高校でコンピューターサイエンスの授業を増やす動き

テック、バイオ、製薬関連産業や各種スタートアップが集中するボストン界隈ではプログラマー不足は深刻です。コンピューターサイエンスを若いうちから知ってもらう為に高校からコンピューターサイエンスの基礎授業を増やす取り組みをしている話がありました。(ボストングローブ4月24日)

例えば、HubSpot という会社では、ソフトウエアのエンジニアを紹介し、紹介された人が雇用に至った場合には1万ドルほどのボーナスを支給するほどです。企業によっては大学を卒業したプログラマーの給料は年収1000万円ほどに迫る勢いでもあります。一方、プログラミングのコースを提供している学校は十分にあるわけではありません。又、ただコンピューターサイエンスを教えればいいということでもなく、楽しんで学んでもらう事も重要です。

ところがその分野に興味をもってもらうために若い時から子供達に教育の機会を与えたくても、教える先生も足りないというのが現在の状況です。
そこで昨夏マイクロソフトとグーグルは営利、非営利も含めマサチューセッツでのコンピュータサイエンスの教育を広げる為に、 MassCanと呼ばれる団体を作り公立学校でのコンピューターサイエンスの必修化を促進させようとしていました。が、コスト面で上手くいかず、ナショナルサイエンスセンターと Code.orgから150万ドルのファンドを集め現在、MassCanとそのパートナーたちはマサチューセッツの公立高校でコンピュータサイエンスの基礎講座を教える先生を教育しています。9月までに新学期から、800から1200人の生徒に教えることになる60人の教師を教育する予定です。

もしMassCanが州や財団、個人からもっとファンドを集められれば、十分な数の教師を教育でき5年以内にほとんどの公立高校でコンピューターサイエンスの授業がうけられるようになる予定ですが、どの程度の人材を育成する必要があるかということを考えると、企業側のイニシアティブがより必要になってきます。
例えばマイクロソフトはTEALS (学校におけるテクノロジー教育とリテラシー)というプログラムを運営して15年ほど前から地元の高校にボランティア教師を派遣しており、教える内容は、大学の教養課程で習う程度のコンピューターサイエンスの基礎講座ということです。

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テック関連の分野に関しては、産業が必要な人材を育てる為に、営利、非営利を含め様々な努力しているのが、見えるのですが、人材不足といっている他の分野はどうなのでしょうね。実際の企業の人がきて、自分のやっている勉強が将来どういうふうに職業に展開しうるのか、ということがわかると、いろんな意味で勉強のモチベーションがあがりそうです。
コンピュータに関わる知識や技術がある、ということと人に(得に子供に)物事を上手く教えるということは必ずしも一致しないことから、教育現場の混乱は察しできるような気がします。。。

中高生に対して行う、起業家精神を養う為の教育

アメリカ人は何もないところから何かを作り出して、お金の流れを作るのが得意だと思うのですが、それはビジネススクールにいかなければ習えない、ということではなく、自分のアイデアがどういうふうにお金になるのか、ということを若いうちから色んな形で学ぶ機会が多いからなのではないかと思います。
若者が学校で学ぶ勉強をもっと産業やコミュニティーとつなげる為に、得に中高生に起業家精神を教える  ユースシティーズYouth CITIESというNPOがあります。起業家精神とは、起業して会社の社長になる為に必要ということだけでなく、慈善団体にいようが、ベンチャーにいようが、大企業にいようが自分が関わっている社会において大きなインパクトのあることをする為には必要なマインドセットになると考えられています。

この団体が行うフラッグシッププログラムは10週間のコースで毎週土曜にどうやってスタートアップを始めるか、地域のリーダーや起業家が個人の経験をシェアして子供たちにどうやってビジネスの機会を認識し、創造していくのかを教えます。学生にとって重要なスキルの一つはどうやってネットワーキングの場所で自分のストーリーを語るかです。
そのユースシティーズがベンチャーカフェ で先日イベントを行いました。

実際のアントレプレナーや大人たちに、自分のビジネスのアイデア、もしくはすでにたちあがっているビジネスの説明をしてまわる機会を子供達に与えました。通常のピッチのように多数の人の前で一方的に話すのではなく、一対一や、数人の大人の前で一通り自分のビジネスの話をしてから、きいている側がどんどん質問をしたり、問題点を指摘もできるので、彼らにも新しいインプットがあり、面白いアイデアかどうかを判断してもらえ、そこでビジネスモデルを改良したり、話をきいてこれは面白いと思った人はボックスの中にいいと思った会社の名刺をいれて、最終的に一番沢山名刺を集めた学生に賞を与えます。

私が話した17歳の男子学生は、アスリートの為の練習パートナーを見つけるサイトを作っています。 Practice gigs
自分がテニスの練習をするのに練習パートナーを見付けるのに苦労していて、その問題を解消するために作ったそうです。
17才で初対面の100人近い人達に自分からアプローチし、話しかけ、自分のビジネスの話をするという機会は普通はまずないでしょうし、又、そういう状況におかれても、積極的に対話ができるようになる為には、訓練も必要です。しかし、それをサポートする大人達がいることは、次世代の起業家をそして、イノベーションをおこす人達を教育するという意味でも大事なことであるという気がしました。

edXに参加する大学以外の非営利団体

edXが当初予想していたようなスピードで、成長していないことを考慮して、現在ある32大学に加え、新しく12の機関が参加することになりました。(The chronicle of higher education 3月6日)

