ボストンから学ぶ、イノベーティブで自立した人材の育て方(3 大学の役割 −その3−)

同窓会の役割

また大きな役割を果たしているのが同窓会です。ここの大学をでればなんとかなるというのは、直接仕事がもらえるからということよりも、その卒業生のネットワークに入ることで、通常コンタクトしにくかったルートを使って人材紹介を受けたり 役にたつ情報をもらえたりといったことができるからです。大学側にとってみれば、卒業生とのリンクが就職率を上げることになったり、寄付金を募るという資金調達の面からも 同窓会の存在を重要な位置付けとみており、卒業生とのコミュニケーションを大切にしています。この部分を強くすることは大学のブランディングを強化することにも通じます。

イノベーティブ人材を教育する素地

アメリカの大学はダイバーシティーを重要視して、学士レベルに入学する時も人種や性別のバランスだけでなく、学生個人の色々な面を総合的に見て勉強だけでなく、部活や学内での活動、学校外での活動、エッセーでは物の見方や考え方を考慮します。大学に入る前の18年間、例え同じ学校に通っていたとしても、人によってはやっていることは随分変わってきます。個人レベルでも相当違うのに学部単位になれば相当なバリエーションができます。さらに大学院、例えば、MBAに入ってくる学生は様ざまでビジネスを専攻していた人もいれば、エンジニア、医者、歴史を勉強してきた人、軍隊の人、公務員、大学に行かないで高校卒業後に仕事をしてきた人等あらゆる人が世界中から集まります。そういう掛け合わせが新しい発想を生んできます。

アメリカの大学の問題点

近年は特にアメリカの学費が高騰しており、外国人としてアメリカの大学で学ぶ費用を考えると敷居が高くなってきました。高ランキングの大学も低ランキングの大学もどっちにしても同じくらいの学費をだすなら、よりレベルの高い学校にいきたい(いってもらいたい)ということで、高校レベルからボーディングスクールに行かせる、もしくは母子家庭のように子供と母親がアメリカにいるというパターンも増えています。一部私立の高校は外国人を受け入れることで高額な学費を得て小規模な運営をすることから外国人が増え、語学学校化しているともいえます。大きな問題は高額な学費を払って卒業したとしても、就職が保証されているわけではなく、労働市場で必要とされている人材と、教育機関が教育する人とのとの間にギャップがあることです。そして1980年代から1990年代に生まれたミレ二アル世代はその前の世代に比べずっと多くの起業教育をうけてると言われているものの、実際起業している人たちは減っているといいます。それはこの世代はそれ以前の世代よりも学生ローンを抱えており、起業するどころではないという現実があるからのようです。

欧と米の対比 参考3

ヨーロッパの大学(ドイツ語圏)vs アメリカの大学

*ここでいうヨーロッパの大学は主にはドイツ、スイス、オーストリアというドイツ語圏の大学を指します。

アメリカの大学は学生の勉強面だけでなく、就職やインターンシップ、場合によっては起業といった将来的にしたいことに対してまでも支援をします。学生側も高い学費を払ったことで学生ローンを返したりしなければならないので必死です。アメリカの大学の形は非営利団体ですが、費用は賄わないといけないので運営の考え方は普通のビジネスと変わらず、一般のサービスプロバイダーに近いです。

一方、ヨーロッパの大学はほとんど授業料がかからなく、(もしくは非常に安い)公共性が高く 、勉強したい人がいくところ、すなわち自分で考え、動く、という前提があります。ブログでも何度も指摘している通り、高校卒業資格のレベルが違うので、ヨーロッパの学士は3年で終了(いわゆる、教養課程の部分は高校までに終了してしまいます。)、アメリカや日本の学士は4年で終了するプログラムが通常組まれています。

ヨーロッパの学校の仕組みは、学士レベルでも大学では専門性がはっきりしてます。一方、アメリカだと 専攻しても途中で変えることや、はじめは何を専攻するつもりか明確でなくても後から変えるということが可能です。それから新入社員に 会社が手厚い研修をしてくれるわけではないので(一部の企業、もしくはケースを除いては)ヨーロッパの大学も、やはりインターンの経験等がないとその後に仕事を見つけるのは難しくなってきます。しかし、大抵が個人的にインターン先を探すことになりそのプロセスも自立して行うことが期待されます。

