スタートアップが成功する一番大きな理由

年始にはTEDxをみていたのですが、その中に”スタートアップが成功する一番大きな理由”というものがありました。
過去20年間に100以上の会社を起業したというビル・グロス氏が、成功と失敗を繰り返す中でスタートアップが成功する要素を見つけ出します。
彼は当初、アイデア、チーム、ビジネスモデル、ファンディング、タイミングという要素が成功するためには大切だと思っていたのですが、多くの成功している会社、失敗した会社を調べたところ、実は一番大切なのは、タイミング、そしてチーム、アイデア、ビジネスモデル、ファンディングという順だということがわかりました。

この中で、ファンディングが最後ということはなんとなく、わかります。ビジネスモデルも、実はあとからついてくるというのもわかりますよね。ビジネスプラン通りに実際物事が運んだというスタートアップはかなり少ない(ほとんどない?)のではないでしょうか。走りながら修正というのが大半でしょう。人と、アイデアが大事というは最もです。しかし、一番大事なタイミング!これは時代の流れ、人との出会いであったりという実はなかなか自分でもコントロールすることができない部分だといえます。
そういう意味では、今だ、という瞬間がよめて決断力があり、運がいい人が成功する、といえそうです。

Bill Gross: The single biggest reason why startups succeed

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TEDx Cambridgeをオーケストラのように指揮するディレクターの話

年に2回のTEDxケンブリッジのイベントが先日行われました。今回もイノベーションラボがあり、前回に引き続き、数々のスタートアップがテーブルをだしていました。前回もいたアクアポニックスの会社、Grove(バージョンアップした商品を展示していました)や今回はあのpavlokもブースをだしていました。

今回のスピーカーはハーバードやMITのアカデミック色が強い方々でしたが、大学の授業のような話ではなく、自分の個人的な問題と仕事を結びつけるような話(例えば、ファイナンスエンジニアはガンを治すことができるのか?)や世の中が競争の世界から共存の世界へ移行している話、ロボットと人の共存、協働に関してでした。
TEDxケンブリッジは観客数1100人、という北米最大規模のTEDxイベントですが、今回は毎回リッチな話をしてくれるスピーカーを選んでくるこのTEDxケンブリッジのダイレクターであるDmitri Grunnさんを紹介します。

TEDX2015Fall

TEDX2015Fall

スピーカー選びは彼が独断と偏見(?)で行うそう。そして、話す内容も特にテーマをきめて話してもらうわけではないようです。
TEDxはノンプロフィットなので、イベント自体収益事業ではありません。ボランティアの人達やスポンサーのおかげで成り立っています。しかし完璧主義な彼は、収益事業ではないこのイベントを運営する為のチームを作るときは妥協はしません。

彼は子供の頃、中学までは普通の学校にはいかず、ホームスクール(家庭学習)で教育をうけたといいます。アメリカでは結構、ホームスクールで学ぶ子供達が多いですよね。地域によっては、あまりいい学校がない場合母親や友人、その分野の専門家を呼んだりして、英才教育をうけられる場合もあります。そんな彼は高校でイギリスの高校にいきましたが大学に行く際は進路について悩んだと言います。バイオケミストリー、建築、またピアニストとしても彼は才能がありました。が、STEM分野に興味があった彼は結局MITに進みます。その後会社を立ち上げ、売却そしてTEDxケンブリッジの運営を始めます。

TEDxケンブリッジがこれだけ人を呼べるのは、豊富なスピーカー層、そしてスポンサーのプールが近郊にあるというのは大きいと思います。教育機関が多いことからどうしても教授レベルの人たちが多いですが、何かを極めると、自然にそれを誰かに教える立場になるということもあるのでしょうか。

3年前に初めて行ったイベントには観客45人、それが今年のイベントは1100人収容できる場所に移動。この動員数は北米のTEDxイベントのなかで最大のものだそう。
それでも売り出したチケットは4日で完売。これ以上の観客を収容できるところはケンブリッジにはなく、来年のイベントはボストンにあるオペラハウスで開催されることが決まったそうです。オペラハウスでの規模のTEDxは世界で最大規模のものになるそうですがさてそこでのスピーカーとして彼は誰を選ぶのでしょうか??