その中にはIMF(国際通貨基金)や米州開発銀行、Leaning by giving という慈善団体、リナックスファンデーション、日本からは大阪大学が、参加することになっていますが、これらの機関は、参加することで得られる利益は共有しても、戦略上は創立時から参加している機関とは違う立ち位置になりそうです。

edxがcourseraのように拡大していかないのは、非営利団体であり、参加する大学の方の負担もあるということが一つの要因かもしれません。慈善団体が提供する社会貢献を学ぶ コースや、IMFによるファイナンシャルプログラミングや政策、持続可能である負債の分析といった講座は大学が提供するものより、より実践的である可能性が高く、大人の勉強にはあっている講座のような気がしますが。

第2弾として参加する12機関
Colgate University
Hamilton College
Inter-American Development Bank
International Monetary Fund
Learning by Giving Foundation
Linux Foundation
OpenCourseWare Consortium
Osaka University (Japan)
Smithsonian Institution
Televisión Educativa, Secretaría de Educación Pública (Mexico)
Universidad Autónoma de Madrid (Spain)

大学(学士)を3年で終わらせることで経済的な負担を減らす取り組み

アメリカの大学の学費の高さは親にとっても学生にとっても頭の痛い問題ですが、その負担を少しでも軽減させるためにとりくんでいる大学の話がありました。(ボストングローブ4月22日)

マサチューセッツ州の南にあるコネチカット州にある、規模は小さいながらもレベルの高い名門のリベラルアーツ大学であるウェズリアン大学では、年々高騰する学費の経済的負担が減るように3年で学士がとれるコースを提供しています。そもそもウェズリアン大学は学生に3年間で学士をとることを以前から認めていたのですが、ここ2年ほど前から3年のプログラムを積極的に推奨し始めました。
4年間で休みの間にインターンシップをしたりしながら、卒業していくこともできますが、海外での勉強や、夏のコース、追加のプログラム等をこなし、3年で卒業できるのであれば、経済的負担もへるので、このようなプログラムを他の大学でも現実的なオプションとして、もっと推奨すべきである、ということが記事の内容でした。

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実際、大学1年目でとるような一般教養的な科目は高校レベルで勉強できる内容も多く、高校のうちにAPコース(アドバンスト・プレースメントコース)をとれば、大学の単位もいくつかはとれてしまうことから、現実的には少し頑張れば、3年で卒業というのも可能ではあると思いますね。得にこのウェズリアン大学は学生数もそれほど多くない割には教授の数も多く、卒業生からの寄付金も他のリベラルアーツ大学に比べて特段多いというわけでもないので、学費自体が高い、ということが背景にあるようです。

大学(院)で勉強した外国人を労働市場に取り込みイノベーションを進めるマサチューセッツ州の取り組み

優秀な外国人(学生)を国内市場に取り込んで、イノベーションを促進させるために州が動きだしました。(bostinnoの4月10日)

マサチューセッツ州では外国人の学生が大学を卒業した後に、ビザの理由で国内での就職をあきらめざる終えないケースが多く学生と企業双方にとってマイナスになっているという事実を重くみて、パトリック州知事はスタートアップで働く外国人学生に特別のレジデントプログラムを提供しようとしています。
新しいビザにより、外国人の学生が自分のビジネスを始めたり、事業を大きくしていくことができるようにする、これは実際、マスチャレンジ等で賞金を得ても、ビザの問題で滞在期間や行動が制限されてきた人達にとって朗報であり、益々、外国から起業を目指す人がきやすい環境をつくることになります。

また、マサチューセッツ州では競合禁止条項(競合会社にすぐに転職することを禁止できる)が認められていることで、企業間の人の行き来がスムーズにいかないということが指摘されています。カリフォルニア州では競合禁止条項に法的効力はなくマサチューセッツとしてはこのルールを撤廃することで、人的な動きを活発化させ競争力をあげようという、動きがでてきました。
得に若い企業はこの条項に反対であり、州としてもこれを廃止することで会社はよりよいカルチャーを作る必要がでてきて、いい従業員を会社にとどめる為に報酬を用意することになりポジティブで持続可能なモデルができると考えています。が、昔からある企業ではこの方向に反対しています。

その他、パトリック州知事のすすめる経済発展のための計画には、以下のような点も含まれます。
投資額のサイズに関わらず、新しい雇用を作り出すイノベイティブな会社へのインセンティブを広げる
インターンシップ、メンタープログラムを拡張して、学生に経験とネットワーキングの機会を提供
学生のSTEM分野(サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング)への興味をふやすために官民共同の取り組みを体系化する
観光産業関連の税収入を増やすように 国際マーケティングの強化
州のベンチャーキャピタル投資の資本構成を変える、
等々の政策を押し進め、イノベーションエコノミーを活性化する動きが加速するような環境作りを進めています。

参考記事:
ボストンで学ぶ外国人学生の増加と問題点