 一方、ドイツ語圏の場合大学を出なくても専門職として自立、起業する道は職業訓練制度にあります。職業訓練制度が充実していることから、高校まで普通にでて専門学校にいったり、中学を卒業してからそのまま職業訓練学校にいく人もまだ多くいます。職業訓練の利点は、学校にいきながら、実務を実際の職場で同時に学ぶ点で、受け入れ先がなければつきたい職業だとしても働く場がありません。15歳で自分がこの先3年間お世話になるであろう職場に場合によっては数十通のレターをかき、社会に出て行くことを通じて責任感が生まれてきます。企業側もそうやって、必要な人材を育てていく役割を担うことで、労働市場における需給バランスが保たれます。そして最短で18歳には1人前になり、場合によっては3年後には独立することもできるようになりますがそれでもまた他の職業や勉強をしたければそれからでも遅くはありません。そうやっていくつかの職業や学歴を重ねていくことであらたなキャリアパスができてきます。

 −考え方の比較−

どちらがいいというより、何を目指しているかでもかわってくるとはいえます。国家資格(職業によっては国だけでなく州単位でも資格が違うものあり)が必要なようなものに関してはどの国のどの言語で学ぶかということは大きな問題点になってきます。

ただ職種によっては国際的にも組み合わせることも可能です。職業訓練の道をいったからといって、大学院やMBAにいけないか、というとそうではないです。実際、大企業の重役には大学を出ていない人もまだまだ多くいますし、中小企業を運営している人は特にそうです。職業訓練の後からその道の専門家として、仕事に従事し、アイビーリーグのビジネススクールに入った人を私自身何人も見ていますし少なくともビジネスの分野では経験が勉強以上に役に立つと、いえそうです。一方、大学(院やビジネススクールにいったからといって、必ずしもすぐ仕事がみつかる、もしくは給与があがるという保証もありません。それどころか、中小企業を立ち上げて院卒の人より、ずっと給与的には稼いでいる人たちも多くいます。

これはあくまでも個人的な見解ですが、ドイツ語圏の職業訓練学校からアメリカの大学院、特にビジネススクールに入ってくる人たちはもともと持っている専門性がとても高く、実務能力が高い人が多いので 専門の深さに外国に出ることで得られる視野の広さが重なり合って、その後の伸びもかなり大きいと見受けられます。やはり重要なのはしっかりした土台を持っていることのように思います。専門能力がしっかりしていると、たとえ英語に多少難があったとしてもエンジニアでも芸術でも専門職にはその世界での言葉があるので言語の壁を超えやすいです。

 参考記事:

アメリカ大学入試のこつ、願書を出す前に確認したいこと

起業を教えるネットワーク

1年で終わる職業訓練プログラム-year up-

英語圏でない国で英語で大学を卒業する方法

教育費の高騰で学費のかからないところにいくアメリカ人も増加中

中国の景気減速がボストンの大学に与える影響

留学生動向からわかる、インドと中国の経済状況

ダイバーシティーを重視するために様々な取り組みをするボストンの大学

高額をだして大学に行く価値はあるのか?

アメリカの大学の高い学費はどこに消えるのか?

ボストンで学ぶ外国人学生の増加と問題点

増加するアメリカの大学中退者

大学による、生き残りをかけた起業教育

文系大学での勉強って役に立たない?

大学(学士)を3年で終わらせることで経済的な負担を減らす取り組み

ボストンから学ぶ、イノベーティブで自立した人材の育て方(3 大学の役割 −その2−)

インターンの若年化と海外経験

近年アメリカの大学が重要視していることは、インターンシップの機会及び 海外の大学で学ぶ機会を学生に提供するということです。就職を考えた時、アメリカの求人では経験者求む、ということがよく条件に上がりますが卒業したばかりの学生は通常アルバイト以外で職業経験がないことが多く、一方就職率をあげることが大学にとって学生を獲得するために重要な要素になっているからです。例えば ノースイースタン大学は大学期間中に半年〜のインターンをする機会を提供する(Co-opプログラム)ことで、卒業後にすぐに就職先がみつかりやすいということから人気になり、この10年ほどでランキングを随分あげてきました。(US newsによると2000年には全米98位だったこの2017年には39位)

