現代社会を騒がせる様々な脅威について その2

今月始めに起こったブラジルの鉱山ダムの決壊事故で、有毒物質を含む水が、とうとう大西洋まで達したとのニュースがありました。事故そのものでなくなった方々もいますが大きな環境への影響はこれからどんどん広がるとみられています。この事故でメキシコ湾原油流出事故を思いだしましたが、人の記憶は薄れても、環境へのインパクトは時間がたつにつれて逆に大きくなりますし、その経済的影響もかなりなもの(実は正確には試算できるのかよくわかりませんが)になると考えられます。

そんな中、バーモント州(マサチューセッツ州の北側)にある去年運転を停止したバーモントヤンキー原発の廃炉に関する記事 が11月26日のボストングローブの一面にありました。
放射性廃棄物の処理、そしてその貯蔵を巡ってはこの広いアメリカでさえ、なかなか話がすすんでいません。全米では22の施設が核の廃棄物を貯蔵する場所を巡り、最終地がきまらず、とりあえず保管している状態になっているうえ、4年後までにはマサチューセッツ州にあるピルグリム原発も廃炉になることがきまっています。最終保管場所がきまらないと、廃炉にしてもその場所は結局他の用途には使えず、また安全を巡っての住民の不安も残ります。特にヤンキー原発は小学校のすぐそばにあり稼働していなくても、事故や不祥事が起こった場合の影響というのは近隣を含め、数百キロメートル単位で考えられるわけです。そしてお金をうまなくなった原発なのに、処理には莫大な費用がかかるということでそのセキュリティーを考えると、この43年たつ原子炉は全米の安全ではない原発ワースト3に入ってしまいました。2075年に完全廃炉を決めていますが、それまでに12億ドル以上の費用がかかるといわれる一方、原発会社のほうは6億ドルしか予算をとっていないということ。稼働していたのが43年、廃炉にするのに60年(しかも事故を事前におこしているわけでもないのに!)、しかももしこれで事故でも起こしたら、環境、人、経済的な影響を試算すればどう考えても割りに合わない気が。。。

現実的にはアメリカだけでも22、そしてこれから廃炉になる原発は更に増えると同時に核のゴミは減りません。アメリカはシェールガスの普及で天然ガスの値段がさがりガスを使った発電が電力価格を下げ、原発を廃炉に追い込んでいます。結局人は、安全上の理由では運営をやめられなくても、経済上の理由では運営を止められるんですね。まあ原発をやめたとしても残るゴミ問題をどう処理するのかは残りますが、廃炉にするのに数十年かかるのであれば、その間に新しいテクノロジーは進歩するでしょうし、リニュアルエネルギーの分野に関しても相当の進歩がみられるのではないでしょうか。どっちに進むとしても減らない核のゴミに関して、一つの解決策を示している会社”トランスアトミックパワー”の話は以下でどうぞ。

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核のゴミを減らす新しい方法

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現代社会を騒がせる様々な脅威について

ここのところ毎年サンクスギビングの週はニューヨークにいっていたのですが、今年はテロ予告があり、その予定を見直し、近所でのんびりすることにしました。
サンクスギビングの週は人の移動も多いですが、どちらかといえば家族で過ごす時なのでブラックフライデーの買い物くらいかな人が集まるの、なんて思っていたりしましたが、テロ騒ぎで、都会は町中警備もすごいのでもしかして、逆に観光客は守られている感は強いかもしれませんね。
やはり景気が悪くないということでしょうか、ブラックフライデーのショッピングモールの混みようもそれほどではない感じでした。
それにしても、ワシントンも、ブルッセルも、また飛行機や電車での移動といったことも考えると安全といえるところは減っているのでしょうかね。
危険地域に住んでいない一般市民にはテロなんて関係ない、ともいえなくなってきました。

この状況はしばらく収まりそうもないなあ、なんてことを漠然と考えていたらワシントンのセキュリティー専門のシンクタンクの方と話す機会がありました。(日本もその団体には随分お金を払っているようです。。。)独立系のシンクタンクの場合でも特定の企業や国から資金がでているわけで、その資金ので出処により、分析結果も影響をうけるということがいわれます。
シンクタンクは今ある脅威を掘り下げ分析しますが、なんだか話を聞いていると、根本的に問題を解決することは考えていないように思えます。彼らの分析によると戦争やテロだけでなくあらゆる種類の脅威(恐怖)が現代社会にはあります、食料問題や(十分な食が供給できない)、水の問題、人口問題(日本や韓国のように人口が減っている国と、増加の一途にある国)、公害、抗生物質が効かない抗生物質耐性菌、等々。テロは恐怖で人をコントロールする側面があると思いますが、恐怖を売り物にしている産業は、意外と広い分野にまたがっていそうですね。しかし、聞いていると本当に、現代社会の脅威って人が作る出すものが大半だという感じです。その場にいた人が ”人口が減れば多くの問題が解決する”、といっていましたがその発言に妙に納得してしまいました。

