ボストンから学ぶ、イノベーティブで自立した人材の育て方(2 なぜボストン?)

 

なぜボストン?

ボストンはマサチューセッツ州にあります。アメリカの中でみると大変小さいこの州。(アメリカの州の大きさランキングでみると、下から8番目)州の大きさは約27336 平方キロメートル、イメージ的には秋田県と岩手県を足したくらいの大きさになります。

この州には高等教育機関が約120ほどあり、(無認可を含めると300近くあるそう)そのうちボストン近郊には35ほどで、世界で一番、ノーベル賞受賞者が集中している場所です。日本から見ると、ボストンと一括りに見ますが、アメリカで一番古い大学であるハーバード大学(1636年設立)を始め、エンジニアの最高峰MIT(マサチューセッツ工科大学)はボストン市の隣にあるケンブリッジ市にあります。ボストン市と其の近郊にはタフツ大学、ボストン大学、ボストンカレッジ、アントレプレナーシップで有名なバブソンカレッジ、全米でも1、2位のリベラルアーツカレッジである、ウィリアムズカレッジやアムハーストカレッジ、優秀な女性政治家を輩出しているウェルズリーカレッジ...と世界に名だたる大学が多数あります。

そんなボストンには大学の研究と起業を結びつける仕組みが整っており、学生の起業を支援するプログラムが充実していることから大学発の研究からスピンオフしたスタートアップがたくさんあります。Kauffman Indexによると2016年にボストンエリアで活動しているスタートアップ数は 1869社にものぼります。そして、 移民の創設者の割合が30%、これは世界平均が19%だということと比べると非常に高い数字です。

又、ボストンは西海岸のシリコンバレーと並び、ハイテク関連の起業が多いことで知られていますがVCの投資額ではカリフォルニア州が一番多いものの、マサチューセッツ州では一人当たりが受け取るベンチャーキャピタルの金額が全米で一番多くライフサイエンスの分野では全米で1,2を争う病院機関もあり世界中の製薬会社も集中したハブにもなっています。R&D比率は実は国レベルよりも地域で見るとかなり、変わってくるのですが、マサチューセッツ州のGDPに対するR&D比率は 5.86%ちなみに日本は2016年度で3.58%)であり研究開発投資に力を入れていることがわかります。

このようにボストンには優秀な人材を引きつける環境があり、高度な技術や知識をもった人達が起業したり、イノベーションを起こすために、公共、民間問わず必要なサポートを提供するエコシステムがあります。

参考記事:

ボストンの大学が地域経済に与える影響についてのデータ

ボストンから学ぶ、イノベーティブで自立した人材の育て方(1 はじめに)

はじめに

ここ数年、ボストンのイノベーションエコノミーに関わりながらイノベーション、起業、教育に関するブログを書いてきたわけですが、そろそろ総括してみたいと思います。もともとこのブログはアメリカ人が得意なことを学ぼうというところから出発しました。私が思うアメリカ人が得意な事は何もないところから何かを生み出すこと。この間ファンドレージング、セールス、プロモーション、ネットワーキング、コミュニティー作り、ゼロから1を作るビジネス構築に関して、大学、企業、NPO、官公庁といった様々な層と関わりながら、そして子供の教育を通じて勉強したり、経験を重ねてきました。

イノベーションは新しいビジネスを作り雇用を生むので大切という考えが浸透したことにより、日本から各種団体とたくさんの方たちがボストンにみえて彼らと話しをする機会が多くありました。どの方達も、ボストンで成功しているエコシステムを学び、いかにそれを日本に導入できるのか、どうやって国際的に協働していけるのかに興味を持っておられます。実際は日本だけでなく、世界中の国から毎月のように多くの各種団体がイノベーションのエコシステムを学ぶためにボストンにやってきていますがそれぞれの国はその仕組みを直接とりいれるだけではなく、どうやったら今ある各国の仕組みと掛け合わせることができるのかということを考えています。イノベーションを起こす、ということを仕組みで考えると、企業レベルの問題だけでなく行政機関、大学を含めた教育の枠組み、そして個人のレベルでは何ができるのかということも考慮することが必要になってきます。そこで ボストンにおける人材教育、起業教育についての概要をまとめました。

雇用形態や勤務形態の多様化 、ライフスタイル等の変化、それに加え企業の寿命が短くなってきている中、才能やアイデアをもった人材は一つの企業や大企業にずっと雇用されるという機会は今後ますます減ってくるということは容易に想像できます。実際、innosightによるとスタンダードプアーズ500社の会社の平均寿命は1958年は61年であったのに、1980年には25年に、そして現在は18年までに短縮されています。

もし多くの人がたとえ企業体の中にいたとしても、何かのプロフェッショナルとして独立できるくらいの能力があれば、そういった人たちが協働し合い、必ずしも企業という形にこだわらずに活動や起業することもでき、組織に頼らなくても、またどこにいっても困らないのではないか、働き方の選択の自由を得ることができるのではないのかと思います。そこで今までのブログ記事をもとに、自立した、イノベーティブな人材を育てていくためにはどういう仕組みが考えられるのか、どういう教育の選択肢があるのかということをボストンの事例を中心に、多角的(公的機関、大学、企業、個人、及び欧州との比較)に考察していきます。

イノベーション、教育政策に関わっている人たちだけでなく、これから自分の子供たちが、国内外場所を問わず、一企業や何かに依存することなく自分の人生をコントロールできる人になってもらいたいと望む親御さん達の参考になればいいと思います。ライフスタイルを自分である程度決めることができるようになると、時間的にも精神的にも余裕ができ結果的には少子化問題にも対処できるのではないでしょうか。

*記事は基本的には4年間分のブログ記事からのまとめになります。詳しい事項に関してはブログのリンクを貼っておきますのでそちらを御参照ください。

ボストンから学ぶ、イノベーティブで自立した人材の育て方(2 なぜボストン?)

ボストンから学ぶ、イノベーティブで自立した人材の育て方(3 大学の役割 −その1−)

ボストンから学ぶ、イノベーティブで自立した人材の育て方(3 大学の役割 −その2−)

ボストンから学ぶ、イノベーティブで自立した人材の育て方(3 大学の役割 −その3−)

ボストンから学ぶ、イノベーティブで自立した人材の育て方(4 公共機関ができること)

ボストンから学ぶ、イノベーティブで自立した人材の育て方(5  企業やNPOの取り組み)

ボストンから学ぶ、イノベーティブで自立した人材の育て方(6  日本でできること)

ボストンから学ぶ、イノベーティブで自立した人材の育て方(7 古くて新しい価値観)