ところで今回はディミトリさんの意思がはっきり感じられたことがありました。実は前回スピーチのあとで黒人の若い女性ミュージシャンが演奏したのですが、途中で人がどんどん抜けて、曲が終わるころには誰も席に座っていなかったということがありました。その後の立食のパーティーの時も一人でポツンと寂しそうに座っていた彼女。
その彼女の曲に席から最後まで離れることなく、静かにじっと耳を傾けていた彼の姿が未だに私の目にやきついています。
今回はリベンジ?自身が音楽家でもある、彼は彼女には才能がある、とみこんで彼女を連れてきたわけで、彼女もTEDxのある意味講演者の一人です。表現者として、自分のパフォーマンスを誰も聞いてくれないという環境ほど苦しいことはないと思います。その彼女に敬意を表して、今回も彼女をステージに呼びました、そして今回はしっかりと一人のパフォーマーとして、観客誰も立つことなく演奏できました。

Dmitriさんの本職はどうやらオーケストラの指揮者のようです。

http://www.tedxcambridge.com/portfolio-item/daniel-koh/
http://www.tedxcambridge.com/portfolio-item/julie-shah/
http://www.tedxcambridge.com/portfolio-item/adam-cohen/
http://www.tedxcambridge.com/portfolio-item/primavera-de-filippi/
http://www.tedxcambridge.com/portfolio-item/mina-cikara/
http://www.tedxcambridge.com/portfolio-item/andrew-lo/

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TEDxはオーガナイザーが誰かによってかなり、雰囲気が違ったものになると思うのですが、ケンブリッジのTEDxではトークショーが始まる2時間前から、イノベーションラボと題して、イノベーティブな企業がブースを出して商品、サービスの紹介や飲食等のサンプル品の展示、販売を行います。イノベーションラボではフォーチュン500の会社だけでなくスタートアップのサービスや商品も紹介します。

今回は、フィリップスやi robot のような企業からテスラや3Dプリンター系の旬の企業、そして、MITのエンジニア達がはじめたメンズのシャツや靴下等のウエアを販売する、Ministry of supplyもありました。
男性は、シーズンごとに流行を追うというより、気に入った製品を長く使いたい、デザイン以上に機能も重視する、という傾向にありますよね。このブランドは最新のNASA等のテクノロジーを使って、デザインはシンプルで、飽きがこないけど、アイロンが必要ないシャツや、臭わない(?)靴下など、シンプルベーシック機能性の高いコレクションを展開をしています。

また、タコの足からインスピレーションをえた、ロボットアームを開発した、 Soft Roboticsもありました。
このロボットアームはとても柔らかく、動きにも柔軟性があるので、従来つかむのが難しいとされた球体のものや、柔らかいものでも、しっかりとつかむことができます。

そして、サステナブルビジネスとでもいいましょうか、以前、ブログでも紹介した、サステナブルな生活習慣を推奨するwe spireや、家庭内で誰でも野菜が作れるアクアポニックスのシステムを販売する Groveまで、ボストン発の元気な企業がブースをだしました。食関連のサステナブルビジネスは、ここのところ大変認知度があがり、これからまだ伸びてくる分野なのかな、という気がします。去年、紹介したチューリッヒのアクアポニックスの会社も今年ボストンのベンチャー企業から支援を受けましたし、世界的にも、農業の新しい形が模索されている感じがします。