ノースイースタン

ノースイースタン大学の学長Aoun氏は大学のランキングを上げることに大きく貢献

ヨーロッパの場合も言えますが、昔は学士レベルを卒業してからインターンをするのが一般的だったものが、学士の間に一度、修士の間もしくは卒業してからもう一度、それから本格的に就職活動をするということで、インターンをする機会が早くなり、その回数やその期間も伸びてきているようです。日本のように就職活動が一斉で企業側が新入社員の研修をきっちりするわけではないので何の経験もないことは就職活動のスタートラインに立つことさえも難しいという傾向にあります。インターンシップの内容も、期間もみんなが一緒の時期にまとめて同じような研修を受けるというわけでもないのでまさに仕事をしながら色々覚えて行くというある意味企業側にも負担になり得るものになり、インターンシップをするように学生に勧めている学校ほど、その下準備にも力を入れて、企業側の負担を軽くする努力をしてます。専門性によっては事前に学校で業界特有のソフトウエアを使ったり、プログラミングを習うことが直接インターンシップ先で役に立つからです。学生側にしてみればトラブルのある現場や、忙しい現場ほど学ぶ機会も多く、失敗から学ぶということが若いうちはそれほど問題なくできるのでインターンシップの機会が大学の中で組み込まれれていることは とてもありがたいことです。 学校側の準備で学生も何らかの知識を事前に得ていれば全てを教えてもらおうという受け身の体制ではなくなり自分が何かを提供できる、という気持ちの余裕も生まれます 。

また高校を卒業してから、ギャップイヤーをとる学生も増えてきましたが、従来からある海外ボランティアのようなギャプイヤー活動の他にも半年から1年近くスタートアッピでインターンをする学生もいます。ボストンの場合は特にスタートアップが多く、若者がボランティアで働ける機会も多くあるということがいえます。スタートアップのような高エネルギーなところで働くという経験を 若いうちに得られるということはそれだけでも、価値があります。

それから海外の大学で学ぶ短期留学制度を提供しているところも増えています。当然英語は世界でもビジネスの主要言語であり、重要な言語ですが、だからといってはなんですが、アメリカでその他の言語を学ぶのはそれほど簡単なことではありません。アメリカのことを世界の人は知っていてもアメリカ人は海外をあまり知りません。近年の社会情勢をみても若いうちにいろんな経験をする機会を持ってもらい世界を知ってもらうというのは大事だと大学側が思っている証拠だと思われます。一方、せっかく海外にでてもアメリカ人だとわかると、英語の練習相手にさせられてしまうというのも彼らの悩みではあるようですが。。。

欧と米の対比 インターンシップ例 参考2

あるヨーロッパ企業のインターシップの場合、プログラムが初めから組んであるわけではなく、半年間のインターンシップの期間にいくつかのプロジェクトをやってもらいます。滞在期日と目標が決まったら目的のプロジェクトをどうやったら成し遂げられるかを考えさせ、そのやり方を途中経過を確認しながらも基本的には本人にやらせる、という形にしています。長期間のインターンになるほどそれは 実際の仕事とほとんど変わりはなく、だから卒業した後にすぐに即戦力になるのです。

 参考記事:
就職に強い影響を及ぼすインターンシップ経験

若年化するインターンシップ −海外でどうやってインターン先をみつけるか−

ボストンから学ぶ、イノベーティブで自立した人材の育て方(3 大学の役割 −その1−)

大学は学びの場であると同時に研究機関であり、人材育成をする場です。

日本のように、一般的に学士のレベルでは専門性が高くありません。よって、一度入学しても、途中で専攻をかえたり、そもそも、はじめから専攻を決めないで入学するということも可能でリベラルアーツ大学のように幅広く色々勉強してみて、最終的に専門的なことを学ぶ為に大学院に行くという考え方もあります。

研究機関としてはボストン周辺にはハーバードやMITを始め世界のトップレベルの研究機関が集まり、その研究は実用化され、ビジネスに結びつけることができるような仕組みが出来ています。

大学の起業支援

各大学にはそれぞれの大学発のスタートアップを支援する仕組み(例えばMITの場合、アントレプレナーシップセンターやDeshpande センター)があります。特にDeshpandeセンターはイノベーションテクノロジーの分野で豊富なメンター勢をプールしており大学での研究に対して金銭的に投資するだけではなく、 その研究をどのように製品化(サービス化)してどのように市場に出していくのかというところまでサポートします。最先端の技術を使って起業する場合、一分野の専門家だけでなく、複数の分野の専門家がサポートする必要がでてくることも多く、どの分野にどういった人材が必要か、又、どの分野とどの分野を掛け合わせたらいいかなど、幅広い分野にまたがりコーディネートもしてくれます。(ちなみにDeshpande Centerでは、そのしくみを海外の大学にも公開しています。)

