き合う時間を多くとりたい人もいると思います。それぞれが、数字ではかる成功ではなく、自分が本当にしたいことができたか、できなかったで成功度というものをはかれると、人生を人と比べる必要がなくなるのではないかな、と思ってしまいました。

生命科学者を引きつけるスピーディーな成功

生命科学の分野で起業をしようとすると、ハードルがものすごく高いということは、よく聞きます。例えば臨床試験に様々な法規制、高額な実験室、機器類、長期間の多額な資金...並ならぬ忍耐力と、資金的な援助、そして大きな志がないと、くじけてしまう。。。私のまわりにも生命科学者が何人かいますが、自分が稼ぐというより、自分の実験の為に高額なものが必要で、研究が続けられることがなによりも幸せという、感じのタイプが多いような気がします。ただ、結果がなかなかでにくいものだと、モチベーションを保つ事が難しいかもしれません、特に若いうちは。

生命科学者を引きつけるスピーディーな成功

ボストン グローブ紙 10月2日

要約

栄誉ある科学賞を高校生の時、がんに関する研究で受賞して現在ハーバード大学の2年生であるNithin Tumma氏は生命科学の分野で将来を約束されたように思われる。
ところが 彼は2人の友人とアップルストアであっという間に製品とサービスを売ることができるアプリの開発の面白さを発見してしまった。そして今彼は消費者技術の分野に将来を見据えている。 ”IT 分野のスタートアップのスピード感が生命科学より、魅力的です。研究をすることは好きですが、時間がかかるし、プロセスが困難です。”

リターンが早いということが、Tumma氏のような賢い若者を 商品が一晩でできあがるような ITの世界にひきつける。世界の健康問題を解決する為に、長期にわたる投資が必要な研究と臨床試験をしなければならない生命科学者の間で、ある種のねたみが生じている。

Johnnes Fruenhauf氏は2006年にケンダールスクエアで生命科学関連の会社を始めたときの不満を覚えている、一年目は実験スペースをみつけ、機器を買い、必要な許可を得るために過ごした。近所にあるケンブリッジイノベーションセンターではIT関連のスタートアップが、短期間で成功していくのを嫉妬を感じながらみていた。
” 彼らは、クラウドスペースを買い、ケンブリッジイノベーションセンターでテーブルを借りて、ラップトップを買って、始められるんだ。 本当の会社、製品、売り上げ、成長も全て少ない資本投資でしかも短期間で手に入る。 ”

現在、Fruenhauf氏とパートナーのPeter Parker氏は生命科学関連の会社の為に初めて 低賃料の実験室や、起業家の研究をスピードアップするのを助ける共用スペースをケンブリッジに作っている。1200万ドルの(12億円相当)施設はLabCentralと呼ばれ、来月オープンする。
ケンブリッジイノベーションセンターのトップのTim Rowe氏が創立メンバーに入り、マスチャレンジのCEOのJohn Harthorne をボードメンバーに迎えている。
Fruenhauf氏曰く、”これは全く、新しいモデルになります、ここに入る会社と今そこにあるIT企業とを近ずけるのです。”

一方、生命科学の分野の投資で その寛容さ、で有名なベンチャーキャピタル会社のThird Rock Venturesは、常に資金の心配をしていることはイノベーションを遅らせると思っていることから、通常この分野では、500万ドルから1000万ドルの資金融資をするところを2500万ドルから4500万ドルを一気に融資する。その御陰で、Third Rock Venturesが融資している会社はマサチューセッツ州においては早く株式公開ができる。
Third Rock VenturesのパートナーのStarr氏は”それでもこの業界の起業家に必要な資質は忍耐力です。” といっている。

LabCentralは500万ドルの資金をマサチューセッツ生命科学センターから、700万ドルを民間のジョンソン アンド ジョンソンとノバルティスからバイオメディカルの研究の為に得た。スータートアップの賃料は一人5万ドルになる予定で、これは通常自分で買わなければならない機器を レンタルできると考えると 相当安い設定である。始めに入居予定の会社の一つはVaxessという会社でワクチンを冷蔵せずに遠隔地に運ぶことができる技術を開発している。ワクチンのシステムの背後にある科学は、10年以上も前から開発されているがVaxessは製品ができるまでに更に 4−6年必要だという。VaxessにとってはLabCentralのような場所がなくては資金が足りなくなる。