MITのエンジニアの学生(当時)が立ち上げたGroveはその動機として現在の農業のあり方、食のあり方に疑問を呈したところから始まります。何千キロもかかるところからくる大量の化学肥料や農薬をつかった野菜や、水の問題等に疑問をなげかけ、もっとそれぞれが個々の家庭で食べるものを作ることができれば、ずっとサステナブルで、健康的なものが食べられるのに、ということが背景にあったそう。
私も自宅の小さなスペースで、ハーブや野菜を育ててきましたが、都会ではなかなか、スペース的に大きく色々作るのは難しいです。家具のような感覚で、食べ物が育てられるスペースを確保するとインテリアの一部のようになって素敵かも。

Grove

Grove

というわけで、ロボットアームやi robotの掃除機から、サステナブルなアプリまでイノベーティブなものが分野を問わず出揃った楽しいブースでした。

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TEDx Palais des Nations-人の為に尽くす人達の話-

ジュネーブにあるパレ・デ・ナシオン(国連欧州本部や様々な国際機関が入っている)とボストンを含めた世界22都市を結ぶライブストリームのTEDxが行われました。パレ・デ・ナシオンには、国連難民高等弁務官事務所、国際労働機関、世界保健機構、赤十字国際委員会といった主に人権に関わる機関が多くはいっていますが、今回の背景にあるテーマはインパクト。人道的見地から人の為に働く、科学者、起業家、人権活動家達にフォーカスをあてました。
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そのうちの2人の話を紹介します。

国際障害同盟(IDA)の会長であり、世界盲人連合(WBU)の前プレジデントであったマリアンヌ・ダイアモンドさん。
子供の頃から、本が好き、数学が得意だった彼女ですが、目の見えない彼女は目がみえなくても読める点字本や、オーディオブックのような教材を探すのに苦労したと言います。
大学で数学を勉強してITスペシャリストになった彼女ですが、その後、自分のように目が見えない人のために、尽くす道を選びました。
それは御自身のお子さんが同じ障害を抱えていたということも動機になったようです。視覚障害者の問題というのはちゃんとした教育が受けられなくて、雇用される率が低いということだそう。そしてそれは発展途上国では特にひどく、先進国でも就職率は低いという現実があります。教育をしたくても、視覚障害者にも対応している本や学習教材が圧倒的に不足しているということが背景にあるそうです。出版される本の93%は目の見えない人に対応していないという事実があり、その状況を改善する為に、視覚障害者の為の本を作り、プロモーションして、国際的なデータベースに誰でもアクセスできるように活動をしています。
出版される全ての本が視覚障害者でも読める(聴ける)ようにすることが彼女の目標です。

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国連難民高等弁務官事務所のヨーロッパ支局のディレクターであるヴィンセント・コーチェテル氏は1998年、37歳のときチェチェンにおいて任務中に突然銃をつきつけられ拉致され、317日間監禁された方なのですが、彼はある意味幸運にも生きて戻ってこれた、でも同じような任務についていた同僚の中にはなくなられた方達も多くいるわけです。そして、この人権に関わる活動をされている中で、任務中に怪我をしたり、亡くなる方というのがここ十数年でどんどん増える傾向にあるそうです。
拉致された始めの3日間は車のトランクの中で車から車へと移動させられ、その後地下牢のような真っ暗な場所で、1日2回のスープとパンをもらい、15分のろうそくの明かり、トイレットぺーパーもないところですごし、また数日後に移動したところでは45分の明かりと音楽がもらえ監禁されている時に、彼らの活動に対して感謝の言葉をかけてきた人もいるそう。
”全ての命は重要なのです、それは津波の被害者も、難民も同じなのです”
大変なめにあってもなお正義の為に、人権の為につくす決心をさらに強くしたようです。

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ボストンでは起業家達のピッチをよくきき、問題を解決しようという情熱やパワーを感じるものですが、今回は人の為に命をかけて尽くす人達の話をきいていて実際プロフィット事業でも、ノンプロフィット事業でも、自分の職務、役割、夢に対する情熱、パワー、信念というのは、起業家の持つものと同じような強さを感じましたね。
そしてたぶんとてもシンプルなことですが、どの分野でも成功する人というのは、自分の役割を100%全うする人達なんでしょう。