MITではMBAプログラムを提供するスローンスクールや、賞金100K(10万ドル)をかけた起業コンペがありますが最近はそれだけでなく、MITは周辺エコシステム全体を盛り上げるための仕組み、Engineというアクセラレータプログラムを始め、MITからのスタートアップだけでなく、周辺エコシステムを強化するプログラムを始めました。通常大学が運営するプログラムは少なくとも参加チームの一人は大学の学生である必要があったり、学校によってはかなり閉鎖的なプログラムも多いのですが、Engine はボストンのエコシステム全体を底上げするようなプログラムであるのが特徴です。一方、ハーバード大学はハーバードの学生のためのアントレセンターであるHarvard i-labや ここ最近ではライフサイエンススタートアップのためのインキュベーションを新しく立ち上げました。しかし、あくまでもハーバードのコミュニティーのためということで、両校のスタンスの違いが明確に出ています。2017年夏には稼働予定でMIT内外より既に150億ドル以上の資金を集めています。ボストンエリアで特徴的なのはMITや、ハーバード、ボストン大学といった通常の大学のみならず、バークリー音楽大学のような専門性の高い大学でもビジネスと結びつけるようなプログラムを提供することで学生が専門性とビジネスを結びつけられるような 機会を提供していることです。

欧と米の対比 参考1

ちなみにEntrepreneurship and Innovation at MITのリポートによると、アメリカで新しく設立されたビジネスの約50%が5年以上存続し、10年続くところは35%だと言いますが、MITの卒業生が起こした会社の80%は5年以上存続し10年存続するのは70%になると言います。

一方、世界ランキングではアメリカ以外の工科大学ではトップに立つ、スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH)からのスピンオフの業績とスイス経済に与える影響を分析したリポートがあります。ETHの学生(もしくは卒業生)が立ち上げた会社は立ち上げ5年後の生存率が92%でこの生存率はスイスで誕生したほかのスタートアップより40%も高い数字になるといいます。(これは1973年以来ETHからスピンオフした企業、315社を追って調査したもの)これは絶対数がすでに少ないということもあるとは思いますが もちろん数字上の裏付けはないものの、スイス人も日本人に似て慎重であり、リスクテーキングをしない、失敗が許されにくい社会であるということがあるのではないかとの分析があります。マイナス部分を逆手にとって起業のハードルが高いことがかえって起業の成功率をあげているのかもしれません。

参考記事:

バークリー音楽大学の起業教育

進む大学のイノベーション教育

大学での起業教育がトレンディー、ボストンカレッジも創設するアントレセンター

タフツ大学が取り組む起業教育

大学による、生き残りをかけた起業教育

 

 

 

ボストンから学ぶ、イノベーティブで自立した人材の育て方(2 なぜボストン?)

 

なぜボストン?

ボストンはマサチューセッツ州にあります。アメリカの中でみると大変小さいこの州。(アメリカの州の大きさランキングでみると、下から8番目)州の大きさは約27336 平方キロメートル、イメージ的には秋田県と岩手県を足したくらいの大きさになります。

この州には高等教育機関が約120ほどあり、(無認可を含めると300近くあるそう)そのうちボストン近郊には35ほどで、世界で一番、ノーベル賞受賞者が集中している場所です。日本から見ると、ボストンと一括りに見ますが、アメリカで一番古い大学であるハーバード大学(1636年設立)を始め、エンジニアの最高峰MIT(マサチューセッツ工科大学)はボストン市の隣にあるケンブリッジ市にあります。ボストン市と其の近郊にはタフツ大学、ボストン大学、ボストンカレッジ、アントレプレナーシップで有名なバブソンカレッジ、全米でも1、2位のリベラルアーツカレッジである、ウィリアムズカレッジやアムハーストカレッジ、優秀な女性政治家を輩出しているウェルズリーカレッジ...と世界に名だたる大学が多数あります。

そんなボストンには大学の研究と起業を結びつける仕組みが整っており、学生の起業を支援するプログラムが充実していることから大学発の研究からスピンオフしたスタートアップがたくさんあります。Kauffman Indexによると2016年にボストンエリアで活動しているスタートアップ数は 1869社にものぼります。そして、 移民の創設者の割合が30%、これは世界平均が19%だということと比べると非常に高い数字です。

又、ボストンは西海岸のシリコンバレーと並び、ハイテク関連の起業が多いことで知られていますがVCの投資額ではカリフォルニア州が一番多いものの、マサチューセッツ州では一人当たりが受け取るベンチャーキャピタルの金額が全米で一番多くライフサイエンスの分野では全米で1,2を争う病院機関もあり世界中の製薬会社も集中したハブにもなっています。R&D比率は実は国レベルよりも地域で見るとかなり、変わってくるのですが、マサチューセッツ州のGDPに対するR&D比率は 5.86%ちなみに日本は2016年度で3.58%)であり研究開発投資に力を入れていることがわかります。