一番始めに出てきたTumma氏は2人の友人とハーバード イノベーション ラボのスペースと、かき集めた2万ドルの手元資金で、現状十分だと言う。
彼らの計画はオンライン上の小売業者の為のマーケティングツールのアプリを 作ることである。
数学とコンピューターサイエンスを勉強しているTumma氏はしばらくは新しい挑戦をするがまたいつか、生命科学のところに戻ってくるかもしれない。”自分がやっていることをすぐにかえられる能力が気に入っているので、今はIT分野に傾いていますが、2、3年後は又 考え直すかもしれませんね。”

以上が要約になります。

LabCentralの面白い点は、IT企業が多いケンブリッジイノベーションセンターのそばにあるということです。しかもトップも同じような顔ぶれなので

生命科学+IT =新しいタイプのサービスもしくは製品

が生まれそうな匂いがしますね。こうやって一つの成功モデルが他と、くっついてまた、新しい市場を作っていく力があること、そしてそれを支援する資金調達ができることがボストン界隈の魅力だと思います。ベンチャーキャピタルの層が厚く、一つの会社だけでは支援できなくても、横の連系もうまくっている。以前投稿した、ベンチャーキャピタリストとピッチイベントにも書きましたが、このあたりの、コミュニケーション力も学ぶ事が多そうです。

**ケンダールスクエアはMITがある場所です。

連邦学生ローン、18年ぶりの高い割合での債務不履行

秋は新学期なので、先日の記事にも書いた、高等教育の学費の高さというのが、メデイアをさわがせるのですが、今回は連邦学生ローン(公的なローン)が18年ぶりに高い割合で債務不履行に陥っているという話です。といっても、毎年のように問題になるのに、改善の兆しがみえないばかりか、ますます格差が広がるような感じがしています。

9月8日発行のボストングローブマガジンによると、2005年の一人あたりの平均の学生ローン負債額が17233ドル(約170万円)だったのに対して2012年には27253ドル(約270万)になっています。一つの要因には一部の私立大学はブランド化がすすみ、オリンピック競技場も顔負けなスポーツ施設や, 学生食堂もレストランなみのメニューを取り揃えるなどのことをしていることがあげられています。学費を下げる為にオンラインのコースの提案もなされていますが、実際、大学に行く人のほとんどが様々な形の学生ローンや奨学金のお世話になっているという現実があります。

ボストングローブ紙 10月1日

連邦学生ローン、18年ぶりの高い割合での債務不履行

要約

7人に1人は連邦学生ローンの債務不履行に陥っているという事実は、この景気がよくないときに卒業生達にとって学費の支払いがどれだけ大変なのかを示している。債務不履行(デフォルト)の割合は14.7%と1995年以来、一番高い。

ワシントンのヤングインビンシブルという18歳から34歳までの若者をターゲットとしているNGOで政策担当と研究所長をしているRory Osullivan氏によると、このデフォルトの増え方は借り手の痛みを表しているという。 ”借り手にとっては財政的危機状況です。” デフォルトはクレジットカード会社の評価と将来的に借金をすることを難しくする。米国の、学生ローンの総額は、政府系のローンと民間のローンを合わせると、1兆2000億ドルにものぼる。この総額は住宅ローン以外のその他の消費者金融の負債総額を超える。

**ヤングインビンシブル というのは18歳から34歳までの若者の声が政府の政策に反映するように働きかけているNGOです。

大学はファーストジェネレーションの学生の要求を満たす努力をしている

マサチューセッツ州は、全米でも教育レベルがとても高く、また親も子供の教育に対して関心が高いために教育熱心な家庭が多いです。
高等教育の学費の高さはいつもアメリカでは問題になります、というのも、私立大学にいくとなると、年間300〜400万円くらいはかかりますし、それに生活費、交際費と、4年間かけ、リベラルアーツが主である米国教育の場合、(日本の大学もそうですが、)一般大学の文系で4年間勉強しても専門家にはなれません。
職業に直結した教育をうけたいとなると更に大学院に行く必要がでてきて、更に プラス2年。しかも、現在 大学院までの教育の必要性がますます問われています。しかし、4年間の大学教育で経済的に力尽きてしまい、仕事を探しても、それなりの収入の仕事がみつからないケースが増えており、若者の失業率をあげてしまっています。
一方、一時期中国にいってしまった製造業がまた米国に戻り、一部の製造業で人手不足になっていたりします。果たして、工場のラインで働く為に4年生の大学を出る必要があるのか、という問題にもなり、教育システムそのものの見直しがせまられているのでしょうか。

このような現状の中で、教育の機会は平等であるべきという信念のもと、大学がそれでも経済的にめぐまれない学生たちの支援をしているという記事です。

ボストングローブ 9月30日

大学はファーストジェネレーションの学生の要求を満たす努力をしている

要約

家族の中で初めて大学に進学した学生達を ”ファーストジェネレーション” とよぶ。
MITのファーストジェネレーションプロジェクトは、世界でもっとも有名な大学のひとつである、MITとはいったい何であるか を親に説明しなければならなかった、ファーストジェネレーションの学生を 色々な面でサポートするとともに、大学や学生が主催してネットワークイベントやメンター指導などを行なっている。