それにしても、ご飯をたべてから1時間もこれからの時代の脅威についての話をきいていたらなんだか気分が悪くなってしまいましたよ、本当に。

アクセラレータとインキュベーションの違い ーボストンの場合ー

インキュベーションとアクセラレータ、実際スタートアップがお世話になるであろう確率が高い2つの用語に関してそしてボストンの場合の特徴に関して考えてみたいと思います。

アクセラレーターは大抵90日から4ヶ月程度の間集中的に行われるプログラムを運用します。そして、大抵、シードマネーのようなものが提供され、それに引き換え、3〜8%程度の会社の株式を要求されます。アクセラレータープログラムは大きな資本を調達できるようにし、会社の規模と価値を大きくすることが目的とされます。そのためメンターによる指導、ネットワーキング、どうやって資金調達をしていくか、ということに関して様々なアプローチから学ぶ機会があります。テックスターズやYコンビネータなどが有名ですが、プログラムに参加できる確率は1%程度だといわれれています。

一方、ボストンにある一番有名なアクセラレーターはマスチャレンジになると思いますが、マスチャレンジは、非営利団体です。プログラムに参加してる企業との資本関係はありません。参加社は株式を譲渡する必要もなく、そのかわりといってはなんですが、シードマネーももらえません。しかし、4ヶ月後のファイナルコンペでは、総額2億円近くの賞金が20社近くに分配されることになります。今年プログラムに参加したのは128社そのうち賞金をもらったのは16社,
ということは賞金がもらえる確率12.5%ですね。しかしプログラムに入れる確率が8−10%。結局、賞金をもらうまでの確率はテックスターズ等とあまりかわらないかもしれませんが、プログラムに入るだけでは、基本的にコストがかからない(アプリケーション費用とか宿泊費や食費はかかりますが。。。)ですし、その上ネットワーキングが広がることで、人材獲得や販売チャンネル、資金調達に関するノウハウ等を一気に学べます。場合によっては参加している他社と合併するかもしれません。ベンチャーキャピタルが運営するような少数先鋭のプログラムと違い、成功者をたくさん作り、社会還元を重視したプログラムといえると思います。

インキュベーション施設というと色々なパターンがあるのですが、一般的にはスペースを借りる際に安くスペースを借りることができるかわりに、持ち株の数パーセントを譲渡する、といったことが行われる事が多いようです。(株式譲渡をうけないところもあります)
インキュベータはメンターによって指導される期間が1年以上と長く(メンターがつかない場合もある)会社が成功するという以外に明確なゴールは得にない場合が多いようです。場合によってはアクセラレータプログラムに合格することが目的になっていることもあるそう。資金が大学の補助金であったり、公共(国や地方団体)の資金が補助に出ている場合、家賃が安くなっています。

このブログでもしばしば取り上げるCICですが、世界で一番スタートアップが集積していると言われているCICでは入居社へのメンター制度はなく資本関係もないことから、CICは自社をインキュベータとはみなしていません。しかし、スターアップが集まるコミュニティーを作ることで、そこにベンチャーキャピタルが集まり、大企業が集まり、メンターその他、スタートアップを支援するような人、企業が集まりコミュニティー全体がインキュベータの役割をしています。

さて、マスチャレンジとCICの2つの施設に共通していることは、1日中(もしくは数日にわたる)学校のような受動的なプログラムがあって決まった教育をされていたり、メンターがついて誰かがノウハウをきちっと教えてくれるものではないということです。どちらの施設も、場の提供及び、ネットワーキング、ピッチイベントのような目的をもったイベントを行いますが、何が自分達の問題点で何が自分達に必要もしくは、不必要かということは自身で探っていかなくてはなりません。そしてそれを、閉鎖的な環境ではなく、オープンにそして互いに助け合いながらすることで、エコシステムという大きな相乗効果を出そうとしています。

アメリカンドリームも、エコシステムとして上手く機能すると、格差社会が解消できるような気がします。

金融業界にも広がるAI(人工知能)について

フューチャーオブザマネーイベント第3弾は金融におけるAIについてでした。
ボストンに先立ちこのイベントは先日すでにニューヨークのウォールストリートで行れましたが、もちろん、金融街の人たちもAIには興味深々。なんといっても将来の自分達の仕事がどうなるか、ということを心配しなくてはならないですからね。
金融の街もたくさんのプログラマーを必要としていますが、実際腕のいいプログラマーはフェイスブックやグーグルにいってしまい、人手不足とのこと。

ファイナンスの世界では自動売買にアルゴリズムが使われ、金融テクノロジーの世界は、どんどん進歩していますよね。去年のフューチャーオブザマネーのイベントの時に、スポンサーをしていたクレディスイスは、自分の仕事がなくなる心配をしていましたが、どうやら冗談ではなくなってきているようです。先日も、あるプライベートバンカーが自分の部署が閉じることになったといって、新しい職探しをしていました。
ちなみに今回のスポンサーはチューリッヒ保険。