このようにボストンには優秀な人材を引きつける環境があり、高度な技術や知識をもった人達が起業したり、イノベーションを起こすために、公共、民間問わず必要なサポートを提供するエコシステムがあります。

参考記事:

ボストンの大学が地域経済に与える影響についてのデータ

ボストンから学ぶ、イノベーティブで自立した人材の育て方(1 はじめに)

はじめに

ここ数年、ボストンのイノベーションエコノミーに関わりながらイノベーション、起業、教育に関するブログを書いてきたわけですが、そろそろ総括してみたいと思います。もともとこのブログはアメリカ人が得意なことを学ぼうというところから出発しました。私が思うアメリカ人が得意な事は何もないところから何かを生み出すこと。この間ファンドレージング、セールス、プロモーション、ネットワーキング、コミュニティー作り、ゼロから1を作るビジネス構築に関して、大学、企業、NPO、官公庁といった様々な層と関わりながら、そして子供の教育を通じて勉強したり、経験を重ねてきました。

イノベーションは新しいビジネスを作り雇用を生むので大切という考えが浸透したことにより、日本から各種団体とたくさんの方たちがボストンにみえて彼らと話しをする機会が多くありました。どの方達も、ボストンで成功しているエコシステムを学び、いかにそれを日本に導入できるのか、どうやって国際的に協働していけるのかに興味を持っておられます。実際は日本だけでなく、世界中の国から毎月のように多くの各種団体がイノベーションのエコシステムを学ぶためにボストンにやってきていますがそれぞれの国はその仕組みを直接とりいれるだけではなく、どうやったら今ある各国の仕組みと掛け合わせることができるのかということを考えています。イノベーションを起こす、ということを仕組みで考えると、企業レベルの問題だけでなく行政機関、大学を含めた教育の枠組み、そして個人のレベルでは何ができるのかということも考慮することが必要になってきます。そこで ボストンにおける人材教育、起業教育についての概要をまとめました。

雇用形態や勤務形態の多様化 、ライフスタイル等の変化、それに加え企業の寿命が短くなってきている中、才能やアイデアをもった人材は一つの企業や大企業にずっと雇用されるという機会は今後ますます減ってくるということは容易に想像できます。実際、innosightによるとスタンダードプアーズ500社の会社の平均寿命は1958年は61年であったのに、1980年には25年に、そして現在は18年までに短縮されています。

もし多くの人がたとえ企業体の中にいたとしても、何かのプロフェッショナルとして独立できるくらいの能力があれば、そういった人たちが協働し合い、必ずしも企業という形にこだわらずに活動や起業することもでき、組織に頼らなくても、またどこにいっても困らないのではないか、働き方の選択の自由を得ることができるのではないのかと思います。そこで今までのブログ記事をもとに、自立した、イノベーティブな人材を育てていくためにはどういう仕組みが考えられるのか、どういう教育の選択肢があるのかということをボストンの事例を中心に、多角的(公的機関、大学、企業、個人、及び欧州との比較)に考察していきます。

イノベーション、教育政策に関わっている人たちだけでなく、これから自分の子供たちが、国内外場所を問わず、一企業や何かに依存することなく自分の人生をコントロールできる人になってもらいたいと望む親御さん達の参考になればいいと思います。ライフスタイルを自分である程度決めることができるようになると、時間的にも精神的にも余裕ができ結果的には少子化問題にも対処できるのではないでしょうか。

*記事は基本的には4年間分のブログ記事からのまとめになります。詳しい事項に関してはブログのリンクを貼っておきますのでそちらを御参照ください。

ボストンから学ぶ、イノベーティブで自立した人材の育て方(2 なぜボストン?)

ボストンから学ぶ、イノベーティブで自立した人材の育て方(3 大学の役割 −その1−)

ボストンから学ぶ、イノベーティブで自立した人材の育て方(3 大学の役割 −その2−)

ボストンから学ぶ、イノベーティブで自立した人材の育て方(3 大学の役割 −その3−)

ボストンから学ぶ、イノベーティブで自立した人材の育て方(4 公共機関ができること)

ボストンから学ぶ、イノベーティブで自立した人材の育て方(5  企業やNPOの取り組み)

ボストンから学ぶ、イノベーティブで自立した人材の育て方(6  日本でできること)

ボストンから学ぶ、イノベーティブで自立した人材の育て方(7 古くて新しい価値観)