裕福な家庭の子供達ばかり受け入れているとの批判から、エリート大学では近年収入の低い家庭の学生だったり、ファーストジェネレーションの学生をとることに力をいれている。経済的な多様性があると、学生の個性も際立つ。ある親は子供が家をでていったり、家計を働いて助けないことを怒っていたり、ある学生は親の犠牲の上で学校にきているのに いい成績が残せないことを、恐れている。学部長によれば、欠席届けを一番多くだしにくるのはファーストジェネレーションの学生だという。ある学生は、行きたくても経済的理由からいけない夕食に誘われた時 どうやって断るかを考えていたが、ファーストジェネレーションプロジェクトが主催したオリエンテーションをうけて、自分の気持ちをわかってくれる人達がいることがわかってよかった、という。MITでは16%の新入生の親は4年生の大学をでていない。統計によると、収入が低い家庭の学生の多くがファーストジェネレーションであり、学歴も低い。

低所得家庭とファーストジェネレーションの学生をサポートする取り組みはタフツ大学やノースイースタン大学、スミスカレッジでも行われている。
象徴的なのはホロコーストの犠牲者の息子であり ベネズエラの貧しい家庭環境で育ったRafael Reif氏が去年 MITの学長になったことだ。

学校の外でもファーストジェネレーションを援助する動きがある。例えばゲイツファンデーション(ビルゲイツの財団法人)から補助金をうけたNGOが ”アイ アム ファースト” プロジェクトを展開しようとしている。
現在、生物工学の教授であるLeona Samson教授はイギリスの工場地区で育ち、馬鹿な子だといわれ、15才で高校を退学して, その後なんとか大学にはいったものの一年目に落第しかけた。 彼女は ”自分に対して何も期待をしないいいことは、おこること全てが, 思いもかけないような驚きに満ちていることです。” という。 

ジンバブエからきたFidelis Chimombeは家にはコンピュータもなく、未亡人の母が学費をはらえるように、同じスニーカーだけを3年間はき続け生活費を節約したり、自分も働いて仕送りをしている。彼は去年、うつになったが、母親には言えなかった。今はどうやって自分の国を変えていけるかを 考えている。”僕の子供達は僕がしてきたような、生活はしないでしょう”

以上が要約になります。

いくら成績優秀だとしても、同じエリア、同じ学校、同じ人種ばかりから学生をとるということをしていると、同じようなものしか生まれません。(もちろん管理する側はそのほうが楽だと思いますが。)そこでなるべく違ったものをミックスしてお互いに、刺激しあう環境を作るということが、新しいものを作る原動力になるということですね。
そこがまさしく、アメリカがゼロから何かを作りあげる源なのかな、と感じます。
父親も、兄弟もMITを卒業して、高校の最終学年を飛び級したという学生の隣に、家にコンピュータがなく、生活費を削る為に、3年間同じスニーカーだけをはいているジンバブエからきた学生が机を並べるという状況は、互いに刺激し合わないわけがありません。
教育に関しては国境をこえて支援していくというアメリカの姿勢は、意図的かどうかは別としてアメリカを長期的には外敵から守るという外交的な役割も担っているのかな、とも思います。

Disciplined Entrepreneurship-起業の法則(6.競争力のある位置にいるかを確認する)

Bill Aulet 著 Disciplined Entrepreneurship-起業の法則 (意訳)

Step 11  競争力のある地位にいるかを確認する

御社の商品はターゲットのペルソナにとって重要な2つの条件をみたしているでしょうか?
ベルソナが重要だと思っていることを、競合他社の製品は満たしているのでしょうか?
御社が選んだ市場は御社の強みとペルソナが重要だとおもっていることとマッチしているでしょうか?

チャートを作って自分たちが競争力のある位置にいるのか確認しましょう。
チャートの横軸には顧客が一番重要だと思う事を、縦軸には顧客が2番目に大事だと思う事を設定します。
横軸左側(0に近い方)は顧客にとってよくない状況、右側はいい状況、
縦軸下(0に近い方)は顧客にとってよくない状況、上はいい状況です。そのチャート上に自分たちの位置を示してください。
そして 御社のポジションが右側上にいることを確認してください。
競争力のあるポジションというのは、御社の強みとペルソナが大事だと考えていることとが、マッチしています。もし、右上にいない場合は、商品を再評価したほうがいいでしょう。