パネリストにはIBMのWatson リサーチセンターからエンジニア、フィンテックの会社2社、AIの専門家でした。
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AIの専門家にいわせれば、イメージ解析というのはもうコンピュータのほうが優れているし、コンピュータが理解できる言語認識力というのも、どんどん向上しているので通訳や翻訳家が必要なくなるというのは(近い?)将来十分ありえる世界だといいます。現状すでに英語と他のヨーロッパの言語の場合、グーグル翻訳でもまあそんなにひどくないですが、日本語ー英語の機械翻訳というのはもう少し時間がかかりそうですね。
IBMはこれからはますます、機械と人がどのように協働していくのかがテーマになるということ、をいっていましtが、これは先日のTEDx でも話にありました。問題解決をコンピューターと人間が協働して行っていく時代にこれからなっていくようです。

莫大な情報を集めても大事な情報は5%であり残りの95%はノイズといわれますが、実施シンガポールの銀行ではこの95%の情報を精査して、そこから何に投資するかというのを調べ上げるようなプログラムをIBMが作っているといいます。この先、この95%をどうやって意味のあるデータとして使えるかというのがこの10年くらいの間に進歩しそうです。
また、金融だけではなく、もっと身近な例では、がん検診で集めたデータを医者が見る場合、診断の30%は誤診であるという現実があり、この精度というのはAIの技術が進歩すればあがるといいます。

結局、膨大な情報から一定の法則や傾向を分析するというのはコンピュータのほうが人よりも圧倒的に早いしうまくできるということで、人の可能性というのは実は直感であったり、規則性のない部分(カオス?)から生まれるのかなという感じがしましたね。そして例えば、見つけた法則どうしを組み合わせ更に新しいものをうみだすとかいったことがこれから人が活躍できる分野なのでしょうか。

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パスポートとアイデンティティーは必ずしも一致しないという現実

教育機関が多いボストンでは、教育プログラムは若者から40〜50代のエクゼクティブ向けのものまで充実しています。そして比較的、年齢層が高いプログラムに関しては、本人だけでなく、その家族やパートナーも参加できるようなソーシャルな会があるのが面白い点です。

そんな会でこんな人に会いました。
夫婦でスペイン語で会話しているのが聞こえ、南米の顔つきをしている人なのですが どこの国の出身かきくと、チリだといいます。

1970年代のチリの軍事独裁体制時代に、親がスウェーデンに亡命し、当時生まれて2ヶ月だった彼は、26歳になるまでスウェーデンで過ごしました。私も知らなかったのですが、この頃のチリは国民の1/10に当たる100万人が国外亡命し、国民の1/4のGNPが「全く」なくなるという異常事態にあったそうです。
なんとなく、シリアを連想させます。。。

さて、私が最初に彼にどこの出身か(何人か)を聞いた時は彼はチリ、答えました、でも26年もスウェーデンに住んでいれば故郷はもうスウェーデンじゃないのかな?と思い、
”上手く、スウェーデンの生活にはとけこめた?あなたはもうスウェーデン人でしょう?”ときくと、

彼 ”母親は全くとけこめずに苦労していたよ。スウェーデンっていうのは、人種差別的な国なんだ。全て父親のせいだといつも嘆いていたよ、政治亡命だったから”

私 ”別にスウェーデンが特別というわけではなくヨーロッパ全体的にそうなんだと思うけど。。”

彼 ”そうだね。僕はスウェーデンの学校に通い、言葉もネイティブだ。電話で誰かと話したら誰もが僕をスウェーデン人だと思うよ。軍隊にもいったし、スウェーデンがどこかと戦争になれば軍にも参加するよ。でも、それは何かあった時、僕が法的に戻れる場所を確保するためなんだ。僕はスウェーデンのパスポートをもっているけど、スウェーデン人かって聞かれれば、そう聞かれるたびに、自分はスウェーデン人ではないと思いださせられることになる。”

北欧は白人、金髪の人が多いですよね、そこで南米系の浅黒い肌の人をみて、地元の人は彼をスウェーデン人とは認めないといいます。電話では何も問題なく受け入れられるのに、顔を合わせた途端に、差別にあう。。。

彼 ”仕事の仕方が気に入らないとか、マネージメントが下手だとか言われて差別されるのなら受け入れるよ。でも僕の顔、肌の色がだめだといって、受け入れられないのは僕には耐えられないことなんだ。26歳から6年ほどチリに住んだんだけど、やはり自分はチリ人なんだと確信したよ。だから僕がスウェーデン人かって聞かれれば、いや僕はチリ人だと答えるのさ、たとえチリのパスポートをもっていなくてもね。”

人は思った以上にビジュアルに左右させられます。しかし、実際、ヨーロッパにはそれでも、アジア系やアフリカ系、南米系といった典型的な白人のイメージから外れたヨーロッパ人も多く住んでいます。

欧州での難民の増加に伴い、これから10年、20年後には彼のような人達が続出するのでしょうか。
そしてその時、シリアはどんな国になっているのか。。。
パスポートというものと自分のアイデンティティーを切り離して考える、そこに固執しなければ、人は自由になれるのかもしれません。

そんな彼にじゃあ、アメリカは居心地がいいでしょう、ときくと、
”僕の住んでるアリゾナ州は人種差別がこれまたひどいところなんだ”
やれやれ。。。